体育学会も足早に過ぎ去り、気がつけば朝の気温が20℃と、いよいよ秋の気配が漂ってきました。今回は、BKCキャンパスで行われた第64回体育学会最終日のシンポジウムを紹介させていただきます。本シンポジウムは、滋賀県教育委員会・滋賀県体育協会後援で行われ、タイトルは表題のとおり「幼少期・児童期における運動・健康の在り方を考える」です。学会員だけでなく滋賀地域の保育士、小学校教諭など約250名が参加しました。司会は東京大学名誉教授の小林寛道先生で、シンポジストは、山梨大学の中村和彦先生、国立栄養研究所の田中茂穂先生、京都サンガホームタウンアカデミーの池上正先生の3名でした。中村先生は、以前ケイン・コスギが出演していたNHKの「からだであそぼ」の監修をされたことで有名で、こどもの体の動きを中心とした研究をされています。今の日本の児童の身体活動量はオーストラリアやドイツの4分の1で、1日の歩数は1970年代が20,000~27,000歩であったのに対して現代はその半分の、10,000~13,000歩であるといいます。これは、活発に体を動かすことの遊びが減っていること、体の操作が未熟な幼児が増えていること、自発的な運動の機会が減っていることなどを理由に挙げています。田中先生は、幼児期運動指針の策定に携われ、今回は幼児期の運動の在り方について解説されました。結論として、「幼稚園・保育所などに限らず、家庭や地域での活動も含めた1日の生活全体の身体活動量を合わせて、幼児が様々な遊びを中心に、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましい」ということです。京都サンガの池上先生は、これからの体育授業として教師がすべてを教える授業ではなく、自身でルールやマナー、協調性を考えさせるスタイルに変えていく必要があると提言されました。様々なスポーツや遊びを体験し、自らの意思で行動することの大切さを説かれていました。運動不足は日本人の死亡原因の第3位とも言われています。このままでは子供の将来がとても不安ですね。わが国では、子供の身体活動量の確保に関して教育現場や家庭での意識改革が必要な時期に来ているようです。sana