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「ジョジョの奇妙な冒険」作者の荒木飛呂彦さん著 「荒木飛呂彦の漫画術」 を読みました。そもそもは新聞の書評欄で見つけたのですが懐かしく思い、すぐに書店に買いに行きました。私が中学生・高校生の頃は多分週刊少年ジャンプの黄金期で、毎週楽しみに立ち読みしていた(当時はコンビニはそう多くなく、書店の店頭に雑誌が並べてありました)のを思い出します。「ジョジョの奇妙な冒険」はその中でも人気の作品だったと思います。
読んでみて、懐かしいというだけではなく目から鱗の大変参考になる一冊でした。内容の紹介のために目次から何カ所か抜粋します。
・「王道漫画」を描くための「黄金の道」
・最初の一ページをめくらせろ!
・他人が描いていない分野に踏み込む
・日常の「起承転結」を体で覚える
・表現はヘミングウェイに学べ
・リアル化とシンボル化
・同じ絵ばかり描いていたら時代遅れになる
・徹底的にリサーチする
・調べた事を全部は描かない
・描いたものは忘れる
いかにして面白い作品を創るか、という事にフォーカスした筆者の考えが述べられています。ここで「面白い」とは「読者が楽しんで読んでくれる」という事です。そして、この著作の題材は勿論漫画なのですが、我々大学教員の教育・研究の仕事にもほとんどぴったりあてはまると思い強い感銘を受けました。授業や研究のプレゼンテーションを、「面白い、もっと聴きたい」と思って貰える事は我々にとって大きな喜びです。そのための技法や考え方に関する著書もまずまずの数読んで来たつもりですが、中でも非常にためになった一冊として紹介させて頂きます。学生さんもプレゼンの際や、面接を受ける際に大変な参考になると思います。是非読んでみてください。
本の内容から、驚き感心した事項を一点。荒木氏は作品を描く際に、全てのキャラクターの「身上調査書」を作成するそうです。これは履歴書を更に詳しくしたもので、姓名・年齢・性別は勿論の事、身長、体重、生年月日、血液型、学歴、好きな音楽、飼っているペット、尊敬する人物、等々約60の項目からなっているそうです。そのお陰でキャラクターの振舞いにリアリティが生まれ、ストーリーにも矛盾がなくなるとの事。なるほどと思いました。
先週の土曜日・日曜日に、ゼミの一同で東京大学大学院総合文化研究科・身体運動科学教室のバイオメカニクス研究室にお邪魔しました。お時間を割いて下さったF先生、I先生、Y先生、S先生、大学院生の皆様、筑波からお越し下さった Kさん、大変ありがとう御座いました!
こちらからは私も含めて17名の大人数で伺わせて頂きました。朝8時過ぎに京都駅に集合、品川経由で目黒区の東大駒場キャンパスに11時半頃到着。学食で食事をし、少しキャンパス内を見学して、午後1時から研究交流会を行いました。
研究交流会では双方の学生さん全員がプレゼンを行いました。参加者全員にとって良い刺激になったと思います。当ゼミの学生もそれぞれの進捗に応じて立派に発表できており、手前味噌ですが嬉しく思いました。
研究交流会のあとはスポーツ企画ということで、皆でドッジビー(フリスビーをつかったドッジボール)をして楽しみました。気温が高かった事もあり、ハードに動いて汗だくになりました。この度めでたく還暦を迎えられたF先生の華麗な身のこなしに皆で感銘を受けました。
その後は実験室で懇親会を開催して下さいました。院生の皆様がご用意下さった企画で大変に盛り上がりました。何から何まできめ細かく準備して頂き、心より感謝致します!
