[ 2025年06月 ] の記事一覧

2015.01.23

知識と理解

次年度のシラバスをリニューアルしようとこれまでのものを見直しています。到達目標ではよく「~を理解する」というフレーズを使っています。なんとなくこの「理解する」がしっくりこなくなっています。特に教育の分野では「知識の獲得」「理解」とはどういうことなのか改めて考える必要があるのではないかと考えています。知識を得ることは書物やその他様々なことから可能です。では、知識があることと理解することはどう違うのか。得た知識、その対象となるものをより深く知ることが理解なのでしょうか。さらに、知識や理解はそれぞれの内面にのみ留まった場合、知識を獲得し、理解するということは何のために必要なのでしょうか。このように考えると、得た知識もある事象に対する理解も、表出され使われて初めてその意味を持つのではないのでしょうか。ということをぐるぐるぐるぐる考えて、シラバスが進みません。到達目標は「理解」の先の「行動」ではないのか、その行動を起こすための授業はいかなるものか、果たしてそこまで到達できるのか…締め切りまであと数日、再度シラバスと格闘しそうです。

2015.01.22

M1中間発表会

今週は博士課程前期課程(修士課程)1回生の中間発表会が開催されました。発表7分間、質疑応答7分間で修士論文作成に向けた現時点での進捗を発表しました。教員も朝から夕方までフル参加です。自分が研究指導をする大学院生以外の発表にもすべて参加をして、質問やアドバイスを行います。

中間発表と言ってもまだ大学院1年目(1回生)、一般的にこの時期の進捗報告は研究計画の発表や予備実験の結果の発表になります。しかし、今回の発表で多くの大学院生は入学後に実施した研究結果を紹介しました。修士論文執筆に必要なデータを既に取り終え、追加の研究(調査)に取りかかっている大学院生もみられました。大学院入学後に着手した研究に関して、既に学会発表を済ませている大学院生もいます。実はこれは今年に限ったことではなく、例年、多くの大学院生は1年目の時点で修士論文作成に必要なデータの収集を終え、2年目には学会発表を複数回行います。さらに、海外の学術雑誌に論文投稿を済ませる大学院生もみられます。

私はこれまで複数の大学で勤務してきた経験があるためよくわかるのですが、実はこれは凄いことです。けれでも、私達教員は「凄いね!!」と簡単に褒めることはしません。したがって、大学院生達は自分達がきわめて高いレベルで、質の高い研究を猛烈なスピードで実施していることに気づいていません。スポ健基準ではこれが「普通」だからです。

「凄いことを当然のように行うことができる」こういったことができるチームは強いです。そして、スポーツ健康科学研究科では着実にその伝統が作られつつあります。圧倒的なスピードで2年間の大学院での生活を終えた時、「良く頑張ったね」と褒めてあげようと思います。その時初めて、大学院生達には自分達が凄いことを行ってきたことに気づくと思います(笑)

2015.01.21

置かれた場所で咲きなさい

こんにちは。ma34です。

 

本日から試験期間となります。

インフルエンザも流行がまだ続いておりますが、体調管理もしながら、後期の学びの集大成として力を出し切って欲しいと思います。


今週月曜日は、忠先生も書かれていたように、2回生の研究入門の時間に専門演習(ゼミ)の配属先の教員とゼミ生との懇談ができる時間が設定されました。配属先に別れる前の全体ガイダンスで、O友先生が話されたお話が私の心にも強く響いたので紹介させていただきます。

 

O友先生は、ゼミの配属において、希望が叶えられた人もいれば、叶えられなかった人もいるかもしれない、とおっしゃったあとで、あと2年間をどう過ごすのか、自分自身の心構えと姿勢をもう一度考えて欲しい、と学生に伝えました。そして、そのゼミで「なくてはならない人」になって欲しい、と強いメッセージを語られました。「居てもいなくても変わらない人」は、どこにいってもそのような人であり、「なくてはならない人」はどこに行っても活躍でき、どの場でも「なくてはならない人」になるのだ、と話されました。

 

このお話を聞いて、一時期注目された、渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長)氏の著書『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎、2014年第56刷!、初版は2012年)を思い出しました。「境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。『現在』というかけがえのない時間を精一杯生きよう」(p.15)とも書かれています。先生は、同じメッセージを、さらに学生に響く言葉に乗せて語ってくださったのだと思います。

 

