[ Sun ] の記事一覧

2015.09.13

アメリカ便り (47): LGBT Friendly

大分涼しくなってきていますが、
皆様いかがお過ごしですか。

せっかくですので、今回は、日本ではなかなか見られない
学科を紹介したいと思います。
私が所属している言語学科は、Marie Mount Hall という
建物の1階にあるのですが、その2階に、
Department of LGBT (Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender) があります。
http://www.lgbts.umd.edu/

日本でも、LGBT という単語が聞かれるようになってきましたが、
大学レベルで、LGBT を学問として学べる所はないのではないかと思います。

また、メリーランド州立大学が、全米で LGBT Friendly な
キャンパス上位25大学に選ばれたというニュースもありました。
http://www.diamondbackonline.com/news/umd-ranked-among-top-friendliest-lgbtq-schools-for-the-third/article_e1679728-5286-11e5-a93e-d702740eb6c6.html

LGBT のシンボルである「虹」と大学のシンボルの Turtle を
組み合わせた以下のようなマークもあります。



(話がそれるのですが、「虹」の色を数えてみて下さい。
何色有りましたか?  六色ですよね・・・
「虹」なら、七色では?と不思議に思われた方もおられるのではないでしょうか。
実は、アメリカでは、日本では区別している、「青」と「藍」を区別せず、
虹は六色と考えている人も多く存在します。
この辺の事情に興味をもたれた方は、
鈴木孝夫 (著) 「日本語と英語」岩波新書、をご覧下さい)


メリーランド州立大学は、LGBT に止まらず、
人種問題も、"Black Matters" という形で積極的に取り組んでいます。

日本の大学でも、様々な人の個性に配慮した政策が
もっと広がっていくことを願ってやみません。

それでは、また。失礼致します。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#47>>
以下は、Department of LGBT の HP に載っている言葉です。
"We envision the University of Maryland as a fully equitable community
that empowers innovators and agents of social justice."
「我々は、メリーランド州立大学を社会正義を革新する者と
それを司る者に力を与える真に公正な共同体として構想している。」
http://www.umd.edu/lgbt/

2015.09.06

アメリカ便り (46): Graduate students

ようやく9月ですね。
皆様いかがお過ごしですか。

メリーランド州立大学言語学科では、
9/1 に新大学院生を歓迎する "Meet and Greet" というイベントが行われました。
今年度も、6名の新しい大学院生が入学してきました。
(正確には、7名なのですが、1名は入学延期との事です)
http://ling.umd.edu/news/2015/aug/27/welcome-phds-2020/
そこで、今回は、アメリカの大学院の院試について紹介したいと思います。

日本の大学では、大学院に入学するためには、
学力試験や口頭試問を受験するのが普通ですが、
アメリカの大学では、いわゆる大学に来て受験するタイプの院試は存在していません。

それではどうやって入学者を決めるかというと、主に
(1) TOEFL (2) GRE (3) Statement of Purpose (4) Reference (5) Essay sample
で、決まります。
(1) の TOEFL は、英語を母国語としない人の英語力を測る試験
(2) の GRE は、大学卒業レベルの英語力や専門の知識を測る試験です。
これはアメリカ人学生も受ける必要があります。
(3) の Statement of Purpose は、自己紹介と何を学びたいのかなどの研究計画に当たります。
(4) の Reference は、推薦状
(5) の Essay sample は、大学時代に書いたペーパーです。

研究科長の Bill に話を聞くと、上の基準のなかでも (3) -(5) が重要とのことです。
TOEFL、GREは、大学が決めたスコアを満たしているかどうかを見ていて、
それ以上に、研究計画のエッセイで、これまでにどんなことを学んできて、
UMD で何をしたいか、どの先生に学びたいかをきちんと書いているかが重要とのことでした。
また推薦状も信用度の高い人、低い人を毎年見直しているので、
昔は OK だった人の推薦状が、今は駄目という事もあるそうです。
ペーパーも複数送って欲しいとの事でした。

また、昨年度は、約170人が応募して、そのうち7名が合格したとの事で、
競争倍率は約25倍程度。日本の感覚だとかなりの高倍率ですが、
アメリカの有名研究大学の大学院は、
このぐらいの競争率を勝ち抜かないと入学できないそうです。

