[ Sun ] の記事一覧

2015.04.26

アメリカ便り (28): Group Project

あっという間に四月も終盤となってきましたが、
皆様いかがお過ごしですか。

メリーランド州立大学カレッジパーク校では、
ソメイヨシノは散ってしまったのですが、
八重桜が満開で、見る目を楽しませてくれています。
(写真は、物理学科の建物です)



今回は、私が現在聴講している Cognitive Neuroscience で
実施しているグループプロジェクトについてお伝えしたいと思います。
私は、「MEG (Magnetoencephalography; 脳磁図) を用いて
トルコ語の母音を、英語母語話者がどのように認識するかを検証する」
というグループに所属しています。

MEG は、脳の中で神経活動が行われた際に起こる
電気信号によって発生する磁場を計測する機械です。
左の写真は、測定位置の基準の三次元マッピングをしているところ、
右の写真が、MEG での測定風景です。



MEG は、神経活動に伴う磁場を測定しますので、
神経活動による血中の酸素濃度を測定する fMRI
(functional magnetic resonance imaging; 機能的磁気共鳴画像法) よりも、
(1) 時間解像度が圧倒的に良い点 (MEG は、ms単位、fMRI は s単位) と
(2) fMRIのように大きな音が出ないので、音を用いる実験がしやすいので、
心理言語学や神経言語学の研究では、非常に多く用いられるようになってきました。

ただMEG の問題点は、
(1) fMRI よりも空間解像度が低い (fMRI は、mm単位、MEG はcm 単位) という点と、
(2) 測定に必要な液体ヘリウムの年間の維持コストがかかるために、
(高価な液体ヘリウムを毎週!補充する必要があります、fMRI だと通常年に1回)
何より実験できる場所が限られているという事です。

正確には数えたことがないのですが、fMRI は、
スポ健も含めて日本で100機以上稼働していると思いますが、
MEG は、全世界でも50台ほどしかないと思います。
その内 7割程度がアメリカにあります。
そのためアメリカでは、MEG を用いた研究がかなり盛んに行われており、
メリーランド州立大学カレッジパーク校でも、
MEG による研究論文が、毎週のように発表されています。
(この辺のお金のかけ方は、アメリカは圧倒的に日本より凄いです。
できれば今後も何とかMEG を用いた研究を継続していきたいです・・・)

現在データの解析に苦戦している所ですので、
どんな結果が出るか全く分からないのですが、
優秀な学生達に混ざって (笑)
必死に解析したいと思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#28>>
大学の正門を入って道路を突き当たった所に、
大学のシンボルマークの "M" を花文字で描いている場所があります。
そこで学生達が、"HONK IF YOU'RE HAPPY" (幸せなら、警笛を鳴らして) と
プラカードを持っていました。こちらの人はノリが良いので、
ひっきりなしにそばを通ると鳴らしていました。


2015.04.19

アメリカ便り (27): National Cherry Blossom Festival

関西では、桜も散り始めているようですが、
皆様、いかがお過ごしですか。

メリーランド州立大学カレッジパーク校でも、先週桜が満開になりました。
4/12 まで、ワシントン D.C. (メリーランド州の一部です) では、
National Cherry Blossom Festival が開催されていました。
http://www.nationalcherryblossomfestival.org/

また日本人コミュニティの Sakura Matsuri も開催されました。
http://www.jaswdc.org/page-1451993

ワシントン D.C. には、1912年に日本から送られた
約3000本の桜がジェファーソン記念館がある
ポトマック川のほとりにある Tidal Basin の周りを彩っています。
写真の左が、ジェファーソン記念館、右側が、ワシントンモニュメントです。



この桜祭りは、全米でも有数のお祭りで、大変な人で賑わっていました。
ただこちらのお花見は日本と比べてとても静かです。
以前もこのブログで触れましたが、アメリカでは、
野外でお酒を飲むことが禁止されている場合が多く、
ワシントン D.C. も例外ではありません。
また、場所取りのような醜い争いも、マナーとして
許されませんので、桜を愛でるという意味では
日本の春よりも、ふさわしい雰囲気があります。

皆さんも、春にワシントン D.C. を訪れる機会がありましたら、
ぜひ桜を愛でていって下さい。
日本に負けず劣らず美しい桜を楽しめると思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を
敦史

<<街でよく見かける英語表現#27>>
National Cherry Blossom Festival の HP に
D.C. の桜の由来が書かれています。
http://www.nationalcherryblossomfestival.org/about/history/

今週の表現は、その中からの一節です。
"The gift and annual celebration honor the lasting friendship
between the United States and Japan and
the continued close relationship between the two countries."
「桜の贈り物と毎年お祝いすることで、アメリカ合衆国と日本の
絶え間ない友情と両国間に続く親密な関係を称えるものである」

2015.04.12

アメリカ便り (26): Talk

日本では桜前線がかなり北上してきているようですね。
こちらでは今週ようやく桜が咲き始めました。



メリーランド州立大学の言語学科の HP ( http://ling.umd.edu/ ) には、
院生が発表するものから、専門家が発表するものまで、
毎週、様々なトークが紹介されています。
数が多すぎて全部は紹介できないので、今回は、
David Poeppel 教授のトークについて紹介したいと思います。

