[ 2012年09月 ] の記事一覧

2012.09.10

スポーツ健康科学部教授会FD研修会

先週の金曜日は、丸一日かけて、スポーツ健康科学部の教職員によるFD研修会を行いました。ご存じのように、FDfaculty development)というと、教員の教育力を高めることにねらいがおかれますが、個別の教員の教育力を高めるだけでなく、学部全体の力量を高めるために、学部にとって大切な人材育成像(ディプロマポリシー)を共有するとともに、入試、カリキュラム、キャリア(進路)について具体的な実践内容、アイデアを議論しました。

 

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今回は、2020年までの社会情勢の動向を踏まえた本学の入学政策について、入学センターの松原さんに、データにもとづく情勢分析をもとに報告してもらいました。この報告にもとづく質疑応答、ならびにこの間の学部での取り組みについての情報共有の後に、グループワークによって種々のアイデアを議論してもらいました。

 

20120910-1.jpgまた、今回の大きなテーマは、学部と大学院(前期課程)のカリキュラム改革の議論です。これまでの到達点を確認しながら、入学した学生・院生がディプロマポリシーに掲げた人材として育つために、カリキュラムをどのようにつくり配置するのかの集中議論を行いました。学部・研究科の理念、人材育成像を十分い理解した教職員による深い議論ができました。

これ以外にも、『学部の魅力をさらに高めるために』というテーマでのグループワークも行いました。魅力一杯のスポーツ健康科学部ですが、これまでに行ってきた実践を連携させたり、整理し、具体的な表現で魅力を伝えられるようなテーマで、真剣かつ楽しいワークでした。

 

何よりも、このようなFD研修会を、丸一日かけてできることが立命館大学スポーツ健康科学部の強みであり、教職員の魅力を磨き上げることになるといえるでしょう。

 

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<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

9/9(日)から陸上の全日本インカレがはじまっています。9/12(木)まで国立競技場で行われています。立命館大学陸上競技部も頑張ってます。

【忠】

 

 

 

 

 

 

 

 

2012.09.09

集中講義

1周(93日(月)~8日(土))が終了、第2週(10日(月)~15日(土))は明日から始まります。これは、夏期集中講義のことです。カリキュラム上は後期科目としてカウントされ、学部学生や院生によっては、2週連続で受講するひともいます。他の諸資格夏期講座や研究室の実験・勉強会の行事、およびサークル・部活動等々に参加する学生・院生達で、昼食時に、BKCユニオン・カフェテリアやコンビニは結構にぎやかです。

 

集中講義は、カリキュラム運営上、遠い過去から採用されている開講方式の1つですが、通年(1科目、年間30回授業、4単位)を基本にしている時代では、そんなに多くのメニューがあるわけではありませんでした。通常カリキュラムに置かない(置きにくい)科目や、担当者(講義あるいは実習指導する先生)が一時期にしか確保することができない等々の都合で、このような形態をとる場合がほとんどでした。だから内容も時間配分、評価の方法などに渡っても、担当者任せのことが多かった感は否めません。

 

けれども現在では、セメスター(半年間、15回授業、2単位)を基本とするカリキュラム運営の下で、集中方式は新生しています。その存在理由も「通常カリキュラムに置かない、置けない、担当者を短期的にしか確保できない」という理由からだけではありません。「短期に集中して学ぶことに1つの意義がある」あるいは「各学部の通常の時間割に入れない、特別な内容と担当者の背景をもつ特殊講義等は、他の学部や学科・専攻に所属する人にとっても視野を広げる絶好のチャンスである」という多様な意義が再確認されるようになっている、と私は感じています。

それぞれの開講週の中に組み込んでいた「最終講義日試験」も「集中講義試験日」として後日に独立させ、短期に学習者を、予復習を含めた取り組みに集中させていく諸条件は、かなりの程度にまで整備されてきています。夏期集中科目を受講する学生の思いは様々でしょうが、通常考えていない「内容」に接近・接触する感覚を覚える、暫し没頭する思いをもって取り組んでいる、等々が学習者に芽生えれば、その意義の5割以上は達成されていると私は思います。

本学部に来てからは担当していませんが、以前は隔年で教養科目の集中講義を私は担当していました。主に経済・経営学部の夜間主の学生達が対象でした。『「身体運動動作がいかに上手く習熟するか、その過程を観察する方法・手順を考え、指導する内容・方法や環境づくりが彼らの上手くなっていく道筋や到達点へいかに影響を及ぼすか、つまり因果関係を考える」ことは、直接皆さんの役に立つことではありません。けれどもそこに含まれる「思考の枠組み・手順」にいかに価値をおいて、通常カリキュラムで学ぶ内容の1つかもしくは複数に関連付けて皆さんがものごとを考えることができるようになるか、これが私の最大の関心事です』と熱弁?したことを、今でも覚えています。

