[ research ] の記事一覧

2018.11.22

大学院に進むとは?大学院ウィークを開催しました

こんばんは、shinoです。


11月も半ばを過ぎました。

残念ながら、本日は天気が悪いですね。



本日、3回生のゼミの時間に全クラス合同でセミナーがありました。

3回生も来年は最終学年となりますので、

そろそろ進む道を考えなければいけません。



現在は、全学で大学院ウィークとなっていますので、

スポ健もその一環として、

スポーツ健康科学研究科の卒業生と在学生に登壇していただき、

大学院の魅力を中心に語っていただきました。



(shino)20181122-01



3回生になると各先生の研究室に配属され、

卒論に向けて研究に取り組もうとしていると思いますが、

研究や大学院に対しては、まだあまり現実的ではないかもしれません。



本日、登壇してくれたOB、OGは、

3回生とかなり年齢が近かったので、

彼等の話は非常に身近で聞きやすかったと思います。


(shino)20181122-02



研究とはどんなものか、大学院とはどんなところか、

大学院で何を学ぶのか、などを知る機会はとても貴重です。



内容も非常に分かりやすく話してくれたので、聞いていて面白かったです。

学生達も一生懸命聞いていました。

本日の授業を聞いて、大学院や就職について考える良いきっかけになったのではないでしょうか?



自分の進路をしっかり考えて、

悔いの無いように充実した大学生活を過ごして欲しいと思います。



(shino)20181122-03



最後にお知らせです。

関西アスレチックトレーナー連絡会からフォーラムとセミナーのお知らせをいただきました。



1件目は、12月2日(日)に開催されます関西アスレティックトレーナーフォーラムです。

主なテーマは『柔軟性』で、講演とシンポジウムが予定されています。



2件目は、12月16日(日)に開催されますアスレチックトレーナーを目指している学生対象のセミナーで、

テニスがテーマになっています。



どちらも面白い内容になっています。

参加申し込みはまとめて行いますので是非とも参加したい、興味がある方は、私まで連絡して下さい。



2018.11.12

バイオメカニズム学会

昨日、一昨日と筑波大学で開催された
第39回バイオメカニズム学術講演会に参加してきました。
   
  shs/blog/images/20181112-1.JPG

工学系、医学系、スポーツ科学系など広い分野の研究者が集まって、ヒト、動物の動きのメカニズムを追求する学会です。

産総研に異動されたF雅先生にも会場で会えました。

今回のオーガナイズドセッションで、N=1 を対象とした発表がありました。いわゆる、特徴的な奨励を扱う研究です。例えば、トップアスリート、世界一のアスリートは、その種目では一人しかいませんので、多くのN数を集めることができません。むしろ、そのN=1に特長があり、その特長を突き詰めることも、研究として興味深いものである、という観点でセッションが組まれました。

 その中で、四肢麻痺を発症したチンパンジー・レオの研究(京大霊長類研究所)がありました。突然、四肢が動かなくなったチンパンジー・レオ君は、10ヶ月間寝たきり。通常なら、その時点で安楽殺になるが、研究所ではその後も世話をします。その間、寝たきりのため褥瘡が背中を中心に多数生じる。ただ、10ヶ月後からすこしずつ上肢が回復し、動けるようになると褥瘡が消える。さらに機能が回復し下肢も使えるようになり、動くことが身体にもたらす効果を映像などで紹介されました。
このようなチンパンジーのリハビリは、世界初のことであり、人間のリハビリ、補助装具なども活用したとのこと。寝たきり発症から10年が経過し、すっかり身体的には回復したレオ君ですが、現在も集団から離れて、一人での生活。お友達と柵ごしで、やりとりは始めていますが、シャイになったり、びっくりしたり、まだ心理面では、集団には戻せない状況のようです。チンパンジーは、序列の厳しい集団生活。とりわけ雄にとってはよけいに。
レオ君の完全社会復帰は、もうしばらくかかりそうですが、何らかのきっかけによって上手くいくのではないかと期待しています。そのきっかけは人間社会でもヒントになる、と今後の研究成果が楽しみです。

 学会では次のシンポジウムがありました。
『突き抜けた世界へと至る道:平昌オリンピック金メダル獲得に向けた活動』
演者:結城 匡啓(信州大学)
   高橋 佳三(びわこ成蹊スポーツ大学)
   谷川 聡(筑波大学)
指定討論者:小平 奈緒(社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院)

