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2018.09.08

ジェロントロジー×スポーツ

研究の相談があり、恩師を尋ねてきました。
この研究室は、ジェロントロジー(=加齢発達学)に基づき、
成人、中高年を対象としたマスターズスポーツの研究とプロモーションによって
理論と実践を体系化を進めている研究室です。

私が研究生として在籍していた一年間に、
ラグビー元日本代表のK選手がラグビー競技を対象に
マスターズ競技への可能性を研究していました。
彼が日本代表時代、私もラグビー関係の仕事に携わっており、
大学の研究室で再会することにお互い驚きました。
現在K選手は、ある大学で、K先生、そしてK監督になっています。

この研究室は、マスターズ甲子園の大会事務局でもあります。
金足農業高校の活躍に沸いた全国高等学校野球選手権大会(甲子園大会)は
今夏、100回大会を迎えました。
2007年に出版された「ジェロントロジースポーツ」によると、
全国には約200万人の元高校球児がいて、
毎年約5万人が甲子園の土を踏むことが無いそうです。
仮に、甲子園に出場しても、ベンチ入りできる人数は限られていますから、
甲子園大会でプレイできるの高校生は、毎年わずかな人数ということになるでしょう。
高校時代に追いかけた憧れを手にするための舞台を創り出し、
人、地域、社会、未来を育て発展させるのが、マスターズ甲子園です。





私も何回かマスターズ甲子園の大会中に足を運んでいますが、
最初は驚きの連続でした。
試合に加え、開会式、プラカード、吹奏楽と甲子園大会の再現率は高く、
元高校球児が、家族という大切な人とグラウンドで
キャッチボールができるプログラムも用意されています。




甲子園の舞台で、マスターズの世代を輝かせるのは、現役学生の力です。
マスターズ甲子園は、数多くの学生ボランティアの力で運営されています。
興味のある方は、マスターズ甲子園のホームページをご覧ください。
マスターズ甲子園ホームページ http://www.masterskoshien.com/





写真はマスターズ甲子園のパンフレットとポスター、そして大学からの景色
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

#今年のマスターズ甲子園は11月10日、11日
#学生ボランティアの延べ人数は1万人
#最近は元プロ野球選手も参加し始めています。

2018.09.01

GAICS基調講演

前回のブログでご紹介したように、
先週は、国際学会GlobalAcademic-Industrial Cooperation Society(GAICS)が
東京で開催されていました。
GAICSは、教育系、ビジネス系、エンジニア系、
フィットネス・エクササイズ系の国際学会のほかに
私が国際委員を務める
International Conference on Hospitality,Tourism,and Sports Management(HTSM)が名を連ね、
これら5つの学会が一度に開催される学会大会です。
そのため参加者はアジア諸国を中心に300人近くになります。
今回の学会大会は、準備期間から、
GAICSの理事会の複数のご依頼に適宜対応させていただいたことで、
学会大会のパンフレットをはじめ会場のあちらこちらに
立命館大学のロゴを掲載してくださいました。



私へのご依頼の一つは、基調講演の登壇者のご相談でした。
GAICSは前述したように複数の領域をカバーする学会です。
ですので、各領域の研究者が興味がある必要があり、
さらに、今回、GAICSの理事会は、
AI、ビッグデータなど、複数のキーワードに対応できる
日本のトップ企業の方を招きたいいうご意向をお持ちでした。

そこで、楽天株式会社の執行役員で
グロールバデータ統括部のディレクターである
北川拓也博士(Dr.Kitagawa)にご登壇をいただくことになりました。

Dr.Kitagawaは灘高校から、現役でハーバード大学に進学、
同大学院で理論物理学の博士号を取得されました。
その後、27歳で楽天株式会社の最年少の執行役員に就任され、
複数のメディアにも取り上げられていらっしゃいます。
そして国際誌にアクセプトされた論文は20本近くと
顕著な実績を持つ研究者でもいらっしゃいます。
Dr.Kitagawaのアカデミックキャリはもちろんのこと、
非常にわかりやすく、また親しみやすい発表スタイルに
聴講者の皆さんは魅了されていました。
紹介者として私までが数多くのお褒めの言葉を頂戴した次第です。





