[ Tue ] の記事一覧

2019.09.10

大学評価・IR室開設記念シンポジウム

こんにちは、かわいです。


9月5日に朱雀キャンパスで行われた「大学評価・IR室 開設記念シンポジウム」に
出席してきました。「大学の内部質保証をいかに実現するか」というテーマでした。

 (kawai)20190905

大学は、教育や研究、社会貢献活動に加え、大学を運営するために、
よりよい教育・研究を生み出すためにさまざまな活動をしています。
今日は、そのような活動のいったんをお知らせします。

基調講演の川嶋先生(大阪大学)がIRの定義を示してくれています。
「機関の計画策定、政策立案、そして意思決定への活用を目的として、
機関のあらゆる機能を経験的に記述することを目指す諸活動の総体」
(Saupe, 1990)とのことです。

大学の中の数々のデータを活用して、大学の組織としての意思決定を
支援する活動と理解できると思います。
アメリカの取り組みが紹介されることが多いですが、川嶋先生によれば、
「米国モデルのコピペは大間違いである」(Swing, 2015)とのことです。

日常の中でどう進めていくかが課題だと受け止めました。
スポーツ健康科学部でもカリキュラムを議論する際に、事務室の島田さんの
協力を受けて、データを可視化して検討しています。

大学は数多くの活動に取り組んでおり、見えるデータも、見えない
データもたくさんあります。どういったデータを用いて、立命館が
どう進むのか、とても難しい課題だと思います。

冒頭、仲谷総長から、全額的な視点による内部質保証の推進が
重要な課題であるとのメッセージがありました。
これからの評価・IR室の活動が学部の教育や学生支援にどう
貢献するのか、どうなるのでしょうか、まだまだ未知数です。

かわい

2019.09.03

学生生活支援研究会

こんにちは、かわいです。


私立大学の連盟のもと行われる、学生生活支援研究会で講演してきました。

 (kawai)20190830


去年から進めている成長調査プロジェクトの取り組みを紹介しました。

14名の職員さんたちが関わって、学生の成長を支援するプロジェクトです。

研究会全体の感想の中でも、成長調査の取り組みが参考になったという

感想がいくつか寄せられていて、関わってくれていた職員さんらに顔向けできそうです。


そもそも、このプロジェクトは、はじまりも、推進も、職員のみなさんの力

が大きく、そのことも伝わっていれば嬉しいなと思います。


全国から、50名ほどの私立大学の職員さんが集まって、考えを議論し合う

ということで、学生生活支援の重要さに私自身も思いを新たにしました。

話の中で、「学生のためになっているのか」と普段から自問していたことを

口にした気がするのですが、「学生のため」が第一だとの感想を見て、

大事なことはとってもシンプルなんだなと再認識しました。

大事なことを声に出していうことの大切さも再認識しました。


また、普段からの姿勢がそういった場での発言や脱線に出てしまうことは、

普段の過ごし方や考え方を正さねばと背筋が伸びるような気持ちです。


ただ、1時間の中で、ワークを経験してもらって、実際に学生の成長の

話を聞き出すことができるよう狙いを持って準備したにも関わらず、

脱線が多くなって、後半のワークをすっ飛ばさざるを得なくなったことは

反省です。時間無視はしなかったのでそこは合格としたいところですが。


成長調査プロジェクトは、その後も、色々な展開を見せています。

「学生のためになっているのか」という自問を携えて、来週に向かいます。


かわい

2019.08.27

2019年後期に向けて

こんにちは、かわいです。


2019年後期の準備をしながら、前期も一区切りしつつあることを感じます。

一息つきながら、後期に向けてのことをつらつらと。


 (kawai)20190807_3

課題も少なくなく、次々とやってくる新たな状況に負けそうな時もあります。
スポーツ健康科学部・研究科の学生の皆さん、教職員の皆さんと手を取って
進んでいければと思います。

