2010.09.27

『スポーツを仕事にする!』 の紹介

今日は、本の紹介です。タイトルの通り、『スポーツを仕事にする!』 生島 淳著 (筑摩書房)です。この本は、著者である生島さんが自らの脚を運んで、自らの眼によって捉えたスポーツに関連する学部・学科、スポーツに関わる職業についてレポートしたものです。

立命館大学スポーツ健康科学部ならびに大学院スポーツ健康科学研究科が、開設前の昨年に取材にお越し頂きました。そのときに設置事務局長として、この学部・研究科の構想ならびに将来展望、そして夢などを自由におはなしさせて頂きました。その内容を丁寧かつ鋭い切り口でまとめて頂いております。

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スポーツ系学部・大学院の進学を考えている全ての受験生に手にとってよんで欲しい本です。手前味噌ですが、取材を受けたときの内容を少しご紹介します。

第2章 大学でスポーツを学ぶ 「多面的な勉強ができるスポーツ系学部」のタイトルで66頁~72頁にかけ,紹介されています

スポーツ健康科学部の将来ビジョンが「宇宙飛行士になるような学生が育てればいい(笑)」ということで,学生たちにそうした野心を持って欲しいという願いがあり,学部側もそれに見合った教育を行っていくという意志の表明と受け取った.これまでの教育養成を主としてきたスポーツ系学部とはまったく肌合いが違うものを感じた...と紹介されています

本学の目指すところが、他の大学と違うことを見事に見抜いてくれています。是非目を通してください

【忠】

 

 

 

 

 

2010.09.26

進路説明会に参加してきました

季節が涼しいを通り越して、肌寒い感じになっていますが、
みなさん、いかがお過ごしですか。

先週の水曜日、私は、兵庫県の県立高校で、
一年生を対象とした、分野別の進路説明会に参加してきました。

当日は、20名以上の、高校生が、暑い中、真剣に話を聞いてくれました。
今回の説明会では、スポ健を例に取りながら、45分程度、
スポーツ健康科学分野での学びについて説明し、
私自身の研究についても、簡単に紹介させてもらいました。

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久しぶりに高校の教室で授業して、昔に戻った気がしました。
高校生の学生さんには、今、抱いている 「夢」 を大切にして、
実現していってほしいと思います。

今回、話を聞いてくれた学生の中から、
スポ健の四期生が生まれることを切に願っています。
それでは、また。失礼します。
良い休日を。

 

 

 

 

2010.09.25

刺激的な学び...:日本行動計量学会に参加して...

22日から25日まで、埼玉大学で開催された日本行動計量学会に参加しました。

 

スポーツマネジメント研究も他の社会科学領域と同様に、人間の行動や組織の行動、またその測定尺度や統計的な分析手法の開発に余念がありません。さらには、スポーツマネジメント研究は、それらの結果をマーケティングや経営戦略にどのように活かすのかというインプリケーション(実践的示唆)が研究で重要な鍵を握ります。

今回は、ippo先生から紹介いただき、初めてこの学会に参加することにしました。ippo先生から提供していただいた情報で興味を引いたのは、「ソーシャル・キャピタルのマルチレベル分析」でした。

 

"ソーシャル・キャピタル"って何?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この概念は、私がもっとも関心を寄せているスポーツ振興とまちづくりの研究を進める上でも重要なキーワードです。

ソーシャル・キャピタルとは、この研究の第一人者であるPutnam先生によれは...

「協調的な行動を促進することにより、社会的な効率を改善しうる信頼・規範・ネットワークといった社会的組織または仕組みの特徴」

と定義づけられるものです。

 

もちろん、ピンとこないと思います(笑)。

Putnam先生が2000年に発表した"Bowling Alone(孤独なボウリング)"の事例を使って、簡単に説明しましょう!

