[ international ] の記事一覧

2018.03.28

日西のはる

3月も末になりました。荷物とともに無事に日本に辿りついて、一瞬ほっとしましたが、周りの空気に流されて動きつつあります。帰国した日は数時間の睡眠で大学に出かけ、その日の夜は10時間以上も寝てしまって慌てて大学や日常生活の手続きを進めるなど、生活リズムが掴めずにいます。なんとなく(今まで以上に)もたもたしています。

[スペイン]も、春(初夏)らしく気温も安定してきた頃です。出発前の最後2日間は、大学やマチの知り合いの人たちに挨拶をしてきましたが、本当に、いろいろな方にお世話になったなぁと思います。「また戻って来る?いつ?」という声かけはとても嬉しく、バレンシアで過ごせたことにとても感謝しました。


(上:大学近くの街路樹/下:レジデンス近くで。もうすぐイースター)


(いつも一緒だった携帯とカメラ:どちらも擦り切れましたが、機嫌よく過ごしてくれました:感謝!)

でもやはり[日本]人だと思ったのも、この出発のときでした。名残惜しい気持ちもいっぱいでしたが、日本に戻って来ることもまた楽しみでした。そんな日本も、厳しかった(と聞いている)今年の冬の寒さを越えて、すでに春らしい風景です。スペインとは違う太陽の日差しで、この感じもいいもんだなぁと思いながら、引き続きマチのなかを歩いて移動しています。


(椿と桜は同じときに咲くんでしたっけ!?/下:大学・クイーンスを背景に桜)

この気持ちが続くような過ごし方をしたいという望みとともに、新学期、新しい学生たち、新しい気持ちでまた大学にやって来る在学生たちを迎えたいと思います。みなさんは、新しい季節、何を思って過ごされますか?よき時間でありますように…☆

【表紙の写真】バレンシア3月のビーチ。火祭り期間中、化学の先生ご夫婦が連れて行ってくださいました。

ippo


2018.03.21

春呼ぶ火

Las Fallas(火祭り)が春を越えて初夏を招いてくれそう!と思った日もありましたが、最終日19日は冬のような寒さに戻ったバレンシアです。

(左側に黄色のクレーン車がいるの、見えますか?数日かけての大がかりな設置です)

さて、この祭り、かなり昔から続く行事です(なぜ伝統行事で、しかも火を使うのか…少し補足を)。それは、キリストの父親サン・ホセ(日本では、聖ヨセフの呼び名の方が馴染みがあるでしょうか)が大工だったことに由来しているそうです。大工職人たちは、サン・ホセを守護聖人として崇め、古い材木/張りぼての人形を集めて燃やしたのが、この祭りの原型だとか。

(今年の火祭り人形たち。右下:なぜか気になる存在。上の真ん中:1位に選ばれました!私もこれに投票しました)。

連日続くマスクレタ(爆竹ショー)はどんどん勢いを増し、夜中のマスクレタは、形容できないほどの凄さ・凄まじさでした。朝方まで賑やかで?うるさくて?二重窓のレジデンスの部屋でさえも眠れるか不安になる日が数週間続きました。

各団体が制作したそれぞれの火祭り人形たち(その数、500とも700とも言います)は、最終日に一晩で灰になり…。その様子は、いわゆる大火事です。これを毎年繰り返しているというのですから、驚きます。本当にここは、地理的な規模は小さいながらも、非常にダイナミックな地域です。

そんなバレンシアのマチを感じながら、(でもまだ、帰国2日前の勉強会・セミナーを残していますが)あと数日で帰国の途につきます。ですので、スペインからの便りは今回で最後です。

ここまでバレンシアの内容をお読みいただいた方々、本当にありがとうございました。研究メンバーや地元の人に恵まれ、バレンシアのことをとても好きになれたことは大きな財産です。今回のサバティカル期間に関わって、学部の教職員のみなさんはもちろん、ゼミの学生他、いろんな方々の協力がありとても感謝しています。こちらでは、日常生活・研究活動のどれをとってみても、どうひっくり返ってみても右往左往して迷子になったことしか思い出せないのですが、この日をこの地で無事に迎えられそうなことに、まずはほっとしつつあります。