スピードスケート、金メダリスト・小平 奈緒選手をサポートしてきた指導者、研究者によるシンポジウムで、最後に小平選手からの指定発言もありました。
詳しいことはかけないのですが、小平選手をサポートしてきたコーチ、指導者たちの科学的かつ個別的なサポートの成果を伺うことができました。小平選手の指定発言、質疑応答は見事でした。意識の持ち方を質問させてもらいましたが、「意識をする、と一つか二つに集中してしまう。むしろ、意識を通わせるという考え方です」と回答いただきました。
禅問答のようですが、小平さんの中では、すっと落とし込める感覚なのでしょう。トップアスリートの感覚、視野、視界、哲学を感じました。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
  
 先週、嬉しい訪問がありました。学部1期生の明子さん、スポ健事務室でGATプログラム開設に尽力してくれた環さんが、研究室に来てくれました。卒業生の元気な顔、出産間近の職員さんの嬉しい顔。なぜか、スポ健の未来は明るいと確信できました!

Twitter を再開しました!
https://twitter.com/tiger_chu?lang=ja
よかったら、こちらもご覧下さい。
【忠】

2018.11.11

博士論文予備審査会

先週に引き続き「学位論文」に関するトピックです。最近、学部生から「大学院」について質問を受ける機会が増えています。スポーツ健康科学研究科には、「博士課程前期課程(修士課程)」と「博士課程後期課程(博士課程)」の2つ課程が設置されています。博士課程前期課程の修了の標準年限は2年であり、修了時には「修士論文」を作成し修士の学位が授与されます。博士課程前期課程の修了後に、さらに高度な研究に取り組む場合には博士課程後期課程に進学します。博士課程後期課程の修了の標準年限は3年であり、「博士論文」を執筆しこれが合格をすると「博士(スポーツ健康科学)」の学位が授与されます。学部入学から博士学位の取得までは延べ9年(学部4年、博士課程前期課程2年、博士課程後期課程3年、標準年限での修了の場合)、長い道のりです。

博士課程後期課程を修了した後の就職先というと、大学教員を目指すケースが多いようです。また、「ポスドク」と呼ばれる博士研究員として新たな場所でさらに数年間研究者としてのトレーニングを積むケース、海外に留学をして研究に取り組むケース、企業や研究機関で研究員などとして活躍を目指すケースなど、進路は様々です。

スポーツ健康科学研究科では今年度末の博士学位取得を目指して、5名の大学院生が申請を済ませました。これから予備審査会、本審査会などの審査(試験)が待っています。先日、5名の中の先陣を切って1名の予備審査会が実施されました。事前に審査用論文(=博士論文)を提出しており、審査員はその論文を読み込んでいます(査読)。予備審査会の当日は、主査および副査との約60分間の口頭試問(質疑応答)が行われました。卒業論文や修士論文の審査会においても必ず質疑応答の時間が設けられますが、博士論文の審査では「質疑応答のみで60分間」です。その間、次々と質問への回答や論文内容の説明が求められます。本人(大学院生)にとっては一瞬たりとも気の抜けない60分間、けれどもこれを乗り越えないと今年度末の学位授与への道は閉ざされます。予備審査会を通過しても次は本審査会・・・まだ超えなければならないハードルはありますが、5名の申請者が力強くこれらのハードルを越えてくれることを期待しています。

GOTO

2018.11.10

マーケティングカンファレンス2018


10月は、ラグビーのイベントの話題が続きましたが、
その間に、早稲田大学で行われた
「マーケティングカンファレンス2018」にも参加してきました。
この学会は実務者の方も多く参加される学会です。
また、「マーケティング領域」の
様々な研究会によって構成されています。


数年前にスポーツマーケティング研究会が立ち上がり、
私もできるだけ参加するようにしています。
スポーツマーケティング研究会のトピックスは
「デジタル」、「IT」、「AI」が中心で、
研究ベースだけでではなく、上場企業やスポーツ組織の
「旬」な取り組みを知ることができます。

