2014.07.28

スポーツ健康科学サマースクール

週末は、「スポーツ健康科学サマースクール」を開催しました。今年で4回目の開催となり、恒例行事となってきました。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。また、ご協力いただいた先生方、院生の皆さん、ありがとうございました。ことしも充実したサマースクールとなりました。

今回は、他大学の学部生、院生、社会人の方(卒業生もいました!)に参加していただき、2日間、インテグレーションコアにある教育・研究施設をつかって、最先端のスポーツ健康科学を実習・講義を通じて体験していただきました。

実習では、皮下脂肪厚、筋組織厚、最大筋力、MRIによる腹部・大腿部の画像、最大酸素摂取量、スポーツ動作等を測定し、自らの客観的データの見方等についても解説を行い、スポーツ健康科学のおもしろさを実感いただきました。また、参加者同士でグループワークを行い、より理解を深めていただきました。

このサマースクールをきっかけに、大学院スポーツ健康科学研究科へ進学してくれる方もいて、「スポーツ健康科学」の魅力を伝える機会となっており、今回も進学希望者の参加がありました。来年も開催しますので、興味ある方は是非ご参加下さい。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

・このブログを開設したのが、2009727日。丸5年と1日が経過しました。この間、1日も欠けることなく継続しています。担当いただいている先生方と読者の皆さんのおかげです。今後も末永くお付き合い下さい。

・今週末、8/2-3はオープンキャンパスです。

 https://ritsnet.ritsumei.jp/event/oc.html

・8/4 (月)ひらめき☆ときめきサイエンス 「立命館大学 身体のミクロからマクロの世界へ  

https://www.youtube.com/watch?v=SEbyVIIO9VQ

【忠】

 

 

 

2014.07.27

8/2・8/3 オープンキャンパスです!!

毎日暑い日が続いていますが、
皆様、いかがお過ごしですか。

立命館大学では、いよいよ 8/2 (土)8/3 (日)
オープンキャンパス が開催されます。

スポーツ健康科学部でも、学部の学びに関する 学部説明会 に加えて、
四つのコース (スポーツ科学・運動健康科学・スポーツ教育学・スポーツマネジメント) を
体験してもらえる 模擬授業実習 、世界最先端の施設を
見学してもらう インテグレーションコア見学ツアー を行います。

二日間とも異なる授業・実習内容ですので、ぜひ多くの企画に参加してみて下さい。
詳しいスケジュールは、web で御確認下さい。

また入試に関する様々な質問にお答えする 入試相談会 も開催します。
学部生の先輩も多数参加していますので、学生目線から
スポーツ健康科学部について色々と教えてくれるので、
気軽に質問してもらえると参考になると思います。

私は、二日とも参加しておりますので
(MRI 説明と AO 説明会を担当します)
一人でも多くの受験生・保護者の方にお会いし、
スポーツ健康科学部について知ってもらえる事を楽しみにしております。
(「ブログ読んでいます」と言ってもらえると大変嬉しく思います (^ ^) )

それでは、また。失礼致します。
良い休日を。




2014.07.26

“自分らしさ”を確立する上で大切なこと…

今週から試験週間に突入しました。
試験勉強に向き合いたくないという気持ちが抑えられなくなった学生は、「なんでこんなこと、覚えなアカンねん…」「この勉強が、将来、どう役立つ?」「○○をするために大学に来たのに、なんでこんな勉強せなアカンねん…」などと、身勝手な?(笑)理由を並べながら、悶々と机に向かっていることと思います。

確かに大学は、自分がやりたいと決めたことをトコトン追求するところだと思います。専門性を高めるための勉強や研究、また卒業後の進路を見据えた留学やインターンシップ、さらには、ボランティア活動や部活動もその1つかも知れません。
その一方で、「自分は何がしたいのか?」「自分には何が合っているのか?」「自分は何になりたいのか?」といった自分がやりたいことや“自分らしさ”を見つけるところでもあります。


有名な発達心理学者のエリクソンは、8段階に分けたライフサイクルの5つめを「青年期」と呼び、その発達課題は、「アイデンティティの確立」、すなわち、自分らしさを確立することであると述べています。


大学生は、大人への階段を上る過程で、新しい世界と出逢いながら、自分にとって望ましいものと望ましくないもの、また自分にとって大切だと思えるものとそうでないものなど、それらを見極め、内在化しながら、生き方や価値観、また人生観や職業観といった“自分らしさ”を確立する時期にいるといえます。



