[ 2025年05月 ] の記事一覧

2012.11.04

私、プロレスの味方です

11月3、4の両日はBKC学園祭です。2日金曜の遅い午後から、テント、舞台、建物内部展示場等の設営準備がなされていました。セントラル・サーカスの噴水横辺りがメイン舞台となる様子。建物アドセミとアクロスの間にもロックバンド用の演奏舞台。セントラルアーク中央の通り沿いとメイン舞台を大きく取り囲むように、出店が多く並ぶと予想されます。

 理工学部のコア・ステーションへ向かう途中、メイン舞台を通り過ぎたメディア・センター正面やや右手に、もう1つの小さな舞台が目に入りました。高さ1m弱の舞台表面には白いマット、4スミには白い縦棒状マットとコーナーポストがあり、4段ロープで1m数十cmの高さまで、舞台上は周囲をぐるりと囲まれていました。知る人ぞ知る、それはプロレス・リングマットでした。

明日からの「興行」に向けて設営が完了したらしく、関係する学生達が何名か残っていました。そのうちの一人がこちらに向かって手を振ります。足を止めてその光景を見ているのは、私以外には誰もいません。私への合図だと確信して目を凝らすと、何と教養科目を受講している学生の一人でした。彼はプロレス同好会に所属する2回生です。方法実習「エクササイズ・トレーニング」の時間に会話を交わし、彼が所属サークルを紹介してくれたことがありました。その時とっさに私は、「村松友視著『私、プロレスの味方です』角川文庫、1981年と、同『当然、プロレスの味方です』同、1982年、を読みましたか?」と聞きました。著者も文庫本も古いので、彼はすぐには何のことなのかさっぱり、という表情でした。ひと月ぐらい前に彼に内容紹介し、珍しくも力を込めて勧めたことを、今回のリング発見で、私は鮮明に思い出しました。そういえば十数年以上も前から、学生の間にはこの種の同好会があり、学園祭の時には大学間を越えて交流興行を行っていました。(写真は準備完了のプロレスリングと村松文庫本2冊の表紙です。)

 

Simgprowresbk.jpg

プロレスは、家にテレビが入ってきたのと並行して私に接近接触するようになりました。力道山の名前は子どもの間で有名でした。銀髪鬼F.ブラッシーの噛みつき反則や覆面男Mr.アトミックの凶器頭突きに耐え忍んだ後に力道が空手チョップによる猛反撃を行い、人びとが溜飲を下げる光景は、大人と子供の区別なく大拍手が起こりました。子ども時代を通り大学生の頃には、アントニオ猪木やジャイアント馬場のような有名な選手が数々の興行や大会を行い、私も時折その報道に注目し、実際試合場にも行きました。

 二人組同士で戦うタッグ・マッチでは、日本組の一人が相手コーナー近くで孤立し二人掛りの攻めを受け続ける(反則が横行する)場面に観客も腹を立て、ヒーローも堪忍袋の緒を切る、というテレビ・映画のストーリーと同様のことが継承されていました。他方では、決め技・痛め技が多彩、派手、パワーアップすることが顕著でした。リングの4段ロープも跳ね返しだけでなく、飛び降り攻撃の威力を倍増するために使われ、「空中殺法」という呼び名が、翌朝スポーツ新聞の三面を飾ったこともしばしばでした。

 それでも、伝統的なスポーツに関係する人達からは、「あんな八百長、本気でやったらそんなのでは済まんぜ!!」と、胡散臭さが常に付きまとっていました。あれは「ショー」で、平等なルールの下で公正に競争して勝敗を決する真のスポーツとは、反対の極にある、という人もいました。けれども他方では、相手の技や攻撃を受けるために肉体を鍛えて準備することや、決め技、攻め技を繰り出すために筋肉系と呼吸循環系、それに神経系を鍛錬することは、プロスポーツ選手と同等以上のものを実感させました。

 