アメリカ人に愛されてやまないボウリングですが、1980年から1993年までにボウリング人口は約10%増加しているのですが、リーグボウラー(クラブやチームに所属し、リーグ戦に参加する人たち)の人口は約40%も減少しています。Putnam先生は、このような現象がどのような意味をもたらすのかをデータを添えて論じています。

 

「リーグボーラーの減少は、ボウリング場の経営者にダメージをもたらす...」

 

これを裏づけるものとして、クラブやチームに所属し、仲間と一緒にボウリングを楽しむリーグボーラーは、一人でボウリングをする人よりも、ビールやピザの消費金額が3倍違うというデータが提示されています。

考えてもらえればわかると思いますが、居酒屋に行って、一人でグラスを傾けるよりも、気の合う仲間とワイワイしながら、お酒を飲んだ方がきっとお酒も進むことでしょう。私の上司で沈着冷静な行動をとる【忠】先生も、学部のメンバーと一緒に宴会に出かけると、翌日、「ちょっと飲み過ぎたわぁ~」といつもおっしゃっています(笑)。

 

つまり、協調的な行動が促進されると、消費や経済活性化にも影響をもたらすということです。

また経済的な影響だけでなく、協調的な行動が促進されるということは、組織内においても、また地域内においてもコミュニケーションが図られ、意思の疎通や他者への理解、規範意識や秩序を保つことにも大きく貢献することが予想されます。他者とのつながりが希薄化すれば、入手したい情報も手に入りにくくなることでしょうし、他者とのつながりが希薄化すれば、周りの人たちを信頼するというチャンスも失うため、さらに孤立化を助長するという悪循環につながります。

 

Putnam先生の研究は、アメリカの社会で定着してきた古き良き時代、つまり、デモクラシーの衰退が社会の衰退を招くと結論づけたものです。

このソーシャル・キャピタルという概念を使って、現在では、政治学、社会学、経済学、経営学のみならず、ヘルスプロモーションなどの健康政策にも関わる問題まで論じられています。

 

それで...

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話を行動計量学会の発表に戻すと、このソーシャル・キャピタルという概念の定義、操作化、測定尺度、また分析レベルで検討を加えるべき点についてディスカッションされました。

このセッションの登壇者は、日本でもソーシャル・キャピタル研究の第一人者といわれる日本大学の稲葉先生やこの分野の実証的研究を数多く進められている三菱UFJリサーチ&コンサルティングの市田さん、また地域でヘルスプロモーションの実践とソーシャル・キャピタルの研究に手がけている島根大学の濱野先生でした。

 

 

ソーシャル・キャピタルは、個人のものか、集団や地域の特性か、測定尺度は単一項目ではなく、複数項目で測定されるべきではないか、また分析レベルは、相関や回帰ではなく、多変量や階層レベルを考慮したマルチレベル分析を進めるべきではないか...などなど、刺激的な情報を入手することができました。

 

ついつい、研究を進めていると、視野が狭まり、大切なきっかけを見過ごしがちになります。

我々スポーツマネジメント領域のメンバーには、体育科教育やスポーツ教育学に手がける【智】先生、基礎科学としての経営学やマーケティングに手がける【道】先生、そして社会心理学や組織心理学に手がける【ippo】先生など、ユニークかつ多彩な研究業績を持つメンバーがスクラムを組んで学生の指導に当たっています。

 

我々教員も互いに学びあうように、学生諸君も他の学生から刺激を受けてほしいと思いますし、視野を広く持って、研究の可能性を探究してほしいと思います。

今回の学会参加は、そんな気づきを得るものでした!ippo先生、多謝!

 

 

 

2010.09.24

大学院生実験-秋編-

 先週16日から18日まで千葉商科大学・和洋女子大学にて第65回日本体力医学会大会が千葉県市川で開催されました。その学会で【Moto】の共同研究者である、国立健康・栄養研究所の村上晴香先生(写真)が若手研究奨励賞を受賞しました。おめでとうございます!