その際に大切なのは、様々な世界や価値にふれること、そして失敗を恐れず、“試行錯誤”を繰り返すことです。いろいろなことに挑戦しながら、自分にとって望ましいものや大切だと思えるものを見つけてほしいと思いますし、またそれは、自分がやりたいと決めたことであっても、固定観念を持たず、そのやりたいことを様々な角度から捉えてほしいと思います。

私たちの人生において、きっと無駄なものは何一つないことでしょう。全て私たち自身がその物事とどう向き合うのかという“意味づけ”が、その物事の“価値”を決めるのだと思います。

試験期間中では、さすがにこんな言葉も耳に残らないのでしょうが…

Jin



2014.07.25

グンゼスポーツとの懇親会

昨夜、グンゼスポーツの方々との懇親会がありました。

本学にプールがないため、グンゼスポーツさんのご好意で早朝からプールをお借りして、スポーツ指導実習の授業を行っています。また、授業の重要な部分であるアクアビクスの指導をグンゼスポーツさんの岡本先生にご担当いただいております。いつも笑顔で学生にご指導いただき、学生からのコメントは岡本先生に関する感謝あこがれの記載がたくさんあります。

15回目(最終回の)授業では、岡本先生のアクアのクラスをフルで受けたいという声が多く寄せられました。いつもは指導法をご教授いただいておりますので、生徒として岡本先生のクラスに参加してみたい!という要望でした。また、ご無理をお願いし、40分のクラスを行っていただきました。その横では、競泳(リレー)をしたいという学生10人と人数補充のために参加した本間先生と私が次々と種目を変えリレーを行いました。
40分後、岡本先生のクラスに参加した学生の何人かはプールサイドにバタッっと。。。リレーの参加者も息が上がった状態でした。本間先生と私も同様に息絶え絶え。

この授業では、前半は泳法とアクアの指導法を学び、後半30分は泳力向上に重点を置きました。4泳法を泳ぐことができるグループは、30分で約600メートルを泳いでいました。4泳法習得を目指すクラスを岡本先生にご担当いただき、なんとバタフライを泳ぐまでに上達しました。限られた時間とスペースの中でなかなか濃い内容になったと思います。

全面的にサポートいただいたグンゼさんとの懇親会は、また大変盛り上がり、あっという間の2時間でした。いつもながらノリノリのI先生、よく飲みよく食べるS先生、ビールをグラス1杯飲んだ後は、白ごはんや他炭水化物にくぎ付けの本間先生。グンゼの皆さんもさすがスポーツに携わっておられるだけあってバイタリティーが半端ではなく、よく食べよく飲み、会話も盛り上がっていました。でも、皆さん食べて飲むのに痩せておられるんですよね。。。

プールをお借りしてから5年目が終わったそうです。私は今年からの2人目となる担当ですが、アクアのご指導をいただくグンゼスポーツの先生は3人目だそうです。岡本先生には今年からご担当いただいています。いろいろご迷惑をおかけしながらもケガもなく無事に前期の授業を終えることができ、グンゼスポーツの関係者の方には感謝の気持ちでいっぱいです。こういう形での産学共同もあることを実体験し、これからもいいお付き合いをさせていただきたいと思います。

後期にも授業があり、また元気な岡本先生にご指導いただけることを楽しみにしています。



2014.07.24

卒論作成に向けて

前期の授業が終了し、今週からテスト期間に入りました。学部生にとっては夏休み前の最後の試練、連日夜遅くまで試験勉強に励んでいることと思います。

大学生活4年間の集大成としては、卒業論文の作成があげられます。卒業論文提出は12月なのですが、今年は13人が執筆ということもあり「動き出しを早く!!」と昨年から言い続けてきました。その甲斐もあってか、13名中の9名は既に実験が終了または現在実験を行っています。7月末としてはかなり順調な進捗です。