O友先生は続けてこのようなことを伝えてくれました。

スポ健の学生は、どの学生もみな、とても可能性に満ちた学生で、教員はどの学生にも同じように豊かな学びの機会を与えようとしていること。けれども、それを受け取るのは学生の皆さんであり、その受け取り方の違いがそれぞれの未来を形作っているのかもしれない、と。

 

聞いていた2回生はじっと耳を傾けていたと感じました。もちろん2回生に限らず、どの学年の皆さんも、この強い、そして温かなメッセージをしっかりと受け止め、ぜひ改めて、来年度の自分のあるべき姿や目標を心に描いて欲しいと思います。

何より、私自身の心にとても強く響きました。ありがとうございました。

2015.01.20

明日から定期テスト

Hassyです。

昨日、本年度の授業が終了しました。
明日からは学びの到達度を確認する定期テストが始まります。
私の担当する「運動生理学」も本年度から定期テストを採用します。
持ち込み不可のテストですので、受講生からは危機感が感じられます。
予想問題も難しいと感じているようです。
ただ、集中して「学び抜く」ことで自分の糧になると思いますし、そうしたハードルを越えていく経験も必要でしょう。
頑張ってください。

さて、昨日の「スポーツのサイエンス」が本年度の私の授業おさめでした。
先週末は、当該授業の招聘講師として、鹿屋体育大学准教授の宮本直和先生にお越しいただき、「走運動のバイオメカニクス」についてお話いただきました。

特に短距離に着目して、ボルト選手やパウエル選手などの豊富な映像を交えた、いつもながら魅力的な授業を行っていただきました。

短距離走をみていると、スタートから飛び出して早くに最高速度に到達するスタートダッシュ型の選手と、ボルト選手や、往年ではカール・ルイス選手(学生さんはもう知らない?)など、後半の追い込みが凄い(競走馬でもそうしたタイプの馬が多くいますよね?)選手があると思います。

では、短距離走で向かい風が強いとき、スタートダッシュ型の選手と後半追い込み型の選手ではどちらが有利か?
写真は、それに答えて挙手している受講生たちです。
(みなさんいかがですか?)
そうした疑問を、スポーツ科学の観点から解説されました。

また、身体動作は筋肉が収縮することで為されますが、筋肉は腱を介して骨に接続しています。
こうした筋肉と腱の特性を、一流アスリートの実際のデータを紹介しながら解説されました。

また、ご自身が研究されている肉離れの特徴やストレッチ効果の是非についても、最新の知見を織り交ぜながら解説され、興味深い内容でした。

講義後は、やはり身近な内容の延長としてのスポーツ科学ということで、受講生からも質問が盛んでした。

宮本先生、ありがとうございました。

さて、本日はこれからスポ健修士大学院1回生の中間報告会です。
この1年間、修士論文作成にあたり、どのように研究を進めて来て、どのようにこれから発展させていこうとするのか、報告してもらいます。
楽しみです。

2015.01.19

口頭試問と次のスタート

先週のHassy先生、GOTO先生がかかれているように、「卒業論文口頭試問」が終わりました。

4年間の集大成としての卒業論文をまとめ、その内容を5分という短時間の中で、論理的に構成し、主査と副査へ伝えきらなければなりません。また、その後の質問にも的確かつ明快に答えなければなりません。この間、蓄積してきた知識と理解を総動員して、受け答えすることになります。GOTO先生も書いているように、適切な言葉と言葉遣いで応答する卒論生たちの成長に嬉しくなりました。

 

2期生のゼミ生は、相互に協力し合い、助け合いながら、実験、解析、執筆へと進めていきました。同時に、ゼミ活動も熱心で、他大学交流、スポーツメーカー訪問などの企画・実行、後輩たちへの面倒見も良く、誇りにできるゼミ生たちです。

 

口頭試問の講評で、「卒業論文、口頭試問を通じて、4年間のスポーツ健康科学部の学びの集大成をしてもらうとともに、①ひとつのテーマ(課題)を設定すること、②その課題解決のための実験・解析、③最後まで粘り強く進めること、を学んでもらいました。このプロセスは、どんな分野に進んでも求められる力です。是非、このプロセスを理解するとともに、これら3つの力を伸ばしていってください。」、と述べました。

 

今日の1時限目は、2回生の「研究入門」の最後の授業で、来年度のゼミ生との顔合わせです。3回生、4回生も出席してくれて、ゼミでの学び、卒論へ向けたスケジュール、春休みの課題などを話します。就活の時期のことを考えると、2回生たちも、この春休みから、卒論へ向けたゼミがスタートします。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