 さすがに学生時代を過ぎてプロレス熱は冷めましたが、教員になってからしばらくして先の村松氏の文庫本が出版されました。彼は力道山とシャープ兄弟の対決から始まる我が国プロレス界の変遷を振り返り、それが全体としては「興行」「ショー・ビジネス」であることを認めながらも、そのコンテンツの捉え方、築き方のなかにこそプロレスの真髄を見出そうとしていました。教えられたことは沢山あります。プロレスの真髄は自分の強さや凄さをみせることです。攻める技や決め技は重要ですが、最重要は「受け」にある、と彼は言います。相手の凄い技を受ける、相手の凄さや強さを引き出すことで、その凄くて強い者をさらに打ち負かして、自分の凄さを逆にアッピールする。これが、ストロング・スタイルのプロレスのストーリーの根底にある、と彼は分析的に述べています。

悪玉と善玉の対決、不平等とエコ贔屓それにしたい放題に対する堪忍袋の緒を切るスタイルは古いタイプの1つです。それに加えたストロング・スタイルで胡散臭さを数歩乗り越え、「スポーツ・ショー」としての楽しみ方が開発されたのか否かは、まだ明確ではありません。様々な意味で身体および身体運動を加工・開発する人びとの営みが、観る人びとの間に多様な解釈を生み出す過程が「スポーツにおける文化的認識」にとっては重要です。これらを他の分野(村松は作家、エッセイイスト)の人々がいかに考察、描いているかを参考にすることが1つのポイントだ、と私は感じています。

 

【善】

 

 

2012.11.03

台湾に来ています

昨日より、高地・低酸素トレーニング関連の国際学会に参加するため台湾に来ています。毎年国際学会には最低でも1回は参加していますが、私が関連する学会はおもにアメリカとヨーロッパで開催されることもあり、今回始めて台湾を訪れました。昨晩は、一緒に来ている大学院生のM嶋くんと一緒に(彼はポスター発表を行います)、地元の食堂で台湾料理を楽しみました。餃子が美味しかったです。


台湾は始めてということもあり空港からの移動など不安もあったのですが、学会を主催しているNational Yang-Ming Universityの大学院生の方々に空港までお越しいただき大変助かりました。また、ホテルに到着してロビーで少し休んでいると、筑波大学の大学院生だった頃に他の研究室に在籍していたJuliaさん(本名ではありません。English nameです)が立っているではありませんか!いやいや、驚きました。彼女は大学院で博士号を取得した後に台湾に戻り、現在は准教授として立派に学生を指導しています。今回台北を訪問することを伝えていたのですが、授業の合間に会いに来てくれました。昔の話で盛り上がり、非常に楽しかったです。ちなみに、学会期間中には昨年度大学院を修了した林(リン)くんが合流し、台湾の街を案内してくれる予定です。学会で訪れた異国の地で、かつて同じ場所・環境で共に時間を過ごした仲間と再会できる、、、これも学会の一つの魅了かもしれません。


さあ、本日からいよいよ学会スタートです。スポーツ健康科学部でこれまでに行って来た低酸素関連の研究をアピールしてきます!


GOTO

2012.11.02

流動性について

 先日、本棚の隅に茶色に変色した文庫本の束(読みもしないのに集めることで読んだ気になっている悪い癖)の中から、"独学のすすめ"(加藤秀俊・・・・好きな著者の一人)を拾い読みしてみました。その中で、『・・・・日本の哲学のなかには、一種の遍歴思想のようなものがあり、人間というものは、あちこちを移動することによって訓練されるのだという信念も存在していたようでもある・・・・』そのことの例として武者修行をあげ、『・・・・およそ剣に生きようという若い侍は、どこかの道場で基本を身につけると、旅装束をつけて旅に出る。そして行く先々の村や町で道場を見つけると、頼もう、と声をかけ、そこの先生に稽古をつけてもらうのであった。ときにはとっちめられることもあったろうし、生命の危険を感じることもないではなかったろう。しかし、こんなふうにして、じぶんがそれまで知らなかった土地で知らなかった人物を相手に剣の上達をめざす・・・・』と武者修行の意義をとらえ、それが意味することあるいは教訓と言っても良いかも流動性について

しれませんが『・・・・ひとつところでながいあいだウジウジしていてもたいした人間にはなれない、若いうちに、ひろく世間をみていろんな場面にぶつかることが人間の成長にはだいじなことなのだ・・・・とりわけ、ひとつの流儀だけに専念して小さく固まるのでなく、むしろ積極的に他流試合というのをやってみて、そのことによってみずからの限界と可能性を発見すべきだ、というみごとな哲学が武者修行物語にふくまれているのである。』と結んでおり、御意のとおり!