卒論作成に向けた実験を行う過程では、様々なことが勉強になります。研究計画書の作成に始まり、指導教員である私とコンタクトを取りながら、実験を手伝ってくれる大学院生や被験者の方々のスケジュールを調整することが求められます。その過程ではメールでの連絡を頻繁に行います。スマートフォンでの簡易なメッセージ送信に卓越したスキルを有する学生ですが、電子メールでのやり取りは苦手です。この際に、CC(カーボンコピー)やBCC(ブラインドカーボンコピー)の適切な使い方を教えます。私や大学院生に対するメール文面に問題がある場合には、その都度指導をします。「確認をする」「報告をする」「先を読んで行動する」・・こういった指導は直接論文の内容には関係しませんが、社会人としての基礎力を養う上ではきわめて重要なことです。


3月に卒業をした1期生も、卒論の一連の取り組みを通して一気に成長してくれました。現4回生も卒論を作成する中で「メンバーと連携しながら仕事を進める能力」を身に付けてくれることを願っています。そして、まだ実験が始まっていない残り4名の研究が前に進むことも願っています(きちんとした研究計画はたてていますので、あまり心配はしていませんが)。

2014.07.23

前期終了。

こんにちは。ma34です。

毎週水曜日が担当のこのブログ。
前にアップしてから、もう一週間!!と感じるほどあっという間の一週間でした。
22日火曜日から試験週間が始まりました。
一回生は初めての大学での試験。
高校とはきっと違った、緊張感ただよう雰囲気のなか、しっかりやれているでしょうか。

さて、今日は4回生のゼミの最終日に撮った写真を紹介します。
4回生ゼミは、赤沢ゼミ一期生。
女子が1人、その他11人が男子というゼミです。
照れ屋な男子が多く、女性陣の方が強いのですが(笑)
それはそれで良いのかなあ。。。



6月から7月にかけて、卒論構想の面談を一人一人としてきました。
それぞれが一生懸命考えながら、色々な経験をして生きているんだなあと
大学生のときにはあんまり考えずに生きていた私は、尊敬しながら話を聞いていました。

卒論では、「やっぱり自分がずっと考えてきたことをやりたい」
「自分のこれからの人生で役立つことを勉強する良い機会としてきちんと位置づけたい」という
思いが多く聞かれたことがとてもうれしいことでした。

今年の夏休みは大学生活最後の夏休みですので、
学生らしく豊かな経験を積んで欲しいと思います。
(もちろん、卒論のための勉強・資料蒐集は忘れずに・・・)

 ma34.

2014.07.22

英語プレゼンテーション

Hassyです。

昨日で前期セメスターの授業が終了し、今日より定期試験の期間に入っています。
1回生は大学での最初の試験です。
色々と不明点や不安も多いと思いますが、TAさんやAAさんにアドバイスしてもらい、しっかりと復習して、学びの成果を発揮してください。

我々教員は、その後の採点が(特に記述問題)大変なのですが、楽しみでもあります。
素晴らしい回答を期待しています!頑張って下さい。

また、4回生のなかには、卒業単位として背水の陣で臨む者も少なからず居ることでしょう。
先週のタイトルとは真逆で、取りこぼしの無いよう頑張ってください!

さて、前期最後の授業の締めくくりは、「専門英語」でした。
後半は、敦先生が準備して下さった「運動・身体活動と認知機能」に関する一連の論文をグループ別に読んで発表するものでした。
こうした発表には、英語という語学の問題に加えて、分野の基礎理解の壁がつきまといます。

私も、文学や哲学、政治・経済など専門外の英文読解は苦手ですし、それを理解してプレゼンテーションしようものなら相当の労力を必要とすることでしょう。

今回、授業最後での敦先生の総評でもありましたが、今年も例年通り、こちらの少しタフかなと思えるデマンドに対しても、しっかりと応えてくれたと思います。
これも、実はこれまでの授業で触れてきたスポ健の学びが手助けになっていたことは間違いありません。
昨日の忠先生のブログにあったように、各測定をどのように行うか(どのような測定・解析機器、手法があるのか)といったことや、例えば「研究入門」で横断研究と縦断研究といった研究手法の特徴を学ぶだけでも、論文の読み方、実験の見方は変わってくるのです。

そうした意味では、この「専門英語」では、論文を理解するためのphysiology, biology, biochemistryなどの分野の専門的なところを理解する(しようと努める)必要があったと思います。
大学院志望者も受講生には多かったので、この授業での経験が役立てれば幸いです。

関連して、当学部ではこのように英語に意欲的な層に対する支援プログラムの構想を練っています。
スポ健の分野の入門内容について英語で学び、理解し、英語で説明ができることを目標とします。

