2012.05.08
[ 2025年06月 ] の記事一覧
2012.05.07
キャリア形成
5月の連休もあけ、大学の授業がはじまって1ヶ月経ちました。新入生もペースをつかんで大学生活に馴染んでいるようです。教える側も、リズムがとれるようになってくる時期でもあります。
大学院博士前期課程(修士)のM2の就職活動も佳境に入ってきているようです。そろそろ内定をもらった、最終面接に向かっている院生が多くなってきました。各自の持ち味が生かされる舞台で、社会に貢献できるようにと願っています。
キャリア形成には、「仕事」は大きなウエイトを占めます。言い換えると、仕事は人生における大きな部分を占めます。一生のうちでもっとも大事なのは職業選択である、という人もいるぐらいです。
では、3万種類もあるという職業から、どんな仕事を選ぶのか?選び方も千差万別です。『働く理由』 戸田智弘著(2011)によると、『人生は、あなたにだけ与えられた応用問題』であるという。この応用問題は、一人一人違う。与えられた条件もそれぞれに違う。またその問題を解くのは、あなた自身で、誰も代わりに問題を解いてはくれない。自分で考えて自分で選ぶからこそ、あなたは自分の人生を生きたことになる。
さらには、同書の中で、アメリカの心理学者の言葉を引用して、『仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである。』とメッセージを与えている。自分の能力、興味、価値観をしっかり持ち、それを活用し、伸ばせることによって仕事がおもしろく、人生を歩んでいる実感を味あわせてくれるのでしょう。そのような仕事、人生に出会うためには、大学生活を充実させ、大学生活から「志」を育む(価値観の形成)ことが大切である、と本学キャリアセンターでも分析されている。
今のキャリアを充実させることが、次(未来)のキャリアを充実させることにつながっているようです。
<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
先週、「マイアミ」へ行ってきました!といっても滋賀県内です。湖岸道路を北上して琵琶湖大橋を越えたあたりにある「マイアミ浜」で、ご近所の7家族が集まってのキャンプでした。毎年、恒例となっていますが、子供たちの成長が著しいのを実感します。
【忠】
2012.05.06
畑仕事と運動学習
黄金週間の連休中は、この5年間継続して毎年、畑仕事をしています。夏野菜(トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、キャベツなど)の植え付けまでを行います。自宅から歩いて5分位のところに、10坪弱の土地をお百姓さんから借りています。趣味と実益を兼ねるという以上に、専門のお百姓さんやキャリア市民の人たちとの交流が楽しみです。しかも、専門の教育・研究分野に関する良い勉強にもなっています。
農作業をすることが勉強になる、と何をピントの外れたことを言っているのだ、と叱られそうですが、最近この思いをより一層強く抱くようになっています。
私は、運動・動作の学習過程を経て、ゲームやマッチに適応する人びとを支援する指導方法やプログラムの開発に研究の関心をもってきました。新たに一緒に始めた人たちの農作業スキル獲得の過程を見聞きしていると、運動・動作の習得過程や農作業学習過程そのもののリアルな姿を観察することを通して、運動学習の分野に関わる基本的な概念のいくつかを、再び捉え直してみる良い機会に出来ると感じています。
農作業は未来志向的な営みです。
まず、種蒔き用の土床づくり → 種蒔き→ 苗の植え付け、
つぎに、畑の掘り起こし → 苦土石灰等での土壌改良 → 畝立て → 元肥料散布 → マルチ貼り → 蔓用の手・ネットの設置、等々
これらの2つのプロセスを時間差を考慮して進め、ようやく植え付けで苗育てに入ります。
することの要素、手順などは毎年、毎回、同じように現れてきますが、気候などの自然条件や植え付け予定場所などの条件によって、微調整することはもちろん、時には手順を入れ替え・省略したり、繰り返したりします。
(写真は、植え付けまでの下準備工作と使用道具全てです。)
「1ヶ月後、どのような状態にしたいのか」、「今、何故これをやっているのか」等々、私と同じ作業をや
スポーツの場面でも、似たようなことがあります。
パスやドリブルなどのボールさばきは同じように見えても、その動作遂行の直前や最中に、「何、そん
ところで、運動・動作の学習場面には、①何をするか、②何を覚えるか、③何を考えるかの3つ水準が含まれています。そして実際のゲーム場面での行動は、これらが総合されて、目に見えるプレーとして発現されています。