デジタルやAI、マーケティングというと
どこか冷たく無機質にとらえられるかもしれません。
しかしながら、どのような時代においても、
マーケティングの根底には、人々の幸せ、
社会の幸せの創出を追求することが存在します。
マーケティング学会におけるスポーツマーケティング研究会は、
デジタル化が進む中で、スポーツに関わる研究者と実務者、
組織の果たす使命を確認するような研究会でもあります。

スポーツマネジメントの理論と実践の間にいると
「スポーツは現在進行形」だとつくづく感じます。
そして年々、進行する速度が加速されているように感じています。
このような研究会に参加すると、実務者でも研究者でも
国内外の情報収集をはじめ、勉強量の多さを感じます。
こちらの勉強量が追いつかず、不安になることもありますが、
この学会は、他の研究者や実務者の方に
情報を共有していただく良い機会となっています。

今回の学会の基調講演は、阿久津聡先生、竹内宏高先生、
そして、野中郁次郎先生がご登壇されました。
普段著書やデービット・アーカーやマイケル・ポーターの
翻訳本でお名前を拝見する先生方が
一度に集まられて、大変注目度が高い基調講演となりました。
阿久津先生のお話によると、
竹内先生と野中先生がご一緒にご登壇されるのは
1990年代後半にUCバークレイ校以来で
その際は、ピータードラッカー先生も
ご一緒に登壇された基調講演だったようです。

竹内先生が、ピータードラッカー先生のお言葉を紹介してくださいました。
"You cannot predict the future, but you can create it."

今学期3回生を対象とした授業で、
Marketing of sport と、
Marketing through Sportを大別して講義を行っています。
今回の学会を通じて、Sportmarketing for の後を
より深く考える機会になりました。
この続きは授業で考えたいと思っています。

写真はマーケティング学会の会場とプログラムの抜粋
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください

#Marketing for Japan
#Marketing for peace
#Marketing for health
#Marketing for happiness
#Marketing for what?

2018.11.08

学会のハシゴ


こんにちは、shinoです。

今週は日中は比較的暖かいですね。
過ごしやすいです。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?


先週のブログでも書きましたが、
先週は千葉の木更津と、北海道の札幌で開催された学会に参加してきました。

『学会のハシゴ』をしてきたということです。

どちらも臨床医学の学会でした。
千葉の木更津は日本足の外科学会』というかなり専門的な学会でしたが、
北海道の札幌で行われたのは『日本臨床スポーツ医学会学術集会』というもので、
この学会は、ドクターだけでなく、トレーナーやスポーツ栄養士、理学療法士など、
スポーツに従事するいろいろな分野の人が集まる学会でした。

この学会では伊坂研究室の研究科博士課程3回生の安田さんが発表をしてくれました。



現役のスポーツトレーナーでもある安田さんは、
野球の肩・肘障害と下肢身体的特性との関係について研究しています。
私もこの研究を一緒にしていまして、今回はその成果を発表しました。



しっかり発表し、質問にも的確に答えてくれていたので良かったです。
観ていて安心しました。

会場の評判も良かったと思います。
研究テーマが変わった視点なので、会場にいた人たちも注目してくれたんだと思います。

今回発表したことで、研究内容に関する今後の課題や、次にするべきことは明確になりました。
研究がさらに発展すると思います。

頑張って、最後には素晴らしい研究にして欲しいと思います。

学会発表をすると、いろいろな意見や質問が来ます。
普段考えていないような質問も多々ありますが、それが次の研究へのヒントになることも多いです。

慣れていないと、人前、特に知らない人たちの前では、緊張しますし、なかなか大変ですが、
得ることも大きいと思います。

皆さんも、人前で意見を発表する機会があれば、どんどんチャレンジしてください。


~お知らせです~

BKCキャンパス内にある立命館生協ユニオンショップにて、
サポーターおよびインソールの販売を行っています。



スポーツ傷害後、予防のために、
サポーター、インソールが欲しい、
けど、買いに行く時間がない、
何を買っていいのか分からない。

など、悩んでいる皆さんのために、
生協さんおよび日本シグマックスさんのご協力のもと、
販売することになりました。

購入についてのアドバイスは、
私が行っているスポーツ傷害カウンセリング(https://reserva.be/supocommoで予約できます)
でさせていただきますので、
希望される方は相談に来てください。