生命・薬学部では、「プロジェクト発信型英語プログラム」を実践していて、先週にその発表会があったので、参考のため、上記構想委員会のメンバーで参加して参りました。


テーマは様々で
動物実験の是非を問うものであったり、琵琶湖生態系の維持に関するものであったり、将来の視覚について考えるサイエンスものであったり、3D世界への誘いであったり・・・

どのグループもしっかりと練習してきたのがわかる、立派なプレゼンテーションでした。
特に、非常に丁寧なプレゼンテーションであったのが印象的でした。

こうしたプログラムを参考にし、上記目標に向けた取り組みを検討していきたいと思います。


2014.07.21

ゼミ3回生の発表

【A】 先生のブログで、「3回生にミニ論文作成という野心的なチャレンジ」を紹介されていました。私のゼミでは、3回生が前期中に動作解析装置を使った計測と解析を一定程度マスターすることを目標にゼミを進めてきました。後半は、「歩行」を解析対象として、毎日おなじように歩けているのか? 何かの刺激(トレーニング、ストレッチング)を入れると歩行動作は変わるのか?ということを明らかにするために、3つの班に分けて、実験、解析、発表を行うことにしました。

4回生、PDの本Jさんの手も借りながらではありましたが、実験から解析までを自立して行えるまでになりました。もちろん、ゼミの時間だけでは足りないので、時間を工夫して解析、プレゼン資料の作成を授業時間外でも進めていました。感想を聞いていみるとやはり思った以上に解析に時間がかかることを思い知らされたようでした。論文に載っているデータが、どのようなプロセスを経て示せるようになるかを実感できただけでも大きな成果です。

信頼性の高いデータを出すためには計測技術、ねらいとする客観データをだすには解析技術、そして得られたデータを理解してもらうためのプレゼン技術が、必要であることを改めて実感できた最終発表となりました。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

・週末の運動生理学会のアウォード表彰、大学院生の部、M1藤江くん、39歳以下の部 佐藤助教 みごと受賞。詳細は学部・研究科HPに近々アップされます。

1回生の小集団「基礎演習」の授業補助、学生支援に、「オリター」の活躍は無くてはなりません。1期生のときは他学部からオリターを派遣してもらっていましたが、今では伝統を受け継いだ学部の先輩のオリターたちがしっかりと1回生をサポートしてくれています。そのオリター団の前期最後の集まりで一言お礼を言わせてもらいました。スポ健の学生文化の一翼を担ってくれています。

・JISSの稲葉先生の講演がありました。終わってから、「知っていれば参加したかった!」の声も多数ありました。Campus Web、エレベータ前の張り紙でも広報していました。情報が多すぎると感度が鈍るので、いつもアンテナ高くしておいてください。概要は、HPに載せておきました。

https://www.ritsumei.ac.jp/shs/news/article.html/?id=83

【忠】

 


 

2014.07.20

定期試験勉強会

暑い日が続いていますが、
皆様いかがお過ごしですか。

立命では、前期も終わりに近づいてきました。
学期が終わるということは、そう定期試験の季節です!

スポーツ健康科学部では、今回が定期試験を
初めて受ける新入生を対象に、上回生 (AA: Academic Adviser) が
質問や疑問に答えてくれる「定期試験勉強会」を行っています。



今回は、勉強会に参加していた Mio さんと Rina さんに
インタビューです。



Q: 「なぜ勉強会に参加しようと思いましたか?」
R: 「大学生になって初めてのテストを迎えるに当たって、
勉強の方法や質問の傾向を知りたいと思ったからです」
M: 「私も同じです。大学のテストの傾向が分からず、
何をどのように勉強すればいいのか分からなかったので、
AAさんにアドバイスを貰いたいと思ったので参加しました」

Q: 「スポ健の勉強で大変な点はありますか?」
R: 「スポーツ科学の専門用語を覚えなければならない点です。」
M: 「専門的な学びが増えたので、新しく覚えることが多い点です。」

Q: 「勉強会に参加した感想、良かった点を教えて下さい」
R: 「AAさんが各科目についてとても丁寧に教えてくださり、
テストに対する不安が解消された。アドバイスを参考に、テストに備えたいです。」
M: 「参加したことで、テストに対する緊張感が高まりました。
大学のテストは得点が単位に関係しているので、
しっかり計画的に勉強しようと思いました。
勉強法やテストの傾向など知りたかったことについての
具体的なアドバイスを貰えてとても良かったです」