最初は用具・道具の使い方、これには運動種目、つまり文化の側から個々人に準備するように求める、動作要素や遂行パターンの固定化・安定化が主要な課題です。上記①、②を実際の練習場面で見てみると、「意味づけのあることがら」の反復練習です。①に関しては正確でエラーが少なくなり、リズミカルでスピードアップした動きが出現してきます。②に関しては、手順が習得され、流れるようにスムースな練習項目の展開が見られます。
このような場面では、また、「もっと頭を使え、○○を考えろ!!」という、指導者の叱咤、激励が盛んに飛び交っている光景に出合います。上記③を要求している言動です。
一旦習得された運動・動作はより大きな文化的適応手段の一部に組み込まれて、保持・発展させられます。大学生位になると、「どのような○○(例えばサッカー)をやりたいのか!?」と、よくクラブ・サークルでも話し合っている姿を見かけます。②と①に関して、し残してきたことは多くあるが、現在の記録・成績水準に関係なく、文化活動に接する面白さ、喜びは、やはり③がリードするのだと思います。
運動学習(motor learning, perceptual-motorlerning)という用語は、他の知的領域の学習と比較して筋出力系までを含んだ行為としての特徴を強調する方向に研究関心の主軸があります。なるほど乳幼児期の運動発達や日常運動スキルの獲得では、多くの知見と知識を生み出してきました。
けれどもスポーツが生涯にわたって、さまざまな形で人びとに接近接触の機会を与える文化であるならば、その後のスポーツ活動を行う過程での運動学習の在り方をもっと広く、深く考えなければなりません。むしろ上記③を中心に、②と①の下位要素を準備することを求めていくプログラムの開発がより強く望まれているのではないでしょうか。
【善】
2012.05.05
朝型生活を支えるアイテム
ブログ担当を引き継いで今日が4回目です。
普段は月〜金までの仕事を終えちょっと一息ついた土曜日に原稿を書いていますが、今週はGWということで少し異なるスケジュールです。立命館大学では前期・後期それぞれ15回の授業回数を確保するために、祝祭日の多くが授業日に充てられています。ただし、GWは特別で、カレンダー通りの大型連休となっています。
ちなみに、最近10年間ほどの私自身のGWを振り返ると、なぜか毎年慌ただしく、多くの場合は「Golden」な「Week」になっていません。。。(なぜなら4〜5月にかけては大きな実験を実施していたり、大型の研究費の申請があったり、月末からの国際学会の準備があったり・・・とやることが多いからです)。さて今年はというと、例年よりは少しだけ余裕のある休みになっています。ただし、月曜日からは授業が再開となりますので、合間で授業の準備をしたり、学生の論文を添削したり、原稿を書いたりと、インターバルトレーニング的に仕事できるように心がけています。
「仕事の効率」・・この重要性は年々感じています。これとよく関連するのが「朝型」で仕事をするか、「夜型」で仕事をするかという話題です。ちなみに、スポ健の先生方は「超朝型」の先生が多く、朝7時にもなると既に数名の先生方が仕事をされています。今まで幾つかの大学で勤務をしてきましたが、他の大学ではあまり目にしなかった光景です。そういう私も典型的な朝型で、普段は4時頃に起きて活動しています(その分、夜は早く寝ていますのでご心配なく・・・・)。1日の中で頭が一番働いて効率があがる時間帯は人それぞれでしょうが、大学の教員には朝型の先生が多いように感じます。
さて、そんな朝型の私を支えてくれる一つのアイテムとして、「目覚まし時計」は欠かせません。いくら朝型といっても、朝は眠いですので、上手に目覚まし時計を活用する必要があります。長年試行錯誤をした結果、ここ数年間私が愛用しているのが「SleepTracker」という腕時計型の目覚まし時計です。この時計の優れた点としては、睡眠サイクル(深い睡眠、浅い睡眠)を感知するセンサー(加速時計)が内蔵されており、自分が設定をした起床時刻付近で睡眠が浅くなった瞬間にアラームを鳴らしてくれることが挙げられます。したがって、6時にアラームをセットしても、実際には5時40分にアラームが鳴ることもあります。値段は高いですが、ガジェット好きの私にはぴったりの製品で、朝型生活を支えてくれる良きパートナーです。次週からも、この目覚まし時計を駆使して、早朝からエンジン全開で頑張りたいと思います。
今回は教育・研究とはまったく違う話になりましたが・・・次回からは現在取り組んでいる新しい研究についても、紹介できればと思います。
GOTO
