2014.09.05

言葉の認識

今日は、少し私の専門分野からのお話しをしてみたいと思います。

皆さんは、「かわいい」という言葉をどのようにイメージし、共通点を見いだし、認識し、獲得してきたか覚えていますか?例えば、次のような共通点でしょうか。

・小さなものに対して

・淡い色のものに対して

・ふわふわしたものに対して


これって、とても簡単なようで実は非常に難しい作業です。全ての人が同じ感覚を持っているわけでもないのに、なぜかなんとなく「かわいい」の対象に暗黙の了解というか共通の認識があります。私たちがこのなんとなくでしかない共通の認識を受け入れ、時にはそれが自身の感覚とずれていても気にならないのは、私たちがかなりいい加減に言葉を定義し幅を持たせているからです。ほとんどの形容詞に同じことが言えます。デジタル大辞泉では、「かわいい」は次のように定義されています。

小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちをいだくさま。

物が小さくできていて、愛らしく見えるさま。

無邪気で、憎めない。すれてなく、子供っぽい。

かわいそうだ。ふびんである。


では、数字はどうでしょうか。「3」という概念は「3」でしかなく、3つのリンゴを4つと数えることは間違いになります。数字は形容詞とは対照的で、誰もが揺らぎない共通認識が持てるものです。同じく、デジタル大辞泉の定義です。

1 数の名。2の次、4の前の数。みっつ。みつ。

3番目。第3

3 三味線で、三の糸。

「3」はこのようにしか定義のしようがありません。3つのリンゴの「3」は絶対的であり、「3は3である」としか言いようがないわけです。


私たちは、「かわいい」のあいまいさも「3」の絶対も自然と受け入れてきました。言い換えれば、成長の過程でいい加減さ・適当さを身につけてきたからです。しかし、それが非常に難しい人たちがいます。あいまいな言葉を理解することが非常に難しい。「かわいい」を例にとってみます。


【場面A】

うさぎのぬいぐるみを見せ、「かわいいね」という友だち。

「かわいい?」「ただのうさぎじゃないか」→『かわいい=うさぎ』


【場面B】

アイドルの話で盛り上がる数名の友だち。「アイコってかわいいよね!」「分かる!うちも好き!かわいいよね。

「アイドルって人にかわりないよね?」「人ってかわいい?」→『うさぎ=かわいい=アイドル?????』『うさぎ≠アイドル』→『かわいい????????』


毎日のように氾濫する形容詞の理解は年齢が上がっても困難です。そのため、他者の発言から形容詞に対する共通点を少しずつ集めます。「かわいい」=「赤ちゃん」「毛の多い動物」「年下の子」「水玉模様の洋服」「ピンク色」などなど。そして、その言葉の意味がいい意味なのか悪い意味なのかを他者が発する言葉のトーンなどで決めていきます。「かわいい」=とりあえず悪い意味のようではないから「+(プラス)」

これらの作業を通して作られる自分なりの「かわいい」のイメージ=「まるい」「ふわふわ」「もこもこ」→「3」に似ていると考えていいかな?「2」も少し含むのかな?


発達障がいのある人が抱える困難さです。全ての人ではありませんが、多くの発達障がいのある人は、このように「あいまいさ」を理解することが非常に困難です。そのことが対人関係に支障をきたすこともあります。皆さんは、不思議に思われるかもしれませんが、このしんどさを少し理解していただけたらと思います。ずけずけものを言う、その場にそぐわない発言をする、そんな人に出会った時、一呼吸して相手を見ると違った見方ができるかもしれません。



2014.09.04

論文の指導

大学院(スポーツ健康科学研究科)を修了する上では「学位論文」の執筆が必要です。また、博士課程後期課程になると、自らの研究成果が「論文」として学術誌に掲載されることが必要です。学術誌に投稿すると2~3名の研究者による審査が行われ(査読)、その結果により論文掲載の採否が決定します。一般には、査読者からの指摘をふまえ論文を修正し、再審査を受けて論文の掲載が受理されるという流れになります。論文投稿から掲載決定までには、最短でも2ヶ月程度、長い場合半年以上の長期戦となることも珍しくありません。学術雑誌に論文が掲載されるというのは、長い道のりなのです。

大学院博士課程後期課程の学生にとっては、論文が採択されるか否かによって学位取得が決まると言っても過言ではありません。実験を行うこと、学会発表を行うことも大切ですが、研究者として生きる上では「論文を書く」ことは何よりも重要です。そのため、大学院在籍中に「自らの力で論文を執筆できる能力を養成すること」、これは博士課程後期課程の大学院生を指導する教員にとって課せられたハードルとも言えます。

