[ education ] の記事一覧

2019.03.04

これからの企業に求められる人材

先週、火曜日は、丸一日かけた、スポーツ健康科学部のFD研修会でした。
年に2回開催しています。教職員が全員集まり、学部、研究科の将来構想、課題整理、授業改善などのテーマで情報共有し議論を深めています。

今回は、キャリアのテーマでは、教育開発推進機構の
西山昭彦先生にお越し頂き、「企業が求める若手人材とその育成」について講演して頂き、キャリア教育ならびに、これからの学びそのものについて議論することができました。

   
 
 この間、売り手市場といわれていますが、従業員数が5千名を超える大企業では、それほど採用枠が増えておらず、厳選採用となっています。

 西山先生の理論によると、企業の業績を決める3要素は次の通りです
   企業の業績=ビジネスモデル × 組織体制 × 人材
 
 ビジネスモデル、組織体制の要も人材ですから、まさに人材なくしては企業の成績は上がりません。

 では、学生に求める人材像はどのようになっているのでしょうか?
 人材がもつアウトプット能力(パフォーマンス)= スキル × モチベーション × マッチング

 と考えられる。スキルは、勉強、体験して身につけるものであり、モチベーションは、いうまでもなく、仕事への向き合い方、仕事の価値がどこまで見えているかの理解につながります。マッチングは、適材適所での発揮能力です。

 このようなアウトプット能力を、学生時代に伸ばす方法、学びは何か、と考えると自立的な学びの中で、「達成感と成長実感」を持たせることであろう、との示唆を頂きました。いわゆるPBLだけでなく、社会とのつながり、実装場面の中で、困難な体験を通じて、学ばせることが一つの方法でしょう。

 また、採用された後、ビジネスパーソンとして成長を続けるには
  仕事(実行、分析)+学び(教育+勉強)+刺激(モデル的人物+異体験)

 が必要とのこと。仕事を実践するのみならず、常に学び続け、そして刺激となる人物との出会い、様々な体験が成長の後押しとなることをお話しいただきました。

 最後に、コッターから経営リーダーの4要素
 ・多様な体験
 ・人を動かす
 ・ミスへの対処
 ・ストレスマネジメント(若い世代には必要)
を説明してもらい、リーダーは、まず温かさを示して、信頼感から情報共有、協働を進めることが大事であることをお話ししていただいた。

西山先生は講演がすでに1000回を越える回数を実施されており、話の内容、話し方、聴衆の巻き込み方も大変勉強になりました。
 西山先生、ありがとうござました。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>> 
・スポーツビジネス産業展 に参加しました。テクノロジーだけでなく、この分野への企業の関心の高さを感じました。トップリーグ機構のパネルディスカッションでは、スポーツの魅力をどのように発信するのか、各リーグの取り組みを学びました。
・ボストンでのSports Analytics Conference に参加してきました。
 2、3年前に初めてスポーツアナリティックスカンファレンスに参加した時はe-スポーツが非常に盛んに取り上げられていた印象があります。今回はAIによるデータ活用したマーケティング、障害予防、番組放送作りなどが多く見られました。参加者はかなり増えており、この分野へ多くの企業、研究者、学生が関心を高めて、イノベーションを起こしてきています。この分野の発展が大いに期待されていることがわかります。
・今日、明日は、学園のスプリングセミナーで、将来に向けた議論を行います
【忠】 

2019.03.03

卒業生からの連絡

2018年度も残り1ヶ月弱となりました。この時期は年度の締めくくりの仕事が続くのに加え、春学期に向けての準備も徐々に始まります。

年度末となり、学部の卒業生や大学院の修了生から連絡をもらうことが増えています。スポーツ健康科学部は2010年4月から始まり、学部卒業後に就職をした1期生は社会に出て約5年を迎えます。社会人として奮闘する中での成長を伝えてくれることもありますし、転職などの報告をしてくれることもあります。

先日は学部3期生のAoiさんから連絡がありました。彼女は学部卒業後に大学院(スポーツ健康科学研究科)に進学し、現在はランニングシューズなどを販売する株式会社ニューバランス ジャパンで勤務をしています。学部時は体育会女子ラクロス部に所属し、連日早朝から練習に取り組んでいました。毎週1限(9時開始)のゼミに早朝練習後の汗だくの状態で教室に来ていた姿が懐かしく思い出されます(笑)。 写真は大学院で行った研究の際に撮影したものです。