 

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 ここ数日、気温が下がり、涼しくなってきましたが、夏休み終盤でも大学院生の実験はまだまだ続いています。【Moto】の大学院生である【K村】君のサプリメント実験も第2段です。今回は筋トレとサプリメントの併用効果を検討しています。サプリメント単独よりも運動と併用した方がより効果的に運動効果を得られるかも?ということで実験しいます。【K村】君の実験は、なかなか上々で、今回の実験も結果が楽しみです!実験協力者には、【キム哲】先生、【Koji】先生が参加し、頑張ってくれました!写真はサプリメントを飲む【Koji】先生、動脈硬化指標を測定されている【Koji】先生と筋トレに奮闘する【キム哲】先生です。秋の夜長に読書、ではなく、実験を行っているスポ健院生たち、頑張れ!!

 

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 by Moto

 

 

 

 

2010.09.23

心理学とスポーツ

 日本心理学会が3日間(9月20~22日)にわたって行われました。

 出身大学院の"隣り近所"の研究室だった先生方や研究仲間とは、この学会でしか会えないこともあって、毎回、ちょっとした同窓会でもあります。睡眠・高齢者の研究をされている先生、時間を感じる脳内機能の研究をされている先生・・・とも、久しぶりにお話できました。このスポーツ健康科学部に来ることができて、大学院当時のことを思い出すことが増え(近隣分野の知識はしっかり抜け落ちていますが・・・)、懐かしさも倍増です。

 

 さて、今回の学会の中では、「心理学は競技力向上にどのように寄与してゆくのか(4)」というタイトルでのワークショップもありました。話題提供の内容は、3つ。

 "あがり"を生起させるメカニズムを認知的評価(状況の捉え方)から説明しようとした精神生理学的な研究、今そこにある関係性の中で生まれる(サッカー)指導・対話を記述し、その特徴を浮き彫りにした定性的な研究、JISSで行われているトップアスリートに対する心理的サポートに関する実践的な研究・介入事例、が報告されました。

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競技力向上を視野に入れない研究があってもよいのではないか?他の領域の研究者と協働したい・する必要があるのか?・・・などの議論が展開されました。また、スポーツというフィールドの特徴は、他のフィールドに比べて基礎研究と実践との間の垣根がきわめて低いことにありそうだ、といった指摘もありました。

←(写真 : WSの様子・・・他よりも男性が多い会場でした)

 

 このワークショップで、ひょんなことから言葉を交わした先生は、大学院の講義でお世話になる先生で、その紹介の紹介の・・・で出逢うことができた方は、BKCの理工学研究科で研究するドクターコースの方でした。人の縁はおもしろい!と思ったと同時に、海のものとも山のものとも分からない人間に、紹介くださった先生方にはとても感謝しています。忘れられない学会になりそうです。

【ippo】

 

 

 

2010.09.22

スポーツ健康科学研究科1期生のリサーチプロポーザル

来週は、本研究科1期生が、リサーチプロポーザルを公開する。

立命館大学BKCキャンパスのインテグレーションコアで行われる。

本研究科に所属する全ての大学院生が、これまでの大学院生活での学習から学んだことを踏まえて、自分の修士論文に向けた研究計画を発表する。

 

形式は、ポスター発表。

各人毎に指定された場所にポスターを掲示する。

 

最後まで、粘り強くやり遂げて欲しい。いつも指摘されている所、新たに指摘された所、様々であるが、それらに手抜かりなく、対応してもらいたい。

過日の吉田先生(びわこ成蹊スポーツ大学)の発表は、この時期の院生にとって、とてもタイムリーな内容であった。

 

CIMG0022.JPGスポーツ健康科学研究科の全ての院生さんへ。

吉田先生の発表のスライドを掲載させて頂きます。

皆さん、最後まで、頑張ってください。

 

この思いは、スポーツ健康科学部の事務の方、教員、皆同じです。

【 智 】

 

 

(写真20100917 びわこ成蹊スポーツ大学吉田政幸先生のご講演から)

 

 

 