翌日は江戸東京博物館(両国国技館の隣)を見学。こちらにも東大の院生の方々が同行してくださいました。江戸時代から現代までの東京の変化を見る事ができ、また前回の東京オリンピックに関する展示等もあり、皆楽しんでいた様です。見学後は両国のちゃんこ屋で皆で昼食にしました。
この度は東大の皆さんに大変お世話になりました。当方の学生にも非常に良い経験になったと思います。感謝の気持ちを忘れず、次の機会はこちらで段取りしてお・も・て・な・し・させて頂きましょう。
なお、今回の研究交流には立命館大学の「学生交流プログラム」のご支援を頂きました。教育・研究活動を充実させて下さる大学の諸制度に改めて感謝致します。
先週末の事ですが、滋賀県立陶芸の森で開催中の「リサ・ラーソン展」に行ってきました。食器や家具など身近な品物のデザインもされている方なので皆さんどこかで見た記憶があるのではないかと思います。今回は日用品というよりは芸術品として仕上げた作品の展示が中心でした。1点だけですが触っても良い作品もあり、一緒に行った子供達も楽しんでいました。
陶芸の森のリンクはこちらリサ・ラーソンのリンクはこちら滋賀県立陶芸の森ですが、甲賀市信楽町にあります。車やバイク等の交通手段があればBKCキャンパスから30分位の距離でしょうか。非常に広い敷地の中に美術館、産業展示館、広場、カフェなどがあります。美術館のある場所は中でも高台になっているため非常に良い眺めでした。
着任するまでは滋賀県に殆ど来た事がありませんでしたが(BKCキャンパスに学会で来ただけ、という気がします)、1年強生活してみて見所の沢山ある土地だな、と思っています。まだまだ行った事のないエリアがありますのでこれからも楽しみです。
スポーツ健康科学部・研究科では学生さんがプレゼンテーションをする機会を多く設けています。卒論・修論・博論はもちろんの事、学部1回生から4回生までの小集団の授業、英語の授業などでプレゼンテーションの経験を積む様にカリキュラム設計されています。そのため多くの学生さんがスキルを身につけ場数も踏んで、質の高いプレゼンテーションが出来る様になっていると思います。
そこで、だからこそ、「良いプレゼンテーション」或いは「分かりやすい表現」とは何なのか、改めて整理してみる事をお勧めします。経験的に身につけたスキルの数々を整理する事で、自分がどの様な場面でどんなスキルを使っていて、それがどんな効果を産んでいるのか?を理屈で理解する事ができるからです。理屈で理解する事で、更に高いレベルを目指すためには何をすれば良いのか考えられる様になります。スポーツで next level を目指すときと通じるものがあると思います。
本日は講談社ブルーバックスの『「分かりやすい表現」の技術』(藤沢晃治氏)を紹介します。「分かりやすさ」あるいは「分かりにくさ」とは何なのか、すっきり整理して説明してくれています。詳細は是非原本を読んでみて欲しいと思いますが、説明されている「分かりやすい表現のルール」を以下に挙げます。
1. おもてなしの心を持て。
2. 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
3. 「受け手」の熱意を見極めよ。
4. 大前提の説明を忘れるな。
5. まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
6. 複数解釈を許すな。
7. 情報のサイズ制限を守れ。
8. 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
9. 具体的な情報を示せ。
10. 情報に優先順位をつけよ。
11. 情報を共通項でくくれ。
12. 項目の相互関係を明示せよ。
13. 視覚特性を重視せよ。
14. 自然発想に逆らうな。
15. 情報の受信順序を明示せよ。
16. 翻訳はことばではなく意味を訳せ。
非常にためになる一冊です。強く推薦します。
2015.05.15
『黄金のバンタム』を破った男
この頃読んだ本を紹介します。
「『黄金のバンタム』を破った男」、百田尚樹さんの著作です。
「永遠の0」「海賊と呼ばれた男」等の非常に有名な著作のある百田氏ですが、大のボクシングファンとの事で、ボクシングに関する著作も幾つか出版されています。
今回紹介する一冊はファイティング原田の偉業を余すところなく述べる内容です。
嘗てプロボクシングの世界には8人の世界チャンピオンしかいませんでした。チャンピオンとランキングを認定する団体が一つしか無く、またその認定する階級が8つのみだったためです。(現在は主要団体だけでも4つが存在し、階級数も倍程に増えたため70名前後の世界チャンピオンがいます。)当然の事ながら世界チャンピオンになるのは非常に狭き門で、日本人で初めて世界チャンピオンになったのは白井義男、1952年の事です。そして二人目がファイティング原田、1962年の事でした。
ファイティング原田はフライ級でチャンピオンになった後、階級を一つ上のバンタム級に変更しそこでも歴史に名を残します。「黄金のバンタム」と謳われたエデル・ジョフレとの死闘もその一つ。この戦いを制したファイティング原田はバンタム級でも世界チャンピオンの座につきました。ジョフレとの間にはその後面白いエピソードが有り、この本の最後はその逸話で締めくくられています。
著作中、ヘヴィ級の名チャンピオンモハメド・アリの言葉が引用されています。今回英語の原文をインターネットで探してみました。
"Only a man who knows what it is like to be defeated can reach down to the bottom of his soul and come up with the extra ounce of power it takes to win when the match is even."