まずは上記の(1)-(5) の基準を元に、20名ほどに絞って、
候補者 (prospective) を実際に大学に呼んで、
その中からさらに厳選するとの事です。
この候補者に入る学生はどこの大学院でもやっていけるだろうし、
博士号までたどり着くだろうという感じのようです。
最終的には、二人の先生が受け入れても良いと言わないと、
受け入れられないという方針です。

話を聞いていると本当に選びたい放題だなと思いましたが、
実際には、優秀な学生は大学間で取り合いになり、その競争も激しいようです。
そのためにどれだけ奨学金を支給できるかなどで、私立大学と競争になるので、
外部からの研究資金の獲得が重要になってきているとの話も聞けました。

やはり日本の大学もグローバルに競争するためには、
研究の中心となる大学院生に対して、手厚い支援を行う必要があると感じます。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#46>>
新入生の呼び方ですが、日本では入学年度が基準となり、
「2015年度生」や「2016年度生」と呼びますが、
アメリカでは、卒業年度を基準に新入生を呼びます。
そのため、今年度入学した院生は、5年制のプログラムなので
"Class of 2020" と呼ばれます。

2015.08.30

アメリカ便り (45): Ineligibility

いよいよ八月も終わりですね。
皆様いかがお過ごしですか。

メリーランド州立大学カレッジパーク校では、
明日8/31から新学期が始まります。
新学期と言うことは、新入生が入学してくるので、
新入生に関するニュースを紹介したいと思います。
(http://www.diamondbackonline.com/news/article_ba6be7a4-bc50-11e4-b4ec-277ed207db3b.html)

アメリカでは、カレッジスポーツが非常に盛んで、莫大な金額が動いていることを
この項でも紹介しましたが、盛んすぎるが故の、弊害も生まれています。
その一つが、カレッジスポーツの学生が、活躍してプロになるために、
学業をおろそかにしてしまう場合があるという事です。

日本の大学でも、「文武両道」が謳われていますが、
なかなか実践するのは大変な事も多いと思います。
立命館大学は、取得単位の基準を下回ると、
試合に出られないというシステムを取っていますが、
このようなシステムが無く、学生がクラブ活動ばかりしている
大学もあるのではないでしょうか?

アメリカでも、この問題は非常に深刻になっており、
色々な対策が取られてきました。
メリーランド州立大学でも様々な対策が取られ、
Academic Support が一つのキーワードとなっています。
http://www.umterps.com/SportSelect.dbml?DB_OEM_ID=29700&SPID=120731&SPSID=716403&KEY=

アメリカの大学で、どのようなアカデミックサポートが
実践されているかを知るためには、以下の本がとても参考になります。
岩波ジュニア新書ですので、お近くの図書館に所蔵されていると思います。
「ライフスキル・フィットネス――自立のためのスポーツ教育」
吉田 良治 (著) 2013年  (岩波ジュニア新書) で書かれています。
ぜひスポーツ健康科学部で学びたいという学生やその保護者に読んでもらいたい一冊です。


(画像は、amazon.co.jp より引用)

今回提案された対策は、一番人気の高いアメフトとバスケットで、
新入生に学業を優先 (education first) させて、
一年生の間、試合の出場資格を停止 (ineligibility) 出来ないかという
アイデアが、Big Ten リーグで出ているというものです。

もしもこれが実現すると、新入生にとっては、学業優先にはなって
よりスムーズに学業に向かえると思いますが、
試合には出られませんので、モチベーションの低下が起こるかもしれません。
試合に出られないなら、Big Ten の大学には進学しないという学生も出てくるでしょうから、
その場合、他のリーグよりも、レベルが低くなるという可能性もあります。
それでもなおこのような対策が話し合われるという所に、アメリカの
カレッジスポーツの現状が垣間見える気がします。

現在、まだこの件は検討段階ですが、もしも実現した場合には、
当然上位団体の NCAA でも、実施されると思います。
この話がどうなるか注目したいと思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#45>>
英語では、学業優先は、"education first" と言います。
GPA (grade-point average) で、3.7以上を達成した「文武両道」の学生は、
"Distinguished Scholar Award" を受賞することが出来ます。
今年度は、23名の学生が受賞しました。
(http://www.umterps.com/ViewArticle.dbml?SPSID=716403&SPID=120731&DB_LANG=C&DB_OEM_ID=29700&ATCLID=210187351)
日本の大学でも、競技成績を表彰するだけでなく、
「文武両道」に努めた学生を表彰していく必要があるのではと思います。