2012.05.04
大型連休に思うこと
今年は例年になく開花の遅かったキャンパス内の櫻花も、まさにつかの間の花盛りを楽しませてくれ、今では周りの木々の新緑に染まっているかのような風景を呈しています。 世は大型連休が始まったばっかり。朝の1限の講義のために出かけた途中の主要駅や通勤電車は普段電車に乗り慣れてない?大きな荷物を持った行楽客でごった返し、平日以上の混雑で、慣れたつもりでいたのに、通勤ストレスを久しぶりに経験しました。そして、1限の講義では、いつもより空席が目立ち1/4弱の欠席か?この時期は多くのクラブにとって春のリーグ戦の始まり、またそれに備えての強化合宿、遠征試合などで、学生にとっては最も多忙な時期かも知れないと、教員になり30数年間、一応学生に対する思いやりの態度?を示しつつ自らを慰め?てきました。
連休となると、今までなかなか時間がとれなく中途半端で終わっていることを片付けようとか思うのですが、「決意は堅く、意思弱し」にもどる自分を、初心に立ち返り、常に日々新たな気持ちで事に当たるようにしなければと思っています。(老ブロガー・ハル)
2012.05.03
研究の内容(その1)
【Hama.】です。
それでは、今週から私たちが行っている、「体を動かさないことの悪影響」についての研究の内容を説明していきます。
その研究の方法は,実験的にギプスを巻いて,筋肉と血管の働きを弱らせる方法を用います。つまり,腕にギプスを3週間つける前と後で,筋肉の働きと血液の流れを調べ,筋肉の働きの低下を予防するために,時間のかからない簡単なトレーニング方法を捜しています。もちろん被験者さんには、ある程度の負担がかかるので、その点を十分に説明して、納得してもらった上で実験を行います。さらには、事前に大学の倫理委員会での審査も受けて、承認を得た上で実験を開始しています。筋肉の働きを調べるには,光(近赤外分光法),人の耳では聞き取れない音(超音波),それに大きな磁石(磁気共鳴分光法,磁気共鳴画像法)を使います(下左①MRIの写真、下右②ギブスの写真)。
①
MRIの写真 ②ギブスの写真
特に,磁気共鳴分光法は非常に優れた測定法で,筋肉の中の直接的なエネルギー源(アデノシン3リン酸,ATP)やATPの働きを助けるクレアチンリン酸などのリン酸化合物の変化を運動中に,その場で調べることができます。
この続きはまた来週に。。。
【Hama.】
2012.05.02
友達の夢を知ろう。自分の今すべきことを考えよう。
こんにちは。ma34です。
今日は、今日の基礎演習の内容と、月曜2限の研究入門での授業内容を紹介します。
★★★
まずは、基礎演習(1回生)。
来週から図書館ツアー、合同ゼミ、そしてMR実習と続きますが、
大学に入学してから1ヵ月の今だからこそ、
(楽しい大学生活に馴れてきたからこそ、ちょっとここらで一回気を引き締めてもらおうと・・・)
自分の夢を改めて見据えて、友達と交流するという機会を設定してみました。
題して、
「友達の夢を知ろう!自分の今できること・したいことを考えよう!
インタビュー & 他己紹介」
です。
最初、自分のことについて振り返り、メモを作ります。
「これまで私ががんばってきたことは?」
「将来の夢は?」
という二つの問いだけではなく、
その間をつなぐ、いくつかの問いがあります。
「30歳のとき、どうなっていたい?」
「大学4年生の時(卒業時)、どうなっていたい?」
「では、大学1回生の今、これがしたい!やらなくちゃ!ということは?」
という問いです。
私自身、夢はあっても、それを具体的にイメージすることが難しかったり、
大きな目標であるがゆえに、「今」すべきことと結びつかなかったり、
もったいない時期を過ごしてきた...と反省することもあります。
そんな反省をもとに、クラスの皆さんには、ぜひ具体的な未来の自分イメージを持ってもらい、
そこから「今したいこと」「今すべきこと」を考えてもらえたらよい!と思ったわけです。
ペアを組み、インタビューをします。
時折「そうなん?すごいなー」という呟きが聞こえてきたり、
「へえ、意外!!」という叫びが聞こえてきたり、
それぞれが、友達のこれまでやこれからに、色々と刺激を受けているようでした。
その後、2つのグループに分かれて、「他己紹介」をしました。
ペアを組んだ相手を、紹介するわけです。
そのときには、「○○さんのすごいなあと思うところは・・・」という点を絶対入れてほしいと
注文もつけました。
部活をずっと頑張ってきたという人、勉強も部活も両立しているという人、
将来、留学したいためにお金をためているという人、
自分のお店を持つという夢と、学部での学びを具体的につなげられている人...