 

24時間、365日開講、BKC文理総合(融合)キャンパス、を標榜(?)するBKC各学部です。私はそうあって欲しいと思っています。現在でも学部学生にとっては1回生~3回生まで最大8科目16単位の受講機会に際して、自分自身の「智の再構築」を考える機会がある、とも考えられます。これは、それぞれの人に平等に振り分けられています。専門科目は勿論学部所属学生に寄与するカリキュラムを構成する単位です。けれども「学ぶ専門の水準が高まれば高まるほど、他の領域の専門内容が広く、深く求められる」と、現代的教養という語を理解すれば、次のように言うこともできると私は考えます。学部を越えた学びを学部生の人たちはもっと求めて欲しい。釈迦に説法で恐縮ですが、先生たちには、他の学部の学生も立命の貴重な「スポーツ健康科学」教育の対象者だと、再確認・再認識する機会にして欲しいと思います。

 

【善】

 

 

2012.09.08

高校生の訪問

私達スポーツ健康科学部では、オープンキャンパスの際にツアー形式での施設見学を実施しています。ただし、それ以外にも随時、国内外から様々な方が施設見学にいらっしゃいます。「スポーツ健康科学部の施設は最新で素晴らしい」という情報が広く伝わっていることもあり、私も親交のある他大学の先生から施設案内の依頼を受けることがあります。こういったこともあり、スポーツ健康科学部の教員や職員は、インテグレーションコア(事務室、実験室、大学院生の控室、教員の研究室のある建物)1Fから6Fまでのツアーガイドを手際良く行うことができます。


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さて、今日は、立命館守山高校の2年生約20名が施設見学に来てくれました。対応してくれたのは私の研究室の大学院生2名でしたが、上手に時間調整をしながら、スポーツパフォーマンス実習室や低酸素室などの施設を説明していました。また、参加した高校生は実際に一部の測定を経験したりと充実した企画になったようです。


そして、学生を引率していたのは、昨年度、大学院を修了されたK村先生です(大学院修了後に立命館守山高校に赴任されています)。インテグレーションコアで学んだ学生が卒業(修了)後に社会に出て活躍し、何かの際に学生以外の立場で戻って来てくれる・・・・これからこういった機会が増えそうで今から楽しみです。

GOTO


2012.09.07

忙中閑?あり

 日中の暑さはまだ続いていますが、"秋きぬと 眼にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる" の歌のように、通勤途中、車窓から見える稲刈り等の田園風景は確実に秋の気配を感じさせてくれます。

 秋と言えば収穫の秋ですが、これは決して果物や穀物だけでなく、人間にとっても通じるかも知れません。院生は秋の学会に備え、あるいは今月末の中間発表に備え、この暑い夏休みを実験や調査に打ち込んで来たようです。研究する(勉学に勤しむ)人間には、余暇などはないと思われるかも知れませんが、先日、写真のように実験準備が一段落したのと(誰かさんの)誕生日祝いを兼ねP9031573.JPGて、ショートケーキでお茶会をしました。

振り返ってみますと実験室には特別の思いを持っています。実験室は単なる作業部屋ではなく、人生に二度と来ない学生時代の様々な想い出が凝縮された場となり、将来の可能性を大きく広げてくれる場ともなります。少し大げさな言い方かも知れませんが、友人や恩師と共に悩み、工夫し、新たな展開へと進むことのできる創造の場となり、そこでの経験が今後の人生において心の支えと成ってくれることを望みます。(老ブロガー・ハル)

2012.09.06

筋血管の若返りに関する研究 その2

Hamaです。


 先週お話ししたように、体を動かさないと、筋肉や血管の働きが悪くなります。その低下の割合は、それぞれの働き(筋力や持久力)によって異なりますが。

では、低下した働きを元の状態に戻すには、どうすればいいでしょうか?その答えは、単純です。そう、体を動かす、筋肉を動かせばいいのです!!

 でも・・・どのくらいの量の運動をすればいいのでしょうか?