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現在の仕事は、外資系の企業ということもあり、日々の業務でのメールも英語でのやり取りが多いということです。大学院では国際学会でのプレゼンテーションや英語での論文執筆にも取り組んでいましたが、さすがに入社当初は環境の変化に苦労したはずです。けれども入社後約1年が経過し、地に足をつけてしっかりと頑張ってる様子がよくわかりました。また、仕事の中でプレゼンテーションを行うことも多いようですが、大学院で幾度となく行ってきた様々なプレゼンテーションやスライド作成の経験が活かされているということでした。

私は、学部や大学院ではスポーツ科学(トレーニング科学)に関わる専門性の高い内容を講義や研究活動を通して指導していますが、多くの場合、これらが就職後の業務に直結するわけではありません。一方で、学生には、分野を問わずに役に立つ社会人基礎力や自分の武器を在学中に身につけて欲しいと願っています。「自分の考えをアウトプットするプレゼンテーションの能力」「数値データなど客観的な資料に基づきチームでディスカッションを行い、方向性や結論を導き出す能力」「短時間で計画書や報告書を作成する能力」「複数人のチームで進めるプロジェクトにおいて、情報やデータを共有・管理する能力」これらは就職する分野に関わらず重要となるスキルでしょう。特に、大学院での研究活動ではそのノウハウを徹底的に指導するのですが、Aoiさんからの連絡で現在の仕事にも役に立っていることを聞いて安堵しました。

他にも卒業生・修了生の活躍に関わる嬉しい報告はありますが、また別の機会に。。。

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2019.02.24

韓国との学術交流

2/19(火)-21(木)にかけて、「2019International Conference on Sports Science」が韓国で開催され、私の研究室の大学院生(10名)、Hassy先生の研究室の大学院生(3名)・学部生(4名)+Hassy先生が合同で参加をしました。この学会は、韓国にある建国大学との学術交流をきっかけに2017年に始まったものです。大学院生を中心に発表を行い、未発表のデータに加え研究構想も含めて発表を行える点が特徴であり、ディスカッションを行うことで双方の大学院生の研究を進展させることをねらいとしています。今回も参加したすべての大学院生が一人あたり15分間の発表(10分間のプレゼンテーション、5分間の質疑応答)を英語で行いました。

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この学会、博士課程後期課程3回生(D3)、博士課程前期課程2回生(M2)の大学院生にとっては学生として行う最後のプレゼンテーションの機会でした。入学後の長い歩みを思い出しながら、実力を十分に発揮をしてプレゼンテーションをしてくれました。また、国際学会における英語でのプレゼンショーンを初めて行う大学院生も数名いましたが、事前にできる限りの準備を行ったこともあり、合格点の内容のプレゼンテーションであったと聞いています。

今の大学院生(特に本学の大学院生)には、国際学会での研究発表、研究室間での学術交流、海外からの研究者の訪問など、「世界」に触れる機会が多数準備されています。また、本学では国際学会の参加に伴う渡航費の補助などの支援体制がきわめて充実しています。この環境を最大限に活用し、博士課程前期課程のうちから国際的な研究活動に挑戦する大学院生の積極的な姿は教員としても嬉しい限りです。

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2019.02.18

立命館慶祥中学・高等学校 訪問

2月6日、7日と立命館慶祥中学・高等学校を訪問してきました。立命館慶祥中高への訪問は毎回楽しみにしていますが、今回は、北海道らしい冷え込みに遭遇しました。特に、2日目の2月7日は、82年ぶりに最高気温がマイナス11度。まさに記録的な冷え込みでした。そんな中でも、気持ちの良い、明るく元気な生徒の皆さんに出会えました。
  

初日のスポーツ健康科学部の学部紹介には、中学3年生から、高校2年生までの約90名が参加してくれて、質問も多数してくれて、スポーツ健康科学部の魅力を十分に伝えられたと感じています。今回、立命館慶祥中高の訪問をFBにて紹介したところ、2期生で立命館慶祥出身の竹内くんが、会いに来てくれて、竹内君からも学部の良さをメッセージしてくれました。そのメッセージを聞いたときに、卒業生の成長も感じ、さらに嬉しい気持ちになりました。

 

2日目は、昼休みの時間に、教職員の皆さんと懇親会をさせてもらい、学校での取り組み、これからのアイデアなどを聞かせていただきました。その後、来年度スポーツ健康科学部入学予定の高校3年生との懇談をさせてもらいました。写真は3名ですが、もう1名は現在、留学中で卒業式前に帰国のようです。いずれにしても面談した3名は、それぞれにしっかりとしたキャリアイメージをもって、スポーツ健康科学部に進学してくれることが分かり、今から非常に楽しみです。立命館慶祥、ならびにスポーツ健康科学部の卒業生で、職員の加藤君も、別件用務で来校しており、新入生懇親会に参加してくれ助けてくれました。