後期からは、学習科学論など新しい科目も始まります。
後期のブログではそれらの科目の学びも紹介できればと思います。

なんといっても、4回生が卒業論文を書きます。彼らの人生の糧になる
よう挑戦と支援を送りたいと思います。

8月末には、全国の大学で学生支援に取り組む職員さんの研究会で
講演をする予定です。

引き続き、よろしくお願いします。

かわい

2019.08.20

教学実践フォーラム

こんにちは、かわいです。


「論理的思考力・探究心」を育てるアカデミック・ライティング

― 言語の枠を超えた「書く」指導のあり方 ―

 (kawai)20190807_2

というフォーラムが催されました。ライティングは、大学教育に携わる

人の共通の関心事で、会場は非常に盛況でした。


議論は盛り上がるのですが、どうすれば、学生たちが

「論理的思考力・探究心」を育てるアカデミック・ライティング

ができるようになるのか、という点については、難しい課題だという

点より先に進めませんでした。


報告があった社会科学系の学部では、基礎演習25クラスで

学部の教員が共通の素材を用いてアカデミック・ライティングを

教えておられます。1つの科目だけでなく、複数の科目で、

さらには正課内だけでなく、正課外でもライティングをサポート

していくことが大事だという方向で議論がまとまっていきました。


大事なことは、

第一に、学部として学生にライティングの型を提示し、

それがマスターできるような機会を構造的に用意していくことだと

思いました。

その前提の上で、第二に、学生にフィードバックを行なっていくこと

が重要だと思います。今年度、2回生向け科目で、担当されている先生と

連携して、学生のレポートにフィードバックをしたところ、学生たちの

反応は上々で、いい機会になったようです。


効果的にフィードバックを設けることで、彼らのアカデミック・ライティング

の力を向上させることができるかもしれません。それはさらに、探究・研究

の基礎ともなることでしょう。


いい循環が回るにはどうすればいいのか、悩ましい課題です。



かわい



2019.08.13

スーパースポーツプログラム@立命館BKC

スーパースポーツプログラム発表!


こんにちは、かわいです。

8/6-7と、先週案内の通り、スーパースポーツプログラムを高校生が体験する

2日間でした。


最後の「2030年に(までに)、スポーツ健康科学分野でどんな挑戦をしたいか」

では、


 (kawai)20190807


スポーツ科学に基づくランニング・シューズの開発からランニング大国へ

AIウェアでスポーツを科学する

IoTを生かしてスポーツ指導する新しいコーチング

パラリンピックの途上国開発による普及

バイアスに反応して指導者へフィードバックする

完全食品による生活習慣病予防

スマートウェアで暑熱環境下でのパフォーマンスの分析

日本ではじめてのスポーツ・ファーマシストへ


といった刺激的なテーマが充実した内容で聞かれました。


彼らには、自分の「未来」を自分で切り開いていって欲しいと言葉をかけました。


調べれば調べるほどわからないことが出てくる中、怯まずに、

知識でたたかっていけるよう期待してやみません。



かわい



2019.08.06

スーパースポーツプログラム

こんにちは、かわいです。

6月のことになりますが、スポーツ健康科学部が展開する高校生向けのプログラムの1つ(スーパースポーツプログラム)で講師を務めました。このプログラムは、立命館のスポーツ健康科学部と早稲田塾さんが一緒に進めるものです。