次回のブログは、日本からです!
明日は、卒業・修了式ですね。おめでとうございます。お祝いの気持ちだけでも届きますように…。

【表紙の写真】街の中に登場した巨大オブジェ(のほんの一部)。

ippo

2018.03.14

マスクレタ

周りの人たちに「いつまでバレンシアにいられるの?」と何度もたずねられ、そして最近は「準備はできてる?」と聞かれます。その理由は、3月に、マチをあげての伝統行事、火祭り(Las Fallas)があるからです。春を告げる祭りです。そんな会話をしているなか、大学の行き帰りに小さな春をみつけましたっ!
(右上:桜の花を見つけて、とびきり嬉しくなりました!)

このLas Fallasは、バレンシアの人たちが1年がかりで準備する大・大・大イベントなのです。その凄さは、2月最終週のある朝、開会宣言の爆竹音で目が覚めたあたりから、じわじわと体感できています。

(真ん中:マスクレタが終わった直後。えらいことです…)。

連日、マチをつんざく爆竹ショー(マスクレタ)の音と歓声で地響きがするほどの勢い。2キロちょっと離れた大学オフィスでもその迫力を楽しめるほどです。小さな子どもたちも、お父さんに火をつけてもらってあちらこちらで爆竹を鳴らして回ります。週末は、真夜中の爆竹ショーで朝方までみんな元気です(が、昼近くまで静まり返ります)。

バレンシアのマチ全体がこの祭り一色に染まりますので、いつも以上に忙しく人が行き交い、いろいろな装飾がなされていきます。このマチで生活してみて、このイベントがマチにもたらしているもの、その意味するところはとても深いと感じます。「根を張った伝統」のすごみです。
気になって仕方がない舞台裏。爆竹は柵の中に…一つ一つ手作業 (左上と下)/巨大オブジェは早めに街中に登場 (右上)。
飾り付けも大変!(下中)/あちこちで見かけるビールを運ぶ量は半端ではありません(下右)。

そんなイベントが、いよいよ明日15日から本番を迎えます。

さて、スペイン滞在も、残り10日ほどになりました。最初「半年は短い」と受け入れ教授に言われましたが、そうかもしれません。地域を知るにはよい期間でしたが、研究を練り上げるには日にちが足りず、最後、どこまで何ができるのやら…マスクレタの勢いをもらって過ごせたらと思います。

ippo

2018.03.07

Ba-Na-Na

3月になり、バレンシアは爆竹シーズンに入りました(この話は次回あたりに…)。
弥生の月までバレンシアで過ごしたのかぁ…と、しみじみ思うことが増えてきました。この土地で暮らす中で、私を悩ませてくれたスペイン語の単語や発音は数知れず…。その一つは、一見シンプルな単語「バナナ」です。

現地に来たばかりの頃、バナナの単語を覚えるのにも苦労し、カフェテリアのおばちゃんが、発音はこうよ!と教えてくれて、素早く忘れると、傍で食べている院生たちが繰り返してくれたのを思い出します。市場に行くと、姿は同じバナナですが、札に書いてある文字が違って混乱していました。教えてもらった単語 ”バナナ” は、いったいどこの言葉か?公用語が複数ある国だからか?どれを使うのが一番通じやすいのか、と。

どうやら、市場の場合は、複数の公用語を使い分けているというよりは、普通にそのまま食べるバナナ用、料理用の区別がしてあるようです。それぞれの中にはまたいくつか種類があり、お客は用途・好みによって買い分けている、というわけです。
(表示にいろいろな表現が…右下にりんごFUJIも見えますか?)