2010.09.21

感謝と感動。

<RecO便り23>
 9月15日(水)【聡】先生の健康教室に参加されている皆様へ食事調査のための説明会を行いました。スポ健1年生には、前期の「スポーツ栄養学」の授業で紹介したとおり(憶えていますか?)、食事調査の方法は色々ありますが、今回行うのは、最もスタンダードな、食事の内容の秤量・目安量を記入、プラスその食事を、スケールと共に写真に撮影していただく方法です。
 こう書くと簡単ですが、実際にきちんと行うのは、かなり面倒なこと。まず自分の食事を他人に公開すること自体に違和感を感じる方もいらっしゃいます。
 そのため、きちんとした食事調査を行うためには、その目的と詳細をしっかり説明して、納得していただいてから始めることが前提になりますが、ここで大切なのが、対象者の皆さんと調査担当者との信頼関係です。

 今回、事前説明をさせていただいて、【聡】先生の【聡】プロジェクトの面々と、参加されている皆さんはとても良好な信頼関係を築かれていることに改めて感心しました。
 それを一番感じたのは、詳細な説明を終えたあとの質問の多さです。
「こういう場合はどうするの?」「私はこうしてるんだけど、こう書いていい?」などなど、皆さん、自分が書くとしたら、ということを想定して考え、その上で必要となる具体的な質問を沢山投げかけて下さいました。
 【聡】プロジェクト、さすがです。

 説明会の終わりに、参加者のお一人から「これこれ!食べて!」と言って、爪楊枝の刺さった容器を差し出されました。
 見ると、以前、今年の4月に、一度皆さんにRecO で運動教室を開催した際、運動後の速やかなタンパク質と糖質の摂取にと、きな粉と蜂蜜で作る手作りの飴として紹介し、食べていただいた「きなみつ飴」でした!

 聞けば「教えてもらってから、いつも作って持ってきているの。今日のはちょっと柔らかいかな?」とのこと・・・言葉にならない程、感動しました。
「いいのを教えてもらって。ありがとうね」と言って頂きましたが、私の方こそ感謝です。作り続けていただいて、本当にありがとうございました。

 さて、この「きなみつ飴」を含む、私がよく作る、簡単おやつ4品が、9月8日のデイリースポーツで紹介されました。RecOでの撮影風景も載っています。

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 きなみつ飴の他、小麦粉と抹茶で作る「ういろう」。以前このブログで紹介した車麩で作る「フレンチトースト」、好みの紅茶に漬けるだけの「プルーンの紅茶漬け」の4品です。

 どれも簡単なので、チームの選手やマネージャーが自分たちで作れるおやつレシピとして紹介しました。

 中でもきなみつ飴は、日持ちがし、携帯しやすく、練習中や試合の間でも食べやすいので、多くのチーム、選手に活用されています。

改めて作り方を。
好みの蜂蜜大さじ3杯を熱し、沸々沸いてきたら、きな粉50gを入れてよく混ぜる。粗熱が取れたら、それを打ち粉をしたまな板に乗せ、棒状にし、一口大にカットし、冷ます。これだけです。
色々なきな粉、色々な蜂蜜でおためし下さい。
(写真;9月8日デイリースポーツ8面)
【abc. 追伸 先日紹介した「食トレ」。おかげさまで重版になりました! 


 

2010.09.20

秋の学会シーズン

ようやく秋めいて参りました。滋賀ではお米の収穫真っ盛りとなっています。

秋は、「読書の秋」、「食欲の秋」、「スポーツの秋」といわれますが、「学会の秋」でもあります。【Moto】先生のブログにありますように、日本体育学会、日本体力医学会と立て続けに大きな学会がありました。

中京大学で開催された日本体育学会では、従来にない趣向が凝らされ、かつ中京大学のスポーツ資源を活用したイベントもありました。

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中京大学のスポーツ施設は、日本の大学のトップクラスといえます。50mプール、公認の400m陸上トラック、複数の体育館、そして何とアイススケートリンクが2つもあります!