プログラム全体の初日で、高校3年生より12年生が多いということもあり、

大学での学びとは何かを問いかけました。


立命館大学が、「未来」を大事にする大学だということを説明しました。


高校生の彼らが思う大学での学びは、

「自分のやりたいことを探求できる」

「学びたい関心や研究テーマに沿って、学ぶことができる」

「自分で問題を発見して、解決していく」

「学んできた知識を応用して発揮する」

「様々な人と出会い、多様な人間関係の中で学ぶ」

といったものでした。


大学での学びは彼らの期待に応えられているだろうかと背筋が伸びる思いです。

高校生の不安と期待が共存する場で、どれだけ彼らを触発できるかはこちらも

緊張感があります。


 (kawai)20190805


スポーツ健康科学についても触れつつ、初回でもあったので、

自分の目的・目標を考えるセッションとし、

最後には1人ずつ、語ってもらいました。


「楽しみたい」

「人生に悔いなく生きたい」

「誰かに影響を与えられる人になりたい」といった将来を見通した目標から、


「日本サッカーを強化したい」

「バスケットボールを世界レベルにしたい」

「ラクロスでオリンピックメダルが取れるように」

「障害者水泳プログラムをつくりたい」

といった社会貢献する意識の高いものまで、多様な目的が語られました。


彼らは今週、BKCにやってきて、充実した実習プログラムに参加すること

になります。スポーツ健康科学部の施設とそこで取り組まれている研究に

驚く経験が待っているはずです。


今回のセッションの時点では、

彼らの思いがまだまだ言葉になっていないとフィードバックしました。

もっと自分の経験をふりかえって、自分の思いと向き合って、目標を深く深く

考え抜いて欲しいと思います。


未来を拓いていってほしいと期待を伝え、どんな未来を創っていくのかと問いかけ

てセッションを終えました。


かわい

2019.07.30

アイデアソン実施

こんにちは。かわいです。

アイデアソンを実施し、学生にアイデアを出してもらいました。


 (kawai)20190730

・地域との交流がないところで、大学生によるテニス教室を実施

・学内リユース・フリーマーケット

・大学寮

・休み方を学ぶセミナー

・ブラック企業に捕まらない、No more ブラック企業!セミナー

・地域の小学校守り隊

・地域の子どもたちと朝食を一緒に

・ピア・サポート部


自分のためだけのアイデアではなく、周りの人々のためのアイデアを

考えてくれてよかったなと思っています。とても面白いアイデアが

たくさん出てきました。

アイデアソンコンペがあれば、かなりいいアイデアが出てくるかもしれません。


アイデアを考えるときに、そのアイデアの実現する前(Before)と

実現した後(After)を具体的に書き出してもらいました。


そこから、学生たちが、思いの外、交流できていないことが透けて見えました。

大学生は多忙化が進み、じっくりと人生を考えることができなくなっているの

かもしれないと危機感も感じます。


大学では、「挑戦をもっと自由に」アイデアを考え、実行し、新しい経験を

積んでほしいとの思いを強くしました。


その一方で、学生の皆さんは、自分たちが助けられた経験と自分たちもサポート

したいという思いを持っています。

自分は助けている、勇気を与えていると思っていたら、自分のほうが勇気を

もらっているという奥深い経験が人と関わる中にはあります。

(前回の『ノーサイドゲーム』にも。)

経験の中から深く学んでいって欲しいという思いも強くしました。


かわい


2019.07.23

アイデアソン

こんにちは。河井です。


大学生の重要な学びの1つに視野を広げるとか、自分とは異なる立場に立つということがあります(社会的視点取得Social Perspective Takingと呼ばれます)。知識の体系的な核とも重要な成長です。しかし、知識をどう使っていくのかという問題に直面するときに、視野が狭くてはうまく使えません。また、自分中心の世界観で自分とは異なる立場の考えに広く開かれていないと、知識を良く使うことはできません。こうした意味で、自分自身の視野を広げるということは、大学生の重要な学びです。


視野を広げるということと、アイデアを出すということに緩やかな結びつきがあるような気がしています。企画立案やアイデアコンテストに挑戦することは、大学生にとって、刺激的な経験になるように思います。


アイデアを出すということについては、梅棹忠夫(1969)『知的生産の技術』(岩波新書)や川喜田 二郎 1967)『発想法―創造性開発のために』(中公新書)という知の財産があります。


最近ですと、アイデアソンという言葉をよく耳にするようになりました。

須藤順と原亮さんによる『アイデアソン!: アイデアを実現する最強の方法』という書籍が徳間書店より2016年に刊行されております。アイデアソンとは、アイデアを出すということとマラソンを掛け合わせた言葉のようです。


アイデアを出す経験を通じて、自分とは異なる考えに向けて自分の世界を広げていくことは楽しいことだと思います。学生の皆さんにも楽しんで成長していってもらいたいです。


 (kawai)20190723


かわい


2019.07.16

立命館宇治高校WWL委員会



こんにちは、かわいです。

先週末、立命館宇治にて、WWL委員会会議に参加してきました。WWLでは、グローバルな共同経験学習とキャリア教育と探究型学習とが束ねられて進む可能性のある取り組みです。