佐藤善治先生の最終記念講義が先週金曜日に行われました。この間の教育・研究活動について、関わった先生方、関わった事業などを中心にお話ししてもらいました。『教育は種をまくこと』ということを再認識させていただきました。 本日、4限目は、三浦正行先生の最終記念講義です。両先生、長きにわたり本学の教育・研究を支えていただきありがとうございました。

【忠】

 

 


2015.01.18

アメリカ便り (14): Emergency

今日は、センター試験二日目ですね。
寒い日が続いていますが、受験生の皆さん、
無事試験会場に到着しましたか?
なかなか平常心でいるのは難しいと思いますが、
自分の全力を出し切られることを願っています。

ワシントン D.C. でも、毎日のように最高気温が零下の日が続き、
私は、なかなか風邪が治らず、咳のしすぎで脇腹を痛めました (^ ^;)




メリーランド州立大学 College Park 校のキャンパスは、
一つの街になっているので非常に大きく、
キャンパスが広い故に問題も起きることがあります。
それを防ぐために、キャンパスの至る所に、
写真のような Emergency ボタンがあります。
(私も、こちらに来る前に、F本先生やO塚先生から、
「くれぐれも気をつけてくださいね」と言われて
少し不安でしたが、今のところ大丈夫です)

日本の大学では考えられませんが、
先日、キャンパス近くのアパートで、
拳銃を持った強盗が出たという
ニュースががありました。
私は、こちらに来て、実際に拳銃を見たことはありませんが、
気をつけないといけないなと思いました。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#14>>
大学からはこういった緊急時に "Alert" (警報) メールが届きます。
その中のメッセージに
"Trust your instincts. (直感を信じよ)
They are a natural gift that tells you when something is wrong." 
と書かれていました。
なにやら受験にも通じる話ですね


2015.01.17

あの日から20年…

今日で阪神・淡路大震災から20年という月日が経ちました…

神戸市の東遊園地をはじめ、震災で尊い命を落とされた6,434人の方々の鎮魂の祈りを込めて、被災した地域では、地震が起きた午前5時46分に黙祷が捧げられました。震災後の復興は、もちろん、その地域に住む方々にとって大切なことなのですが、私たちは、都市機能が回復すると、ついつい被災された方々が未だ被り続ける心の傷や喪失感、また孤独感といったことを忘れがちになります。

戦争、震災…
これらによってもたらされた様々な被害や出来事のことを、私たちは風化させてはいけないですし、このような被害が二度と起こらないような社会システムを築くとともに、それを機能させる人と人とのつながりと絆をより強めていかなければなりません。






今日からセンター試験が始まります。受験生の方々がその実力を発揮し、想いが叶うことを祈るとともに、今日、お誕生日をはじめとした大切な記念日を迎えられた方々には、心から祝福を捧げたいと思います。

Jin


2015.01.16

終わりと始まりの交差

2年生のゼミ配属も決定し、年始から早速始動しました。ゼロゼミ(朝8時からの異学年合同ゼミ)の開始です。
先週、1月9日は4年生の口頭試問練習を兼ねた卒業論文発表を行い、本日は3年生の卒業論文構想と進捗状況の発表を行いました。これらは、2年生がゼミの内容を知るため、どのようなテーマを卒業論文で取り上げることが可能かを早くに知ってもらうためです。
また、3年生の卒業論文のうち、興味のあるテーマを選択し、その3年生とパートナーを組むためです。上の学年の卒業論文を下の学年のパートナーが添削をするというスタイルをとっています。去年は前期途中で中断しましたが、今年は3年生のテーマ確定が早かったので、前期の間は下の学年の人に添削をしてもらう予定です。他者の論文を緻密に添削することは、論文の内容に疑問を持つ目を養うだけでなく、文章力そのものが向上します。3年生の前期で他者の文章をしっかり添削できる力を培ってもらうと、自身の卒業論文を書く際の文章力が格段と違います。この合同ゼミは、月に2回、専門演習のある日の朝8時から1時間です。その練習?も兼ねて、2年生には年明け計3回、朝の8時に出席してもらいました。月曜日には、興味を持った論文の執筆者とのマッチングです。初めての試みでしたが、3学年合同ゼミを2回実施してみて、よかったと思っています。特に2年生にとっては、2学年分のテーマを聞くことができ、もう少し卒業論文のイメージが膨らんだのではないかと思います。
写真は、本日のゼロゼミ。3学年一緒に撮りたかったのですが、2年生は試験があるということで猛ダッシュで教室に向かいました。。。