地域によってPlatanoの登場率が違っている他に、Platanの方がBananaよりも、なぜか、キロあたりの値段は(どこのお店に行っても)高いのです。Platanoの方が美味しいからという人もいますが、実際のところはどうなんでしょうか(食べ比べはまだできていません)。

トマトも同じように、サラダ用、バケットに合わせる擦りトマト用と分けてあります。赤黒い色のトマト、いびつな形なのにとても味のよい品種のトマトなど。元気に、陽気にしてくれるものが、市場にたくさん並んでいます。
(下の真ん中:突如、街中に現れることがある巨大オブジェ…移動することもあって不思議な存在)

品種とその表記ともに、その並べ方にも拘りがみえます。芸術的にディスプレイしたお店もありますし、実に丹念に、並び上げたお店もあります。日本には日本流の、さりげなく美しく見(魅)せる工夫がなされているように、スペインにも、元気に明るい生活空間になるように見(魅)せる工夫が、生活の中に根付いて存在します[クリスマス時期になると、朝早くに、あちらこちらにポインセチアを一株ずつ植え込んで回っているのには驚きました]。ひと手間の一つ一つが、“陽気な国・地域” に見(魅)せるのに貢献しています。それが文化なのでしょうね。

ここに来て、「言葉を理解すること」が、「その土地や人の考えを理解」し、「お互いの情報交換を円滑にする」と実感します。それぞれを促すのは、「コミュニケーションをどれだけとるか」ということも。
実は、このことが最近の論文で報告されていて、とても納得しました。興味のある方はどうぞ!

【参考文献】Peltokorpi, V., & Yamao, S. (2017). Corporate language proficiency in reverse knowledge transfer: A moderated mediation model of shared vision and communication frequency. Journal of World Business, 52(3), 404-416.

もしそうだとすると、言葉を理解し使いこなすまで(慣れない間)、いかにコミュニケーション量を増やすのか?は、次なる課題になりそうな…。

ippo

2018.02.28

遊び心探訪

近くて遠い存在だったバルセロナに、ようやく行ってきました。実はまだ行っておらず、そこで、ゼミの学生たちと再会するために。

街の様子は、マドリードとも、バレンシアともまったく違い、いわゆる“都会”という雰囲気。もちろん、ガウディをはじめとしてさまざまな建築物が点在していますので、「芸術」的な雰囲気もありましたが。

スペインに来て半年も経ってから、初めて見たサグラダ・ファミリアにはやはり感動してしまいました。あの精巧さと聖堂内に差し込む光の色彩は、時間によってその印影が変わっていきます。スペインに来て、光の流れを感じるようになれたことはありがたい経験です。なんせ初めて見たので分かりませんが、ずいぶんと出来上がってきた感じなのでしょうか?

自然のものをモザイクで表現したり、建物全体で立体的に動きをつけて表現したり…(写真右上「カサ・バトリョ」)。観ていて、遊び心が散りばめられているようでおもしろく、それでいて心地よいデザインだと思いました。

街の中心あたりの様子は、「経済」力を反映しているかのように、企業やブランド店、ホテルなどが高級感を醸し出しながら立ち並んでいました。数カ月前にスペイン第1号店をバルセロナに出したというユニクロも。地元ではかなりのパワーをもって、生活や地域色に根差した展開をしている印象の他ブランドもあるので、今後どのように浸透していくのかフォローしてみたいと思いつつ、通り過ぎました。

バルセロナへの到着時間が遅くなったこともあって、小腹を満たそうと市場に出かけてみたときのこと。規模はバレンシアの中央市場よりも小さく、遅い時間にも関わらずかなりの賑わい、市場なのにきらびやかで、商魂逞しいという印象でした。私はその勢いに押されすぎて、他の場所でお腹を満たすことに…。街の色・特徴があるものです。

<サグラダ・ファミリアからみた街の風景>

カタルーニャ/スペインの「政治」的な動きは、今もなお、連日ニュースになっています。サグラダ・ファミリア近くの地元カフェでも、この内容がテレビで流れ始めると音量を上げ、お店のおじさんもお客さんもみんなそれに見はまり、何やらわいわい話しては静まり…でした。その風景をみると、「あぁ、ここがカタルーニャか」と。他のときには、そんなことは感じることなく時間は過ぎましたが。

「言葉」については、英語が通じるところが多く、日本人も多く、日本語のパンフレットや音声ガイド(私のは作動しませんでしたが…)が整っていました。同じものでもバレンシアとは異なる綴り・発音があり、やっと覚えたわずかな言葉だったのに…と思いつつ…スペインで使われる言語の面白さと言えばいいのでしょうか。言葉の壁は何度となくあり、残念なことに、すべての言語が混沌として崩壊中です。

