2013.11.24

「辺境たる東北」が教えること?!

『辺境からはじまる 東京/東北論』(赤坂憲雄・小熊英二編著、明石書店)が刺激的で面白い。「東日本大震災」と原発事故後に東北ゆかりの若手研究者が集まって研究会を開き、その毎月の報告者たちが書いた論文をまとめたものだ。その「まえがき」には次のようにある。

・・・共通した問題意識がある。それは、「東京」と「東北」、「中央」と「辺境」の関係に象徴される近代日本、現代社会のありように対する問いかけと、それを変えようとする模索である。もちろん、ここでいう「東京」も「東北」も、「中央」も「辺境」も、実体ではない。それはある関係の中で作られた概念である。逆にいえば、問われるべきはその関係である。それゆえ「辺境」の問題は、地理的な意味での「東京」にも存在する。・・・「辺境」からはじめるとは、幻想の中央にむかって憐れみを乞うことでもなければ、遠くの誰かの災害を思いやることでもない。それは、自分の足元から、現代を問うことにほかならない。

こうした厳しい言説に到底敵うものではないが、私にも同じような問題関心があったのを思い起こしている。共同研究「日本における中山間地域の活性化に関する地域マネジメント研究~経営学・マーケティング・ケアの視点から~」で、健康づくり支援の「教育的な営み」を拠り所とした「ケア」の問題に迫ったことがあった。京都市内や丹後地域のいわゆる「僻地校」での教育実践をめぐる問題は、「中山間地(僻地)」と「都市部」との関係の中で作られた問題ではないかというものだった。そして、311日の「東日本大震災」のことは、丹後半島付け根の伊根町に調査に行っていた時に知ることとなったのだが、それ自体が何かしらの縁であるのかも知れない。

「中山間地」での問題は、地理的な意味での「都市部」にも存在するのではないか。健康づくりの「教育的な営み」の実践にもとづく検証がなされなければならない。そのような元々もっていた問題関心に加えて、「東日本大震災」の災害の状況に直面することとなった。そこでは、法的拠り所である「学校保健安全法」の枠組みの下で健康づくりがどのように保証され、その土台にある安全がどのように確保されていたのかについての検証こそが重要になってくる。問題関心の拡大・深化といったところだろうか。

郷里・石巻やその周辺を襲った巨大津波被害を目の当りにしたのは、共同研究作業の最終盤でのことだった。少なからず精神的な動揺があって、十分吟味することなく書き連ねた論文となってしまっていた。それだけに、健康づくりの分野から現代を問う研究作業が改めて準備される必要があったし、その進展も求められるものだった。

『辺境からはじまる 東京/東北論』は、まだまだ漠然とした問題関心に対して大きな刺激を与えてくれるものだったし、やはり漠然とした課題意識に対してはかなり明確な針路を示してくれるものだった。「辺境」からはじめることに学びながら、研究作業を少しはまとまったものにして行きたいものだ。  mm

2013.11.23

アロニアで筋量増加?

先日、京都の製薬会社が主催する機能性食品の素材に関するセミナーに参加してきました。
神戸大学名誉教授の市橋正光先生が「若々しく健康な皮膚を維持するために」というテーマで、紫外線の皮膚に与える影響についてお話をされましたが、大変興味深く聴講しました。

日焼け止めのクリームの重要性と、特に幼児期に大量に紫外線を浴びることのリスクをデータとともに示されたので、少し日焼けするのが怖くなりました。

僕は今年我々の研究グループでの研究結果が論文掲載された「ウルソール酸」という素材の筋肥大効果について話をしました。ウルソール酸は日本国内でもアロニアという食物に含まれる成分です。動物実験では脂肪減量や筋量の増加が示されており、機能性食品として発売されれば、介護予防に向けたトレーニングとの組み合わせにも有効かもしれません。とても楽しみな素材です。

アロニアについての詳細は
http://www.sapporo-mogoo.jp/feature/expert/02/
よりご覧になれます。

satoshi

2013.11.22

USF特別協力講座・NFL協定科目、今日は3×3の戦略的展開!!