2015.08.23

アメリカ便り (44): Running Safe

日本ではお盆休みも終わり、通常モードに戻っていると思いますが、
皆様いかがお過ごしですか。

今回は、メリーランド州立大学カレッジパーク校の
Department of Kinesiology (運動生理学科)を紹介したいと思います。
http://sph.umd.edu/department/knes

本学科は非常に高い評価を受けており、
大学院プログラムは、全米で3位にランキングされています。

この学科には、非常に精力的に研究をされている
スポ健のMitsuo 先生 も、2011年度に在外研究に来られていました。
https://www.ritsumei.ac.jp/shs/news/article.html/?id=162
https://www.ritsumei.ac.jp/shs/news/article.html/?id=151
https://www.ritsumei.ac.jp/shs/news/article.html/?id=95

先日、この学科の大学院生と教授が中心となって、
大学構内でランニングする際に、どこが危険かというマップを作りました。


(http://sph.umd.edu/news-item/kinesiology-student-projects-help-runners-stay-safe-encourage-people-broaden-view-exercise)

こちらの構内は、緑も多くてとても気持ちよく、
ランニングする人が非常に多いのですが、
キャンパスが広大で、オープンなため、
時間帯によっては、安全性の低い場所があります。
そこで運動をする人が、心配なく運動できるように
マップが作られたというわけです。
ちなみに地図の赤い部分は、危険地域です。
私も立ち寄らないようにしています。

アメリカの大学は良いところも多いのですが、
治安という意味では、日本の大学の方が良いですね。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#44>>
学科の HP に、本学科のミッションが書かれています。
スポ健と同じく、幅広い学際性が謳われています。
"At a time when the nation is witnessing an obesity epidemic,
enjoys watching sport more than playing sport,
and has an aging population at risk for falls,
Kinesiology brings together individuals with backgrounds
in physiology, psychology, sociology, communications,
history, engineering, education, and neuroscience
to work on these and many other important public health problems. "
「アメリカ国民が、肥満症候群に見舞われ、スポーツをするよりも
テレビ鑑賞を楽しみ、転倒の危険性のある高齢化の進む時代において、
これらの問題ならびに他の多くの重要な公衆衛生の問題に立ち向かうため、
運動生理学科は、生理学、心理学、社会学、コミュニケーション学、
歴史学、工学、教育学、神経科学のバックグラウンドを持つ人間を統合する。」
http://sph.umd.edu/department/knes/about-us

2015.08.16

アメリカ便り (43): Alumni

今日は、京都では、五山の送り火ですね。
皆様いかがお過ごしですか。

卒業生のことを英語で、"Alumni" と呼びますが、
今回は、メリーランド州立大学カレッジパーク校の生んだ
卒業生を紹介したいと思います。

我々の生活に深く関係している卒業生としては、
Google の共同創業者である、セルゲイ・ブリン氏 (Sergey Brin) や
スポ健の学生には馴染みの深いアンダーアーマー (Under Armour) の創業者である
ケビン・プランク氏 (Kevin Plank) などがいます。


(写真は、http://www.bizjournals.com/baltimore/news/2014/09/29/kevin-plank-rockets-past-steve-bisciotti-on-forbes.htmlより)

先日、ケビン・プランク氏が、2500万ドル (約30億円) を
建物の改修に寄付したという記事が出ました。
昨年度だけで、大学への寄付が1億9500万ドルに上ったという記事です。
http://www.diamondbackonline.com/news/umd-exceeds-s-fundraising-goal-by-million-with-private-donations/article_66d780b2-30bd-11e5-9cd1-0f66263723aa.html

これらの多くの著名な卒業生の中でも、世界中に大きな影響を残した人物が、
ジム・ヘンソン氏 (Jim Henson) です。
「ジム・ヘンソン」と聞いても、? が浮かぶ人も多いと思いますが、
彼は、世界中で放送されているセサミストリート (Sesame Street) の
マペット(操り人形) を生み出した人物です。
特に、カエルの Kermit the Frog は有名で、
よく子供を対象とした言語習得の実験で、Cookie Monster と共に用いられます。

生協の建物である Union の前に、彼の功績を称え、
彼と Kermit the Frog の銅像が建っています。
(写真は、言語学のテキストである Minimalist Program を持たせています)