私自身、大学院生の頃には本当に丁寧に、当時の指導教員から論文指導を受けました。日本語の論文では句読点の位置から主語と述語の対応関係、英語の論文では基礎的な構文から論文独特の言い回しまで学びました。原稿中に書き込まれた先生のコメントを必死で理解し(文字が読めない場合には内容を想像して)論文を修正し、指導を受けて・・の繰り返しでした。私の恩師は様々な役職にも就かれ多忙だったのですが、その中でも時間をみつけて必ずコメントを返して下さいました。

それから約10年が経過し、自分が論文執筆を指導する立場になりました。この10〜15年間で研究環境は大幅に便利になりました。文献検索システムが発達し、論文は図書館でコピーをしなくても、簡単にダウンロードできます。論文投稿はオンラインになり(以前は印刷した論文を国際電子郵便で海外に送っていました)、査読に要する時間も短くなりました。けれでも、指導方法は今でもアナログ、、、紙にコメントや修正箇所を書き込むスタイルです。日々仕事はたくさんありますが、論文添削は原則として最優先です。また、こちらが最速で論文を返却すると、これに応えて学生も速やかに改訂稿を持参してくれます。そしてこの学生の頑張りが、指導に必要なエネルギーを生み出してくれます。地道な取り組みですが、今年に入り複数の論文の掲載も決定し、ようやく成果が出てきました。「今の頑張りが学生の10年後を決める」この言葉を胸に、今日も論文指導を続けます。

なお、学術雑誌への論文の掲載情報は、学部ホームページにも随時アップされていますのでぜひご覧下さい!!

2014.09.03

英語を学びはじめる小学生へのメッセージ。。。

早いものでもう9月になってしまいました。

9月は紀要の締切など色々と抱えているのですが、楽しみにしているのは、研究会で知り合った小学校の先生が企画をしてくださった、小学校での外国語活動の授業です。

 

小学校外国語活動については、その目的や目標、内容、方法などをめぐって、賛否色々な議論がありますが、ことばの壁よりも、異文化に出会う際の壁(情意フィルター)が高かった私にとっては、小学校のうちから異なる言葉、異なる文化をもつ人に出会い、楽しい体験をすることはとても大切だと考えています。

 

私は今回、文字への気づきをメインのテーマにして、外来語や外国語の看板などに着目し、そこから文字と音声の結びつきを「発見!」できる授業にしたいと考えていますが、大きなテーマとしては、「間違えてもいいじゃない!」というそんな雰囲気を伝えられたらと思っています。

 

中学校以上の英語教育では、(とくにこれまでは)読み書きが始まり、唯一絶対の「解」があるような、そんな英語学習が浸透しています(いました)。それが、「英語嫌い」や、「きっと十分に通じる英語を話せるのに全然自信を持てないという人」、「間違いを恐れて話す機会を持たなかったからなかなか上達しない人」(⇒わたしもこの1人)を生んでいる一番の原因だと思います。

 

読み書きが始まるこの段階に、「小さな間違いなんて気にしない!それよりも英語を楽しんでほしい。色々な発見をしながら学んで欲しい!」そんなメッセージも小学生に伝えられたらよいなあと思っています。

 

・・・45分の授業、準備には相当の時間がかかりそうですが、小学生に直に自分で授業ができる貴重な機会を楽しみたいと思います。

 

【平和ミュージアムより】

 今年も国際報道写真展が衣笠キャンパス、BKCキャンパス、APUの各キャンパスで開催されます。チラシが出来上がり、各教員のポストにも届いていました。


衣笠: 2014917日(水)~1012日(日)

 BKC: 20141014日(火)~1030日(木)

APU: 20141014日(火)~1030日(木) 

 もっと詳しく知りたい方はこちらのリンクを↓

https://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/event/special/2014exhibition20142.html

 ぜひ、ご予定に入れておいてください。わたしも、小集団やゼミ単位で何度も見に行こうと思っています。

2014.09.02

常軌を逸するエネルギー

Hassyです。

現在実験補助でデンマークに来ております。

さて、今日から我が息子は新学期が始まりました。
お盆前後から生活が大きく乱れておりましたが、ちゃんと登校できたでしょうか?