傍らで聴いている私も、みんながそれぞれに抱いている夢の素晴らしさ、
今できること、すべきことを明確に意識できていることに、本当に感心して聞いていました。
今日の交流をもとに、友達もがんばっていること、そして何より、
「自分もがんばってきているのだ!」ということを感じて
これから本格的に始まる大学生活を楽しみ、多くのことを学んでほしいなあと思いました。
★★★
もう一つ。
研究入門(2回生小集団クラス)、Aクラスでは、
これまでの学習指導要領の変遷を踏まえて、あらためて「保健・体育科で身につけるべき学力・能力とは何だろう?」という問いについて、
ディスカッションしてもらう時間を取りました。
体育に関する「知識」だけでなく、「協調性」や「リーダーシップ」、「忍耐力」「主体性」などというキーワードがどの班にも登場していました。
「それでは、どれが一番重要ですか?」という問いには、
各班それぞれに強調する点は若干異なれど、スポーツを通しての人間形成に重きを置く意見が多かったことが興味ぶかい点でした。
(そのようなみんなの考えを踏まえて、新学習指導要領の方向性をもう一度考えてみたいと思います。)
教育について、あんまり興味がないなあという人も、
自分自身が受けてきた学校教育は、何を目指していたのだろう?なぜこんなことをしてきたのだろう?と振り返る良い機会となればよいです。
どちらの小集団クラスも手探りの部分も多いのですが、
教育について関心を持ってもらうこと、そして自分自身の学びを深めていってもらえるように心がけて授業をしたいと思っています。
2012.05.01
ゴールデンウィーク?
ドラッカーのマネジメントを久しぶり(数年ぶり)に、まじめに読んでみて、
2012.04.30
スポーツ健康科学セミナーⅡ
急激に暑くなってきました。水分補給にも気をつけなければならない季節です。
さて、本学部のキャリア形成科目として、スポーツ健康科学セミナーⅠとⅡを配置しています。2回生前期に行われるスポーツ健康科学セミナーⅡは、想定される職業域からゲストスピーカをお招きして、それぞれの分野で求められる人材像、能力などについて学び取ってもらう科目です。
先週の木曜日には、国立スポーツ科学センター スポーツ科学研究部 部長の平野裕一先生にお越し頂きました。『スポーツ科学を志す人へ ~する・みる・ささえる~』というテーマで講演してもらいました。冒頭のご自身の自己紹介から、野球漬けの高校・大学時代から、大学院では、野球の科学(Science in Baseball)を研究、そしてその後、大学教員としてつとめる中で、教育、研究、野球の指導とバランスを取りながら過ごしてきて、現在のJISSの仕事へと、これまでの経歴をご紹介され、その中で、ご自身の指導者としての売り(強み)について、これまでの研究者、教育者そして長年の指導現場に携わってこられた実績と経験から、1.練習・トレーニング内容に常に疑り深く(注意深く)、本当にそうか!と繰り返し考えること(選手は信頼している)。2.チーム独自、選手個別のトレーニングで取り組む(オリジナリティ、個別性)。
国立スポーツ科学センター(2001設立)の仕事内容については、①国際競技力向上への科学・医学・情報からの支援(サポート)、②国際競技力向上のための研究、③スポーツ情報の中核機関の役割、について説明されました。国のトップレベル(非常に少数)のパフォーマンスを高めることが使命であるが、この少数のパフォーマンス向上によって、国民全体が影響を受けて身体を動かす人の増加する、そしてこのことが活力ある社会・国へつながる、という理念があります。
今後、国立スポーツ科学センター(JISS)でも、「ささえる人材」が益々求められます。研究分野は先端へ進むに従って細分化されます。ただし、JISSが求める人材は、総体としてのスポーツを理解できる人、そして研究が理解できる人、さらには適切にコミュニケーションが取れる人、課題抽出ができ、解決方法を立案・実施出来る人材、が求める人材であることもお話し頂いた。
講義の中では、「大学」の役割について、『より質の高い生活を営むために必要な能力を身につけるところ』であり、学問を深めることで可能性を広げることができることを学生へ伝えて頂きました。平野裕一先生、ありがとうございました。