メリーランド州立大学が輩出した著名な卒業生のように、
スポーツ健康科学部からも、世界中に大きな影響を与える人物が
育ってくれることを願ってやみません。
それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#43>>
今回は、ジム・ヘンソン氏の言葉を紹介します。
"When I was young, my ambition was to be one of the people
who made a difference in this world.
My hope is to leave the world a little better for having been there."
 (http://www.brainyquote.com/quotes/authors/j/jim_henson.html より)
「私が若かった頃、私の夢は、この世界を変える人物の一人になることだった。
私の希望は、私がこの世に存在したことで、
この世界を少しだけでもより良いものすることだ。」

2015.08.09

アメリカ便り (42): Research University

先週に続いて、ジョンズ・ホプキンス大学 (Johns Hopkins University)  を通して
研究大学 (Research University) について書きたいと思います。
ジョンズ・ホプキンス大学が、「研究大学」であることを先週お伝えしましたが、
実際にどんなふうに研究が重視されているかを、
認知科学学科に所属されている Akira 先生にお聞きしました。



Akira 先生は、学部時代に、マサチューセッツ州立大学 (UMASS) に
交換留学で1年間留学され、アメリカの大学院に進もうと決心されました。
メリーランド州立大学 の言語学科で博士号を取得され、
現在は、ジョンズ・ホプキンス大学で、Assistant Professor をされています。

Akira 先生のお話では、ジョンズ・ホプキンス大学は
アメリカの研究大学の中でも研究が最も重視されている大学の一つで、
最初のスタートアップの研究資金として、かなりの額が支給されたそうです。
そのおかげで、1台500万円ほどする eye-tracker を2台と、
研究アシスタントを2名雇用でき、順調に研究を立ち上げることが出来、
大変感謝しているとのことでした。

実験用の大きなスペースも与えられ、Akira 先生の Lab は、
アシスタント用の部屋(写真奥左手)、子供用の実験部屋(写真中央奥)、
大人用の実験部屋(写真奥右手)、おもちゃのある前室からなっています。


また研究室のデザインも自分で決めることが出来、
子供を対象にした実験ができやすいようにレイアウト出来たとのこと。
本当に至れり尽くせりで、聞いていて彼我の余りの違いに気が遠くなりました (苦笑)。

ただ大学からスタートアップでかなりの金額をもらえるのは、
大学自体が、研究を投資と考えていて、それを元に研究成果を出して、
NSF (National Science Foundation) や NIH (National Institute of Health) などから
大型の研究費を獲得することが目的との事です。
ジョンズ・ホプキンス大学では、獲得した研究費の 62%! は、
間接経費として大学に徴収され、この還元された研究費を用いて、
さらに大学全体で研究を進めて、さらに大きな研究費を獲得するという好循環が出来ています。
(ちなみに全米一間接経費が高いのは、Stanford 大学で、65% との事でした。)

先週、「研究大学」を定義するならば、
「教育よりも研究が中心で、学部よりも大学院が中心の大学」と書きましたが、
授業の負担は最低限で、各学期で、学部の授業が1コマ、大学院が1コマのみとの事でした。
これはメリーランド州立大学の言語学科も同じですが、
日本の大学でこういう環境を揃えるのはなかなか厳しいと思います。
ちなみに認知科学学科の院生は、毎年3名程度で、
これまでほぼ100%アカデミックキャリアについているそうで、
さすがジョンズ・ホプキンスと思いました。

ただ研究大学ならではの厳しさも相当あって、全米一位のメディカルスクールでは、
診療も授業も担当せず、医学研究に専念している先生が多数おられるのですが、
その先生は、大学から給与は一切!支給されず、
自分の給与は獲得した研究費から払っているそうです。
そのため研究費を取れなくなると、別の業界に行くか、
他大学に移籍するしかないという、
日本の大学では考えられない厳しさです。
いかにも競争の厳しいアメリカらしいと感じました。

日本の大学も、大きな変革の時を迎えています。
日本を外から見ることで、その方向性が正しいかのどうか
非常に参考になる訪問でした。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#42>>
初代学長のギルマンが就任演説で、ジョンズ・ホプキンス大学の目的について語った言葉です。
“The encouragement of research . . . and the advancement of individual
scholars, who by their excellence will advance the sciences
they pursue, and the society where they dwell.”
「(ジョンズ・ホプキンス大学の目的は) 研究の奨励およびその卓越性により科学を追求し、
彼らが生きる社会を前進させる個々の研究者の向上(である)」
( https://www.jhu.edu/about/ )
こういう言葉にアメリカ最初の研究大学の自負が感じられます。