 

新入生懇談会の後、模擬講義を約90名の前でお話しさせてもらいました。楽しい時間を共有させて頂きました。多くの生徒さんに、スポーツ健康科学を理解してもらい、関心を持ってもらいました。

進学してきてくれるのを楽しみにしています。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>> 
北海道2日目の夜は、立命館慶祥中高の保健体育の先生方と懇談させてもらいました。課外クラブ活動の新しいカタチについても議論させてもらいました。こちらは引き続き議論を深めていくことになりそうです。
【忠】 

2019.02.17

研究成果を現場に活かす取り組み

研究室では年間を通して様々な実験(研究)を行っていますが、それとは別に本学の運動部所属のアスリートに対する科学的サポートにも取り組んでいます。特に、インテグレーションコア3Fには低酸素室が設置されていますので、この施設を利用した「低酸素トレーニング」を積極的に導入しています。低酸素トレーニングというと以前はマラソン選手など持久性スポーツ種目の選手に対してのみ使用されてきたのですが、研究を通して、球技種目の選手など10秒以内のパワー発揮を短時間の休息を挟んで繰り返す「間欠的なパワー発揮能力」の改善に有効であることが明らかになりました。さらに、低酸素トレーニングの恩恵とは縁がないと考えられていた陸上競技の短距離種目の選手を対象にした研究においても、通常環境で行うトレーニングと比較して効果の大きいことが認められています。

これらはすべて実験室での研究を通して明らかにしてきたことですが、私達の最終目標は研究から得られた成果を実際のトレーニング現場に還元し、選手の強化に活かすことです。このような点から、1月中旬から約4週間にわたり、女子陸上部短距離種目の選手数名が低酸素トレーニングを継続してきました。室内の酸素濃度を減らした常圧・低酸素環境内で、専用の自転車エルゴメータを用いた数秒〜60秒程度の高強度でのペダリング運動を複数回繰り返すという大変厳しい内容です。低酸素環境では通常酸素環境と比較して筋肉内でのグリコーゲンの利用が亢進することから、乳酸の産生が増加します。また酸素摂取量は低下しますので、「少ない酸素で大きなパワー発揮を繰り返す」ことが求められ、このことが筋肉や呼吸循環系に対し強いトレーニング刺激をもたらします。トレーニング期間の前後では、数種類のパフォーマンステストを実施し、低酸素トレーニングの効果が十分に得られているかを徹底的に検証します。先日、トレーニング期間後のパフォーマンステスト(ポストテスト)を行い、予定していたすべてのスケジュールを終えました。

毎回のトレーニングには大学院生が立ち会い、マンツーマン体制でサポートをします。普段、大学院生の研究活動は実験、論文執筆や学会発表などが中心です。一方で、スポーツ科学(トレーニング科学)は応用分野ですので、研究を通して得た最新の知見をスポーツ現場に活かして欲しいというのが私の考え方です。そのため、2010年の学部開設時から今回のような科学的サポートに取り組んでいます。

幸いにも、低酸素トレーニングの導入を含む科学的サポートの依頼を学生側から受けることも増えてきました。しかし、すべて対応できるわけではありませんので、依頼を引き受けるかどうかは慎重に判断をしています。その際の判断基準としては2つあります。まずⅠつ目は、選手が本気であるかどうかという点です。2つ目は、その選手が所属するチームと密に連携が取れるかどうかという点です。所属する運動部で強化に尽力されているスタッフ(監督、コーチ、トレーナー、マネージャーなど)と意思疎通が図れるか、事前に議論ができるか・・・これはきわめて重要な点となります。選手を個人的にサポートするのではなく、「チーム」と「研究室」という組織同士での連携ができるか否か、この点を見極めています。こちらにも責任がありますので、安易に引き受けることは決してありません。

今回、嬉しいことがありました。トレーニング期間後のパフォーマンステスト終了後、サポートを担当してきた3名の大学院生に対して選手から感謝の気持ちを示す色紙などのプレゼントがあったようです。選手達に「サポートをしてもらって当然」という思いはなく、感謝の気持ちをもってトレーニングに参加してくれていたことがよく理解できます。「強くなりたいという選手」と「自分達の専門性を活かして選手強化に貢献したい若手研究者(の卵)」が大学という組織の中で上手く融合し、互いに成長していることが感じられました。

