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2014.12.08

お礼状

先週紹介しました、当方の研究室まで質問・インタビューに来てくれた滋賀県内の公立高校の生徒さんたちから、お礼状が届きました。最近は、即時性のためかお礼の挨拶を頂くのも「メール」が主流ですが、今回は封書で頂き感激しました。内容もさることながら、表書き、裏書きもしっかりとした字で書かれていて、ご本人たちならびに先生の指導の賜物と感心していました。

 

そのお礼状をみて喜んでいたところに、もう一通、お礼状を頂きました。こちらは、関東の中学2年生からでした。ここの中学校では修学旅行(研修旅行)で京都まで同行し、そのあとは本人が調べて好きなところへフィールドワークをさせているようです。この中学生から事前に電話で当方の研究室を訪問して、「スポーツバイオメカニクスの動作解析を学びたい!」ので、訪問させてくださいとのこと。もちろん、前向きな行動力に感激してOK。ただ、残念ながら当日は出張のため、ポスドクの樋口先生と4回生のゼミ生にアテンドと指導をお願いしました。写真はそのときにとったもので、高速度ビデオ撮影で動作解析を習ったようです。その中学2年生から、想いのこもったお礼の手紙を頂きました。

 

いつも学生たちには、「仕事、事業、ものごとの締めくくりは、『お礼状』である」と繰り返し話しをしてきています。そのせいか、この間、スポーツメーカーの研究所、他大学の研究室との交流会などでお世話になったときに、ゼミ生たちはすぐにお礼状を送ってくれています。関わっていただいた方々に、感謝の思いを伝えることができることは非常に素敵なことです。

 

学生に伝えていることの一つとして、「皆さんは社会から多くのチャンスをもらえる。ただし、素直で礼儀正しいことが前提です。そして、感謝を伝えられることでより多くのチャンスに恵まれます。」

 

「ありがとう」の素敵な循環で、若者が多くのチャンスをもらい、その若者たちが気持ちよくチャンスを与えられる大人になってくれることを願っています。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

卒業生から、FBで「こどもが産まれました」と嬉しい知らせ。可愛い新生児の写真とともに、それを喜んでいる卒業生とその家族に思い至ります。人生にはいくつかの節目、転機がありますが、誕生はまさにその1番目。親にとっても、大きな節目です。この可愛い赤ちゃんの成長とともに卒業生のこれからの人生も広がっていくでしょう。

【忠】

 



2014.12.07

アメリカ便り (8): Neuroscience 2014

最近のワシントン D.C. は、最高気温が0℃以下の日もあったかと思うと
逆に11月も終わろうかというのに、最高気温が20℃を超える日もあり、
ほとほと体に厳しい気候が続いています。

先月の 11/15-11/19 に、ワシントン D.C.の
コンベンションセンターで、Neuroscience 2014 が開催されました。
http://www.sfn.org/annual-meeting/neuroscience-2014

Neuroscience (北米神経科学会) の年次大会は、とにかく規模が大きくて、
参加者が35,000人以上!、5日間で口頭・ポスター発表を含め、10,000件以上!と
何から何まで規格外の学会です。



あまりに規模が大きくて、アメリカでもこれだけの人間が集まれる会議場が
四カ所しか無く、その四カ所を順番に回るという形になっています。
(ちなみに来年は、10/17-10/21 にシカゴで開催されます)

面白い発表が沢山あるのですが、いかんせん発表がありすぎて、
聞きたい発表が被るのが悩みの学会ですが、
面白い発表やシンポを選んで色々と回ってみました。

特に面白かったのが、神経科学を online learning で
どう教えるかというシンポジウムでした。
http://www.fas.harvard.edu/~bok_cen/sfn/



日本でも、動画教材と対面授業を組み合わせた反転授業や、
大規模オンライン講座の MOOC が話題となっていますが、
今回のシンポでは、実際に神経科学を online learning を
実践している関係者が集って、その取り組みや効果について
率直に意見を交わしていました。