2015.08.02

アメリカ便り (41): Johns Hopkins University

本日は、立命館大学オープンキャンパスの二日目ですね。
一人でも多くの受験生・保護者の方に参加して頂き、
スポ健の魅力について知ってもらえればと思います。

私は、先日、メリーランド州のボルチモアにある私立の名門、
ジョンズ・ホプキンス大学 (Johns Hopkins University) を訪問してきました。

ジョンズ・ホプキンス大学は、1876年にボルチモア-オハイオ鉄道会社の大株主であった
ジョンズ・ホプキンス氏の遺言により創設された大学です。
肖像画は、40歳代のジョンズ・ホプキンス氏です



ジョンズ・ホプキンス大学は、メディカルスクールのランキングで
全米一位の評価を受けている名門大学です。
これまでに関係者のノーベル賞受賞者の数が、なんと36人!
また卒業生も著名人を多数輩出しており、
前NY市長のブルームバーグ氏 (Michael R. Bloomberg) もその一人です。
これまでに10億ドル以上!(日本円で1200億円) 寄付をしており、
公衆衛生のプログラムは、Bloomberg School of Public Health と命名されています。
また、国際連盟で有名な第28代アメリカ大統領の
ウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson) も卒業生です。

中に入ってみると、メリーランド州立大学カレッジパーク校と比べると
キャンパスは小さいのですが、アイビーリーグ (Ivy League) を思わせる雰囲気の良さでした。



アメリカ最初の大学は、Harvard 大学ですが、
ジョンズ・ホプキンス大学は、「アメリカ最初の研究大学」と呼ばれています。
それまでのアメリカの大学は、古典教育を中心とした教養を身につける事を
目的とするリベラル・アーツ大学 (liberal arts) だったのが、
ジョンズ・ホプキンス以降は、Harvard などの上位大学は、
急速に「研究大学」へと舵をきることになりました。

「研究大学」を定義するならば、
「教育よりも研究が中心で、学部よりも大学院が中心の大学」と言えます。
また大学院生から学費を取るのではなく、逆に奨学金を与えて、
研究環境を整えるのも、ジョンズ・ホプキンス大学が始めたことです。

日本でも、国立大学を中心に大学院重点化で、
大学院を中心に据え、アメリカ流の研究大学を目指そうという動きが行われました。
しかしながら、残念なことにアメリカ流の研究大学の恵まれた環境には
なかなか到達していないように思えます。
実際に研究大学での研究環境がどのようなものかについては、
次週お伝えしたいと思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#41>>
上で述べたブルームバーグ氏の言葉です。
Bloomberg said. “Each dollar I have given has been well-spent
improving the institution and, just as importantly,
making its education available to students
who might otherwise not be able to afford it.
Giving is only meaningful if the money will make a difference
in people’s lives, and I know of no other institution
that can make a bigger difference in lives around the world
through its groundbreaking research—especially in the field of public health.”
「ブルームバーグ氏によると、私が寄付した全てのお金は施設を充実させることと、
同じくらい重要なのだが、この寄付がなければ経済的に不可能であった学生に
教育の機会を与えることに使われてきた。
寄付自体は、人々の人生に変化をもたらして初めて意味があり、
ジョンズ・ホプキンス以上に、特に公衆衛生の分野において、
画期的な研究を通じて世界の人々の暮らしに
より大きな変革をもたらすことの出来る機関を私は知らない。」
(http://releases.jhu.edu/2013/01/26/michael-r-bloomberg-commits-350-million-to-johns-hopkins/)

2015.07.26

アメリカ便り (40): Flat tire

7月もあっという間に終わりですね。
皆様いかがお過ごしですか。

私は、普段大学まで車で通っているのですが、
今週の21日に、高速を降り、大学まで2マイルという所で、
タイヤに何か付着したような異音がしました。
路肩が無く通勤ラッシュで急に止まるわけにもいかず、
もうすぐだからとそのまま走っていたら、
急に「バン!」という大きな破裂音がして、パンクしました。



(動揺していたので写真撮るの忘れました (^ ^;;)
写真は、http://www.thecarconnection.com/news/1056190_buy-michelin-tires-get-free-roadside-assistance-and-towing より)