もともとDr.Kitagawaと面識があったのではなく、
ご紹介くださったのは、楽天野球団のKさんと、
楽天株式会社から楽天野球団とVissel神戸に出向されているSさん、
現場で輝く二人の女性です。
HTSMの学会長からGAICSの基調講演の相談を受けた時には、
正直困った、と思いました。
そこで、いつも親しくしていただいている楽天野球団のKさんにご相談し、
Sさんとともに私を助けてくださいました。

スポーツの現場は、勝敗、天候など、
予期できない様々な要因に左右されますので、
日々の業務は不規則な上に、スピードや判断力が求められます。
そのような中でも、お二人はいつもいつも迅速なだけでははなく、
直接的にも間接的にもとても心のこもった対応をしてくださいます。
今回もまったく通常の業務に関係ないにもかかわらず、
あっという間に素晴らしい状況を作ってくださいました。

国際学会を無事に終え、
現場で輝く二人の女性とDr.Kitagawa、
そして楽天野球団さんとお仕事ができた経験などなど
「スポーツ」が私の人生を豊かにしてくれていることに
改めて感謝の気持ちでいっぱいになる一週間でした。


写真は学会場とDr.Kitagawaの基調講演の様子
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

#学会参加者に"Ritsumeikan"の発音を何度も聞かれました
#口頭発表の他、座長も務めて参りました
#次の発表は11月
#仙台に行きくなってきた
#Vissel神戸の応援にも

2018.08.25

GAICS Half day tour

8月22日より、国際学会Global Academic-Industal Cooperation Sscociety (GAICS) が、
東京で開催されています。
スポーツマネジメント系の国際学会は、
学会初日や最終日にスタジアムツアーやゴルフなど、
ちょっとした観光が組まれている場合があります。
GAICSもHalf day tourが学会の初日に予定されていました。
私は不参加のつもりでいたのですが、学会の実行委員会から、
何か予期しないことが起こった時のためにtourに随行して欲しいとご依頼があり、
急遽参加してまいりました。

30人ほどのツアーで、ガイドもいらっしゃったので、
ただついていけばいいかなと思っていたのですが、
こういう時には、予期しない出来事が色々と発生するものですね。
2つの場所に訪問する予定であったHalf day tourですが
一つ目の訪問地である東京・武蔵野ブルワリーの
予約時間が学会スケジュールでは、11時となっていましたが、
旅行代理店が10時に予約してしまっていたらしく、
出発後すぐに見学でいないことがわかりました。
しかしながら、お昼ご飯は武蔵野で予約しているとのことで、
とりあえず高速に乗ったものの、高速もひどい渋滞で、
結局、武蔵野行きはキャンセルになりました。

そうすると今度は変わりの場所を見つけなくてはならないわけです。
今から予約が不要で、外国人の方に喜ばれる場所、
そして2つ目の訪問地から遠くない場所を検討した結果、
明治神宮に訪れることになりました。
私もいつも前を通るだけで参拝したことがなかったので、
初めて参拝できると喜んだのもつかの間。
学会参加者が参拝をしている間に、お昼ご飯の準備、次の訪問地の調整等で奔走していました。


幸い、午後からはスケジュール通りに事が進み、
無事に2つ目の訪問先である
一般財団法人 高度技術社会推進協会が運営するTEPIAを訪問できました。T
TEPIAは秩父宮ラグビー場と神宮球場にあり、小さくて通り過ぎてしまいそうですが、
無料で、涼しく、日本企業の最先端の技術を楽しく学べる施設です。

GAICSはスポーツだけではなく、IT関連の学会も含まれているので、
参加者は興味津々で見学されてました。
スポーツとは直接関係のない施設ですが、
たまたま中高生のロボットコンテストの結果が
報告されており、グラウンドに白線を引くロボットが
グランプリに輝いていました。




そのほか、人の鬱の治療に使われるロボットや
自動的に脈拍、ストレスなどなどを測定するテクノロジーなど
最先端の体験可能な技術が紹介されていました。

Half day tour のお手伝いは、気ぜわしかったですが、
青山、神宮界隈に戻ってくると「我が本拠地」という感じでホッとするとともに、
参加者の方々に秩父宮ラグビー場や神宮球場を説明している自分に気づきました。