 先週お話しした3週の上肢のギプス固定で握力と持久力が低下しましたが、先ずは、持久力の低下を抑えるトレーニングを考えることにしました。

 
その前に・・・トレーニング(運動処方)の原則を、ご存知ですか?
それは、運動の種類運動の時間運動の強度運動の頻度運動の期間です。

 この場合、運動の種類は、手のグリップ運動、それも手の持久的なグリップです。運動強度は、様々ある中から、過去の論文を参考に握力の30%の力を、1秒に1回発揮し、疲労困憊になるまで行う方法を選びました。運動の頻度は、週に2回、期間はギプス固定している3週間です。


 このトレーニングを行った結果、本来なら低下してしまうグリップの持久力と
有酸素運動能力が、回復することを証明しました。

 筋肉の有酸素能力の測り方は、また次回に説明します。

参考論文
 Low-volume muscle endurance training prevents decrease in muscle oxidative and endurance function during 21-day forearm immobilization. T. Homma, T. Hamaoka, N. Murase, T. Osada, M. Murakami, Y. Kurosawa, A. Kitahara, S. Ichimura, K. Yashiro, T. Katsumura., Acta. Physiologica. 2009/12, 197/4, 313-320.

 

【今週の1shot!!

愛媛県松山市、朝のジョギングで見つけた「美」

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2012.09.05

生活と学問のつながり

こんにちは。
昨日久しぶりにお会いした先生方から
「随分(身体を)絞られたのですか?」と聞かれたma34です。

ダイエットを意識的にしたわけではなく、
日々の子育てで栄養をどんどん「絞られた」「搾取された」だけです。
もうすこしバランスよく、美しく絞りたいと思う今日この頃です。

さて。
毎週、ブログに書くネタを探しながら生きておりますが
今週は良い所にネタが転がっていました。

長男の宿題で出た算数の文章題が、
あまりにも現実ばなれしたものだったのでした。

例:「まさよさんは、昨日ケーキを22個食べました。
   今日もケーキを21個食べました。
   あわせて何個食べましたか。」

長男:「食べ過ぎやん!ふとるで!」

例2:「よしえさんは、十円玉を58個持っていました。
   今日買い物で、十円玉を22個使いました。
   十円玉は何個になりましたか。」

長男:「そんなに十円玉をレジで出したら、怒られるやろなー」

長男は一つ一つにそんな風にツッコミを入れながらも
普通に立式して答えを出していましたが、
(関西育ちだからか!?)
何もおかしいと思わずに、普通に計算して、普通に答えを出す子どもも
きっと多いと思います。

2008年に告示され、現在施行されている新しい学習指導要領では、
基礎的な学力の定着はもちろんのこと、
それが生活、現実的な文脈(基礎的な知識・能力が複雑に絡まっている)においても
基礎的な知識・能力が「活用」されるようになることを目指している(はず)です。

しかしながら、実態は・・・
宿題の文章題をみながら、これではいけないのにな・・・と
「ツッコミ」を入れている長男の方が、ちゃんとしているのではないかと
(少々親馬鹿も入っておりますが)
そんな風に感じておりました。

基礎的な力をつけることももちろん大切です。
野球などのスポーツで考えてみれば、「素振り」練習の大切さは皆さんご存知の通りですよね。
でも、それが「実践」を意識した素振りではなく、
単なる素振りの自動化だけでは、複雑な要素が絡まる「実践」では
結局太刀打ちできないのですよね。
だからこそ、たとえ基礎的な素振りの練習であっても、
「実践」を意識して練習をすることが求められるのではないでしょうか。

算数でも、理科でも英語でも、そうした基礎的な知識・能力というものだけがひとり歩きしがちです。
現実的な文脈とかけ離れていても、そのことすらも無自覚に
ただ公式を覚えて、小手先で使えるようになればよいという教え方、考え方が
依然としてあるのだろうな、と感じました。

教える方がそうしたことに自覚的になり、
子どもたちも現実生活と学問をつなげて考えられるような、
そんな教育のあり方を、常に考えていきたいと思います。

ma34.

2012.09.04

キャリアを考える(3)

さて、連続物も、私としては珍しく3回目。

我ながら、いつ完結するのでしょう??
ずっとキャリアを考えるシリーズが続いたりして(笑

それはさておき、前回「夢」を持つことまで話が進みました。

そこで、そこから話を始めましょう。
とは言っても、1週間おきに書いていると、どこまで書いたのか、
忘れがちになっているのですが。。。

さて、夢の次に大切なのは、
「自分を知ること」、です。

みんな自分のことは自分が一番知っている、と思うかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
自分と言うのは、どうやってみられているのでしょうか?