こんにちは。

今日のUSF特別協力講座・NFL協定科目は、

「3×3─日本の新しいスポーツ市場に戦略的に挑む」

ゼビオ株式会社常務執行役員・クロススポーツマーケティング代表取締役、中村考昭さんのご講義でした。

 

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ゼビオグループがなぜスポーツの普及に取り組むのか、なぜバスケットボール、なぜ3×3なのか、それがどのように新しいスポーツ市場の創出に繋がるのか、そして、どのようにビジネスに結び付け、収益を得るのか、きわめて戦略的なグループとしてのレバレッジについて、詳細にご講義いただきました。

今日も教室に満員の学生諸君が熱心にご講義に聞き入りました。

来週は、United Sports Foundation代表理事の諸橋寛子さんのご講義です。

お楽しみに!!

BULLCO

 

 

 

 

 

2013.11.21

健康運動指導士・資格認定試験迫る

 いよいよ4回生が、初めての健康運動指導士資格認定試験に臨みます。
 試験日は、11月23日(土)、場所は大阪市住之江区の大阪アカデミアです。養成校大学生の合格率は40~50%と、かなり難しくなっています。
 これは1000ページにも及ぶ養成テキストすべてが試験範囲となっており、科目も健康づくり施策から生活習慣病、運動生理学、バイオメカニクス、健康づくりのための運動に関する理論と実践を幅広く網羅しているためです。
 今回は、5名の4回生が受験します。3月試験はまだこれよりも多くなると見込んでいます。毎金曜日の3時限目に試験直前対策をしてきましたが、これだけでは合格できません。教科書の読み込みを中心に自学自習を行わなければ合格の切符はいらないでしょう。
 それにしても受験者が少ない。。。せっかく履修科目をクリア―しているならば、是非3月試験にチャレンジしてほしいと思います。
 人生何があるかわかりません。備えあれば憂いなし。特に、病院、フィットネス、大学院進学(実は大学教員になろうとしている人は取っておいた方がいい)希望の学生は受けておくと有利です。頑張ってチャレンジしてください。sana


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2013.11.20

「標語」のもつ力

おはようございます。ma34です。

今日は、先週に授業研究でお邪魔した、彦根市のとある小学校からの話題です。
授業は4年生の「総合的な学習の時間」。
今回の単元は、高学年から始まる外国語活動をみすえて、近くにある彦根城のちびっこガイドとして、おすすめポイント・秘密のポイントを英語で紹介してみよう!という課題がゴールです。

子どもたちは、とても豊かな調べ学習を展開していて、伝えたいことがたくさん出てきました。
ただ難しいのは、それをどうやって英語で伝えるかということ。
まだ外国語活動(週1回、5,6年のみ)を行っていないので、これまでの朝学習などで体験した積み重ねから、何とか言おうとします。

英語がわからなくても、分かる単語や身振りを存分に使って、伝えようとする意思にあふれていて、それが子どもたちのとても良いところだな、と思っていました。

その中で、一番良いなあと思ったのが、これです。「おもてなし」というcatchyな言葉で、今回の活動の目標となる要点がすべて語られています。
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授業の前後に担任の先生が子どもたちに意識化させたからか、子どもたちも活動の過程において、自分たちで「もっとこうしたら、おもてなし、のようになるんちゃう?」と自己評価しながら進めていたのが印象的でした。

このような、子どもたちにもスッと納得させることのできる「標語」づくりは、現場の先生のセンスには到底かなわないなあといつも思います。
担任の先生だからこそ、子どもの実態をよく把握されていて作れるのだろうなあと思います。
そして、それが授業の目標の共有にとても役立っていることが、今回の授業ではとくに印象的だったのでした。

私も、こんなウィットに富んだ標語を授業の中に入れてみようかしら?でもセンスが無いのですが・・・。

現場に行くと、いつもたくさんのことを学びます。

12月初旬には、私が院生のときに授業研究に入っていた小学校の研究発表会があり、ゼミ生とともに参加してきます。
現場での授業を「生徒」側からではなく、客観的に見て、感じたことを交流することで、学びを深めていってほしいと思います。

≪おまけ≫
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今回は、校長先生のおはからいで、給食まで頂いてしまいました。
栄養バランスも良さそうですねー。
校長先生の「検食」は、これに加えてアレルギー対応の子どものおかずもあります。
私自身、アレルギっ子を持つ母親としても、そうかあ、なるほどなあと、
学校側の常日頃の丁寧な対応に改めて感謝する機会にもなりました。

ma34.