 (kawai)20190716


授業では、自分の知らない自分を発見することを狙いとして進められていました。10クラスがこの形式のアクティブラーニングを安定的に運営しているところにこれまでの立命館宇治高校の先生方の取り組みの力強さが現われています。


この取り組みの柱となるコア探究では、生徒が疑問作りのトレーニングを積んできているとのことです。先生方が、ご自身の教える教科について、「なぜその教科を学ぶのか」を熱く語る、しかもそのための準備として先生同士でプレゼンしあっているというではないですか。とても意欲的な取り組みで、Challenge your mind Change our futureの精神が現われた取り組みだと思いました。


そして、そのような先生方の挑戦が生徒を揺さぶるのだと思います。自らを問い直し、変容に開かれてあることが、学習者の成長という変容を引き出す可能性のある唯一の道だと思います。


ここには、相互性の原理が横たわっています。授業でエリクソンの次のような言葉を紹介します。「家族の構成員は、乳児の存在に順応するように自らを新しく方向づけねばならないので、彼らは諸個人としてもグループとしても成長しなければならない。家族が乳児をコントロールし育てると言うことが正しいのと同様、乳児が家族をコントロールし育てると言うことも正しい。つまり、家族は、乳児に育てられることによってのみ、乳児を育てることができるのだ」(Erikson 1968: 96 


家族を教え手に、乳児を学び手に読み替えて、次のように言えるのではないでしょうか。


教え手は、学び手に育てられることによってのみ、学び手を育てることができるのだ


立命館宇治高校での続く挑戦に伴走していけるよう、私も問われていると痛感しています。


その会議の後、学生たちがBKCでキャンプ実習に取り組んでいたので、ひょっこり行ってきました。カレーができたタイミングで、美味しく楽しく過ごさせてもらいました。nao先生、Akiko先生、学生のみなさん、ありがとうございました。詳報は木曜日を待ってください!


かわい


2019.07.09

JPFFシンポジウム AI時代の大学教育への考察

こんにちは。かわいです。

6月の末に仕事で全国私立大学FD連携フォーラムのシンポジウムに出席してきました。

文部科学省高等教育局の高橋氏による「大学の将来を考える」と題した講演を聞いて勉強してきました。


 (kawai)20190702_1


201811月に「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」答申が出されました。大学の教育・研究をめぐる日本社会全体の方向性を示したものです。講演でも触れられましたが、この20年あるいは30年近く、大学は教育改革に取り組んできており、その筋道に沿った多岐にわたる点がグランドデザインに盛り込まれていると思います。


大学は、社会から、あるいは文部科学省から、「●●をせねばならない」「■■をしなければならない」とせき立てられるように改革が進められてきました。講演の中で、大いに共感できたのですが、大学はかなり改革に取り組んできており、そのことを社会に理解してもらわなければいけないと述べられました。


言い換えれば、大学は、社会との間に信頼関係を築かなくてはならないということでしょう。現在、スポーツ健康科学部・研究科では、10年を節目に、将来ビジョンを策定・議論し、研究・教育・社会貢献を新たに創出するべく奮闘中です。


スポーツ健康科学部・研究科では、卒業していくときに「自分はこんな成長を遂げられたんだ」と学生自身が自信を持って宣言できるような学部・研究科にしていければと思います。入学時のプロフェッショナル宣言を卒業時に発展させるようなことも有効に思いました。


とはいえ、簡単な道ではありません。授業で全国の大学生調査の結果を示したところ、「専門的知識を身につけられたと感じているものの、自分の実力は十分ではないと感じているのではないか」と学生から指摘されました。


しかし、次の点は見定められていません。

・実際にどこにどのようなギャップがあるのか

・学生が自覚しているギャップは何で、自覚していないギャップは何か

・そのギャップは卒業前でまだ経験がないからギャップに見えているのではないか、

また逆に実力十分と見ているが実際には不足しているギャップは何か


高橋氏の説明によると、「学生が、大学において学んだ成果を、自ら説明できるようになること」が方向性として目指されています。学生が説明できるようになるためにも、学部の教職員として、考え、議論を尽くすよう努めたいと思います。


かわい