スポーツ・勉強・研究、分野を問わずあてはまる言葉だと思います。
(写真はこの頃パンチの衝撃力を測る実験に使用しているグローブです。ボクシング等の経験のある方は是非ご協力をお願い致します!)
この頃何かとフランスに縁があるので、フランス語の勉強(練習)を始めました。こういう時は大体 NHK のラジオ講座のお世話になっています。といってもラジオ放送の時刻に合わせるのは難しいので CD とテキストを購入しています。フランス語は両方で\2,000-位、半年で1クールの様です。
勉強の仕方としては
・通勤の車の中で聞き流す
・時間のあるときにテキストを読む
・CD を iPad に読み込んで時間のあるときに繰り返し聞く、発音を練習する
こんな感じです。iPad は語学の練習には非常に便利ですね。
これまでポルトガル語、中国語を練習して現地で(それなりに)使ってみました。スペイン語と韓国語も勉強してみたのですが、使う機会が無く殆ど忘れてしまったと思います・・・。
外国の方とコミュニケーションするとき、研究の場では通常英語を使います。また込み入った話や厳密さを求められる際にも矢張り英語を使います。ですが挨拶とか簡単なやりとりとかに、ぎこちなくても現地の言葉が使えると楽しいものです。
何かをやってみたいと思ったら、ひとまず始めの一歩を踏み出しましょう。
この頃留学について相談を受ける機会が何回かあったので、留学を志す方々にお薦めの書籍を紹介させて頂きます。
「若き数学者のアメリカ」「遙かなるケンブリッジ」いずれも藤原正彦氏の著作です。
著者が研究者として(学生としてでは無く)アメリカ・イギリスの大学で過ごした時の事が活き活きと描かれています。著名な数学者の藤原氏ですが、文章も非常に面白く読みやすいエッセイになっています。初版からはかなりの年数が経っていますが現在読んでも色褪せない内容です。著者の優れた洞察力がアメリカ・イギリスの大学と日本の大学の本質的な違いを看破して、それをユーモラスに伝えてくれているからでしょう。
この中で、非常に考えさせられる場面があります。それは著者が自らのルーツを振り返り、そこに心の拠り所を見いだし、自信の源としていく場面です。海外留学をする方は誰しも同様の経験をする事になると思います。言葉はネイティブでは無い、自分の意図を誤解される事もある、差別的な扱いを受ける事もある、、、そんな時に拠り所を持っている人間は強いと思います。それまで経験してきた事であり、過ごして来た時間であり、達成してきた事であり。藤原氏の場合、海外留学を通して痛感した祖国に対する誇りと愛情が近年の著作にも色濃く表れている様です。
是非書店で手にとってみてください。
関連してもう一件。メディアライブラリーに「教員のお薦め本」のコーナーがあるのをご存じでしょうか?各学部の先生方が推薦する書籍を展示してくださっています。(現在はスポーツ健康科学部からは私の推薦した書籍を展示して頂いています。)まだ見た事が無い、という方は是非一度立ち寄ってみて下さい。
お薦め本を紹介しているwebページも
こちらに開設されています。
水曜日の事ですが、理化学研究所のシンポジウムに参加して来ました。
理化学研究所には「基礎科学特別研究員」という制度があります。その制度発足25周年の記念シンポジウムでした。
理研の基礎科学特別研究員(以下基礎特研と約します)は所謂「ポスドク」のポストです。大学院で博士号を取得した後すぐに大学教員のポストに就く方もいらっしゃいますが、ポスドクとして研究業績を積みながら教員公募に応募していく、というキャリアパスもよく見られます。私は後者の立場で5年程を過ごしました。そのうち後半の3年間を基礎特研として過ごしました。
通常のポスドクは研究プロジェクトがあり、プロジェクトリーダーが居て、そのプロジェクトにフィットする人材という形で雇用されます。つまり雇用された時点である程度研究の枠組みが決まっているわけです。一方で基礎特研では各自が申請書を作成し、理研の担当部署に直接応募します。それが複数の審査員に客観的に評価され、高い評価を受けた者が採用される仕組みです。そのため各々の研究者の自主性・主体性が強く確保されます。アドバイザーからの助言を受ける事もでき、更に年間100万円程度の研究費も与えられます。