2013.11.19

いつの間にか、こんな時期になりました

 卒業アルバムを作成するということで、今日あたりから個人撮影が始まりました。学部1期生の卒業がちらつく時期になってきたようです。
 ワンポイントアイテムを持参しての撮影です。どんな仕上がりになるでしょうか?


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 教室は、いま、卒業論文の作成作業やら、卒業アルバム用の個人撮影やら、3回生の研究調査の予備調査やら、ごった返しています。。。

 卒業論文のテーマで、試合の応援に来られた選手の親御さんに、アンケートへを実施した4回生の学生がおりました。試合を早く観たい!と、逸る気持ちをおさえて、学生のために足を止めて下さいました。いろいろな形で、学部の学生たちを支え、育てて下さっていることに、心よりお礼申し上げます。  【ippo】

2013.11.18

転機

晩秋から冬にかけての気候となっています。

週も、来客の多い1週間でした。

そのうちの一人は、キャリアチェンジを考えているようで、今まで身につけた専門性を利用して、スポーツパフォーマンスの現場で働きたい!とその方策を模索しているようで、その相談にこられました。知る限りの情報、ネットワークを活用してもらいながら、望みのところで活躍して欲しいと願っています。

 もう一人紹介すると、アメリカで運動科学の学部を出て、トレーナーで活動している方でした。大学院のスポーツ健康科学研究科の博士前期課程を考えているようで、どのような研究ができるかを相談にこられました。将来を見据えた上で、「研究力」をつけたい、という目標を定めての訪問で、意気込みと情熱を感じました。

 人生にはいくつもの転機が訪れます。とりわけ、自らが一歩を踏み出しての転機は、その後の人生に大きく影響を及ぼします。そのような転機が訪れたときに、相談を受けたり、進路先となるのは非常に大きな責任を持つことになります。もちろん、最終的には決断したことが、「良し」となるようにサポートするとともに、その人の人生に関われることをの喜怒哀楽をともにする覚悟を新たにします

 いずれにしても、関わった学生、院生、関係者が、望みの人生を歩めるように、適切なアドバイス、サポートができるよう、こちらも日々鍛えておく必要があります。

 <<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

先週、土曜日は、オープンキャンパスが開かれ在学生の保護者の方が、インテグレーションコアで、教学内容、進路就職状況の説明を受けたり、施設見学などで、学生の学びの実態を体験してもらいました。その中でも、一期生である4回生が、この間の学びと進路について報告してくれたところは、保護者の方にとっても当方にとっても感激でした。本学部の学びの体現者である学生の成長が、学部教育の確かさの何よりの証明です。

【忠】

 

 


2013.11.17

「人間らしさ」!?授業の中で

1115日の金曜日3時限目。「学校保健論」の中間まとめテストを実施した。受講登録者のうち123人が受験した。「○×」式の客観問題と論述問題だが、この間の学習の確認が目的なので、決して難問ではない。但し、基本的な事柄について、使われる語句や意味については正確に把握していないと「足を掬われる」ことになる。

例えば、「かつて老人病といわれた生活習慣病が、子どもたちにとって無視できない問題になってきている」は×、「ホメオスタシス(身体機能の恒常性)は、ホルモンと自律神経系(交換神経、副交換神経)との協働によって維持される」も×だし、「成長には『頭部から尾部へ』『中心部から抹消へ』『微細運動から粗大運動へ』といった方向性がある」も×になる。

