2015.07.11
[ research ] の記事一覧
2015.07.10
JMOOC 出張講義@立宇治
ただいま JMOOC で開講中の「ランニングのスポーツ健康科学」に関し、反転授業という形で2コマ講義させて頂きました。学生さんは事前にオンラインの講座を受講して事前レポートを作って来てくれています。10ページ以上のボリュームで書いてきてくれた学生さんもいて感心しました。講義開始の際に感想や疑問点を話してもらい、それに答えられる様に進めて行きました。
オンライン講座、事前に色々と考え検討を重ねて準備をしたのですが、矢張り受講者の方からのフィードバックを得る前に完成させなくてはならないという難しさがあります。通常の授業では学生さんの反応を見ながら繰り返し説明をしたり、別の角度からの考え方を紹介したり色々と工夫しています。一回の授業の中でもしばしば方向修正しますし、もちろん次週の準備の際にはその週の講義の際のインタラクティブシート等を大いに参考にします。それが出来ないオンライン講座というのは難しいな、と改めて実感しています。現在「ランニングのスポーツ健康科学」は 4000 名以上の方々が受講くださっているとの事。掲示板に頂くコメントを見て「これも講座の中で説明しておけば良かったな」と思うことが多々あります。
本日の講義は多くの学生さんが熱心に参加してくれていたと思いますが、バイオメカニクスの講義は物理や数学の要素が多く入るため「難しい」「何となくピンと来ない」というイメージもあるようです。常々思うのですが、この分野は実験から入った方が親しみ易いのです。微分とか積分とかの計算にしても、カメラで撮影した動画からボールのスピードを計算する、等の処理をやってみると意外と解りやすいし本当の理解につながると思います。今日の学生さん達にはまたインテグレーションコアにもお越し頂く予定ですので、その時に改めてスポーツ科学・バイオメカニクスの面白さに触れて頂ければ、と思います。
2015.07.06
日本スポーツ栄養学会 その1
http://www.jsna.org/event/annual.html
学会の冒頭の会長講演で【ab】先生より、今回の大会テーマ「QOLの向上にスポーツ栄養学ができること」について、その想いをしっかりとしたメッセージで語られました。日常の『食』が持つ意味、意義、そしてそこからの人生について、哲学的観点、文化的観点、自然科学的観点からまとめられ、参加者のハートに深い滋養を染みこませるようなしっとりとして語り口と内容でした。門外漢の当方も感激して聞いておりました。
大会の運営は、先日の『学会準備』で書いたように、学会運営のノウハウを知り尽くしている【輝】先生を柱に、教員間の見事な連携と院生・学部生の気配り、目配りの行き届いたきびきびとした働きぶりで、見事なものでした。参加者の多くより、「本当にチームワークが良いですね」「院生・学部生が良くトレーニングされていますね」と嬉しい言葉をたくさん頂きました。
この学会運営のチームに参加できて当方もチームワークの良さとチームで成し遂げる喜びを味あわせていただきました。
おそらく、明日以降も、この学会の話題が続きます。ですので、今日は「その1」をここらあたりで締めておきます。
<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
上記の学会のランチョンで司会をさせてもらいました。今回、ランチョンで、登壇したのが、ATCのHarukoさん(写真右)で、女子7人制ラグビー日本代表のサポートについてお話ししてもらいました。教え子でもあり、その“教え子からの指名”という名誉に預かりました。しっかりと現場をサポートして奮闘している様子にこちらも元気をもらいました。もう一人の登壇者は、Uraraさんで【Ab】さんの関係で知り合い、いつも現場の栄養サポートの現状を教えてもらっています。お二人の司会ができる幸運も、この学会で味合わせていただきました。
【忠】
2015.07.03
実験の話
7月半ばにスコットランドで開催される International Society of Biomechanics で発表する内容で、タイトルは Impact of boxing punches assessed with wearable inertia sensor and motion capturing です。ボクシングのパンチの衝撃力を測ろう、という研究です。被験者・験者としてご協力下さった皆さん、有難う御座いました!