スポーツ健康科学部でも、次年度、JMOOC に
スポーツ健康科学の講座を提供予定にしています。
ぜひその際に参考にしたいと考えています。
講座内容は決まり次第、皆様にもお伝えしたいと思います。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#8>>
学会に参加するためには、参加費を払うのですが、
これが一般的な感覚ではかなりの高額です。
参加費を払っている人と払っていない人を見分けるために
名札 (badge) を首からぶら下げており、
入り口では、"Could you show me your badge?"
「名札見せてください」と言われます。

2014.12.06

ポカリスエットの父、大塚明彦さん逝く…

ボンカレーの発案者であり、ポカリスエットやカロリーメイトの生みの親でもある大塚ホールディングス会長の大塚明彦さんが逝去されました…。

ポカリスエットは、我が国におけるスポーツドリンクの先駆的存在であり、1980年に発売されて以降、当初の味を守りつつ、25年近くに及ぶロングセラー商品です。このポカリスエットは、大塚さんが大塚製薬の社長に就任された後、“味覚の天才”といわれるベテラン研究員と会社の未来を担う若手研究員と長い年月をかけ、開発した“清涼飲料水”です。

ポカリスエットは、現在、スポーツドリンクや機能性飲料としてのイメージが定着していますが、当時は、「スポーツドリンク」という商品カテゴリーは確立されておらず、商品名にも示されるように、“汗の清涼飲料”というコンセプトで市場へと導入されました。現在でも多くの人々が愛飲しているコカ・コーラをはじめ、当時の清涼飲料水は糖質濃度が12~15%が主流でした。そのような“甘さ”が人々を魅了していた市場で、ポカリスエットは、健康飲料としての地位を確立するため、糖質濃度7%以下のコンセプトに基づき、商品開発されました。

ポカリスエットが市場に導入された1年後に、ちょうど私は高校で野球を始めました。OBの方々が差し入れて下さったポカリスエットを、「なんや、アルカリ性イオン飲料って?」と思いながら、試合中に口にしたときの衝撃はいまでも忘れません。水分が身体に浸透するというか、口に入れたポカリスエットが指先まで広がっているような感覚でした。そう思って、日常で口にしたら、「なんじゃこりゃ?」、当時、ポカリスエットを初めて飲んだ多くの人が抱いた感想、「薄くて味がない…」という同様の印象を抱きました。まさしく、“汗の清涼飲料”だったわけです。

ポカリスエットが市場に導入された当時と現在とでは、健康飲料・清涼飲料のマーケットサイズは、倍に膨れあがっています。人々の味覚や嗜好が変動する中、25年近くも確固たる地位を確立しているポカリスエットは、日本が誇る機能性飲料です。
他界された大塚さんが社長だった頃、医薬品の研究開発だけでなく、健康分野への商品開発、さらには海外へと積極的に事業展開した成果が稔ったのか、現在では、ラマダーン(イスラム教徒が夜明けから日没まで断食を行う月)後の栄養回復として、ポカリスエットが多くの人々に愛飲されているようです。

大塚明彦さんのご冥福を、心よりお祈り致します…

Jin


2014.12.05

模擬授業

スポーツ指導実習(ニュースポーツ)の授業で、今日から模擬授業が始まりました。
受講生は、いくつか異なる設定の中から自身が行ってみたい設定を選択します。例えば、
①小学校4年生/クラス替えがあったばかりの4月はじめの授業/体格の多い女子が多い/男子が消極的
②中学校2年生と高等学校2年生の交流会/初対面同士/軽運動を通じて交流を図る
③中学校1年生/車いすを使用している生徒が1人/ボール運動/孤立しないよう注意

これらの設定には、②のように1回だけの場面もあれば、①や③のように単元になっているものもあります。単元になっている場合には、全何時間中の何回目の授業を模擬授業で行うかも指定されています。
指導案は、細案を作成します。
対象者の所属や人数、場所、日時から始まり、単元観、対象者(児童・生徒・学生など)観、指導観については、設定された対象者に適したものを記載することが求められます。
単元の目標とそれに適した評価基準を作成し、各授業時間にどの評価基準を用いて授業を進めるのかを単元計画に記載します。
そして、最後に実際に模擬授業を行う時間の流れを記した「本時の展開」です。学習者の活動とその活動をより効果的にするための指導者の留意点、評価基準を時間配分と共に記載します。