宿題では「天体観測」と「読書感想文」の2つが最後までできていませんでしたが、大丈夫でしょうか?
今夏は雨が続き、確かに星の観察は難航しておりました。。。
とすると「晴耕雨読」でさぞかし読書がはかどるか!?というと、そうはいかず、
(私も読書はあまりしてこなかったのですが)、息子はもっぱらマンガやゲーム関連本です。。。

妻が読書感想文を促すと、人体のなぜなに?などのマンガ図鑑などを読み出すあたりは自分に似てる!と思わざるを得ません・・・

息子から、「努力って大切なん?」と突然質問され、
父「お父さんの好きな言葉やけど、何?突然?」
息子「読んでた本に大切って書いてあって・・・」
父「そら、無茶苦茶大切やで!みな天才でもないから、何か成し遂げよう!って思ったら努力せなアカンやろ?(んー、なかなかいい本読んでるっぽいなー)」
息子「じゃあ、お父さんは努力したん?」
父「才能ないけど、粘り強く努力する力は少しはある気がする・・・(ちょっと格好つけ過ぎたかな?)」
息子「そうか、、、じゃあやっぱり成功してお金持ちになるには努力せなアカンのか・・・?」
父「ん??どんな本読んでるんや!?」
と、こんなやりとりをしていると、公共放送の番組で取り上げられていた美術監督の種田陽平氏が
「常軌を逸するエネルギーを注ぎ込まなければ、人には伝わらない(成果を挙げれない)」と語るシーンが。

「常軌を逸するエネルギー」
研究活動もそうでしょう。
例えば、もうすぐ科学研究費の申請書作成時期が来ますが、申請書の作成にしても、まさにエネルギーを注がないと採択には至らないことを身をもって経験しています。
実験や論文にしてもそうだと思います。

ただ、常軌を逸するのはどの程度か?
これは難しいと思います。
自分で設定するフレームと、一般的な常識の範囲がどの程度のものか、ということになってくるかと思います。

掲げるフレームや志を大きくもち、それに向かって努力するしかないんだろうな・・・
と自問自答するシーンでもありました。
(息子の感想文は読んでないですが、さて、「努力」をどう感じとったのでしょうか。笑)

2014.09.01

教授会FD研修会

GOTO】先生のブログにあるように、夏休み休暇中の過ごし方は、学生、院生、教員もさまざまです。でも、スポーツ健康科学部の教職員は毎年夏と春の2回、朝から夕方まで一日かけて「FD研修会」を開催しています。先週の金曜日に行いました。学部開設当初からですから、既に9回目となりました。

 今回は主に、次のような内容を検討、議論し、情報共有、指導の共有を徹底しました。

1.キャリア形成

次年度から経団連所属企業を中心に採用時期がいまよりも遅くなります。8月から学生リクルート活動、101日内定のスケジュールとなります。今より遅くなるといっても、企業も良い人材を求めて早い段間からアプローチをすることが予想され、一昔前の先輩OBOGのリクルーターが復活するのでは、といわれています。今回は、キャリアセンターのスポーツ健康科学部担当の【勝N】さんを中心に情報提供いただきました。先生同士も情報共有し、想いをそろえられました。また、仁先生、ippo先生担当の学部キャリア形成科目の情報共有できました。さすがキャリア教育にたけたお二人の授業展開は見事なものです。

2.小集団教育の接続

スポーツ健康科学部は1回生の基礎演習、2回生の研究入門、3,4回生の専門演習(ゼミ)と4年間を通した小集団教育が徹底されています。また、これが学生育成、人材教育の強みでもあります。今回は、それぞれの小集団科目のシラバスをひもといて、それぞれの小集団科目で、ディプロマポリシーで掲げたどんな力を身につけさせることができるかをグループワークで検討しました。そうすると各学年でダブりもなく見事に段階的に力をつけさせていることが可視化できました。このことは参加いただいた共通教育センターの先生方からもお褒めいただきました。

3.アドミッションポリシーの検討

入学時にどんな基礎力、関心、意欲をもって入学してもらうかは、アドミッションポリシーに掲げておく必要があります。今年は今までのものを見直す時期に来ていて検討素案をたたき台に議論しました。さらに、企画委員会、教授会で検討し、次年度から新しいアドミッションポリシーを掲げることになります。

これ以外にもいくつかの検討、アイデアだしを行い、目一杯知恵を絞った教授会FD研修会を過ごしました。研修会の後は、こうれいの懇親会「あいコア会」を開催し、こちらもみなさん、絶好調で充実した1日を過ごせました。

