65歳以上人口が総人口に対して23%を超える「超高齢社会」の日本。今後さらに高齢化は進んで行くと予想される。高齢者が多いと、兎角「沈滞した社会」が連想される。確かに、有病率や受療率も上がり、保健医療負担も増大する。体力や身体機能から言っても低下は免れない。一方で、日常生活能力の高い高齢者も多いし、地道なトレーニングで持久的能力や筋力まで維持・増大させている高齢者も多い。高齢者を取り巻く、種々の課題はあるが、何と言っても世界最高水準の「健康度」を持つ、世界の人々が羨む国だということは間違いない。
確かに、TVニュースにあったように、「この一年間に、5歳未満で死亡した子どもの数が660万人と、1990年との比較では半減した。当面、5歳未満死亡の数値を8人に1人まで下げたい」といった世界レベルの話は、日本の水準とは全く懸け離れたものだ。こうした問題は、専ら「国際保健」領域で扱われるものではあるが、こうした部分でこそ日本の「国際貢献」が求められている。日本のような「健康づくり」の水準が、どのようにして達成されたのか? その成果を諸外国にどのように適用できるのか? 等々を考え実行に移すことで、「健康度」における発展途上国の健康づくりへの寄与は大変大きい。
ところで、国連食料農業機関(FAO)が9月11日に発表した報告書によると、世界で生産された食料の3分の1が食べられることなく廃棄されているという。廃棄分は年13億トン、金額にして約7500億ドル(約75兆円)に上るという。注目されるのは、最悪の廃棄地域が日中韓を含む「産業化されたアジア」で、1人当たり年平均100㎏以上の野菜、コメを中心とする約80㎏の穀類が廃棄されているという。確かに、身近でも思い当たる節がある。近隣のコンビニエンス・ストアでアルバイトしている学生に尋ねても、「賞味期限」を厳格に順守して、勿体ないほどの弁当やその他の食べ物が廃棄されるという。学校給食でも、その残滓は膨大な量だといわれる。「生きる上での原点」であり「健康づくりの重要原則」である「食の保障」があれば、年間660万人の5歳未満で亡くなる子どものどれ程が救われることか。
「敬老の日」を前に、こうした錯綜した思いが駆け巡ってしまった。 mm生