2018.11.06

少しずつ…

前に、「たかが卒業論文、されど卒業論文」という内容を書きました。
重篤な疾患と障がいのある子の幼いきょうだいの気持ちとその家族の
あり方について、長い闘病生活を送り、他界したのお姉さんの死を経験
したご自身のライフヒストリーを卒業論文として書き上げました。

大学を退学することも考えていた彼は、このテーマを取り上げると決意
してから、驚くほどに日々変わっていきました。ご家族がお姉さんのこと
を話題にしたことは一度もなく、彼の中には大きなしこりのようなわから
なさがドカンと腰をおろしていました。小学校4年生からつもりにつもった
さびしさは、成人しても消えなかったと言います。

お姉さんの死から4年、卒業論文にこのテーマを取り上げ、ご両親、妹さん
と何度も何度も対話を繰り返しました。彼がはじめてきくご両親や妹さんの
気持ち、吐き出すことにできなかった自身の気持ちも少し表現できたよう。
今年のお正月には、仕上がった卒業論文をご両親に渡し、また語り合えた
ようです。家族がまた家族になったような気がすると話してくれたことが
とても印象に残っています。

長く障がいのある子や大人、その家族、そのきょうだいをテーマにしてきま
したが、すぐそばにいて何度も聞き返すことのできるゼミ生であり、また
きょうだい自身が書いた論文の内容に、はっとさせられることばかりでした。

同じ立場の多くの人に読んでいただきたいという欲求にかられ、教育系の
学会誌に投稿してみました。原著論文としての扱いは難しいが、内容は大変
貴重であり、ケーススタディ(資料)としての掲載という結果でした。
ただ、取り組みそのものについては、一定の高評価をいただきました。
看護や哲学では少しずつ認められつつある「当事者研究」ですが、まだまだ
その価値を押し上げるだけの研究手法が確立されていないことに加え、主観
を問題視されるところに留まっています。とても残念に思います。
それでも、ゆっくり、少しずつ、ほんとうに少しずつですが、私の領域のあり
方も変わってきていることを実感できたことをうれしく思っています。

2018.11.03

東大阪市花園ラグビー場 杮落し

3週連続、ラグビーのお話になります。
来年の今頃は、ワールドカップが開催されいます。
ちょうど一年前ということで、国際試合が多く組まれています。

この度、ラグビーのワールドカップの試合会場の一つである
「東大阪市花園ラグビー場」が改修工事を終え、
杮落しの試合、日本代表 vs. 世界選抜(World XV)が開催されました。

今回の改修工事で照明設備も設置され、
花園の長い歴史において、初のナイター試合となりました。
私は、これまで何度も何度も花園ラグビー場に通ってきましたが、
夜に訪れるのは初めてでした。
それに加えて、外観が大きく変わっていて、
来場者はあちらこちらで感嘆の声を上げていました。

また、スタジアムの外周に、たくさんのブースが出ており、
チケットを持たないものであっても楽しめるようになっていました。
花園で開催されるワールドカップの
組み合わせ各国の食事もありました。

スタジアムの中に入ると、正面に
「Hanazono Rugby Museum」が迎えてくれました。
以前も花園の歴史を紹介するコーナーがあったのですが
この度スタジアムに設けられたミュージアムは
試合前後に見学するのに適した規模で、
花園の歴史はもちろんのこと、国内外のラグビー史が
分かりやすく、そして、美しく展示されていました。


立命館大学のラグビー部も、花園の歴史に名を刻んでいました。

新しくなった花園ラグビー場が、2019年のその先に、地元の人々の誇りであり、
世界中のラグビー競技者やファンの憧れの地となりますように。



写真は東大阪市花園ラグビー場
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください


#日本代表は大健闘
#芝も最高のクオリティ
#雨でした
#寒かった
#立命館大学ラグビー部も良いシーズンを!

