あっという間に10月になり、授業が本格始動です。
突然、肌寒くなりましたが、みなさま、体調管理は大丈夫でしょうか?
先週末、JOCの合同ミーティングがあり、味の素ナショナルトレーニングセンターと国立スポーツ科学センタ−(JISS)に行ってきました。来年のロンドンオリンピックに向けて、新体制が組まれ、2年間、科学サポートという立場から協力させて頂くことになりました。私に何ができるか...選手の役に立てること、出来る事を陰からサポートしようと思っています。
ロンドンオリンピックに向けて、着々と準備が進められています。
選手がいなかったのでトレーニングルームを撮影できました(^^)
自主トレなどで活用できます。
久しぶりの現場の空気を感じ、有益な情報交換の場となりました。JISSのIto先生が、あるトップアスリートが言った言葉を最後に、ミーティングが終了となりました。「何があっても、どんなことが起こっても、全てをポジティブに捉えられることが大切!」
スポーツに限らず、生きて行く上で「全ての出来事をポジティブに!」という考えはプラスになります。自分の心を自身でコンディショニングできる選手、自身でコントロールできる選手が本当に強いアスリートであり、強い人間なのかもしれません。例え、あらゆる批判や、意外に身近なところで陰口をたたかれることがあったとしても、それだけ自分の存在と能力を認めてくれている証拠だとポジティブに捉えることが大切?と考えた週末でもありました。
さて、もう1つ、どうしても書きたいこと!今週、ノーベル賞が決定しました!
毎年、ワクワクするのですが、2011年のノーベル医学生理学賞は私の大好きな研究分野でもある自然免疫の受賞で、さらにテンションがあがりました。「Toll Like Receptor; TLR」という細菌やウイルスを認識する受容体を発見した3名の先生が受賞されました 。
12月、ストックホルムで授賞式が行われます。
2006年秋...博士3年生の冬、大阪大学の審良静男先生が候補にあがっていたことを思い出します。(昨年も今年も京都大学の山中先生が注目されていましたが)私は純粋に腸管免疫系に魅力があったので、ポスドク先として、国内外問わず、運動・ストレスと腸管免疫系を研究しているラボを探していました。あれから5年、TLRの発見からは20年近くが経過しているでしょうか。きっとまた「運動とTLRの関係」が注目されるかも!?と密かにワクワクしています。(スポーツ科学では非常にマイナーな分野なのですが。。。)
博士課程でやっと実験のOKがもらえた2年生の時、審良先生や粘膜免疫の研究室にいらっしゃる竹田潔先生の研究に魅力を感じ、選手のコンディショニングという現場に関連するのではないか!?と、急にメカニズムの勉強に没頭し始めました。右も左も分からない免疫の世界に飛び込んで「腸管免疫系とアスリートのコンディショニング」にたどり着き、突然のスタートだったので、昼夜問わず研究活動にのめり込みました。
数年前の国際運動免疫学会で、アスリートの上気道感染症(風邪)は、感染の症状であることが多く、実際にウイルス感染しているケースは意外に少ない、と報告されました。「なぜ?風邪は単なる風邪の症状??どうしてそうなるの???」という疑問から、消化器系、腸管への興味が深まりました。
運動免疫の研究でアスリートを対象とした疫学調査など、現場的な研究をしているグループがオーストラリア、ヨーロッパのグループに多く、現象は分かっているものの、メカニズムは不明です。さらに、免疫担当細胞(白血球)を自律神経系の指標としてコンディショニング指標として活用できるという試みがなされているものの、メカニズムは不明です。
現場で選手の状態から研究に繋がることは非常に多いと思います。メカニズムを明らかにすることは私のテーマ、運動免疫学を志している研究者のテーマでもあります。細菌やウイルスを認識するレセプターであるTLRがどこで運動やストレスと繋がってくるか!?非常に興味があります。現場に還元できるようにという気持ちを忘れずに、今後の情報の1つとして改めて視野に入れながら研究していこうと思っています。
今年は、博士課程の研究と最終学年での出来事を振り返らせてくれたノーベルプライズでした。将来を考えながら、純粋に自然免疫系、腸管免疫系はおもしろいけれど、顕微鏡で腸管の1つの細胞のメカニズムにターゲットを絞って研究していくとしたら???。「木を見て森を見ず」になって、スポーツ科学の分野に戻れないかもしれない、など、さまざまなことを考え、悩んだ時期でした。きっとM2のみなさんも、同じような悩みを抱えている方がいることと思います。その時は原点に戻って、自分の夢と目標を見つめなおすことが大切だと感じています。自身の目標に対して応援してくれる人もいれば、批判的な見方をする人もいると思います。だからこそ、改めて自分の夢に対する意識の強さを見つめ直すチャンスになります。批判的な見方をする方々のおかげで、世の中のバランスが保たれているのかも!とポジティブに考えたりする今日この頃です(^-^)香