私は大学生の頃ボクシング部に所属していました。部としての合同練習が週5日、自主的なロードワークも入れて週8回位練習していたと思います。推薦入学の無い大学としてはまずまずのところに位置しており、国体や全日本選手権に出場する選手も多数いました。私の2年後輩が全日本選手権で3位に入賞したのが部としては歴代最高位ではないかと思います。私自身は減量が厳しすぎたこと、大学院の入試日程とバッティングしていた事が理由で、国体予選を勝ち抜いたのち本戦を辞退して部活動を引退しました。
ボクシングでは練習でも試合でも頭部に衝撃を受けます。その衝撃力はどの程度の大きさなのか?と思い、加速度センサを使って計測をしてみました。小型・軽量・無線のセンサで、断線や故障の心配も無く実験をデザインすることが出来ました。加速度センサはサンドバッグに取付けます。サンドバッグの質量は 15kg と解っていますので、Newton の第2法則
力=質量×加速度
を用いるとパンチによってサンドバッグに与えられる衝撃力が計算できます。
結果として、左ストレートの衝撃力は 1700 N 位、右ストレートの衝撃力は 2700 N 位というデータが得られました。kg 重の単位で言うとそれぞれ約 170kg 重、270kg 重程度です。ただし今回の実験は予備動作無しのパンチですのでフットワークに乗せたパンチ、或いはワン・ツーを打った際の右ストレートの場合には更に大きな衝撃力になるのではないかと思います。
今回使用した様なセンサはヘッドギアに装着しても殆ど邪魔にはなりませんので、練習や試合の際の安全管理に使えるのではないか、と考えています。ボクシングは素晴らしいスポーツだと思いますが実施に伴うリスクは軽視できません。ボクシングを含め、格闘技全般をより安全に行う事に研究を通して貢献出来れば幸いと思います。
2015.06.30
ヨーロッパスポーツ科学会で大学院生の活躍!
先週、6/24-6/27 に、スェーデン・マルメで第20回ヨーロッパスポーツ科学会(Annual European College of Sport Science Congress)が開催され、そこで、スポ健の大学院生が日ごろの研究成果を発表し、活躍しました!
この学会はヨーロッパのスポーツ科学系では大きな国際学会の1つで、いろんな国々の研究者が研究成果を発表する学会です。その中で、立命館大学スポ健からは大学院生5名が堂々と発表し、Motoのゼミ生や大学院生では、2名発表しました(下の写真)!
Motoの大学院生は、心血管疾患リスクの増加に骨格筋の周りや筋の中にある脂肪が影響するという内容やストレッチ運動による動脈硬化リスクの低下に関する研究などを紹介しました。
また、スポ健のSatoshi先生も発表され、骨格筋の肥大に性ステロイドホルモンがどのように関与するのかを分子生物学的なデータを紹介しました(下の写真)!さすが、「世界のSatoshi」!です。
Moto
2015.06.22
学会準備
2015.06.19
水曜ミーティング
2014年度に立ち上げた当研究室ですが、学部生に加え今年4月に大学院生2名が入学したのを機にこの研究ミーティングを始めました。現時点でのルールはただ一つ(時間厳守とか研究倫理を守るとか協力し合うとかは当然の事として)、毎週必ず研究を前進させること、です。皆日々の生活の中で様々な事情があり、体調にも気分にも波があるので毎週コンスタントに研究を進捗させるのは容易ではないと思います。ですが「少しでも良いから必ず進める」と決めて、それが習慣化すれば却って進捗のない時が居心地悪くなるものです。
ミーティングのスタート当初から fjmt 先生も毎回ご参加下さり大変助かっています。いつも有益で productive なご助言を頂きありがとう御座います!
izi君:着実にレベルアップして来ています。自ら調べて勉強する姿勢、解らないことは素直に認めて学ぶ姿勢に感心しています。
wkmyさん:コツコツ続けて来た成果が蓄積されて来ていると思います。もう実験も始められると思うのでますます面白くなってくると思いますよ。
akgm君:ここ暫くの伸び率が素晴らしいです。お世辞ではなく何度も驚かされました。細かい緻密な作業も覚えて行きましょう。
kdu君:学会の準備も完成度高く仕上がって来ました。超一流の方が沢山集まる会ですので、良い刺激を受けて今後の糧としてください。
nkmr君:就職活動もそろそろ落ち着いて来たでしょうか?卒業前に学会発表することを目標に進めて行きましょう。
努力に勝る才能無し、継続は力なりです。Good Luck!
2015.06.16
1年生のプチ・プレぜーテンション大会
先週、水曜日の基礎演習という1年生の小集団授業で【Moto】クラスの中でプチ・プレぜーテンション大会を行いました!4-5名1組になり、テーマは何でもいいので、自分たちで調べたことをPowerPointで資料を作成・発表し、どのチームが最高のプレゼンをしたのかを競いました!
テーマを自由にしましたが、なかなか面白いテーがありました!「ツボについて」、「スターバックスをBKCキャンパスに!」、「スポーツにおける色の心理効果」、「メジャースポーツをオリンピックに、マイナースポーツをメジャーにするためには?」、「キラキラネームについて」、「身長と生活」という様々なテーマで、調査して、それをまとめ、自分たちの意見を述べていたので、私が思っていた以上にちゃんとした発表で驚きました!!