もちろん、アイススケートリンクでは、浅田真央選手をはじめ、国内、国外のトップレベルの選手がこのリンクで練習しています。

今回の日本体育学会では、「公開練習」が披露されました。約300席のスタンドは超満員で、スケート部の皆さんのパフォーマンスに魅了されていました。

また、体育学会では、情報交換会が催され、アジアの武道、舞踊の紹介と学会参加者同士が分野を超えた交流ができる企画がありました。体育学会も10を越える分科会があり、分野を横断する催しとして企画されていました。

千葉で行われた日本体力医学会では、ランチョンセミナーという企画があります。初日のランチョンセミナーのときに、【Moto】先生のブログにあるように、後藤一成先生の大塚スポーツ医・科学賞 奨励賞の受賞講演がありました。2日目には、「京滋からの新しい風 -新研究科の紹介-」と銘打ったランチョンセミナーがありました。このセミナーは、今年の4月に、同時にスポーツ健康科学研究科を設置した本学と同志社大学の共同企画でした。普段はライバル大学ですが、この分野をともに切り開いていこう、と両研究科長の相談のもと開催致しました。会場には弁当の数よりも多い200名を越える熱心な聴衆が集まりました。本研究科の院生さんも若い先生方にも協力頂き、スムーズな運営で素敵なセミナーをすることができました。 【忠】

 

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写真左:ランチョンセミナーのお弁当

写真右上:弁当配布前

写真右下:関係者全員の集合写真

 

 

 

2010.09.19

明日は敬老の日ですね

残暑もどこへやらで、すっかり秋めいてきましたが、
みなさん、いかがお過ごしですか。

明日の20日は、敬老の日ですね。
日本は、長寿大国として知られており、
みなさんの周りにも、心身ともに健康的な生活を送れるよう
努力しておられる方も多いと思います。

一般的に、高齢化に伴って、脳細胞の数が減少していくと言われています。
以下の図は、Hedden and Gabrieli (2004) NATURE REVIEWS NEUROSCIENCE pp.87-96
から引用したものです。

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ここで注意したいのは、脳細胞の減少のペースには、
個々人の差があるという事です。

現在、様々な運動により認知機能の衰えを
軽減できるという報告がなされており、
我々のスポーツ健康科学部でも、
研究が進められています。
我々の研究が、社会に貢献できるよう、
頑張っていきたいと考えています。

それでは、また。失礼致します。
良い休日を。
             敦

 

 

 

2010.09.18

知的好奇心をくすぐる...2つの学び

一生感動、一生勉強...

(どこかでよく似たフレーズを耳にされた方もいらっしゃると思いますが...)

 

いくつになっても感動するということは、大切です。それと同様に、"知る"または"知的好奇心"をくすぐるような機会を持つことは、天命を終えるときまで成長し続ける我々人間にとって、本当に大切なことです。

 

今週、2つの学びの機会を得ました。

 

1つは、「立命館大学スポーツマネジメントスクール」が今週から開催され、プロスポーツチームのGMや民間企業のマーケター、また財団法人のマネジメントを統括するリーダーや弁護士などといった方々が参加する3ヶ月間のセミナーに、立命館大学の大学院生とともに、私も聴講させていただき、学びの機会を得ることができました。

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このセミナーを主宰されているのは、本学の客員教授で、スポーツメディア論などの授業も担当していただいている多摩大学の広瀬一郎先生です。広瀬先生は、電通で長くスポーツマーケティングに携わっておられ、特に2002年のサッカーW杯の招致には多大な尽力をされた方です。

 

私が大阪体育大学で研究員をしているときに、恩師の原田宗彦先生の代理で経済産業省関係の会議に出席したときに初めてお会いし、それ以後、アドバイスをいただいている先生です。

 

広瀬先生は、スポーツビジネスに精通するだけでなく、スポーツをすることによって育むことができ、かつそれが社会人にとって、欠くことのできない素養や資質につながる「スポーツマンシップ」の重要性を主張されており、この数年間は、特にスポーツ界から発信できる社会人教育や人材育成に力を注いでいらっしゃいます。

 

今週の講義で広瀬先生から学んだ中でも、特に印象に残った3つのことは...