今日の経済事情から不本意ながら移動せざるを得ないことがありますが、我が国の労働市場の流動性の乏しさが時々話題になることがあります。しかし、最も乏しいのが大学かもしれません。アメリカ(基本的には契約制)と比較したら教員の流動性の低さは特に国立(大学法人)では顕著ではないかと思っています。もちろんすばらしい生え抜きの方もおられることは事実ですが、異質な場で多様な経験を積むことによる成長を恐れている者がいることも事実です。挑戦!勇気!(老ブロガー・ハル)

2012.11.01

歴史的謎の解明?

 Hamaです。
本日は、「読書の秋」を皆さんと分かち合おうと思います!
と言っても、面白いと思ってもらえるかどうか。。。
 先日、紹介した「化石の分子生物学」第2章を読んでです!

世間的には、文系と理系というステレオタイプ的な分け方がありますが、
それに則って、どちらのタイプの方にも読んでいただけそうな話題とします。

場所は、フランス、ブルボン家ルイ17世の時代です。


マリー・テレザの遺伝子が、マリー・
アントワネットに引き継がれ、ルイ17世に届けら
れたものの、1789年に起こったフランス革命の歴史のいたずらにより、
彼の命は、1795年
失意の獄中で生き絶えるのでした。幼少わずか10歳のことです。

しかし、獄中で息耐えた若きプリンス(実際には1793年に王となっていましたが)は、

実は、
替え玉であったとの噂が広がることとなります。

一族の栄華再盛を願う者たちが、彼が獄中の人となる前に、密かに

逃したのではないかとの憶測が広がったのも不思議ではありません


それから、ほぼ2世紀後、ことの真偽が明らかとなります。


ミトコンドリアにある遺伝子を解析することにより、
獄中で亡くなった彼は、ルイ17世
であることがほぼ確実となったのでした。

少し、最後の部分を除き、文系よりの話となりましたが、来週は、この話を
理系よりの話にしたいと思います!

【Hama】



2012.10.31

外からの視点

おはようございます。ma34です。

季節はすっかり秋になってきましたね。
金木犀の香りにふと足を止め、あたりを探してしまう時があります。
母校の大学で、教育学部の入り口に金木犀があり、
4回生のこの時期、そろそろ卒論を本格的にやらないとな~、と思って以来、
金木犀の香りをかぐと、毎年のように「ああ、卒論!」と思って、気ばかりが焦ってしまいます。
年末も近くなり、なんだか忙しい時期ですね。

さて、学会シーズンですが、私も先週末の日曜日、
自身の研究領域に関する学会「日本児童英語教育学会」の秋季研究大会に行ってきました。





この学会は、小学校外国語活動やその前身の英語活動が総合の時間に始められるまえから、
全国の児童英語教育に関わる研究者、実践者が集まり研究を進めてきた学会として
この分野では一番の大きな学会となります。

とはいっても、この分野は歴史も浅く、今、さまざまな研究蓄積を積み重ねるべく、
研究者や現場の教師たちが情報の共有をし、議論を重ねています。

そんななかで、課題研究部会の議論を聞いていて思ったこと。

私は教育方法学を専門としているのですが、教育方法学では多くが共有されている事項であっても、
たとえば「教育内容」、「教材」、そして「教具」の違いについて、
英語科教育においては(いや、他教科もそうかもしれませんが)
まだごちゃごちゃになっていたりする、ということです。

(もちろん、「教科書」はどこに位置づくのか、という議論を始めると、
 「教材」という位置づけのときもあれば「教具」でもありますが、
 「教育内容」「教材」「教具」を整理する概念はたとえば藤岡信勝『授業づくりの発想』(1989年)や
 『教材づくりの発想』(1991年)があります。)

英語科教育はとりわけ、欧米の理論を根拠として語られることが多いからか、
日本のこれまでの教育方法学の議論が反映されていないのかもしれません。
そうした区別や言葉の定義がまず土台としてあれば、議論ももっと整理されてくるのに、、、と
思っていました。
(そうした「整理」についても、発信していかねばならないですね。)

「異なる分野から見てみると、意外と大事なことや新たな視点が見えてくる」ということでしょうか。

スポ健には、スポーツ・健康をめぐって、さまざまな分野・領域の先生がたがいらっしゃいます。
私は「体育科」に限定しない、教育学分野の担当として位置づいておりますが、
そこに面白味があるのだと改めて感じた、そんな一日でした。

ma34.