<お店の番地とその商品が表現されているタイルが壁にある路地も>

スペインの都市・街はそれぞれをはっきりと区別ができ、印象付けられる特徴をもっています。きっとどこもそうなのでしょうけれど、みなさんはどこを、どの国を、好まれるのでしょうね。その中に息づいている人間の活動「芸術」「経済」「政治」「言葉」やその空気感のおもしろさにもぜひご注目を。

【表紙の写真】何とも美麗なガス灯。

ippo

2018.02.21

二つの苗字

バレンシアから届けるブログも、残すところあと4回ほどでしょうか。
最近のバレンシアの気候のせいか、留学・勉強疲れのせいか、生活リズムの違いのせいか…寮の中では体調を崩している学生たちもちらほら。皆さんも、体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。

さて今日は、大学で必要な申請をするため、ある書類を作成をしていたときの話です。受け入れ先のV先生が、お忙しいのにわざわざ時間を割いて、その申請書作成を手伝ってくださいました(またしても、すべてスペイン語だからです……)。

「last nameはお父さんの名前か?」とたずねられたことがきっかけで、しばらく名前の付け方の話をしてもらいました。

スペインのフルネームは面白く、両親の第一苗字をそれぞれくっつけて、子どもの苗字になる(戸籍登録、かつ日常的に使用するのは、世界の中でも珍しい)そうです。つまり、「名前. 苗字1-苗字2」と、苗字が2つあるのです。その順番については、父親が先でも、母親が先でもよいとか。

ちなみに、女性で一番多い名前はMaria Carmen(マリア・カルメン)、男性はAntonio(アントニオ)。最近生まれた女の子に多い名前はLucia(ルシア)、男の子はHugo(ウーゴ)だそうです[スペイン国立統計局 (Instituto Nacional de Estadistica:INE; Ano 2016 Publicado:24/05/2017)]。

お願いすると、名前を彫ってくれます。見本はMariaさん。
[写真のような、世界的に有名な高級ポーセリン人形のリヤドロはバレンシア企業。いろんな陶芸家さんと話すと、必ず「日本の陶器はすばらしい!」と大絶賛です。]

レジデンスでお世話になっているスタッフさん(の内、私が名前を知っている方々)の中だけでも、マリアさんが3人。すごい率です(どうやって区別しているのでしょうか)。ただ、私にとっては馴染みのない音をもつ名前がその他大勢なので、なかなか覚えられません…。”スペイン語圏” からともなると、一瞬にして忘れるほど難しいです。逆に、私の名前は、日本独特の音が連なっているようで難しそうです。

長期休暇のときは、それぞれの日にいろんな親戚とランチやディナーをし続けたという先生やラボのメンバーも。そんな血縁関係の強い国・地域です。赤ちゃんが生まれたらどんな名前にしようか、聖人の名前がいいか、両親・祖父母の名前がいいか、苗字はどちらを先にしようかと、家族・親戚での話題は尽きなさそうです。(子育てに関わっては、こうした家族に関する問題、生き方の問題等々、解決すべきことはいろいろあるようです。日本と似ているところも多くあり、同部屋のM先生と長時間話し込んでしまうことも…。)

ippoゼミの卒業生からおめでたい話も舞い込むと、駆け付けたい気持ちいっぱいですが、情熱の国スペインからのお祝いです。いろんな出来事に、一つずつしっかりと向き合えますように。

ippo

2018.02.14

ハイジの国

スイスは非常に小さい国ですが、世界で最も革新的な国として存在しています。ハイジの少女のイメージも強く、国そのものにも興味がありましたし、ネットワークを活用して「今しかない!」というタイミングでしたので(極寒を覚悟で、コンパクトなスケジュールで、もう既に少し前の事ですが)出かけることにしました。

飛行機からみる風景は大好きで、スイスに到着するまでの間、ずっとカメラのシャッターを押していました。肝心の気温や天気は… 予報が外れてくれてとても助かりました。日中は、異常気象のスペインと体感温度は同じくらいに感じたほどです。とても珍しいことだったようです。
<行きはばっちり見えました。帰りの座席は最後列でヨコは壁でしたが>