写真は明治神宮とTEPIA
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。
#学会参加者は320人
#なんだかんだとトラブル続き
#対応している大学院生の語学力とマネジメント力が素晴らしい
#来週は学会の様子をご紹介します

2018.08.18

釜石鵜住居復興スタジアム

岩手県釜石市鵜住居町(うのすまいちょう)に新しいスタジアムが竣工しました。
明日、8月19日に竣工式とメモリアルマッチが行われます。
岩手県釜石市鵜住居町は、2011年3月11日の東日本大震災で深い傷を負った地域です。
復興の一つとして、2019年のワールドカップの開催地として手を挙げ、
2017年に第9回ラグビーワールドカップの試合会場として選ばれました。

ワールドカップの試合会場は、
世界のラグビーを統括するワールドラグビーによって、
スタジアムの収容人数が設定されています。
開幕戦、決勝、準決勝、3位決定戦は60,000人以上、
順々決勝は35,000人以上、
日本戦、またはティア1と呼ばれる世界でトップクラスの10ヵ国同士の試合は、40,000人以上
日本戦、または、ティア1とティア2と呼ばれるティア1に入らない13か国との試合は、20,000人以上
ティア2同士の試合は、15,000人以上のキャパシティが必要です。

ラグビーに関わらず、メガスポーツイベントで新設された施設は、
「負のレガシー」や「ホワイトエレファント(無用の産物)」として研究対象になっています。
2010FIFAサッカーW杯(南アフリカ)を対象にした研究では、
スタジアムの場所や都市の特徴が異なるにもかかわらず、
W杯のために建設された2つの54,000人以上を収容するスタジアムが、
W杯以降の通常の試合で10,000人も埋まらないという事例が報告されています(Bason et al., 2015)。

釜石鵜住居復興スタジアムは2018年7月末に完成し、
開催地に立候補した時も、試合会場として選ばれた時もまだスタジアムはありませんでした。
ましてやこの地域は、東日本大震災で、人命を含め、甚大な被害が被害があった地域です。
スタジアムのオフィシャルホームページによると
スタジアムの建設やワールドカップどころではないという声も上がったようです。

「それでも、希望を建てるんだ」(スタジアムオフィシャルホームページ)

釜石鵜住居復興スタジアの常設座席数は、6,000席程度で、
ワールドカップ時には、10,000席が仮設の座席が設けられます。

関係者の方々の知恵、熱意、エネルギー、多くのものが注がれ続け、
東北の新しい希望として輝くスタジアムが明日産声をあげます。


写真はスタジアムオフィシャルホームページよりhttps://kamaishi-stadium.jp/


#杮落しは釜石シーウェイブRFC vs.ヤマハ発動機ジュビロ
#レジェンドマッチは新日鐵釜石OB vs.神戸製鋼OB
#冠スポンサーはリポビタンD
#Beyond 2019
#お祝いに行けなくて残念

2018.08.11

アジアスポーツマネジメント学会 in Manila

8月2日から4日まで、アジアスポーツマネジメント学会(AASM)が開催されました。
今回のホスト国はフィリピンで、マニラのDELA SALLE UNIVERSITYが会場となり、
アジア諸国を中心に世界から27大学が参加しました。
AASMは日本からの参加者が多い学会の一つです。
今回は、極めて多く、日本スポーツマネジメント学会の原田宗彦会長がシンポジウムにご登壇された他、
院生含めると日本からは20人ほどの参加者になりました。


特筆すべきは、基調講演でご登壇された、
スポーツマネジメントの父と呼ばれるDr.Chelladuraiです。
なんと今年で91歳!
カナダからおひとりで移動されてきたことも驚きでしたが、
現在もなおSkypeのようなシステムを使い、授業やゼミを通じて、
博士課程の学生の指導もされ、
基調講演も最新のデータをパワーポイントに落とし込み発表されていました。
Dr.Chelladuraiは、私が博士課程で所属していた研究室、
早稲田大学の松岡教授の指導教員だったこともあり、
なんだか祖父に会ったような、それでいて神々しく、お会い出来て大変光栄でした。