ちなみに、今回の科学的サポートを主導したNobukazuくんは、4月からは国立スポーツ科学センター(JISS)において研究員として勤務する予定です。科学的サポートの対象を、本学所属の選手からオリンピックを目指すトップレベルの選手にまで広げ、まずは2020年に迫った東京オリンピックに向けての選手強化に存分に力を発揮してくれることを願っています。
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2019.02.12

修士論文公聴会

2月11日(祝)は、毎年の恒例になった修士論文の公聴会の日です。
1月下旬に口頭試問が終わり、ホッとしたのも束の間でしょう。
毎晩遅く、毎朝早くから大学院生の部屋には明かりがついていました。

私もこの時期は、毎晩翌朝の天気が気になり落ち着きません。
雪や凍結の可能性が高いこの時期、片道80キロを走って出勤する私には天気が味方してくれるかどうかとても気になります。バスと電車を乗り継げば、3時間半の道のりが車では1時間半。始発に乗っても、間に合うかどうかギリギリの時間なので、本当に心が休まりません。
今朝の冷え込みは厳しかったものの、私の定刻早朝4時半に自宅を出発。無事6時に到着しました。

8時半、大友研究科長のご挨拶から公聴会が始まりました。
発表する大学院生10名の顔は、ホッとした様子半分、緊張半分といったところでしょうか。
一人12分の発表に続き、7分の質疑応答。発表が始まると緊張感も徐々に姿を消すようです。

発表を聞いていつも思うことがあります。
大学院1年生の時の構想発表会、あるいは、合同ゼミでの発表と比較した時の、彼らのプレゼン力の成長ぶりに感心します。同じ分野ならまだしも、まったく異なる分野の教員や学生に研究内容をたった12分で伝える。これにはかなりの力が要求されます。背景・研究の枠組み・目的・方法・結果、これらが相手にわかるように伝える能力が、こんなにも高くなるのかと驚くばかりです。彼らのプレゼン力の高さがなければ、私などにはさっぱり理解できない内容が多く、やはり感心させられるばかりです。

質疑応答にもしっかりと答え、堂々とした姿がそこにありました。
それぞれの研究内容をしっかりと理解しているからこそ、どんな質問にも対応できるのだと思います。
彼らの自信に満ちた、そして楽し気な姿は、研究の原点であり、刺激を受けるいい時間です。

修了後、博士後期課程に進学する人、就職する人、それぞれ進む道は異なりますが、2年間切磋琢磨してきた同輩たちとの出会いをこれからも大切にしていってほしいと思います。

写真は、一番緊張感が伝わってきたU君です。
(Akiko)2019-02-12

2019.02.11

「超合理的思考法」

ネットニュースなどをみていて、ハッとしたり、考えさせらり、有用な情報に出会うことがあります。
また、各個人でそのように感じたことをネットで拡散してくれる方も多いので、考えさせられる記事に出会う頻度も高くなっているように感じます。

今回お知らせするニュースもそのうちの一つです
文春オンラインから、
鳥取一の進学校・米子東をセンバツに導いた
「超合理的思考法」とは
http://bunshun.jp/articles/-/10511?page=1

部員16名の公立校が甲子園出場をなぜ成し遂げたのか、についてインタビューも含めて解説しています。詳しい内容は、直接読んでもらえればと思います。私もこの情報にであったので、担当するゼミ生に、転送しましたところ、4回生のゼミ長から下記の感想をもらいました。本人の許可をもらっていますので転載します。

      ----感想 米子東高校の記事を読んで----
 監督がチームのメンバーと共に向かう方向、またその方法が明確に頭の中にあることを感じた。監督が率先して、チームに課している課題に取り組んでいると感じた。その課題の具体例として、以下の3つを明確にしていることが挙げられると思う。

1.時間の有限さ
2.学校教育の目的
3.目標達成で得られる何かと達成までの筋道

1.時間の有限さ
「10円はすぐ拾うのに10分はすぐ無駄にする」という言葉が響いた。これは、2年間、ゼミ担当の先生が時間をとても大切に扱うのを間近で見てきて、より深く実感出きた。時間だけは、万人に平等である。その時間の使い道を思考し、実際にどう使うか、これから社会で多くの人と関わる際に、「その人らしさ」がでる1つの指標であると思う。自分の時間だけでなく、相手の時間も尊重できる人間になりたい。