現地では、日本に本社を置く企業(スイスにある事業所)を見せてもらい、そこに赴任している担当者の方に話をうかがうことができました。海外の現場に入るのは初めてことで、かなりどきどきもしながら、現場の方々もおられるその空気感を実際に味わえたことは大変貴重でした。

興味深い話ばかりある中で、教育システムのことが話題になりました。(日本で言う)高校生くらいの年齢から「職業訓練教育」のコースに進む人もかなり多いらしく、その受け皿は企業だそうです。1週間の多くの日は実践的な訓練を受けて、理論的なことは職業訓練校で学ぶというシステムを持っているとのこと。高度な技術力を身につけるため、給料もかなり高いようです。
お互いの拘りや考えがあるのか、ときどき職場では、同僚どうしがやりとりをしていて、「もうわかったよ!俺は何でもできるスーパーマンだ!」と叫んでいる人もいるとか(傍で見ている分には、その表現などを含めておもしろい光景のように思いながら話を聞きました)。

<街の中は時計がいっぱい。腕時計は要らなさそうだけど、お店がいっぱい。不思議な光景>

飛行機からみたあの山並みに囲まれ、国土の小さなスイスがビジネスを展開しようとすると、隣国と関わることは必須だろうなと思います。それだけの理由ではないでしょうけれど、平和に、調整をつけながら過ごさなければならなかったのかもしれません。日常生活では、ドイツ語を中心に、フランス語、イタリア語、英語が飛び交い、みんなそれらを使いこなしていました。

スペインでお世話になっている先生の一人と話したときに、「言葉が分かれば、その背景にある文化が伝わり、人を含めて理解できるようになる」と。この街並みと人の生活をみていて、それを想い出しました。精密機器を見(魅)せたデザインの時計も、スイスの人たちがそうやって掴んだものの中から生み出されたもののように思い、この地域を眺めてきました。

ippo

2018.02.07

FCとCF

サッカーのネタに挑戦、第2弾です。
今日は、「サッカーでみるスペイン(その②):FCとCFの話」です。

たとえば、FC Barcelona と Valencia CF 。FCとCF!?と、そこに躓くほどのサッカー知識なのですが、調べていておもしろく、私なりに考えさせられた時間が流れたので、今日はその話を共有させてください。

バルセロナは、創設者がスイス人、初代会長がイギリス人だったので、Football Club Barcelonaの名称でスタート。創設者は、スペイン語よりも先にカタルーニャ語を覚えたとか。その後、政治家が会長になるなどして、政治色を強めていくことになったようですね。

そして、スペインの暗黒時代と表現されているフランコ政権が始まり、その長い時間の中では、スペイン語以外の言語が禁止され、クラブ名もClub de Futbol Barcelonaと強制改称。(このあたりの言語禁止時代のことは、昨年のカタルーニャ問題の背景の “ひとつ” として、報道されていたかもしれません)。
このフランコ軍事政権が崩壊した後、バルセロナは、元のFootball Club Barcelona (FCB) に表記を戻したそうです。

(ある日のスペインの新聞「El País」より

地域コミュニティの中からクラブが生まれること(クラブの会長も会員socioから選挙で選ばれるそうですね…)、地元愛、政治との関係、言葉を奪われた弾圧の時代、そして今に至る歴史を背景にもつことを知り、人々にとっての生活や意味を想像したとき、なにかこのカタルーニャという地域性や文化・スポーツがみえてくるような気がします。

経済が発展し、今回の独立問題で人々が何を想い、今願っているのか…?
そんな地域や人々が謳い続ける "more than a Club"というスローガンとそこに込められた想い…。世界的な人気を誇るチームをみたとき、そこには拘りがあり、いろんな人に響き続けるようです。

【表紙の写真】スペインの新聞:2018.01.29

ippo

2018.01.31

幸福の使者

先々週のブログ(クリスマス・パレードの話)で、サッカーに少し触れました。気づけば、地元チームの試合が終わるまで携帯に速報が流れ続けていたり。そんなこんなを生活の中で触れていると、やっぱりここはサッカー大国だと思います。
さて今日は、「サッカーでみるスペイン(その1):バレンシアで幸福を呼ぶ動物とは?」です。

実は、試合を観るのは好きなのですが、サッカーチーム等のことはほとんど知りません(もし間違いに気づいた方がいたら知らせてください…)。

地元クラブチーム、Valencia CFのロゴマークの上には「コウモリ」が描かれています。日本ではそうお目にかからない動物です。さてはて、これが私の1つ目の謎。
◆なぜ、コウモリなのか?