何とか大学の駐車場にたどり着き、保険会社に連絡して
タイヤ交換してもらったのですが、
(釘が刺さっていました!)
タイヤの空気圧の警告ランプが消えず、
今度はディーラー行きとなりました。
そこで新品のタイヤに交換してくれと頼むと、
「一時間かかる」と言われて、時間をつぶして戻ってきたら、
ディーラーが提案してきたタイヤの在庫が無く、
「別のタイヤならあるがどうする?交換はこれからだから、
さらに時間がかかるけど・・・」と言われ、
「それなら早く連絡してくれたら良かったのに・・・」と
アメリカンウェイにやられたトホホな一日でした。

高速を降りていたので、何とか無事でしたが、
仮に高速の最中だと思うと、本当にぞっとしました。
アメリカの高速道路では、所々で車が路肩に止まっていて、
その数は日本よりも遙かに頻繁です。
「大変だなぁ〜」と見ていましたが、自分もそうなりました。
本当に気を付けないといけませんね。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を。

<<街でよく見かける英語表現#40>>
日本ではあまり見かけませんが、アメリカでは
道路の舗装がえぐれていて、結構な深さの穴が開いている所があります。
そういう穴を、pothole と言い、そのため車やタイヤにもダメージがあるようです。
舗装しても舗装しても車が通るために穴があくようで、
修繕することが財政的にもかなりの大きな問題となっています。
以下のニュースでは、pothole によるダメージの補償を求めることができるというニュースです。
http://www.myfoxdc.com/story/28423774/vehicle-damaged-by-a-pothole-drivers-can-file-claim-against-govt-for-reimbursement

2015.07.19

アメリカ便り (39): The reason to study abroad

今回は、先週紹介した ニューヨーク大学 (NYU)で
言語学の博士課程に在籍している Yohei さんに
お聞きしたアメリカ生活について紹介したいと思います。
彼は、日本の国立大学での学部・修士課程を経て、
現在、NYU の博士課程の2年生で、MorphLab に所属しています。


(画像は、MorphLab の HP より引用; http://www.psych.nyu.edu/morphlab/)

彼とは、5月の初めにメリーランド州立大学で開かれた学会でお会いし、
今回、留学生活について色々と話を聞くことをが出来ました。

耳の痛い話も多いのですが、実際に留学生活をしている学生目線の話ですので、
このブログを読んで頂いている受験生や大学生の皆さんにとって、
大変参考になると思います。

・なぜ留学しようと考えたのか
「留学しようと決めたには様々な理由がありました。
まず、自分の修士時代のアドバイザーがアメリカで博士号を取得していて、
アメリカのプログラムは本当に忙しいが、一流の言語学者を育成するために
できていることを聞きました。加えて、同じ分野の研究をしている大学院生がおらず、
仲間との会話は非常に重要な学びの機会ですので、仲間を求めてアメリカに来たのもあります。
また現行の日本の大学の雰囲気が嫌いでした。
日本の大学では勉強に力を注いでいると珍しがられますが、アメリカではそれが普通です。
そして何より、一流の研究者に指導して貰いたかったからです。」

・英語の勉強方法
「僕はテキストや参考書で自学自習するということが全く出来ないタイプでした(オススメはしません)。「読む・書く」は、自分の研究をしている内に自然と鍛えられました。
論文は英語で書いていましたし、参考文献も全て英語です。
「話す・聞く」は、勉強していません。
全て英語で行われている授業を取っている程度でしたし、
後はとにかくアメリカに来て、英語を話さなければいけない環境に身を置いて、
追い込まれた状況で修行しようと考えました。」

・どのような経緯で NYU に入学したか
「どの大学にも交換留学という制度があると思います。NYU に入学する前に、
僕はその制度を援用して大学院生として visiting student をしました。
ただ、TOEFLのスコアがそれなりに必要ですので、必要なスコアが取れない人も多く、
競争倍率がかなり低かったです。visiting student では、
授業は全て現地の学生と同じものを受けていました。
僕の場合、それと同時に研究をしてNYUに出願しました。」

・日本と海外の大学の違い
「経験から言うと、日本の大学の授業はゆるいです。
アメリカでは、同じ授業で週に最低2回授業があります。
それぞれの授業でものすごい量の課題が出ます。
そこらへんの研究者が読む論文を普通に読まされます。
これは課題とは別にです。学期末には論文を書かなければいけないので、
学期中に教員と何回かアポイントメントを取ります。例えば、
火曜と木曜に授業がある場合、火曜に出た課題と宿題をこなすのには水曜しかありません。
こちらの図書館は基本的に24時間空いているので、みな遅くまで勉強しています。
代返だとか、授業中の居眠りだとかありえません。
ただメリハリははっきりしていて、週末にはパーティーをしたりしています。
平日の真っ只中にダラダラと飲み会をしたりはしません。」