自分は、自己とも言いますが、
他者がいて、
初めて自己が生まれます。

要は、他の人がいなければ、
自分と言う存在をはっきりさせる必要がない、
ということです。

自己を認識する時に、

何ができる、
何ができない、
こんな性格だ、

ということを考えると思います。
これらは全て、他の人との違いによって理解されます。
つまり、比較対象をすることによって初めて、
自分の存在を認めることができる、ということです。

ただ、注意しなければならないのは、
自分の生きている空間によって、
この比較の質が変わることです。

周りにできる人が多ければ、自分はできない、ということになりますし、
逆にできない人が多ければ、自分はできる、ということとなっていきます。

そのため、井の中の蛙大海を知らず、にならないように、
自分を知るためにも多くの経験をする必要があります。

そして自分で自分を整理して、
人に自分のことを伝えられるようになること、
これが二番目に大切なことです。

長くなってきたので、次に続きますが、
次は、人に伝える、ということで話を進めていきたいと思います。

ではでは。

PS:スポ健ジャージ、あまり売れていません。。。

2012.09.03

『スポーツ健康コミュニティ』の展開力

大学はまだ授業が始まっていませんが、各種の打ち合わせ、会議は夏休み中もあります。そのうちの一つに、BKCの新体育施設に関わる会議がありました。その中の資料には、先日も紹介したように、建築都市デザイン学科の学生たちが、どの場所に、どのように施設を配置するか?というゾーニングの検討を行ったものでした。学生生目線で30のアイデアを出し、類型化、組み合わせを検討して絞り込み、さらに総合判断を出すために7つの評価項目(評価軸)を決めて評価、考察してくれました。言葉で書くと簡単なようですが、多くの学生が夏休み返上でこの作業に取り組んできました。もちろん、武田先生をはじめとする先生、スタッフのサポートのもとですが、キャンパスづくりへの熱い想いで作業をしてくれました。そのような大切な資料にもとづいて議論をさせてもらいました。

 

評価軸には、新体育施設ならびにスポーツゾーンのコンセプトが盛り込まれています。もちろん、これも学園全体のコンセプト、BKCキャンパスコンセプトにもとづいて充分議論したものです。その一つに、「スポーツ健康コミュニティ」というコンセプトが盛り込まれています。これはスポーツ、健康づくりを柱として、大学・地域・市民によるコミュニティを形成して、安心・安全なまちづくり、社会創生、スポーツ教育の機能強化、スポーツ振興と競技力向上、健康づくり・健康な街づくりへ展開していくことをイメージしています。この「スポーツ健康コミュニティ」というコンセプトの象徴となる『新体育館』設置へと進んでいくでしょう。評価軸に、『スポーツ健康コミュニティの展開力』というキーワードを盛り込んだ体育施設づくりは、全国でも例がないでしょう。

 

今回の会議には、関わってくれた学生たちも参加して、それぞれの想いを語ってくれました。その中の一人の学生の発言が核心を突いていました。「教職員の先生方がこんなにも真剣に学生のこと、キャンパスのことを考えてくれていることを嬉しく思います。是非、キャンパスイメージに合うような施設になりますよう願っています。」

 

私もそうなるように願っています。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

大塚先生によるインテグレーションコアとラルカディアの廊下を使った中学生のハードル実験がありました。103mの廊下は、実験に有効活用されています。

 

【忠】

 

2012.09.02

スポーツの政治的利用、スポーツの純粋性

 朝日新聞830日付け、社説余滴欄は、担当者稲垣氏の署名入りで、「五輪は政治の下僕じゃない」という短記事を掲載しました。すでに周知のように、ロンドン五輪サッカー男子3位決定戦、日本と韓国のライバル対決に際して、その日の韓国大統領の竹島(韓国名・独島)への上陸、試合後に勝利した韓国選手の一人が「同島の領有に関する政治的主張」が書かれた紙を掲げランしたことから、政治的対立の延長のようなとげとげしい印象だけが残ったようです。

けれども、現地で取材していて、それとは違う空気を感じていたことを、記者は本記事に書いています。「試合後、選手たちは歩み寄って健闘をたたえあい、最近までJリーグにいた韓国選手はかつてのチームメートとユニフォームを交換していた。双方のサポーターも拍手を送った。」そして、韓国サポーターの弁、「五輪の4強に韓国と日本が進んだこと自体、すばらしい」を紹介しています。

 韓国サッカー協会が五輪精神に照らして「二度とこういうことがないようにする」との文書を日本協会あてに送ったのが、韓国内で「謝罪文だ」と批判され、協会会長が国会で釈明することとなった経緯を、「残念というほかはない。」と結んでいます。

実際、「サッカーの本場」ヨーロッパのファンが認める、質の高いサッカーや個人のプレイ技術を、今大会中、両チームの選手は存分に発揮していました。五輪憲章もさることながら、サッカーファンが求める、本気での「サッカー対決」の結末とは、現地で感じるものが大切にされなければならないと、わたくしもつくづく感じます。

 