2018.11.02

AI と言語習得の話

どうも、嶋村です。遅くなってすみません。金曜日になりましたね。僕はいつも「ネタがない」と嘆いているわけですが、スポーツ健康科学部のブログに載せるような話題がないという非常に限られた狭義の意味での「ネタがない」でして、決して日々何もなく過ごしているわけではありません。なので、毎週何かは書いているわけです。そういうことで、今週も全くスポーツと健康に関係ないことを書きます。


以前研究には基礎と応用があるという話をしたと思います。基礎研究とはその研究が実際社会に役立つかどうかを考慮せず、研究者の興味の赴くままに研究するというもので、応用研究とは基礎研究で得られた知見を使ってその成果を社会に還元させていくような研究のことを言います。なんで、「~先生が、どこそこの会社と新しいサプリメント開発したらしいよ、すご~い!」ってなる場合は、その当該先生は応用研究で成果をあげたことになると思います。そのサプリメントを作る上で、それを構成する化学物質の研究があって然るべきですが、そういうのは基礎研究であることが多いと思います。基礎と応用、どちらが素晴らしいとか重要だとかではなくどちらの研究も必要ですが、バランス良くやることが大切ですね。ただ中には基礎研究の方が崇高だって思っている人が割といるかもしれません、個人的な意見ですが(笑)。


さて、そんな言語学の基礎研究・理論的側面ばかり研究している私ですが、僕がやっていることが世間に全く役立たないかというとそうでもないようです。今日うちの奥さんがたまたま見つけた記事によれば、MIT の研究者たちが、人工知能 (AI) があたかも人間の子供が学ぶように言語を習得する(可能性がある)モデルを開発したそうです。以下のリンクに詳しく書いてあります。


https://www.csail.mit.edu/news/machines-learn-language-more-kids-do


これまでの機械学習は統語と意味を解析するパーサー(解析機)を通してなされてきました。統語とは、大雑把に言って文法のことで、単語と単語がどのように結び付けられて文ができるかを規定する規則の総体を表します。これまでのパーサーは、それが利用する文(データ)にいちいちどのような統語構造を持っているか、そしてどのような意味を持っているかの注釈(アノテーション)を人がつけることによって学習が可能になっていました。ただ、この作業は膨大な時間がかかります。しかも人がつけるアノテーションは必ずしも正確というわけではなく、人によって違うということもあり、人が自然に言語を使う様を正しく反映していないこともあります。


ところが、新しく提案されたパーサーは、上述のようなアノテーション付きの言語データではなく、パーサーに説明付きのビデオを見せて、それを基に映像で流れている事象と説明文を関連させることによって言語を学んでいきます。そして、ある一定の学習期間の後、新しい文を与えられたパーサーはビデオなしで文の意味を正しく予測することになります。人の子供は、生まれた環境を観察することにより言語を学んでいきますから、新しいパーサーはこれに似た手法をとっているということになります。


さて、僕の専門は統語論と意味論で、特に後者は、形式意味論 (formal semantics) といって数学的な概念をたくさん使います。フレーゲ、デイヴィッドソン、タルスキ、クリプキなどの過去の偉大な数学者や哲学者の功績に多くを負っている形式意味論ですが、今お話ししているパーサーがビデオみて学習する際に利用する文は形式意味論的な表示がされているようです。記事によれば、The woman is picking up an apple という文は、λxy. woman x, pick_up x y, apple y と表示されているそうで、ラムダ表記を使って表現されています。ラムダ表記は チャーチという数学者が生み出した数学的道具で、言語学への応用はモンタギューという人によってなされました。まあ数学的には色々特徴があるようですが、数学者ではない僕にはチンプンカンプンです(笑)。重要なことはラムダ表記は数式から関数を簡単に作り出すことができるということです。ここで数式とは文字列でも構いません。例えば、「嶋村先生は(女優の)波瑠が好きだ」という文の意味を考えた時に、我々言語学者は文の意味の値を 1 (真)か 0 (偽)で判断します。例えば「嶋村先生は(女優の)波瑠が好きだ」が真であるのは、現実世界において僕が波瑠が好きな場合のみであり、実際そうなので真になります(笑)。さて、ラムダ表記がエライのはこのような文字列をラムダ抽象化により関数にできるということです。つまり、「λx. 嶋村先生は x が好きだ」という具合に、x の値を求めることになり真偽値を決めることができるのです。簡単に言うと、嶋村先生が好きなモノ(人や物)から命題(真か偽か判断できるもの)へ写像する関数(<e,t> と書きます)を作ることができます。例えば、x の値が「奥さん」なら真になる訳です。なので <e,t> 自体は僕の好きなモノの集合ということになります。