2.学校教育の目的
監督が、学校の目的を「学力を身につけること」と明確に定義し、部活動をその教育や勉強の一つと考えていることがとても新鮮だった。僕はアルバイトで塾講師をしているが、「先生が何でも教えてくれると思っていて、全く自分で考えない子」がとても多い。これから先、自分で問題を探せる人、探した問題点の解決策や社会に役立つアイデアを生める人の価値が高まると思う。今のままでは、学校の価値もどんどん低下すると思う。今までの学校生活を経て、先生からただ情報を伝達する講義型の授業ではなく、学校のブランドや認知力を活かし実際の社会と関わり合える授業や活動を提供できる学校がとても魅力的に感じる。そのような学校に将来、自分や自分の子どもを入学させたいと感じる。記事の先生のように、先生の役割は「生徒にブレーキをかけること」になれば、子どもや社会は凄まじい速度で成長していくと思う。

3.目標達成で得られる何かと達成までの筋道
期日や場所を込みで、目標を達成している自分のイメージ、また、目標を達成したい理由まで考えるような指導を受けられる生徒が羨ましいと思った。目標を立てる際、このような視点を見逃してしまい、目標を立てただけで満足することも多い。これから、目標を立てる際、その奥に潜む自分の理想像や動機まで深堀りすることを自分に課す。ゼミで立てた今年の目標にこれ等の視点を加え、年末に「目標達成できた」と堂々と言えるようにする。
      ----感想 米子東高校の記事を読んで----

 この感想を読んで感じるのは、情報を得て、咀嚼して整理して、自分なりに考え、文章に表現できる力をつけてくれたこと。加えて、今後の大学のあり方についての示唆も与えてくれていることです。学部でしっかり学んでくれたことを感じるとともに、今後の大学教育についても意見をもらえたことが嬉しくブログに転載させてもらいました。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>> 
本日は、修士論文の公聴会です。修士論文としてまとめあげた研究の成果を、広く、多くの人に伝える機会です。修士院生の成長をみる楽しい舞台です。
【忠】 

2019.02.10

年度末に向けて

2〜3月は授業のない期間です。この期間は4回生は卒業旅行をしたり、4月からの新しい環境での生活に向けての準備を行います。1〜3回生は実家に帰省をしたり、課外活動やアルバイトに力を注ぐなど様々な過ごし方をしています。さて、教員は何をしているかと言うと、後期の成績をつける、次年度の授業の準備、学会などによる出張など・・・こちらも様々です。私に関しては、3月末までは多くの時間を研究に費やしています。研究実施に関わる研究費は年度単位の会計となることが多く、この時期は年度末に向けての追い込みとなり複数の研究が同時に進行しています。

そのような中、先日、低酸素実験室では学部3回生のKurumiさんが大学院生のサポートを受けながら実験を行っていました。人工気象室(温度、湿度、酸素濃度などを変えることのできる特殊な実験室です)を用いて、暑熱環境での運動に伴う筋肉での代謝の様子を調べています。学部生にとってはすべてが初めての経験ですが、大学院の先輩と共にチームを構成し計画的にプロジェクトを進行する過程で、連絡・報告・情報の共有の方法など、実践的な力を身につけていきます(これらは社会に出て仕事をする上で必要となる基礎力です)。

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私の研究室では、今年度末に大学院生以上のメンバーの半数以上が就職のため所属が変わるという転機を迎えます(私はこれを2019年度問題と呼んでいます)。2019年度問題に向けての対策も必要なのですが、現時点では今年度末で大学を離れるメンバーを中心に、日々、研究を進めています。これから新たに始動するプロジェクトも複数ありますので、3月末までの1ヶ月半が最後の追い込みとなります。

GOTO

2019.02.05

難解な日本語人称

みなさんは、自身の固有の名前(固有名詞)以外に自分を指す代名詞があることに気づき、その用法を身につけていったかを説明できますか?たぶん、多くの人が「自然に」と答えるのではないでしょうか。そうなんですよね。自然にというよりは、誰もきちんとは説明できないと言った方が正しいんですよね。

幼いころ、周囲にいる人たちは、「Aくん」と呼びます。呼ばれたAくんは、自分がAくんであると認識します。こどもはまず、自分の存在と固有名詞(自分の名前)の関係を獲得します。この固有名詞は、自分がそこにいてもいなくても、どんな相手であっても、絶対的に揺らぎません。そこから、一人称代名詞の獲得は簡単ではないのですが、わたしたちは漠然と身につけていきます。周囲の大人が「わたし」「ぼく」などのことばを使う環境の中、絶対な「誰」ではなく、誰の名前の代わりもしうる一人称代名詞に触れます。徐々に、一人称代名詞が自分自身の名前の代わりをすること、それはまた他の人も同じように用いることばであることに気づいていきます。