私自身は、AASMに初参加でした。
そして、修士課程以来の「立命館大学」で口頭発表をしてきました。
APUの影響だとは思いますが、タイランドや台湾他、他国の研究者から
「Ritsumeikanは、私たちの国で有名です。スポーツマネジメントの学部もあるのですね」
という趣旨のお言葉をいくつかいただきました。
久しぶりに一人で関西空港からの移動になりましたが、
AASMの理事や継続的に参加されている国内の先生方、
そして所属していた研究室の院生に大変よくしていただきました。
発表の際も、冒頭少しスピードが速かったのか、
共同研究者に名を連ねる院生が「ゆっくり」というジェスチャーを遠くから送ってくれたおかげで、
落ち着いて発表することができました。


学会中、日本は“2020 Olympic and Paralympic Host”と紹介されました。
研究者たちの日本におけるスポーツマネジメントへの関心も高まっています。
そして、この度、順天堂大学の小笠原悦子教授が、
アジアスポーツマネジメント学会の会長に選出されました。
同時に2019年度のアジアスポーツマネジメントのホスト国は日本で、
8月7日から9日に順天堂大学(本郷・お茶の水キャンパス)にて開催されることがアナウンスされました。

AASMは、各大学の修士課程の学生の発表も非常に多く見られる国際学会です。
今回参加した修士課程1年生の院生たちは、
来年度、日本で開催されるAASMで発表をするという目標ができたようです。
是非スポーツ健康科学研究科の皆さんもご一緒に参加、そして発表しましょう。

写真はDELA SALLE UNIVERSITY
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

AASMについてはこちらから http://asiansportmanagement.com/

#発表はスポ健ポロシャツで
#室内が寒すぎる
#マニラのほうが南草津より涼しい
#今年の発表はあと2つ
#終わってすぐに次のプレゼン準備

2018.08.04

スーパーラグビーサンウルブズ Super Rugby SUNWOLVES

7月14(金)、国際リーグのスーパーリーグ(SR)に参戦する
サンウルブズの3シーズン目が終了しました。
関西圏で試合がないため、
SRやサンウルブズを初めて聞くという方もいらっしゃるかもしれません。
私は、初年度とその翌年、観戦者調査をお任せいただいたこともあり、
大変思い入れの強いチームの一つです。


サンウルブズは、日本初のプロラグビーチームです。
日本ラグビーの競技力向上と、ラグビーの人気を底上げするという役割を担いながら、
2016年シーズンより、SANZAARが運営するSRに参戦しています。
サンウルブズを運営する一般社団法人ジャパンエスアール(JSR)は東京にありますが、
ホームスタジアムは東京秩父宮スタジアムとシンガポールナショナルスタジアムになります。

サンウルブズの成績は、
2016年シーズンが1勝13敗1引き分け
2017年シーズンが2勝13敗
2018年シーズンが3勝12敗

この数字をどのように見るでしょうか。
弱い?
毎年1勝ずつ増えている?
大健闘?

2018年シーズンのSRの参加クラブ(チーム)数は15クラブで、
南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、
アルゼンチンのクラブチームが名を連ねています。
2015年のラグビーワールドカップの準決勝は、
上記4か国の代表チームが残ったことからも、
如何にSRがハイレベルな試合を展開しているか
少しご理解いただけるかと思います。
SRの運営組織であるSANZZARは、South Africa、New Zealand、Austra、
そしてArgentinaの頭文字に由来するものです。
ですので、スポーツをマネジメントする視点からは、
「勝敗」よりも、これら4か国が所属する国際リーグに
ラグビー大国ではない日本が参戦していることがまず大変な快挙、として捉えています。

サンウルブズがSRに参戦した初年度、
2016年シーズンのスローガンは
「BREAK THE LINE(壁をぶち破れ)」 でした。
立命館大学の「Beyond Borders」と響きあうところもあり
とても身近に、そして日本のラグビー界にイノベーションをもたらそうとする強い信念を感じました。