優勝チームは、PowerPoint資料で効果的な写真やアニメーションを用いて、全員が相手を見ながら、説明している非常に素晴らしい発表でした!商品はMotoが買ってきた高級チョコをゲットして大喜びでした。
「計画的に協力して1つことを成し遂げること」、「人に何かを伝えることの難しさ」を学んでもらい、どんな工夫をしなければいけないのかを気づいてもらういい機会だったと思います。大学を卒業すれば、社会人として自分の考えやアイディアを伝える力は必要です。それを1年生の時から少しずつ見つけてらえたらと思います。
Moto
2015.06.15
ポゴ ハイジャンプ実験
先週、演習の時間に、ホッパー(ホッピング装置、ポゴ社製)をつかった、ハイジャンプの実験とその収録(NHK)がありました。子供頃に、バネ付きのホッピングで、ピョンピョン跳んで遊んだ方もいると思います。
いま、このピョンピョン跳ぶホッピング分野にもプロが存在して、色んなパフォーマンスを繰り広げています。その中で、ハイジャンプという競技があります。下記の映像は、現在の世界記録保持者が、
2014年8月ビルハッチソンが世界記録2m98cmを跳んだときの映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=_PxMkgmdIo4
現在の記録は、10フィード(3m05cm)にまで上がってきています。今回、その記録更新をねらっているFred選手(記録は2m85cm)が来日し、世界記録へ挑戦するために必要なホ要素を洗い出し、課題を整理するために来日しました。スポーツ健康科学部のパフォーマンス測定室で、ゼミ生、院生とともに、モーションキャプチャー、高速度ビデオ撮影(1秒間に1000コマ)、床反力計測を行いました。
ホッパーによるジャンプを生で見たのははじめてですが、凄い迫力です。床が抜けるのではと思うほどの衝撃です。そのため全力での床反力計測はできないほどでした。我々が子供のころに使ったバネによるホッパーと異なり、空気圧を利用してその圧縮による反力を利用してジャンプします。そのため、その圧縮の程度、最初に入れる空気圧がパフォーマンスに影響します。イメージすると、自転車のタイヤに空気をたくさん入れて、その上で、地面にたたきつけてタイヤを押し込むというものです。
理論的には、初期の空気圧を高くして、圧縮する(押し込む)量を増やせば、反力が大きくなります。ただ、その分、制御が難しくなります。また、バネと違い、空気圧の反発の戻り方は直線的出ないので、このあたりも通所とは違う感覚が必要なようです。
いずれしても、力学の観点と、人間の動き、制御の観点で議論しながら、ゼミ生、院生と実験を行いました。収録を意識して、「R」マーク入りのシャツで、よく考えながら動いてくれました。
<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
「ワクワクする仕事は楽しく、はかどる」 勉強も同じですね。皆さんも感じていることで、科学的にも証明されているとのこと。今回のブログに紹介したホッピングもワクワクする仕事です。ついつい、ワクワクするレベルが下がる仕事、事務的に処理する仕事もありますが、これらも「ワクワク」するコツを見つけることで、早く片付けられるかもしれません。私のコツの一つは、「何でも楽しい」と思うこと。「楽しい、楽しい・・・」と繰り返し心でつぶやきながら、本当に楽しんで過ごしています。ワクワクを1日1回持てるようにしましょう。
【忠】
2015.06.12
ジョジョの奇妙な冒険
読んでみて、懐かしいというだけではなく目から鱗の大変参考になる一冊でした。内容の紹介のために目次から何カ所か抜粋します。
・「王道漫画」を描くための「黄金の道」
・最初の一ページをめくらせろ!
・他人が描いていない分野に踏み込む
・日常の「起承転結」を体で覚える
・表現はヘミングウェイに学べ
・リアル化とシンボル化
・同じ絵ばかり描いていたら時代遅れになる
・徹底的にリサーチする
・調べた事を全部は描かない
・描いたものは忘れる
いかにして面白い作品を創るか、という事にフォーカスした筆者の考えが述べられています。ここで「面白い」とは「読者が楽しんで読んでくれる」という事です。そして、この著作の題材は勿論漫画なのですが、我々大学教員の教育・研究の仕事にもほとんどぴったりあてはまると思い強い感銘を受けました。授業や研究のプレゼンテーションを、「面白い、もっと聴きたい」と思って貰える事は我々にとって大きな喜びです。そのための技法や考え方に関する著書もまずまずの数読んで来たつもりですが、中でも非常にためになった一冊として紹介させて頂きます。学生さんもプレゼンの際や、面接を受ける際に大変な参考になると思います。是非読んでみてください。
本の内容から、驚き感心した事項を一点。荒木氏は作品を描く際に、全てのキャラクターの「身上調査書」を作成するそうです。これは履歴書を更に詳しくしたもので、姓名・年齢・性別は勿論の事、身長、体重、生年月日、血液型、学歴、好きな音楽、飼っているペット、尊敬する人物、等々約60の項目からなっているそうです。そのお陰でキャラクターの振舞いにリアリティが生まれ、ストーリーにも矛盾がなくなるとの事。なるほどと思いました。