五輪競技大会や世界選手権で、自国の国旗を頭上に掲げ、満面に笑みを、全身に達成感を露わにして優勝者や準優勝者がウィニング・ランを行う姿は、今や当たり前の光景になっています。また、メダリストが表彰式後に家族、恩師、関係者などに駆け寄り、握手や抱擁とともに、獲得したメダルをその人達の首に掛けてあげる姿も、しばしば見かけました。これらは、日本人選手だけでなく世界各国共通の光景となっており、したがって「スポーツの現在」の典型的姿の1つだとも言えます。

 

 「絶対に負けられない」、「必ずや勝ちたい」、「様々に世話になった人達を思って戦いたい」、「国内の大会や代表選で落ちた他の選手の思いを背負って戦いたい」、これらは大会中にインタビューや記事を通して聞いた、選手たちの試合前、試合後の言葉です。

 ここには、スポーツの最高峰の試合に向けてのそれまでの準備の途方もない量と質、それとともに競争の激烈さが背後にあると想像されます。そしてそのことが、競技場やフィールド、コートで筋書きのない多くのドラマを生み出していることは明らかです。

 

 そのような思いで多くの人が注目すればするほど、今まさに「フィールドやコートの中で、競技や運動目的で対立・対戦」しているプレイヤー、チームメンバーの人たちとは異なったレベルで、「スポーツのもつチカラ」に熱い視線を送っている人たちがいます。

 直接的なファンやサポーターでなく、「間接的なファン」とも言える「政治とビジネス」がそれに当たると考えられます。もはや、「間接的」あるいは「サポート・バット・ノーコントロール」という素朴な時代ではなくなっています。

我が国の東北大震災後に、多くのスポーツ選手が悩んだことを語っていました。「こんなに大変な時期、ボールを投げたり蹴ったりすることを自分たちがやっていて、いいのだろうか?」と自問したことです。また、「頑張った良い試合を観てもらえること」「実際に現地でスポーツを通して直接ふれあうこと」がこれほど多くの人たちに受け入れられかつ励ましになっている様子について、新たな発見と自分たちの行っているスポーツの重要さを再認識したことでした。

 

 フィールドやコート周辺でサポーターとの交流を通して選手やコーチが感じていることをはるかに超えて、グローバルな時代においては、「政治」と「ビジネス」への利用価値の厳しい見定めがスポーツに対しても行われています。それをスポーツの内部関係者(特にプレイヤー)が「熟慮」「配慮」を欠いて一足飛びに「3つか4つの水準」を飛び越えて「自己アッピール」してしまうと、今回のような事件は容易に出現してしまうと、わたくしは仮定します。

 国を代表するから「負けられない、あるいは恥ずかしい試合は出来ない」と思い、勝利すれば「国旗をもって代表した国をアッピールし、様々な水準のサポートへの感謝を表す」、これらはスポーツ界として確立され、現在では、誰もが認めあう行為です。

 以前に書いたブログ内容とも関連しますが、スポーツの世界で「純粋で継承・発展させるもの」があるならば、政治やビジネスから「下僕」にされない方策が必要と思われます。多くの五輪代表選手が、自分の行っている競技が「もっと多くの人に注目され、スポンサーや公的な資金が多く獲得されれば」、普及と高度化(スポーツの発展の大きな2つの柱)につながることを訴えています。見方を逆にすれば、スポーツマンの教育という観点からは、スポーツの価値を伝えることができかつ安易に利用されない「知恵と工夫」に支えられた人材が、長期的視野から排出されることが大切になっている、と冒頭記事は述べようとしたのかも知れません。

 

【善】

 

 

2012.09.01

9月になりました

夏休みも半分を過ぎ、今日から9月です。授業のない夏休み期間は、学生にとっても教員にとっても授業期間中とは時間の過ごし方が大きく変わります。スポーツ健康科学部の学生の中でも、部活動で合宿三昧の人、インターンシップに行く人、アルバイトなどを集中的に行う人、旅行や帰省をする人・・・など様々です。ちなみに私自身の学生の頃を振り返ると、夏休みといっても普段とそれほど変化はなく、日々の練習と週4日のウエイトトレーニングの毎日でした。では、それ以外に何をやったかと言うと、残念ながらあまり何も浮かんできません。。。


1つのことに大学4年間必死に打ち込んだことは、自分の大きな財産になっています。ただ、もう少しプラスαで何か出来たんじゃないか・・・今になって考えることがあります。スポーツ健康科学部の皆さんにはまず何か1つのことを打ち込んで欲しい、そしてその上で、合間の時間を活用してもう1つ何かに挑戦して欲しいと常々思っています。授業開始までの残り約3週間、充実した時間を過ごしましょう。

GOTO