バレンシアでは、コウモリは幸運の象徴として扱われていて、神聖な存在だそうです。
昔々、レコンキスタの戦い(複数のキリスト教国家で起きた、イスラム教途からの国土回復・再征服の運動)がバレンシアでも行われたらしく、その当時の王の肩にコウモリがとまり、戦いが勝利して終わったという言い伝えにちなんでいるらしいのです。例えば、バレンシアの市庁舎に行くときがあったら、(美しい)コウモリがどこにいるか見つけてみて下さい。

(この子たちの肩にも幸福のコウモリがとまりますように☆)

◆なぜ、ロゴマークの上にいるのか?

コウモリが、王冠と同じくらいの権威をもつから…という話も。
(市庁舎の上~のほうにコウモリがいます!)

いろんなところに、スポーツや地域の情報が詰まっていますね。

ippo

2018.01.24

西の健康

1月も後半。今は試験期間中とあって、食事のときにも「明日の試験はどう?」「あぁ~、ストレス!」というやり取りが増えています。

今日のブログは、長いクリスマス休暇が明けた後の新聞にみるスペイン(西班牙)/バレンシアの健康の話。

大学に行くとき、金曜日の朝は「さぁ、あと1日だよ!行っておいで」と送り出され、午後になると、周囲は「もう週末の半分が過ぎていくよ」とそわそわし始めます。そして、月曜日になると「昨日の夜はちょっと憂鬱だった…(でも、月曜になってしまえば大丈夫だけどね)」と、冗談とも本気ともとれる会話は、バレンシアでも時々話されることです。

クリスマス・イベントを終えたときの新聞[2018.01.09]。
写真の上部(どうしても縦置きにならないので…左とも言いますね)に、クリスマスのときの食卓の写真。


この記事の見出しには、『バレンシアの人は、コレステロールが低いのに、クリスマスキャンディ(大~きなパンケーキ?! をみんなで食べましたが、それをキャンディと呼んでいたような…)や脂肪の多い食事はコレステロールを上昇させてしまったかもしれませんよ』と。楽しかった時間から、はっと目が覚めさせるような内容です。果物や野菜をしっかり摂って、できるだけ早く健康的な習慣を取り戻しましょうというアドバイス付き。


その次の次の日[2018.01.11]。
このクリスマスの時期を終えて、ストレスに関連したGoogle検索をした件数が、スペインでは52万になったという記事。この件数は、オーストラリアの2倍、香港の4倍、イギリスの6倍にあたるとのこと。


この傾向は、ここ数年間、毎年平均して約35%ずつ増加しているそうです。仕事のストレスとその対処法に関すること、仕事と家庭のバランスをとる方法に関することがその中心で、これらの問題に対応できるシステム構築の必要性をこの記事は伝えていました。

それとともに、”食” による(身体的な)健康の回復方法が新たな道だろうという内容も。そこには、スペインで急成長中の「デリバル―」という会社を例にして、スペインの人たちの傾向を紹介(ちなみに、この会社は、レストランの料理をあたたかいまま家庭や会社に配達しています)。その注文内容の傾向をみると、それぞれが健康食品だと思えるもの ー肉食主義、ヴィーガン(厳格な菜食)主義、タンパク質摂取やオーガニック食品ー に関心が高まっているようです。


その次の……日[2018.01.12]
さて、運動については?座りがちな生活をしているスペイン人が、18歳から65歳の57.5%(1,700万人超)を占めていると、この記事は伝えています。


歩こうと思ってはいても何もしないなぁという人は23%…。どっかでも似たような話があったような。

長期の休みが明けたときの健康回復は結構深刻な問題のようで、「食~運動~心理」の関連で健康の回復・維持・向上の啓発をしているようにみえます。が、実情は「頭でわかっちゃいるけど、体がついてこない…」といったところでしょうか。「楽しく食べて」「楽しく動き」「楽しく感じられる心」の三拍子を整えたいものです。

ippo