まあ、「今日は、マジでわけわからんぞ」ということになっている人が多いと思いますが(ってそんなに読まれているとは思わないけど)、何が言いたいかというと、形式意味論的な意味が機械学習で利用されているんだなあ~ってことです。形式意味論は非常に数学的ですので、プログラミング言語などとの親和性が高いのですが、このように AI の開発にも利用されているとは知らなかったのでちょっと記事を読んで嬉しくなりました。


ちなみに今日ブログに登場させてしまったうちの奥さんは、先日誕生日でした。僕は彼女が 23 歳の頃から一緒にいますが、そんな彼女も 32 歳です。いろいろ難ありの私ですが、いつも支えてもらっています。僕は一人で生きているわけではないのだと最近つくづく思います。末長く一緒にいられたらなあとも思います。まあ、ちょっとダラダラ書いてしまいましたが、人の叡智の可能性に思いを馳せつつ今日はこの辺で。

2018.10.28

ライスボールセミナー

ライスボールセミナーとは、教職員・若手研究者・大学院生(学部生)などを対象に、昼食を取りながら研究発表やディスカッションを行うというものです。その名の通り、参加者には「おにぎり」が配布され、分野を超えた交流の実現をねらいとして毎週金曜日の昼休みに開催されています。先日、スポーツ健康科学研究科(博士課程後期課程)のSumiくんが発表担当だったということもあり参加をしてきました。



当日は、自身の研究内容の一部を紹介したことに加えて、大学院に進学をした理由などについてわかりやすく説明をしていました。また、最後には、彼がスタッフとして強化に関わっている女子陸上部が参加する「全日本大学女子駅伝(本日開催、テレビ放送あり)」に関してもしっかりと宣伝をしていました。

若手研究者の育成という観点から、今回のような企画をしていただけるのは教員としても嬉しい限りです。大学院生には、学会や学内の研究報告会などたくさんの発表の機会があります。ただし、これらはいずれも聞き手が同じ分野の方々です。発表内容に関わる基礎的な部分への共通理解がありますので、話をしやすいのです。これに対して今回のライスボールセミナーのように異分野の方々が参加される場合には、発表者側も相当の工夫が必要となります。その点で、本人にとっても非常に良い経験(トレーニング)になったのではないかと感じています。将来、優れた研究者になる上では、「良い研究ができる」ことに加えて、「研究成果や内容を社会に発信する能力(アウトリーチ活動)」がきわめて重要となります(特に最近ではこの点が大切にされています)。今回のような経験を通して、「研究者としての力」が着実に育成されていくものです。



GOTO

2018.10.27

別府×サンウルブズ、そしてAPU

先週、2019RWCの一年前イベントに別府市を訪問したことを記しましたが、
今週も再び別府市ですのことです。

私が別府を訪れた際、スーパーラグビーに参戦する
サンウルブズの関係者も別府入りをしていました。
サンウルブズに関しては、以前ブログで紹介していますので、
こちら https://www.ritsumei.ac.jp/page.jsp?id=120821&date=2018-08 
でご確認ください。

別府はサンウルブズがシーズン前にキャンプを行っている場所です。
今回は1週間ほど滞在し、一年前イベントにもゲストとして登場するほか、
地元の子どもたちに対するラグビークリニックを開催していました。

大規模な国際的スポーツ大会を開催することで
スポーツツーリズムや地域振興への期待が高まっていますが、
そもそもスポーツに対する関心を高めることも非常に大切です。
2019RWC×別府市×観光資源×サンウルブズと
何かとても好循環を生み出しているように思います。

サンウルブズのメンバーが車で空港に向かうというので
便乗させていただき、途中でAPUを訪問してきました。
サンウルブズは、国際リーグに参戦するチームで、
元日本代表で活躍していたコーチ陣をはじめ
スタッフ陣の語学力は非常に高く、
今回ご一緒したメンバーも海外の大学で修士号や博士号を取得しています。
私がAPUを見学してみないかと提案したところ快諾でした。
おそらく皆「大学」という場所が好きなのだとでしょう。
APUに到着すると、自然と足が向かうのが「グラウンド」でした。
「理論」と「実践」の場所と人と過ごす時間はとても心地の良い時間でした。

写真はサンウルブズ×別府、そしてAPU
撮影:ゆ&サンウルブズのメンバー

写真の無断転載はご遠慮ください

#飛行機に乗り遅れました。