 

教授会FD研修会を通して、“Student first”ならびに“Student first and double”の意を強く感じました。大学の大きな役割は、人材育成にあり、「学生最優先の教育研究」が第一であり、他の大学よりも2倍以上の濃密な教育研究を実践することが、立命館大学スポーツ健康科学部の誇りであり、基本スタンスであることも共通認識することができました。

教職員のみなさんご苦労様でした。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

教授会FD研修会の翌日、順天堂大学で開催されたCOI-T関連のシンポジウムで発表してきました。現在進めている東洋紡-立命館大学の「運動を生活カルチャー化する健康イノベーション拠点の取り組み」についてお話しさせてもらいました。多くの参加者と意見交換でき、研究の新たな視点も頂き有意義な会でした。

【忠】

 

 

 

 

 

2014.08.31

第二回理系女子シンポジウムが開催されました

大雨が続き、日本各地で大変な事になっておりますが、
皆様、いかがお過ごしですか。

先週の24日(日) に、かねてからお伝えしていた
「第二回理系女子的学び方、働き方、暮らし方」シンポジウム
開催されました。

当日は、合わせて100名ほどの中学生・高校生・大学生・大学院生
並びに保護者の方が参加して下さいました。
タイトルに女子と入っていましたが、男性の参加者もおられました。

シンポジウムの中身については、
第一部で、Mozilla Japan 代表理事で、
ブラウザの Firefox を開発されている、
瀧田佐登子先生が、「ブラウザ開発からの波瀾万丈記」と題して、
インターネットがいかに普及してきたか、
そこで用いられるブラウザ (閲覧ソフト)の開発の歴史、
オープンソースでのソフト開発について、
瀧田先生の個人史と重ね合わせながら、ご講演下さいました。

第二部では、伊坂先生の司会の下、瀧田先生も加わり、
小林製薬株式会社の中島絵里奈氏と
NTTコミュニケーションズの山根靖子氏と
「なぜ理系を選んだのか、理系女性としての生き方、今後の夢」などについて
パネルディスカッションが行われました。



お三方とも非常にエネルギッシュで、ユーモアあふれるお話しで
本当に聞いていて参考になる意見が多かったです。
主催者の一人でありながら、一人のオーディエンスとして、
勇気をもらえるシンポジウムでした。

このシンポジウムは来年も実施する予定ですので、
ぜひ参加して、元気をもらっていって下さい。

ご紹介したいことは山ほど有るのですが、
スペースの関係上、一言だけ紹介させて頂きます。
講演の中で瀧田先生が
「一人では世の中は変えられない、二人でも無理、
ただ三人いれば世の中は変えられる

と仰っているのを聞いて、私も頑張って、
より良い社会、より面白い社会、より新しい社会」になるよう
スポ健の学生・教員・職員さんと一緒に、
世の中変えてやろうと思いました。

それでは、また。失礼致します。
良い休日を


2014.08.30

Air Sports~空港でスポーツを~

夏休み最後の週末、関西空港では「関空夏まつり」が開催されています。
このイベントには、航空会社、地場産業や地元漁協、郵便局や警察官、大阪や和歌山の地元自治体だけでなく、長崎県や九州最大級のテーマパークであるハウステンボスなどが出店し、2日間の延べ参加者数は、例年、4万人を上回ります。空港のターミナルをフル活用し、キャラクターのステージショーやダンスコンテストが開催されています。
特に今年は、関西空港就航20周年という記念すべき年であり、さらには、久しぶりに朝から快晴という天候にも恵まれ、朝から多くの人たちが関西空港へと訪れています。


































この関空夏まつりにゼミのプロジェクトとして、「Air Sports~空港でスポーツを~」というブースを出店しています。
この「Air Sports~空港でスポーツを~」では、関西空港が世界へと旅立つ発着の場であることを意識し、少しでも旅行先や世界各国の観光地の魅力、またご当地のスポーツなどについて理解を深めてもらいたいというコンセプトに基づき、企画されたものです。そして、これから旅立つ人はリラックスを、旅を終えた人たちにはリフレッシュしてもらいたいという想いをプログラムに込めています。



ブースでは、複数のスポーツアクティビティが提供され、例えば、アメリカ発祥の「スポーツスタッキング」では、世界各国の観光地をカップで形づくるように工夫しています。















フランスの伝統スポーツ「ペタンク」と重度脳性麻痺者や四肢重度機能障がい者のために考案された「ボッチャ」を応用し、6色の布にボッチャのボールを投げて、3色から成る国旗を完成させるなど、工夫を凝らしています。