2012.10.30

今回はスポーツを取り上げつつ。。。

先日のプロ野球のドラフト会議で、立命館の学生が指名をされました。
そんな事を思い出しつつ。。。そういえば、夏が終わってからがシーズンのスポーツ、
けっこうあるなぁ、と思いだし、ちょっと学生スポーツについて、
今回は書いていこうと思います。

大学には、体育会と呼ばれる大学が認めた正式な団体と、
それ以外の多くのサークルがあります。
こんな課外活動に、みんな熱心に取り組んでいます。

そして、色んなスポーツがあって、そのシーズンも色々です。
ちょうど9月を過ぎてからは、多くの団体スポーツが始まっています。




アメリカンフットボール、
ラグビー、
駅伝など、
びわこ・くさつキャンパスを拠点にしている競技もがんばっていて、
スポーツ健康科学部に所属する学生も、選手として、
またトレーナーとして、はたまた記者としてがんばっていたり。

特に女子駅伝とアメフトのパンサーズが有名ですが、
アメフトは色々と元気ですので、
大学内のページで、こんな取り上げられ方をしたり

https://www.ritsumei.ac.jp/rs/category/tokushu/121025/

しています。

それ以外にも、

こんなページ

http://www.ritsumeikanpanthers.com/

を作っていたりします。


ちょうど、これから西日本一になれるか、そして日本一になれるのか、

また社会人も併せてトップになれるのか、というのが決まって行きます。


ただ、最近は色んな大学スポーツの応援が少なくなっている、ということで、

ちょっとさみしいみたいですから、

みんなに応援に行って欲しいなぁ、と思ったりもします。

つまるところ、応援に行くと、一体感とか高揚感とか、
色んなものを得ることができます。
これがスポーツのかけがえのない価値の一つです。

ではでは。

PS:毎週のように、書くのを忘れそうになりつつ、
忘れていない自分を、ちょっと褒めたい(笑

2012.10.29

教員紹介 その4

今回は3名の若手の先生のお話を聞きました。

 

一人目(ポスドクの藤岡正子さん)

20121029-1.JPG 高校2年生の時に栄養士になることを決意。理由は、小さい頃から給食が大好きなこどもであったからとのこと。大学の時に運動生理学の実験の被験者をしたことが研究者に進むきっかけとなり、研究者の道へ。「局所的な筋持久トレーニングが安静時代謝に及ぼす影響(基礎代謝をあげるには筋量が必要)」を明らかにして、立命館大学では、【hama】先生と一緒に、筋代謝の研究を継続中。

 

二人目 (ポスドクの小笠原理紀さん)

20121029-2.JPG 幼稚園からサッカー。レジスタンストレーニングの科学(筋サイズ調節の科学)に取り組んでいます。通常の負荷強度でのトレーニングは継続が難しい。でも、トレーニングは継続が必要。一方で、社会から見れば、効率的、効果的、簡便、安全、苦痛、負担の少ないトレーニングプログラムが求められている。というところから、「休息期間を取り入れた断続的なトレーニング」の研究に取り組み、休息を入れても、長期の筋トレでは肥大率は変わらないレベルにまで到達する、という研究成果をあげています。クラシカルなトレーニング処方にこだわることなく、新しい工夫を取り入れることで、効率的、効果的に筋肥大・筋力増強がはかれる可能性があると示唆。現在は、【聡】先生のところで研究を進めています。

 

三人目 (助手の栗原俊之さん)