大学での学びは、自分で学習するのが基本となりますが、
スポーツ健康科学部では、新入生が大学での学びに付いていくための
仕組みを色々と用意していますので、安心して飛び込んできて下さい。
AA については、WEB を見てみて下さい。

それでは、また。失礼致します。
良い休日を



2014.07.19

スポーツが最適化する成熟国家「日本」

キャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナーⅡ」において、アンダーアーマーのライセンシーで、近年、成長著しい株式会社ドーム取締役マーケティング本部長の高下泰幸氏に、「スポーツが最適化する成熟国家『日本』」と題する特別講義をしていただいきました。

株式会社ドームの社名は、"Dedicated Organization Motivated to Excel"(自らの意志に基づいて、最上を目指し献身する組織)というフレーズの頭文字に由来し、企業理念として掲げられている「社会価値の創造」には、「スポーツを通じて社会を豊かにする」という想いが込められています。
高下さんのお話は、私たちが株式会社ドームに対して抱く「アンダーアーマーの製品を取り扱うスポーツ用品メーカー」というイメージを刷新するような内容で、「スポーツが最適化する成熟国家『日本』」という演題のように、企業価値を創造するために、既存事業にとらわれることなく、ビジョンを描き、それを実現するための戦略と事業化が重要であること、また想いを抱く企業の可能性は無限大であることを感じさせてくれるような内容でした。

高下さんは、成熟国家におけるスポーツの意義として、「内需拡大」「人材育成」「健康増進」の3つのキーワードを挙げ、具体的なデータや事例に基づき、話を進められました。

例えば、「内需拡大」では、日米の産業規模を事例に取り上げられ、自動車大国アメリカに対して、我が国の自動車メーカーは、企業努力の末、産業規模をアメリカの2.5分の1にまでその差を縮めたにもかかわらず、スポーツ産業は、プロスポーツビジネス、スポーツ用品などを合わせてもわずか4兆円程度で、アメリカの10分の1の市場規模に留まっており、この分野の事業化はまだまだ未開拓であることを指摘されました。

また「人材育成」に関しては、アメリカのCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)の95%が高校時代にアスリートとして、日々、競技スポーツに励んでいたことを事例に取り上げられ、「文武」のいずれか一方ではなく、「文武両道」に手掛けることが、日本社会を再生する手がかりであると述べられました。



そして、「健康増進」というキーワードでは、消費税をはじめとした増税の焦点でもある「社会保障」に着目し、30兆円を上回る医療費を削減することがスポーツによって可能になると述べられました。特に、この医療費のうちの4兆円が生活習慣病に起因していることと、またアメリカの肥満に関するデータを示し、運動習慣のある子どもと運動習慣のない子どもとでは、年間30万円の医療費格差が生じていることなどを事例に取り上げ、スポーツを通じて健康増進に手掛けることは、人々の日々の暮らしを豊かにするだけでなく、日本が健全な国家を維持するためにも重要な問題であると指摘されました。

講演では、このような3つのキーワードを実現する具体的なアクションプランについても紹介されました。例えば、都市規模が比較的類似しているオハイオ州クリーブランドの事例を徳島に、またアリゾナ州フェニックスの事例を沖縄に当てはめ、「スタジアム運営を通じた都市再開発」についてお話しされました。
またJOC(日本オリンピック委員会)、日本体育協会、日本スポーツ振興センターといったスポーツ組織の一元化や、USOC(全米オリンピック委員会)の全収入の約6割が事業収入であるのに対し、JOCの全収入の約4割が国費による補助金であることを事例に取り上げ、「スポーツ行政の大胆な改革」、つまり、スポーツ行政の民営化が必要であることを主張されました。


高下さんは、まだまだ未開拓であるスポーツ産業の発展のためには、日本人の強みをもっと活かす必要があると主張されました。その強みとは、本質を捉えた上で、それを実現し、カタチに変えるための「勇気」を持ち備えていること、つまり、日本人がこれまで成し遂げてきた成果は、"Copy and Paste"ではなく、進化と価値の創造を前提とした"Copy and Improve"という優れた能力に裏づけられていたことを忘れてはならないと述べられました。


Jin