我が国のトップスポーツの発展は企業によって支えられてきました。
企業スポーツと聞くと「選手」や「チーム」だけを思い浮かべるかもしれません。
しかしながら、大会のスポンサーはもとより、指導者、レフェリー、
テレビ解説者、関連競技団体の役員の所属先を考えると、
競技スポーツの発展において
国内最高峰レベルを支え続けてきた企業の貢献度がいかに大きく重要であることがわかります。
その一方で、学術的にも実践的にも
企業スポーツによるスポーツ振興の限界とプロ化の必要性がたびたび議論されてきたのも事実です。

サンウルブズのSRの参戦は、我が国におけるトップスポーツの在り方の概念を超え、
企業スポーツと共存しながら、世界レベルのチームを常設するという
国内のトップスポーツに新しい枠組みと価値の創造をするものです。

国内でのサンウルブズの公式戦は、秩父宮に限られていますが、
是非機会があれば、スタジアムで観戦してみてください。
これまでのラグビーの試合からは考えらないたくさんの演出がみられます。
また、2019RWCを契機として、日本における海外の有名選手の認知度や人気の上昇し、
それに伴い、サンウルブズやSRのメディア露出度が高まることにも期待しています。


2019年のその先に向けて、SRに参戦するサンウルブズの役割は大きく、
スポーツマネジメントに携わる私たちは、
競技力+α(アルファ)で「BREAK THE LINE」に挑み続けるJSRの挑戦から学ぶことも多いことでしょう。

すでに2月から始まる2019年シーズンのスケジュールも出ています。
SUNWOLVESについての詳細はこちらから https://sunwolves.or.jp/


撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

#Hiromi Goもやってきた
#DJ Kooもやってきた
#グッズもとってもユニーク
#Beyond 2019
#BREAK my LINE, Beyond my Borders

2018.07.28

スポーツ指導者研修会

先日、公益財団法人日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格を更新するため
公益財団法人京都府体育協会主催の義務研修会に受講者として参加してきました。

日本スポーツ協会の指導者資格を保有者を対象にしていますので
参加者の大半は、日ごろから何らかの競技に携わる指導者になります。

私は「ジュニアスポーツ指導員」の資格保有者なのですが
これまで競技の指導経験は皆無で、
それどころか、そもそも身体能力には全く自信がありません。

では、なぜ資格を取ったのか。
それはある競技に起きた重傷事故に携わったことがきっかけです。
その事故は、スポーツに関わっている私に、
様々な問いかけをもたらしました。
無力だなとも思いました。
当時は大学院で学ぶことも全く発想になく、
スポーツ健康科学部のような学部も少なかったと思います。
しかしながら、スポーツに関わるものとして、
何か学ぶことを始めてみようと思い、行き着いたところが
ジュニアスポーツ指導員の資格でした。

ジュニアスポーツ指導員の資格取得は、
ハードルが高いものではありません。
しかしながら、それまでスポーツ科学の知識が皆無であった私にとって
大学院への進学後、資格取得で得た知識は、少なからず役に立ちました。
また、重傷事故に携わっていなかったなら、
文理融合への拘りもそれほど強くなかったかもしれません。

今では、ジュニアスポーツ指導員のテキストを参考に授業を構成したり、
マネジメントの視点から資格取得に必要な授業を担当する機会にも恵まれています。
そのような立場で参加する研修会はこれまでと違う気づきもありました。
今回京都で受講した研究会は、「アンガーマネジメント」と
「PEP TALK(本番前に使う激励のショートスピーチ)」をご専門にされた先生方の講義でした。
スポーツの指導者以外の立場でも大変役に立つ興味深いお話で、
各2時間の講義があっという間に過ぎました。

2007年に資格を取得してから、はや10年。
この間、スポーツに関わってきていましたが、
その関わり方は毎年毎年新しいことと変化の連続です。
資格の有効期限は今日の更新後、4年間で、次の資格更新のためには
資格有効期限の6か月前までに新たに研修を受ける必要があります。
今年入学した1回生は社会人になっています。
その頃、私はどのようにスポーツに関わっているのでしょうか。