ゼミでは、数名のグループに分かれてプロジェクトを自分たちで企画し、企画書の作成、利害関係者や外部組織への提案・交渉、資源の確保、事前準備から当日の運営、そして企画の評価に至るまで、ゼミ生がそれらをゼロから担い、1つのプロジェクトをやり遂げます。
当日のイベントには、プロジェクトメンバー以外のゼミ生、そして2回生の有志も手伝ってくれています。プログラム開始後、1時間半ほどで、80名を上回る子ども連れのファミリーがプログラムに参加してくれています。

今回のイベント実施に欠くことができない用具は、滋賀県障がい者総合福祉センターから借り受けたものであり、その間は、【Aki】先生が取り持ってくれました。本当に感謝、感謝です…

このような経験が学生のオペレーション能力だけでなく、企画や交渉を含めたマネジメント能力につながればと思います…。

Jin




2014.08.29

こども哲学

今日は、本の紹介をしたいと思います。研究室に来た学生が真剣に楽しそうに読んでいく本です。正確には絵本ですが。。。

「こども哲学」というシリーズで下記に列挙した全7巻です。ちょっとお値段が高い(11400円)。


よいことわるいことって、なに?

きもちって、なに?人生って、なに?

いっしょにいくるって、なに?

知るって、なに?

自分って、なに?

自由って、なに?

 

なかなか興味深い内容が書かれています。自由って、なに?から少し。

【したいこと、なんでもできる?】

ううん。だって、鳥みたいにとべないし。  でも・・・ 

 ひこうきにのればとべるよね?

 自分が飛べるってこと、鳥は知ってるのかな?


うん。何したいのかわかってて、ほんとにそうしたかったらね。 でも・・・

 もし、ほんきで、だれかをころしたいなんて思っちゃったら?

 ほんとにしたいと思ったら、ひとを生きかえらせることもできるのかな?

 

【自由って、なんの役に立つ?】

世界を前にすすませる新しい考えをさがすのに。 でも・・・

 それよりも、自分が一歩前へふみだすのが先じゃない?

 あたらしい考えって、かならず世界のためになる?


自分のしたい仕事をして、意味のある人生をおくるんだ。 でも・・・

 やりたい仕事ができなかったら、人生って無意味かな?

 仕事しなくちゃ、自由になれない?

 

「よいことわるいことって、なに?」からも少し。

【ひとにやさしくしようと思う?】

うん。ぼくにやさしくしてくれる子にはね。そうだね、でも・・・

 どっちがさいしょにやさしくするの?きみ?それとも、相手?


【こまっているひとがいたら、たすけてあげる?】

うん。自分だけよければいいなんてだめだよ。そうだね、でも・・・

 生きてゆくために、自分のことをいちばんに考えるのは、いけないこと?だからって、みんなのこと考えられる?みんなって、たくさんいるよね。


 いろいろなテーマについて、このような問答が繰り返されます。私たちも幼いころに、「どうして?どうして?」と持った疑問もいくつかあると思います。子ども哲学というタイトルですが、なかなか読みごたえ?考えごたえのある絵本です。特徴は、(そうだね)でも・・・と繰り返し続いていくところで、明確な答えは載っておらず、テーマと思考の道筋を示してくれるだけです。部屋に遊ぶに来る多くの学生が手にとって読んでいきます。何冊か読んでいく学生もいます。体の大きな学生が、絵本をのぞき込み「う~ん」と唸りながら考えている姿もまたいいものです。下記に、いくつかのテーマを列挙します。お子さんと、友人と、同僚と、問答してみてください。皆さんは、子どもが納得できるように答えられますか?


【どんなときでもおやのいうことはきかなきゃだめ?】

【ろうやのなかでも、自由でいられる?】

【みんなでいっしょに生きてゆくには、リーダーとルールが必要?】

【おとうさんとおかあさんがきみを愛してるって、どうしてわかる?】

【きみの考えは、きみのもの?】

     