論述問題は、「『健康の主人公』」としての子どもの発育発達にはどのようなことが必要なのでしょうか。『スキャモンの発育曲線』・『随意運動の発達』の意味を明らかにしながら論述してください」、「子どもの身体発達の特徴はどのようなところにあるのでしょうか。『発育発達のピーク』・『ホメオスタシス』の意味を明らかにしながら論述してください」など6つの設問から1つだけ選択することになる。

まだ客観問題部分の採点が終了した段階だが、60点満点が38人、50点が22人、40点が37人、30点以下が26人となっている。配点が40点の論述部分がどれくらいの出来なのか楽しみでもあるが、ザアッとみた限りでは、結構「苦戦」の様子だ。「重要語句」の意味が正確に把握出来ていないことと、それを用いた問題の掘り起こし方に難がある。

客観問題で「足を掬われ」たり、論述で「苦戦」する原因ははっきりしている。授業内容に「喰い付き」が悪いことだし、「聴く耳」を持たないことだ。もちろん、根本的な問題は、授業担当者の方にあるのだろう。「喰い付き」の良い内容提示と「聴く耳」を持たせるような授業方法・展開において一層の工夫が必要だということだ。

そんな時、「ケータイをもったサル」(正高信男『ケータイをもったサル「人間らしさ」の崩壊』中公新書、2004)の話が思い起こされる。著書自体が刺激的なタイトルであるが、その副題が示すように、生来の資質に加えて、社会文化的になかば涙ぐましい努力を経て「人間らしく」なっていくサルの一種である人間の、「人間らしさ」の所以を探ろうとしているのが興味深い。そして、社会の中に「人間らしく」なっていくように仕向ける要因が消滅しようとしていることへの危機感をケータイとの関わりで述べているのが大変参考になる。

サルが仲間と交わす音声によるコミュニケーションは、現代人が携帯電話(ケータイ)でメールをやりとりしているのと、本質的に同一の機能をはたしているのだという。実際のところ、高度情報化は、そこに暮らす人間のコミュニケーションのスタイルを、従来とは根本的に変えてしまったと言えるようだ。だとすると、授業担当者と受講生とのコミュニケーションのあり方も根本的な見直しが必要になってきているのだろう。そんなことを改めて思い知らされている。    mm

2013.11.16

コーチングの難しさ

 今週の火曜日にメキシコでのカンファレンスから戻りましたが、未だ少し時差ぼけに悩まされています。海外には頻繁に行きますが、時差ぼけだけはどうしようもないみたいです。

 5日間の国際テニス連盟のカンファレンスに参加して感じたのは、各国やコーチごとにコーチングの手法は様々で、成功パターンも一つではない、ということです。例えば、日本のコーチングは正しいグリップやスイングを徹底的に教え、多くの球出しからのストローク練習を好むことが多いですが、これを周到するコーチングを実施している国もあれば、ゲーム中心の指導法にはグリップやスイングの細かな指導は遣り過ぎるべきではない、とする指導理論もあります。どちらもそれぞれ良い側面もあれば、その国の文化には適さない指導法もあるように思います。

 近年はネットをつうじて色々な最新情報を簡単に入手できますが、日本のテニスの普及・育成・強化に向けた正しい情報の伝達の仕方に関して、この間ずっと悩んでいます。より多くの人にテニスを楽しんでもらい、世界で活躍するトップの選手を輩出できるトレーニングシステムの構築に、何かしら貢献できるといいな、と思います。
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satoshi


2013.11.15

Jリーグ、中西理事が圧巻のご講義!!

こんにちは。

今日のUSF特別協力講座・NFL協定科目は、Jリーグ理事 競技・事業統括本部長の中西大介さんが、「Jリーグ─リーグ創立20周年、次の20年のvisionと戦略」をテーマにご講義下さいました。

素晴らしい講義でした。

こんなに率直で、しかも単なるケースに終わるのではなく、経営学に引きつけながら語ってくださる中西さんのご講義に、教室満員の受講生が聞き入りました。

 

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本当にありがとうございました!!

来週水曜日には中東 Jリーグチェアマンが講演に訪れてくださいます。

ますます期待が膨らみます・・・

BULLCO