日本スポーツ協会の指導者資格はジュニアスポーツ指導員のほか、
様々なカテゴリー、レベルがあります。
詳しくは日本スポーツ協会のホームページにてご確認ください。
http://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid202.html


撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。



#PEP Talkの好事例は立命館大学のパンサーズ
#特別協賛は大塚製薬株式会社
#冷えたポカリスエットをいただきました
#初めて京都で受講
#帰り道で迷子になり、京都タワーの写真を撮る

2018.07.21

フィギュアスケートの観戦者行動を考える

先週、東伏見での研究の打ち合わせの後に、
プリンスアイスワールド2018の観戦に行きました。
今年で40周年を迎える歴史の長いアイスショーです。


スポーツ観戦者行動の研究は、スポーツマーケティング領域で
もっとも関心が高い分野の一つです。
ただ、その中心は、欧米のプロスポーツリーグ・チーム、
カレッジスポーツ、日本ではJリーグとなっており、
フィギュアスケートのような芸術的表現を伴う
「アーティスティックスポーツ」を対象にした観戦行動の研究は、
ネット型、ゴール型スポーツに比べると少ないです。

平昌オリンピックで、メディアが挙って
フィギュアスケートのファンを取り上げたことを皆さん覚えていらっしゃるでしょうか?

具体的な例として、以下のような記事です。
「羽生結弦の追っかけ費用は400万円以上、1日16時間見守る“スケオタマダム”」
 (2018/2/19 07:00 週刊朝日  https://dot.asahi.com/wa/2018021800027.html


今回観戦したプリンスアイスワールドのチケット価格は、
エキサイティングシート(オリジナルグッズ付き)
1列目¥22,000 /2・3列目¥20,000
SS席¥13,000 /S席 ¥10,000
A席 自由席¥7,000でした。
 
観客席に目を向けてみると、客層は日時の影響を受けるとはいえ、
ある一定の年齢層の女性が大半を占め、
値段の高い席は満席で、もっとも値段の安い自由席に空席が目立ちました。

日本では、フィギュアスケートはテレビでゴールデンタイムで放映され、
関心も高いように見えるのですが、実は一部の熱心なファンに支えらえ
ファンの属性(性別や年齢など)は偏っている可能性もあります。
個人的にはフィギアスケートのファン層は
宝塚歌劇団のファン層と似ているのでは?、とは思っていますが
あくまでも推測にすぎません。

なぜ、数百万円もかけて、これほど熱心に選手を見守りつづけるのでしょうか?

観戦者スポーツとしてのフィギュアスケートの発展を考える場合、
これらのファンの特性を把握する必要があるでしょう。
先に挙げた羽生選手の追っかけに関するメディアの記事は、
春学期に担当した2回生が受講する「調査方法論」で紹介し、
「多数ではないが、注目すべき個々人の理解」を目的とした
「定性的な調査(個人に対するインタビュー調査)が必要な事例」
として取り上げました。

フィギュアスケートの観戦者からデータを収集している研究は、
井上ら(2016)が質問紙(アンケート用紙)を用いて定量的
(数字による統計的な)分析をしている研究他、極めて数が限られています。
観戦者からデータが収集しにくいことが障壁になっているのかもしれません。
また、研究者自身に競技経験がない、
周りに愛好者も含め、競技者がいないことから、
フィギュアスケートが身近なものではないのかもしれません。
その背景には、減りゆくスケートリンク、
という問題も絡んでいるようにも思います。

写真はダイドードリンコアイスアリーナ
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。


#ショーの撮影は禁止
#「ダイドードリンコ」は施設命名権
#AAさんのHちゃんはフィギュアスケート部
#練習には岡山まで

2018.07.14

ボルシア・ドルトムント & シグナル・イドルナ・パルク2

先週に引き続き、ブンデスリーガに所属する
ボルシア・ドルトムント(ドルトムント)の本拠地、
ジグナル・イドゥナ・パルクについて記します。
今週は特にスタジアムの内部にある施設についてです。


施設に関しては、スタンドを含め、
総じて、とても質素だったという印象を持っています。
ドルトムントを訪問する2年前、
スペインリーグのレアルマドリッドの本拠地、
サンティアゴベルナベウに訪問した際も同じく、
スタジアムのスタンドは、大変質素であり、
また老朽化しているような感想を持ちました。