David Poeppel 教授は、MEG (Magnetoencephalography; 脳磁図) を
用いた言語研究の第一人者です。
教授の研究室の HP を見ると、数々の論文が並んでいます。
http://psych.nyu.edu/clash/poeppellab/david-poeppel/

2009年までは、メリーランド州立大学の言語学科&生物学科の
教授だったのですが、現在は、New York University (NYU) の所属です。
(言語学科と生物学科の教授を兼任するなんて、日本ではありえないと
思われるかもしれませんが、こちらでは分野の異なる複数の学科の教授を
兼任することはよくあります。)

今回のトークは、「言語には、本当に言語特有の構造があるのか?」が
テーマでした。「言葉は、人間とそれ以外の種を分ける特徴である」
or 「言葉は、人間しかもたない」という
主張がこれまでなされ、当然のことだと思われてきましたが、
「本当にそうなのか?」と現在、言語学では問題になっています。

今回のトークで、人間の脳の側頭葉 (Temporal cortex) の
一次聴覚野は、あらゆる音に反応するものの、
その近くの Superior Temporal Sulcus は、
言語特有のピッチやストレスに対してのみ
感受性が高いという結果が報告されていました。
この事から、「言語には、言語特有の構造がある」という
主張がなされていました。



今回のトークでは、教授が書かれた論文に寄せられた
Reviewer (査読者) の様々なコメントを紹介しながら、
どのように査読者のコメントに対応して、
追加実験を行いながら、論文を出版したかも紹介してくださったので、
大変面白く、参考になりました。
やはり業績の出せる教授は、交渉力が違うことを実感しました。

アメリカの大学では、トークに呼んで欲しい先生を
院生に対して募集する制度があるので、
院生が自分が会いたい or 話を聞きたい
それぞれの分野で著名な教授を呼んで、
直接話をしたりすることが出来ます。
もちろんどんな人を呼ぶかで、学生にも
一定の見識が求められますので、
とても良い制度だと思います。
ぜひスポ健でも取り入れて行けたらと思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を。

<<街でよく見かける英語表現#26>>
ふだん言語学科の建物に行く際に、外を歩くと寒いので、
工学部の建物の中を通っていくのですが、
その際に、"Find Your Niche!" (自分の居場所を見つけよ)
という標語が廊下に貼られていました。
新入生の皆さんも、スポ健で、
自分なりの居場所を見つけてくださいね。

2015.04.05

アメリカ便り (25): Congratulations!

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
保護者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。

私は、スポーツ健康科学部で英語を担当している敦です。
現在、メリーランド州立大学カレッジパーク校で
在外研究に出ており、皆さんにお会いすることが出来ません。
そのため今回のブログを通じて、新入生にメッセージを送りたいと思います。

皆さんは、晴れて大学生になられたわけですが、
この四年間を通じて、「疑う」精神を身につけてもらいたいと思っています。
スポーツ健康科学部の「科学」には色々な意味が含まれていると思いますが、
その一つが「疑う」精神だと私は考えています。
大学受験までは、「正しいとされる」ことを覚えることが重要でしたが、
「科学」をするためには、これまでの「正しいとされている」ことを
「疑う」ことが重要になってきます。
「教員が言っているから・・・」と頭から信じるのではなく、
「本当にそうなのか??」と「疑い」ながら、
ひとつひとつの事実を確認し学んでいって下さい。
真理の追究に年齢や立場は関係ありません。

また在学中に出来るだけ多くの学生に「留学」してもらいたいと考えています。
先日、留学者数が増加に転じたという記事が掲載されましたが、
アメリカへの留学者数は相変わらず減っているようです。
http://www.asahi.com/articles/ASH3B65XZH3BUTIL04H.html

確かに「お金」もかかりますし、「語学力」も必要ですし、
驚くほど「課題」もあって勉強に追われますが、
それでも留学しなければ、体験できないような貴重な経験を積むことが出来ます。
長期の留学の方が当然得るものも大きいと思いますが、
短期でも良いですし、「海外に行くのはちょっと・・・」というのであれば、
立命館アジア太平洋大学 (APU) でも、似たような体験が出来ると思いますので、
ぜひ積極的に「留学」することを考え、そのための準備を今から積んでいって下さい。

また帰国後に皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
それでは、また。失礼いたします。
明日からの英語授業頑張ってください。

<<街でよく見かける英語表現#25>>
本日は、Easter (イースター; 復活祭) です。
イースターは、「春分の後の最初の満月の次の日曜日」と定められています。
この日は、十字架にかけられて死んだイエス・キリストが
三日目に復活したことを記念・記憶する、キリスト教において重要な祭日です。
お店では、イースターを祝うお菓子が沢山売られています。
中でもポピュラーなのが、「イースターエッグ」と呼ばれる卵形のお菓子です。
(一番上に金のウサギが写っていますが、院生に聞くと
アメリカでは、ウサギが、イースターエッグをもたらすと
考えられているからだそうです。)
"Happy Easter!!"