本学部で『スポーツ科学』を志す学生が、将来、JISSをはじめ各所で日本のトップパフォーマンス向上に寄与することを願っています。
<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
東京の出張で、利用した「はち公バス」。渋谷区内を走るコミュニティバスで100円でした。バス停の待ち時間で、地元のご婦人たちとも楽しくコミュニケーションでき、コミュニティ形成に一役買っているのを実感しました。利用料金もリーズナブルです。
【忠】
2012.04.29
BKCジム・トレーニングルーム
週日の3~4日、午後5時30分~6時30分ぐらいにBKCジムのトレーニング・ルームに行くことを日課にしています。トレッド・ミルかステッピング・マシンを使った有酸素運動とレジスタンス・トレーニングで、自分の身体に多様な刺激を与えてやることに励んでいます。そんなに頑張ろうという気ははありませんが、行かないと何かイジイジ感が湧きあがってきて気持ちが悪くなるから不思議です。
同じ時気持なのかどうかわかりませんが、スポ健学部で英語担当されているK先生とは、本当に毎回のように出会います。K先生の方が一回りも二まわりも若いので馬力がありますし、創意・工夫のある活動をしておられると、いつも感心しています。
この時間帯によく出会うのは、いくつかの体育会クラブメンバーやサークルの常連です。その他で特筆すべきなのは、留学生の人たちです。最初にトレッド・ミルやバイスクル・エルゴの操作方法が分からずにボタンを押しまくっている姿と母国語で話ししまくっている様子などから、一目でわかります。トレッドや自転車で隣になったとき、時々話しかけてみます。もちろん中国語、マレー語、韓国語などは出来ないので、片言の英語です。
彼(彼女)等は食べ物と健康について、本当に人一倍気を使っています。体の調子が悪ければ、勉強に励んだり、日本での見聞を広めるどころではありません。私たちが留学していた時のことを思い起こせば、彼らの真剣さも頷けるところです。
彼らは実によく身体を動かします。マシンの操作にも慣れ、運動の強度と持続時間にも、自分なりのルーティーン・ワークが出来上がりつつあります。それにしてもよく口も動くので、またまたお隣の誼で「楽しそうな話ですね!?」と、突っ込んで聞いてみました。
彼(彼女)等は院生、理工、情報理工、経営の研究科であるとのこと、向こうにいる複数は学部生だということでした。彼らは次のことを話してくれました。トレーニングは楽しくて意義のあることですが、一番うれしいことは、ここ(BKCジムのトレーニング・ルーム)に来れば、友人・知人に会えることです。
中国からの留学といっても、北部と南部や奥地の出身者がいます。それらの人の間では、言葉も文化・気候・風土も相当異なっているようです。だからいくら話ししても話す中身は尽きないようです。このような自然発生的で緩やかな交流サークルは、出会うだけでも複数ある、と感じます。
トレーニング・ルームはまさに身体を鍛える場、トレーニング「する」空間です。おしゃべりをする所ではないかもしれません。でも、留学生の人たちにも、私にとっても、そこへ行って体を鍛え、人びとと交流する楽しさを与えてくれるものです。でも今となっては、BKCジムやトレーニング・ルームは「する」ことのみに重点を置いた時代の施設になっています。
スポーツするときは、私たちは日常の生活、学業、仕事から、虚構の空間に移行します。ジムの玄関ドアをくぐり、更衣室での身支度と気持ちの高揚を経て、ジムでの運動に入っていきます。そして、クーリング・ダウンの後、更衣室・ミーティングルーム・ティールーム等々で、その日の虚構空間での諸活動の仕上げを行って、玄関ドアを帰り方向にくぐります。この中のどこに重点を置くか、人によっても、シーズンによっても、さらに曜日、時間帯によってさえも変化していくものです。
このような人びとのスポーツへの参加の仕方にもっと注目した施設とその運用の在り方が提案されるよう、スポ健の若い叡智に期待するところ大です。
【善】