ここ数年、日本のプロリーグをはじめとするトップスポーツチームでは、
スタジアムにおけるサービスクオリティ(サービスの質)の向上が
研究でも実践面でも指摘されています。
プロスポーツチームが消費者に提供する核となる商品は「試合」です。
しかしながら、「試合」の勝敗はコントロールができないため、
観戦者は勝てば「満足」、負ければ「
不満足」を得ることになります。
たとえ応援しているチームが勝ったとしても、「試合の内容が良くなかった」、
「好きな選手が出場しなかった」、
という場合には満足は低くなります。
スタジアムで得る満足度が高くなれば、
再観戦の意図が高まるため(Matsuoka et al.,2003)、
試合内容に左右されず、再観戦を促すよう、スポーツチームは、
スタジアムで得られる満足度を高めようとするのです。
ですので、スタジアム観戦におけるサービスクオリティの向上とは、
スタジアムに滞在する時間の中で、
座席、スタッフの態度、お手洗い、飲食などの
観戦者が経験しうるサービスの向上によって、
観戦者に満足を提供することにあります。

ヨーロッパのサッカークラブには、
スタジアムにおける「サービス」といった概念がないのか、
スタンドの美しさ、快適さ、清潔さは日本のスタジアムが格段に上です。
その必要がないのか、そのあたりはわからないのですが、
少なくとも勝っても負けても「試合」を提供することが
満員のスタジアムと強く結びついているように感じました。


一般の私たちが立ち入り可能なエリアは限られているのかもしれませんが、
選手たちが使う施設もまた質素でした。
国内のプロスポーツチームの施設と比較すると、
世界最高峰のクラブの施設は、
世界最高峰の仕様ではなかったという印象です。


下の写真は、ピッチに最も近いロッカールームです。
各選手の写真が貼ってありました。


日本のスタジアムでは考えられないユニークな設備が以下の写真です。
男女別に2つも用意されていました。
一試合にどれだけの人数が利用することを強いられるのでしょうか?
うなだれているのは、一緒にスタジアム見学に行った院生です。


スポーツマーケティング領域では、
「ファン」が様々なレベルに分類されています((Hunt et al.,1999).。
フーリガンと呼ばれるファンはヨーロッパ独特のものですが、
上記の写真のように牢屋が必要なぐらい感情的になったり、
暴れたりする人たちがいると思うと、
観戦するのが怖くなりますね。
実際、欧米の方で「スポーツが嫌い」とおっしゃる方には、
このようなファンたちに非常に否定的なイメージを持っているようです。

試合後に選手がインタビューを受けている場所もクラブカラーで統一されています。
写真の場所は香川選手がいつもインタビューを受けている場所らしいです。
NHKと貼ってあったので、納得ですね。
そして、ここの階段がピッチに続いています。
ここも決して新しい設備ではないですが、
試合への集中と士気が高まる仕掛けはされていました。


最後に、ドルトムントのスタジアム名、「シグナル・イドルナ・パルク」ですが、
「シグナル・イドルナ」はドイツの大手保険会社名です。
いわゆる施設命名権です。
スタジアムにはドルトムントのスポンサー企業のロゴが掲載されていました。
日本と異なり、通常チームそのものに企業の存在を感じないためか、
スポンサー企業のイメージは強く印象に残りました。

ドルトムント スタジアムツアー
https://event.bvb.de/Stadiontour/Alle-Touren/BVB-Tour-adrenalinverstaerkt