2週間前までにこの指導案の提出をし、今日から実際の模擬授業を開始しました。今日は2組です。持ち時間は35分間。35分は結構長いようで短く、短いようで長いんです。この感想はたいてい半分半分に分かれるのですが、分かれない唯一の感想が、「緊張した~!!!」です。今日の実施者も緊張の色がありありと。。。

スポーツ健康科学部の学生の中には実際にスポーツ指導を行っている人も少なからずいますが、模擬授業では対象者に合わせて言葉遣い、音量、態度、立ち位置など、多くのことが「適切に」求められます。大学生の受講生を小学校3年生に見立てて授業をするのは、気恥ずかしいこともあり、多くの受講生がまずここに躓きますが、一旦スイッチが入ればスムーズに進行する場合がほとんどです。この切り替えが上手くできるかできないかが指導者に求められる一つの要素かもしれません。対象者によって、ある意味どこまで自分を隠し(偽り)、対象者の魅力を引き出せるか、そういうことも学んでほしいを思っています。



2014.12.04

卒業論文執筆の追い込み(2)

先週に引き続き、今週も卒論ネタです。いよいよ来週月曜日から卒論の提出期間が始まります。既に最終チェックを段階で初日に提出できそうな学生、完成度は50%程度でこれから追い込まなければいけない学生など進捗は様々です。

卒論提出前の追い込みは毎年恒例の行事(?)でもあり、これまで様々な光景を目にしてきました。最近では学生が自分のノートパソコンを持っていますので作業する場所は多様になりましたが、私が大学院生の頃は自分のパソコンを持っていない学生も多く、研究室に備え付けの共用パソコンで作業に没頭する学生が相当数いました。提出までの数週間は大学に寝泊まりをして、朝大学に行くと論文執筆に疲れ果てたゼミ生がトレッドミルの上で寝袋にくるまって仮眠をとっている・・・そのような光景は決して珍しくありませんでした。その頃に比べると、今の学生は適度に余裕を持ちながら作業を進めているように感じています。これも時代の流れですので、今の学生に「寝袋を持ってきて大学で寝泊まりしなさい」とは言いません(以前もそのように指導していたわけではありませんが)。

いずれにせよ、提出直前は最後の追い込み、これはいつの時代になっても変わりません。苦労して書き上げた卒論は大きな達成感と自信をもたらしてくれます。くれぐれも体調に気をつけて、目の前に見えたゴールを笑顔で駆け抜けてくれることを期待しています。

2014.12.03

卒論・ゼミ大・・・の中での学会発表

こんにちは。ma34です。

今日は、基礎演習(1回生)のゼミナール大会に向けた論文提出の日です。
ただいま、17:00を回ったところ。
どの班もちゃんと出せたのでしょうか。。。シンパイハツキマセン。

卒論の提出も、いよいよ来週の8日(月)から始まります。
赤沢ゼミは初めて、4回生が卒論を提出することとなります。
11月ごろからようやく焦りだしてくれたゼミ生ですが、書き出すとぐんと書ける人、
色々な思いが溢れて、なかなか筆が進まない人・・・と色々です。

私は筆が進まない人代表のような人なので、
周りがサクサク進めているなか、どんどん焦ってしまう心がよくわかります。
これまでたくさん本を読み、現場に飛び込んでいった人ほど、整理することが大変で書けないのですよね。
でも、書いて書いて、削って削って・・・練って練って・・・で、より良いものができることを楽しみにしています。

そんな怒涛の日々のなか、自分の学会発表もありました。
会場は、今、ゆるキャラ第1位を獲得して、話題の、群馬。群馬大学でした。
(第25回教育目標評価学会)



今回は、昨年度作成した、学校現場で活用してもらいたい小学校外国語活動の文字学習用パンフレットについて
研究の背景、現在での議論を踏まえた意義を発信する目的で発表をしてきました。

2月には、小学校外国語活動の専門家の研究会でもう一度発表をしますが、今回は教育目標・評価の観点で
色々な指摘をもらえることを楽しみにしておりました。専門のフィールドが違えば、出てくる質問の視点も変わります。
私が弱いなあと思っているところをしっかりとつつかれて、今後の研究で押さえておくべきポイントが明確になりました。

自分の思っていること、考えていることを論文という形にまとめて、発信し、意見や質問をもらうこと。
産みだすのは本当に苦しい作業ですが、
そこから生まれる楽しさをぜひ4回生にも、また1回生にも味わってほしいと思っています。

ma34

2014.12.02

熱く!

