6月6日(月)、担当している「研究入門」・後半クラスの授業が始まった。学生とは、4月初めに合同で担当者紹介・ガイダンスをして以来の再会だ。
改めて「社会科学的」アプローチの仕方について話をした。しかし、その前に、前回のブログでも触れた「カオス」の一くさりを。学生たちは意味が解ったようで、笑いが生じた。自然科学的アプローチの話は前任者のH先生から具体的・詳細に講義されてきているはずだ。それに比べるとこの「社会科学的」授業は、学生たちにとって「曖昧模糊」としたものに写るかもしれない。
初回なので、「科学とは?」そして「自然科学とは」また「社会科学とは」の説明と、具体的な研究成果の「発表」について、学会で適用される分類、例えば「総説」「原著」「研究ノート」などの分類にも触れたメモを配って、若干の説明を加えた。そして、「スポーツビジネス(ヘルスビジネスにも適用できる)のフレームワーク」の図を借用してきて、「スポーツする人(健康を求める人)」の周辺に位置する4つの要因である「モノ」「場所」「技術」「情報」が密接に関係し合う構造のもとに成立する「スポーツ(健康)」の中のどの部分を対象にして研究を進めるのかについて少し話をさせてもらった。
要は、こうしたスポーツ(健康)が成立しうる構造の「社会的な諸関係」について科学することが必要だということになるが、その「科学的」なことで全てが割り切れるものでもないということをつけ加えておいた。
例えば、「合計特殊出生率」の推移だ。これを大雑把ではあるが板書する。1947-49年の「第一次ベビーブーム」の時期から出生率は経年的に低下して1970年代の「第二次ベビーブーム」で少し盛り返し、それ以降現在の1.34までずっと低落傾向にあることが分かる。但し、この「第一次ベビーブーム」から「第二次ベビーブーム」のグラフの動きの中で「特異」な年がある。突然「出生率」がガクンと落ち込んで1.58を示すのである。翌年は回復する。一旦盛り返した「第二次ベビーブーム」後、この数値をとうとう下回って1989年に「1.57ショック」なるものが起こる。もちろん現在はその「ショック」以下の数値だ。
1966年・「丙午(ひのえうま)」がそれだ。学生諸君には、「科学的な目でもって、歴史の証人になってほしい」と願っている。同じ干支は60年に一度だから次は2026年になる。学生たちは、交々「俺ら35になるな?!」と。これだけ科学が進歩した時代にあってもこうした「因習」はなかなか手強いものかもしれない。
数値やグラフの陰に潜むこうした問題に光を当てていくのがまた「科学」でもあるということでまとめ、後半の30分ほど使って小レポートを作成してもらった。8つの「新聞記事」の中から、一番関心のある記事を選択し、「記事内容の概要」「そこから学べること」について記述してもらい、さらに大まかにではあるが、「記事内容から発生する問題関心」「そこから構想される研究テーマ」について記述してもらった。 mm生