写真はシグナル・イドルナ・パルク
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

#スタジアムツアーは誰でも参加可能
#スポーツマネジメントを学んでいけば、楽しさは倍増
#芝は最高に美しかったです
#国内のスタジアムについてはまたいつか

2018.07.07

ボルシア・ドルトムント&シグナル・イドルナ・パルク1

みなさん、FIFA(サッカー)ワールドカップをご覧になっていますか?
日本が決勝リーグに残り一気に話題性が高まりました。
スポーツビジネスでは「勝敗に関わらないマネジメントの必要性」が謳われる一方で、
一時的とはいえ、「勝利」が爆発的な話題性と人気をもたらすというのも事実です。
その一方で、「敗戦」はその国に大きな落胆をもたらします。
今回のワールドカップの大きなニュースの一つとして、
グループリーグでドイツが予選リーグで敗退したことは挙げられるでしょう。
これは、サッカー大国ドイツではどれほどのビックニュースになっているのでしょうか。
そしてお世話になっているケルン体育大学の先生方はどれほど落胆されていることか、
と少々気の毒な気持ちでいました。
その流れで、ケルン体育大学に訪問した2016年夏、
足を延ばして訪れた、ボルシア・ドルトムント(ドルトムント)の本拠地、
ジグナル・イドゥナ・パルクを思い出しました。

長くなりそうですので、今週と来週で「クラブとスタジアムの概要」
「スタジアム内部の施設」に分けて記したいと思います。

クラブとスタジアムの概要です。
ドルトムントは、1909年に創設された
ドイツ、ブンデスリーガの一部リーグに所属するサッカークラブです。
2010年シーズンからは、香川真司選手がこのドルトムントで活躍されています。
シグナル・イドルナ・パルクは、収容人数が約81,000人(ゴール裏25,000人の立見含む)です。
甲子園球場の収容人数が約47,000人、2018年現在、
サッカースタジアムとしては国内最多の収容人数の日産スタジアムが約72,000人ですので、
シグナル・イドルナ・パルクがいかに大規模なスタジアムであるかお分かり頂けるでしょうか。
シグナル・イドルナ・パルクは、FIFAワールドカップの試合会場としても使用されていますが、
通常のブンデスリーガの試合であっても、熱狂的なファンで満席になります。

アウェイチームのサポーターに「座席」は与えられず、
(最初の写真の左側の)限られたゴール裏の立見からしか応援できません。
安全面からなのか、座席など与えないという意思が強いのか、
アウェイチームの応援立見場所は、鉄の囲いで囲まれています(2つ目の写真)。
日本では、プロスポーツのチケットであっても、
ホームのチケットを完売させるにも一苦労の場合があります。
プロスポーツが日本では、考えられないことですね。


スタンドの座席にも表れているように、ドルトムントのイメージカラーが黒と黄色、
そしてマスコットは、黄色と黒を基調とした蜂の「エマ」です。
スタジアムに併設されるショップを観てもチームカラーやロゴ、
マスコットキャラクターが統一されています。
どちらに正解があるかはわかりませんが、
ここ数年日本のプロスポーツチームでは「○○シリーズ」と銘打って
、様々なユニフォームで試合が開催されます。
その時々でグッズとしてのユニフォームは売れるのでしょうが、
経年的に続けた結果、最近では異なるデザインのホームのユニフォームを着たファンがいるため、
統一感のない応援スタンドが見受けられます。


スポーツマーケティングの分野では、
1990年代ごろから一つのリーグや一つのチーム・クラブを
一つの「ブランド」として研究が進められています。
ドルトムントのようにチームマネジメントが有能なクラブは、
チームのブランドマネジメントにおいて、
チームカラーやマスコットの展開がブレていないように思います。


今回このブログを書くに当たって、
ドルトムントのオフィシャルホームページを訪れたところ
もちろんホームページもイメージカラーで統一されているのですが、
ドルトムントの日本語のホームページがあることに驚きました。
ヨーロッパの海外チームがアジアマーケットを視野に入れていることは既知の事実ですが、
独、英、日、仏、中に並んで、日本語のホームページが用意されています。
香川選手の影響もあるのでしょうか。
そういえば、
海外の研究者と春先にサッカークラブの国際化について話をしたことを思い出しました。
クラブの国際化に「選手」の影響をも少なからずあるようです。
Jリーガーのグのクラブも、大変有名な海外の選手たちがプレイするようになりました。
Jクラブの国際化も近い将来あるのかもしれません。

ドルトムントの日本語ホームページhttp://www.bvb.jp/


写真はシグナル・イドルナ・パルク
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください。

#つづく
#試合観戦にはいつもご縁がない
#スタジアム訪問時、香川選手は日本で代表戦