制度の概要はこちら基礎特研のポストに就けた事は私にとって非常な幸いでした。自らの研究に専念して一心不乱に打ち込んだ時間は貴重な財産となっています。シンポジウムの際には当時の事を懐かしく思い出し、感謝の念を新たにしました。
来年度分の公募も公開されています。来週〆切ですのでタイミング的には厳しいかも知れませんが、大学院後期課程の皆さんは応募を検討されては如何でしょうか。あるいは一年後にまたチェックして頂ければと思います。興味のある方は何でも訊いてください。
この頃、7月に開催される国際学会 (
International Society of Biomechanics) の準備をしています。
今日は予備実験を行い、本実験の目処が大体立ちました。私と2名の4回生で計3件の発表を行う予定です。学生さんの頑張り様と研究の内容についてはまた追って紹介しようと思います。
学会が開催される土地が私にとっては特別な思い入れのある所ですので、今回はその話をさせて頂きます。
学会の会場はスコットランドのグラスゴーです。私は8年程前、スコットランドのアバディーン大学に講師として勤務していました。それ以前には理化学研究所で任期付きの研究員のポストに就いていました。任期の最終年度、研究を継続できる環境を求めて世界中の公募に応募していました。アメリカ、オーストラリア、カナダ、シンガポール、ニュージーランド、英語圏の国には殆ど全て書類を送っていたと思います。
その中で幸運にも話がまとまったのがアバディーン大学でした。
英国の正確な名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。「連合」とはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国連合の意です。それぞれの国は英国の一部であるものの独自の文化を保っているとの事で、昨年のスコットランド独立運動の事を記憶している方も多いのではないでしょうか。渡航前にスコットランドと英国について沢山の本を読み、ワクワクしながら飛行機に乗りました。
スコットランドの印象は一言で言うと「しっとり」でした。ほぼ毎日雨が降り、青空が見える事は稀でした。緯度も高いため(北海道よりもずっと高緯度です)日光は柔らかく、特に真冬の日照時間は4時間程度でした。人々も穏やかで物静かだったのは気候とも関係がある気がします。街の雰囲気も非常に落ち着いており、自然に仕事に集中できました。
その後縁あって日本に戻って来、いつかまた訪れたいと思っていたスコットランドに学会発表に行く事になりました。グラスゴーは西側、アバディーンは東側と相違がありますが、発表がアクセプトされた時から非常に楽しみにしています。実験もきっちり仕上げ、しっかり準備して臨みます。
スポーツ健康科学部1回生の授業に「基礎演習」があります。前期は大学での学びをスムーズに導入していける様、様々な企画が立てられています。4/25(土)の新歓祭に始まり、平和ミュージアムの見学、朝食実習、MRIの見学、ディベート大会など盛り沢山な内容の授業です。
この授業を強力にサポートしてくれるのが2回生のオリター・アカデミックアドバイザーの学生さん達です。私がスポ健に着任して以来、非常に驚き感心した事の一つが彼らの姿勢です。1回生の皆さんのサポートをする、それを通してよりよい学部を作っていく事にも貢献する、という意識を皆が共有してくれているのだと思います。
私の担当するHクラスも3名のオリター・2名のアカデミックアドバイザーの学生さんがサポートしてくれています。1回生の学生さんとも打ち解けて、お陰様で楽しく進めて行けそうです。情報共有と進捗チェック、以降の計画立案のために毎週金曜日にミーティングを実施していますが、この写真はその時のものです。
頼りにしていますよ!