3年生の進捗状況:
3年生は去年末までにほとんどの人がテーマを確定し、S村T朗君はすでに1回目のデータを取り終えました。Miya-Mocchhii君も協力者への説明、協力依頼までこぎつけ、インタビュー開始までもう少しのところまできました。

2015.01.15

最後のプレゼンテーション

Hassy先生のブログでも紹介されたように、今週の火曜日および本日の2日間にわたり、卒業論文の口頭試問が行われました。口頭試問では、5分間のプレゼンテーションと3分間の質疑応答(主査、副査との質疑応答)を行います。口頭試問とはいわゆる試験に相当しますので、スーツを着用した上で発表に臨みます。

このブログでも紹介してきたように、スポーツ健康科学部では1回生の基礎演習、2回生の研究入門、3・4回生での専門演習(ゼミ)と小集団の授業が毎年行われ、これらの授業の中で徹底的にプレゼンテーションを行います。他大学の学生と比較することは難しいですが、これら4年間の取り組みを通して、学生は自分の考えを論理的に他者に伝える技術を高めていきます。これは卒業後、社会に出た際に大きな武器の一つとなります。

多くの学生にとっては、今回の口頭試問がスポ健の授業で行う最後のプレゼンテーションの機会となりました。そして、口頭試問の終わりは2年間のゼミでの学びの終わりも意味します。「早く終わって欲しい」という気持ちと「ゼミが終わることへの寂しさ」が入り交じった状態で本番に臨んだ学生が多かったようです。私は主査、副査という立場で口頭試問に参加していますが、これまで指導をしてきた学生達の成長を実感しながらじっくりとプレゼンテーションを聞かせてもらいました。現ゼミ生の中には1回生の基礎演習で担任をしていた学生も含まれます。実験データをもとに客観的に論を展開し、質疑応答に対しても丁寧な言葉遣いで的確に対応する彼ら・彼女らの姿をみて、教育の力を感じました。
4回生の皆さん、本当にお疲れ様でした。

2015.01.14

最後の授業

こんにちは。
ma34です。

今日は、基礎演習の最終週の授業でした。
大学は前期後期にそれぞれ15週しかないですので、
クラスの学生に会うのは、授業としては30回しかないわけです。
そのような限られた時間ですが、
4月から振り返ると多くのイベントや多くの苦労、それを乗り越えた達成感があり、
学生にとっては、充実した一年間だったのではないかと思います。

今日の授業では、一年間の振り返りを、ひとりひとりの言葉で
全員が聞く機会を設けました。
勉学だけでなく、部活やサークル、仲間作り、アルバイト、ボランティア、
といろいろな活動をしてきた姿を知り(今更ながら知ったことも多かったのでした)
みんなの多面的な成長を教えてもらえました。


最後には2回生のオリターさん、そして後期はゼミナール大会の論文作成やプレゼンづくりに奮闘してくれた
AAさんにも感謝の言葉(と、顔にシュークリーム・笑)をもらえた良い時間でした。

1回生の基礎演習のクラスで出来た仲間は、その後もとても大切な友人となります。
これからも大切にしていってください。

また、3限も補講はありますが、講義としては締めくくりの「発表」の時間でした。
インストラクショナル・デザイン論という科目で、教員をめざす人ばかりではないですが、
一つの単元を設定し、パフォーマンス課題とルーブリックを作成してみる、という課題を
班で探究してきました。

今日はその発表会。ポスター発表のような形にしました。


なかなか「正解」のない課題ですので、教員のわたしがアドバイスできることには限界があり、
学生同士、班同士の学び合いの機会として、こういう形をとりました。

結局はたしてちゃんと学び取ってくれたのかどうか、はレポートで確認をするしかないのですが、
こうした過程のなかで学び合いながら、教師の授業づくりの楽しさ(大変さ?)も体感してくれたらよいなあと思っています。

15回の授業で伝え切れたかどうかはわかりませんが、
彼らがいろいろな「現場」にたったとき、少しでも授業で扱ったことを思い出して、
それが役にたってくれると嬉しいです。

来週からはいよいよテスト・レポート提出です。
後期で頑張ってきたことを積み上げ、成果として出して欲しいと思います。

ma34.