漠然と一人称代名詞を身につけた後、二人称代名詞が浮上します。「Aくん」と呼ばれていたものが「あなた」「きみ」などと呼ばれるようになります。あるいは、「わたし」「ぼく」と言っていた大人が「あなた」「きみ」と呼ばれていることに気づきます。いったい何が起こっているのだろうか?と子どもはパニックにならないのか、今考えるととても不思議です。

こうやって、主体である「Aくん」は、「Aくんは〇〇が食べたい」から「ぼくは〇〇が食べたい」と変化し、客体である「Aくん」は、「Aくん、△△ほしい?」から「あなたは、△△ほしい?」と訊かれるようになり、絶対的な「Aくん」が、「ぼく」でもあり、「あなた」でもあると認識していきます。

ただし、日本語の人称は難解。いろいろな意味で難解なのですが、人称が省略されるという意味でとても難しいと思います。上の例でいうと、実際は、Aくんが「あなたは、△△ほしい?」と訊かれることはなく、「△△ほしい?」とだけ訊かれるでしょう。多くの言語では、人称が省略されることはほとんどありません。

また、日本語の文化では、親は子どもに話しかけるとき「パパ(お父さん)はね」「ママ(お母さん)はね」と言うことが多いですよね。親が子どもに二人称代名詞を使うことが少ないため、子どもも、成長してからも「とうさん」「かあさん」「とうちゃん」「かあちゃん」と使う人が多いと言われています。両親に対して「あなた」と言う人はあんまりいませんよね。

こうやって、ことばで書くと簡単なようだが、なかなか高度なことをわたしたちはやっているんですよね。
人称の獲得やことばの獲得、あるいは、どうやって場の空気を読めるようになるのか、などなど、わたしたちが「なんとなく」としか説明できないことがほとんどで、ひとの発達については、ほとんどが未解明です。みなさんは、どうやってことばの獲得を説明しますか?

2019.02.04

ライスボールセミナー in 立命館高校@長岡京キャンパス

みなさん、ライスボールセミナーをご存じでしょうか?
https://www.facebook.com/riceballseminar/

BKC、衣笠、OICの各キャンパスで、昼休みの時間を利用して、研究者である大学の先生、若手の研究者が、最先端の研究トピックスを紹介するセミナーです。既に10年以上は続いています。
お昼休みなので、「ライスボール」の名のとおり、おにぎりを食べながらのセミナーです。参加者は、おにぎり、コロッケ(会場によって違うかも)を頬張りながら、頭の方も最先端の研究に触れられ、刺激を受けることが出来ます。

実は、このライスボールセミナーのネーミングをしたのは、小生です。これがスタートしたきっかけは、スポーツ健康科学部ができるまえ、理工学部に所属している折に、研究部のスタッフと話しをしていて、教員同士、ならびに研究部のスタッフが、教員の研究をあまり知らない、というところからスタートしました。であれば、お互いの研究を知るとともに、そこからシナジーが生まれるのでは?ということではじまりました。

ライスボール(おにぎり)は、主食であるお米と中の具でできています。どんな具材を選ぶのか、そしてそれを包むご飯の炊き加減、塩加減、握り加減によって、おにぎりの味は決まります。つまり、研究者同士の組み合わせ、掛け合わせの工夫によって、より美味しいおにぎりになる、という発想でネーミングしました。

いまは、発表者がキャンパスをクロスして、普段とは違うところでも発表してもらっています。まさに、異分野融合、連携をねらったものです。よりグローバル、ダイバーシティに富んだ、味わいになっています。

 [aikoa]20190204

さらには、
「長岡京キャンパス通信 No.299」 第1回 RICEBALL SEMINARを 開催しました!
で報告(写真)されているように、 
「スポーツ科学を通して社会に貢献する研究者を目指して」のテーマで、
小島千尋さん(立命館大学スポーツ健康科学研究科 博士後期課程3回生)が、長岡京市にある立命館高等学校で発表してくれました。こちらは、異世代の伝承にもつながっています。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>> 
昨日は節分。今日は立春。いよいよ春です。
大学入試はまだ続きますが、それぞれの春を受験生が手にされることを願っています。【忠】