2014.08.28

大学教員の夏休み

授業のない夏休み期間に入り約1ヶ月が経ちました。「授業がない夏休み」ではありますが、当然のことながら通常通り出勤をしています。ただし、授業期間と比べると比較的穏やかな毎日を過ごしています。授業のない夏休み期間中の教員の過ごし方は様々です。この時期には専門領域に関連した学会大会も多数開催されますので、学会への参加で大学を留守にするケースもあります。また、実験を集中して行うことも可能ですので、多くの研究室が連日、実験に取り組んでいます。私の研究室は昨年度まで8月、9月は実験の連続で全く余裕がなかったのですが、今年度は大きな実験が8月前半で終わったこともあり研究室全体が落ち着いています。来月からは複数の実験が動き出し慌ただしい生活に戻るのですが、このわずかな期間を利用して学生への研究指導の時間を増やしています。
大学院生にとっても授業のないこの2ヶ月間は、1日の予定を自由に調整することが可能です。社会人となり仕事を始めると容易に経験することはできない贅沢な時間の使い方ですが、これを最大限に活用して着実に前に進んでくれることを望んでいます。朝型、夜型、生活パターンも様々なようですが、着実に成果を出す学生は「ほぼ同じ時間帯に大学に来る」規則正しい生活を継続しているように感じます。スポーツ健康科学研究科では大学院生が1つの大部屋で作業をしていますので(個々の院生に1台の机が確保されています)、これを機会に成果をあげている周りの学生の生活の仕方や仕事への取り組み方などをじっくりとチェックした上で、お手本にすると良いかもしれません。

2014.08.27

多様な教育の博覧会へ

おはようございます。Ma34です。

この前の日曜日は、NPO法人コアプラス主催の「エデュコレー多様な教育の博覧会―」(@なんば大阪府立大iサイト)に参加してきました。


写真の「時間割」にあるように、様々な教育のかたちを一望できる教育の博覧会ということで、学校だけではなく、塾やオルタナティブスクール、教育NPO, 教育とゲームの新たな関係を構築している企業などが講演、授業をするほか、各団体のブースも出展され、直接色々な質問をぶつけてみることも可能でした。

出展されている中には、文学部の荒木寿友先生主催のNPOEN.Lab」(京都市北区の雲ケ畑で、廃校になった小学校で自然体験ワークショップを展開されている)、そして教職沖縄研修でお世話になっている、沖縄の「珊瑚舎スコーレ」(昼間は小中高のフリースクール、夜間は識字教育が中心となる夜間部)も来られていました。

色々と刺激も多かったのですが、いちばん心に残ったのは、箕面市国際交流協会の授業のなかで、ことばがわからない世界を体験しようというワークショップのなかで感じたことです。そのワークショップでは、ヒンディー語で書かれたメモ(座りなさい、手をたたきなさい等)をはじめの2分間で覚えて、その後、教師役の方のヒンディー語による指示を聞き、行動するというものでした。

このメモには工夫があり、カタカナ(読み方)しか書かれていないもの、文字しかないもの、全くヒントにならないものと数種類があります。参加者は、結局、自分のメモにあったことは行動できるのですが、わからない指示も多く、周りの一部のわかる人の行動を見てから行動を揃えていきます。“ああ、こうして子どもは言語を行動とともに習得していくのだな”、と聞いていました。

しかしながら、その私の考えはまだ一面的でしかなかったことに気がつきます。その後、講師の方がこう言いました。「外国にルーツを持つ子どもで、日本語がわからない子どもも、こうやって周りに馴染んでいきます。けれども、行動がみんなと同じようにできているからといって、ほんとうに言語を理解しているのか、またその言語で語られている教科内容を理解していると言えるのか、というのは別の問題だと捉えておく必要があるのではないでしょうか。」


たしかに、そのとおりだと思います。周りの行動と同じ行動ができていると、教師は、ああ、みんな「理解している」のだな、と思ってしまうかもしれません。しかしワークショップにおいて、指示されてどんな行動をしたらよいのかがだんだんと結びついてきたという実感はあっても、それが文字で書かれると全くわからなかったし、ましてやそれ以外の何かの概念についてヒンディー語で説明されたら、ちんぷんかんぷんです。理解するレベルには到底到達していません。


私が関心を寄せている小学校外国語活動でも、もしかしたら大学の授業でも、「行動に現れている=理解している」と想定して進めていることはよくあるかと思います。けれども、実際、細かく観察していたら、あるいは書かせてみたら、全然理解できていなかった!ということもあります。(望まれる「行動」(パフォーマンス)の設定=目標設定の仕方が大切なのだと思います。)


今回、色々な教育のあり方に触れるなかで、多様な教育の方法を知ることができた一方で、自分自身が「当たり前」にしてしまっていることをもう一度吟味することが必要であると、改めて考えさせられる一日でした。

 ma34.