・NYU や NY での暮らし
「僕は言語の脳科学の研究室に所属していますので、
基本的に平日は毎日大学にいって研究します。
授業が無ければカフェに行って研究をしたりします。
住んでいる場所はマンハッタンではなく、クイーンズというベッドタウン(?)です。
通学は約1時間くらいでしょうか。ニューヨークの治安を気にする人がよくいますが、
僕は何も危険な目にあったことはありません。息抜きに色々と行く場所もあります。」

・高校生に対するメッセージ
「バイト・恋愛・サークル目的ではなく、
本気で勉強するために大学に行く人は留学することをぜひお勧めします。
今どうやら日本は「グローバル」な人材を求めて動いているようですが、
名前だけが一人歩きして具体的な政策が何も打ち出されていないのが現状です。
留学すれば、英語はもちろん徐々に板についてきますし、
少なくとも日本の大学で4年間ぼーっと過ごしたというレッテルも貼られません。
そして、日本が欧米の教育システムを本気で取り入れたいのであれば、
それを実際に経験して輸入する人材が必要です。」

立命館でも、交換留学制度がありますが、なかなかTOEFL iBT で
必要なスコアが取れず、留学できないという人が多いのが現状です。
TOEFL で高得点を取るためには、きちんと高校で英語を勉強することが必要ですので、
日々の勉強を頑張ってくださいね。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#39>>
上で述べたように、Yohei さんとは、メリーランド大学で開催された
Morphest という学会で初めてお会いしたのですが、
その登録 (registration) のページの最後に
"Do you need crash space?" という Yes / No question の項目がありました。
"crash space" とは聞き慣れない英語表現なので、
周りの院生に聞くと、「大体35歳以下の人が使うくだけた表現で、
"泊まる場所"との事」。いい大人 (笑) が使うときには、
"space to stay" を使う方が良いとのことでした。
英語って本当に面白いですね。

2015.07.12

アメリカ便り (38): NYU

あっという間に7月も半ばですね。
前期もそろそろ終了で、学生の皆さんは
英語の最終発表やペーパーを書くので忙しい時期ですね。

先日、New York University (NYU) の言語学科を
訪問してきましたので、今回紹介したいと思います。
http://linguistics.as.nyu.edu/page/home

NYU の言語学科は、マンハッタンのメインキャンパスから
2ブロックほど離れた所に、5年ほど前に移転しました。
建物の外観は、高級アパートのようです。
(写真の NYU の旗が立っている建物です。)



建物の中は、メリーランド州立大学カレッジパーク校とは異なり、
神経言語学は6階、社会言語学は3階のように、
言語学の研究分野毎にフロアに分かれて入っています。
今回、私は6階の神経言語学フロアを訪問したのですが、
非常にモダンで、オシャレな感じでした。
さすがにお金持ちの私立大学という所です。



NYU の言語学科は、メリーランド州立大学カレッジパーク校と並ぶ、
神経言語学 (Neurolinguistics) の研究が盛んな大学です。
私も、今回の在外研究で、メリーランドにするか NYU にするかで悩みました。
施設面でも、MEG (脳磁図計) があり、研究の環境面では申し分ありません。
ただ上で書いたように、分野ごとにフロアが分かれているので、
学生間や教員間の交流が少ないのかなとも感じました。
メリーランド州立大学の場合は、分野がバラバラの学生や教員が
お隣にいて、それこそ和気藹々という感じです。
より独立した、大人な雰囲気を楽しみたいなら NYU という感じでしょうか。
大学の個性を感じた訪問でした。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を。

<<街でよく見かける英語表現#38>>
NYU のモットーは、"Perstare et Praestare"
HP には、"The motto "Perstare et Praestare"—to persevere and to excel— ...
represent the continued pursuit of academic excellence. "
「モットーである "Perstare et Praestare" (英語では、維持し、優る) は、
学問的な卓越の絶えざる追求を象徴する」
(http://www.nyu.edu/library/bobst/research/arch/175/pages/seal.htm より) とあります。

また、NYU は、海外への進出にも積極的です。
現在、NYU Abu Dhabi (http://nyuad.nyu.edu/en/)と、
NYU Shanghai (http://shanghai.nyu.edu/) が、
2キャンパスがあります。
まさにグローバル大学です。