20121029-3.JPG 興味・関心の泉がコンコンと湧き上がる根っからの研究の虫。話題は、高校生の時は、原子力発電 常温学融合、超伝導、太陽の燃料は? 人類と核は共存できるのか?をおもしろいと思い必死になって勉強した。東大教養学部時代は、高校時代に教わっていない分野を学びたい、と大学時代はあらゆる分野にチャレンジ。週25コマの授業+バスケットボール部。大学院は、「火山噴火」に興味を持ち、地震研究所で学ぶ。バスケットボール審判をすることがきっかけとなり、人の研究の道へ。超音波を使って、収縮に伴う骨格筋形状変化の研究。これ以外にも、二足歩行と四足歩行など、『熱く』語ってもらいました。学生への課題も「いま熱くなっているものを10行以上書きなさい」でした。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

10/26の夕方に第14回目のNS研究会αを行いました。今回は、情報通信研究機構の水口暢章に話題
提供をしてもらいました。「感覚支援型の運動イメージを用いた新しいイメージトレーニングの可能性」とい
うタイトルで、脳科学からの検証を行った研究データを紹介してもらいました。3月に博士を取得された
新進気鋭の若手の切れ味すばらしいプレゼンでまた刺激をもらいました。
【忠】

2012.10.28

プロ野球ドラフト会議に思う

1025日、2012年度のプロ野球ドラフト会議が行われ、高校生、大学生および社会人のプロ志望者に対するセ・パリーグ12球団の交渉権の設定とその順位が確定しました。詳しい人はすでに結果の全貌を把握済だと思いますが、本学硬式野球部の金子侑司選手(産社)も、埼玉西武ライオンズから3位指名を受けています。

毎年話題がいくつか出ますが、本年度は何と言っても、時速160㎞の剛速球、大型本格派候補の大谷翔平投手(岩手・花巻東高)です。米国MLBで自らの力を試してみたいと本人が進路希望を公表していたが、日本ハム球団が単独で1位指名し交渉権を獲得しました。次は昨年度入団希望でなかった球団からの交渉を拒否した菅野智之投手(東海大出)が、一年待ち意中の巨人球団から単独一位指名を受けたことです。また、1位指名の第1回目、第2回目ともに抽選で外した広島球団が、1位指名を投手から強・巧打、俊足の高橋大樹外 野手(京都・龍谷大平安高)に急旋回させたことも印象に残りました。

 

ドラフト(draft)という語は名詞・動詞・形容詞など多義語で、元々「徴兵名簿に候補として名前を挙げること」が使用例の1つです。プロ野球やプロバスケットボール等々のリーグや機構において、その管轄内の競争する球団が新戦力(新人)を自由に獲得するのではなく、有望新人の候補として登録された中から抽選もしくは決定ルールに従って交渉権の順位設定を行うことを、これは意味します。このことによって、獲得合戦を通して契約金が暴騰することや、次シーズン以後に向けての「戦力均衡」が図られる、すなわち「リーグ繁栄、球団共存共栄」に繋がるとされています。

その反面、プロを目指す選手にとっては、様々な思いから自由に「相手」と交渉する、そして自らの意志で合意・決定する(就職先を決める)、ということに制約がかけられています。特にNPBのドラフトでは第1順位決定に際して、1名の候補選手に対して複数球団が名乗りを上げ、抽選結果に従う、という決定方式になっています。

従って、「逆指名」「相思相愛関係」「唯一選択、他方面進出」を公表し、抽選まで行かないようにバリアーを築くことが繰り返し行われてきました。選手の側からこのような振舞いが行われることは、「プレイやプレイヤー・イメージ」との関連で、気持ちが十分伝わってきます。また、特に高校生選手にとっては家族や地域・クラブの関係者と相談することも大事だ、と野球界の先輩からは度々助言されています。

 

今回の大谷選手への日ハム球団の「強行指名」は、賛否両面からの意見があります。同球団は昨年の菅野に続き、2年連続で強行を貫きました。同球団の山田GMと栗山監督もそれぞれ、「やってみないと分からない、誠意を尽くしたい」「編成の会議を経て、最も高く評価する選手を指名することが球団の方針」と述べている。野球界以外のラジオで・コメンテイターは「若者に海外を目指せ、小さく纏まるなと言っている割には、若者が外に出ようとすれば大人達が必死で止めている」、と非難しているようでもありました。今回は、誰もが認める大谷選手の素質と実力とともに、NPBMLB2つの機構をまたぐ問題がようやく意識されだしてきていることに、大きな時代の特徴があると思われます。