1.言葉の大切さ

広瀬先生が学生時代に、先輩から「ボキャブラリーは思想だ!」ということを教わったらしいのですが、確かに言葉は大切であり、言葉に対する共通理解が人々の間に進めば、コミュニケーションはスムーズになり、また意思決定も速くなります。そのためには、言葉は大切に使わなければなりませんし、共通理解を図るためには、その言葉の定義も厳密にならなければなりません。全ての人たちにとって、言葉は当然大切ですが、研究や科学、また教育に携わる我々は特に、このことを肝に銘じなくてはと痛感しました。

 

2.Howではなく、Whyからスタートする

我々は、ついつい、物事を考える際に、その方法論ややり方のことを気にしがちですが、大切なのは、"なぜ、それをするのか"または"それをすることにどの様な意味があるのか"ということです。つまり、"どのように?"ということを考える前に、"なぜ?"ということを考えなければなりません。身近な事例で考えれば、「5分前集合」や「5分前行動」ということを、我々は学校や部活動などで、経験していることと思いますが、これにはどの様な意味があり、なぜそれをしようとするのでしょうか?私も含めて、多くの方々は、5分前集合に遅れてはいけないということが先に立ち、遅れないようにすることが行動の目的となっていたという経験がないですか?「5分前集合」をすることには、当然、意味があるように、我々人間の行為には、全て意味があり、その意味や目的にしたがって、行動が生起するはずです。目的のための手段そのものを、目的化させない...。改めて大切なことに気づきました。

 

3.行為は、"成果"によって定義される

"手段を目的化させない"ということと、よく似たことなのですが、人間の行為や組織の行動は、成果によって定義づけられるということです。これは、"経営学の父"と呼ばれるピーター・ドラッカー(彼の専門は、本来、社会動態学ですが...)が述べた言葉です。全ての出発は、成果にあり、その成果を何に求めるか、また何に求めるべきかによって、我々の行動は規定されます。そして成果を上げるために我々は、直面する課題を解決する必要がありますが、その課題や内在する問題の原因とその解決策を考える際に我々は、問題や解決策を構造的かつ体系的に捉えなければなりません。成果を定義づけること、またその成果を導くための方法論を構造的かつ体系的に考えること、まさにこれは、いまの私の仕事にとって、欠くことができません。もちろん、これは私だけにあてはまることではなく、全ての人にあてはまることだと思いますが...。

 

2つめの学びの機会は、大学院生を対象に私自身が企画した特別講義です。

びわこ成蹊スポーツ大学で教鞭を執られている吉田政幸先生をお招きし、「スポーツマネジメント研究の動向」というお話をしていただきました。吉田先生は、筑波大学で学ばれた後、アメリカに渡り、フロリダ州立大学でスポーツマネジメントの博士号を取得され、我々の分野では、権威のある学会の1つであるNSSAM(北米スポーツマネジメント学会)で学生部門の研究コンペティションで最優秀賞を、日本人で始めて受賞された大変優秀な方です。

 

講義は、"Research"という言葉が、"re:再び"と"search:探求する"という2つの言葉から成り立ち、研究とは、繰り返し繰り返し、探求し続けることだというお話に始まり、現在、修士論文のリサーチプロポーザルを作成している大学院生にとっては、勉強になる話ばかりでした。

当日は、"志ある"スポーツ健康科学部の1回生6名と、来年の4月から我々の大学院に進学をする経済学部の4年生も加わり、大変有意義な時間を過ごすことができました。

吉田先生の特別講義の内容は、通称"ブログオヤジ"の【智】先生が来週のブログで、画像を交え、詳細について紹介してくださると思います(笑)。

 

 

今日は、スポーツ健康科学研究科、大学院入試の日です。我々とともに、研究したいという志のある方々が現在、受験をされています。

落ち着いて、この日のために積み重ねてきたことを存分に発揮し、来年の4月に元気に会えることを楽しみにしています。そして入学すれば、今日、ご紹介したような様々な学びの機会、そして皆さんの知的好奇心をくすぐるような機会を提供したいと思います。

 

受験生の方々、がんばってください!