サンケイ・スポーツ(web10.28)は、プロ野球の12球団代表者会議が27日、都内で開かれたことと、そこで「大谷君が米大リーグに挑戦した場合、現行のままでは12球団は退団から3年間、ドラフトで指名することができない。有望選手の海外流出抑制を目的にした申し合わせに対し最初に見直しを求めたのは、大谷を1位指名した日本ハム」であることを報じています。同会議で島田利正球団代表は、「仮に大谷君が5年で日本に帰ってきたとき、まだ23歳なのに(26歳まで)日本のプロ野球に入れなくていいのだろうか」と疑問を投げかけました。

 

今回、現行ルールの範囲内で、個別球団の取る方針を全うした球団から現行ルールの不備と「野球ファンに対する企業責務」を感じられる発言があることは、極めて深刻です。

NPB内個別球団の自由競争による「人気、新戦力確保への抜け駆け」、あるいは自らの機構が作っている「ドラフト会議」のルールのあいまいさを戦術に組み入れようと意図する行為、等々、野球関係者の間では「常識」でも、野球の面白さや凄いプレイを楽しみたい「ファン」には、いま一つ理解しがたい側面がありました。

日本で活躍した米国出身の選手がMLBに戻ってまた人気・実力ともに示していることがあります。逆のこともまた起こる可能性大です。選手が「自己訓練」し、その能力や個性をどのように生かせるかの機会は若い時ほど「多種、多様」なほど言いとよく言われます。また、野球を愛する「ファン」が、「地球は縮む、良い野球を発掘し、良い舞台づくりをするのがプロ球団」と言っているのを聞くのは、私だけでしょうか?

 

【善】

 

 

2012.10.27

学び続けるということ

滋賀県では、県教育委員会と各地域の教育委員会が協力して開催している生涯学習授業として【淡海生涯カレッジ】を開催しています。具体的には、地域の方々が高校や大学で様々なテーマの講義を受けるというものです。立命館大学BKCキャンパスでも講座が開催されており、今朝はその1コマで講義を行ってきました。テーマは、「肥満予防のための筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせ方」で、自体重を用いて行うスロートレーニングや有酸素運動との組み合わせ方などに
photo.jpg
ついて、理論と実践の両面から話をさせていただきました。参加者の内訳は60歳代の方が最も多く、講義の合間や終了後にはたくさんの質問をいただきました。大学生と単純に比較することができませんが、年齢を重ねても知的好奇心をもって積極的に「学び続けよう」とする姿勢に感銘をうけました(大学の授業でもこれぐらいたくさん質問をしてくれると嬉しいのですが・・・)。講義を担当した立場ではありますが、「生涯学習」の大切さを逆にこちらが教わり、大変気持ちの良い時間になりました。

さあ、明日は全日本大学女子駅伝です。スポーツ健康科学部にも多くの部員がいることもあり、テレビから目が離せなくなりそうです。各選手が納得のできる走りをしてくれることを祈るばかりです。

GOTO

2012.10.26

晩秋?

ここ数日の朝晩の肌寒さに引き換え、夕方、研究室の奥の方まで差し込むようになった柔らかな日差しに一抹の寂寥感と共に、今年も後2ヶ月あまり、妙な焦りを感じたりしています。スケールは全く違い、個人に適用するのはふさわしくないかもしれませんが、"ミネルヴァの梟は迫り来る夕闇とともにはじめて飛び始める"の名言が想い出されます。確かヘーゲルのいった言葉と思うのですが、梟(知恵の女神ミネルヴァに仕える)の習性を捉えて民族の興亡の原因を的確に表現したものと思われますが、最盛期の頃には気がつかず、すでに手遅れとなった終わり頃に事の本質、重要性に気づくといった意味でしょうか。

このままでは反省と後悔でまたこの1年を過ごしかねない。今年の目標を思

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い起こし、手遅にならないようにと、普段はゼミ学生にいっている言葉を自分自身に向けています。今日1日、今ここでできることを、この瞬間を精一杯大切に!(老ブロガー・ハル)