Hassyです。

一気に寒くなりました。
この師走は、スポ健学部では卒論の、研究科では、修論、そして今年は、対象の院生は博士学位論文の提出もあり、相当慌ただしい状態になってきています。
我々教員陣は、これからゼミ生だけでなく、他のゼミ生の審査対象論文にも目を通していくことになりますので、特に忙しい日々が続きます。
お互い体力勝負、十分体調には気をつけましょう!!
寒いのは苦手ですが、寒いなんて言ってられません。

さて、修論を控えている8810君は、SG先生とともに「あつ〜く」実験に精進しています。
以前紹介した実験はかなり面白い結果が出てきました。
それに関連して、今回また新たに、運動と認知・実行機能の関係性をみる実験系を組んで遂行しております。

Hassyゼミ卒研生のHonchanも卒論追い込みの中、被験者として参加してくれています。
運動で亢進した認知機能を卒論執筆に活かしてください!笑

また、現在準備中ですが、脳の活動領域を画像化できるfMRIを用いた実験も計画中です。

これらの熱い実験の成果が楽しみです。

2014.12.01

火事場の馬鹿力

今日から師走(しわす)となりました。普段はゆったりと過ごしている先生もバタバタする月、という意味で師走というようですが、いつも走り回ってアクティティの高い、スポ健の先生方にとって、12月は走るというよりも跳び回っているような月かもしれません。

 

先日、滋賀の公立高校の生徒さんから電話があり、「火事場の馬鹿力」について調べているのだけれども、より深く知りたいので当方を訪ねたいとのこと。意欲あふれる生徒さんとの出会いを楽しみに、当日までに送ってくれたFAXによる質問状をみながら、どのように説明すれば理解してもらえるかをあれこれ考えながら当日を迎えました。

待ち合わせ時間前に会議があり、そこから研究室に戻ってくる時に、それらしい生徒さんたちが「あいコア(インテグレーションコア)」前にいたので、声をかけると、訪ねてきてくれた生徒さんたちでした。20分以上も前に、集合してくれていましたので、少し施設を案内しながら研究室へ。

質問状の内容に答えながら、火事場の馬鹿力について科学的に検証されていることを一通り説明しました。ご存じのように、「火事場の馬鹿力」は、普段は全力で力を発揮したつもりでも、大脳の抑制によりすべての筋線維を使うことができない(筋の心理学的限界)。ただ、「火事」のような危急存亡状態ではその抑制が取っ払われて、普段ではでない力がでることを意味します。もちろん、アスリートは、普段から全力発揮をすることで、筋自体が持っている限界(筋の生理的限界)近くまで力を発揮できます。一方で、普段大きな力を使わない高齢者は、普段はあまり力が出ず、「火事場」での力発揮とのギャップが大きいので、よく話題にのぼるようになります。いずれにせよ、潜在的に持っている力以上はでません。

 上記のようなことを生徒さんたち答えながら、かつ追加質問に受け答えする中で、生徒さんたちが

スポーツ健康科学に関する理解と知識を深めたいというモチベーションの高さを感じました。かえってこちらが元気をもらいました。このようなスポーツ健康科学に興味ある生徒さんが増えて、この分野が盛んになることを願っています。

 

 卒論提出までのこり2週間あまりとなりました。そろそろ、尻に火がついて、「火事場の馬鹿力」発揮が必要なゼミ生たちもいるのでは?冷静沈着にまとめきって欲しいと願っています。提出も火急にならず、早め早めに。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

11/22-23 東京お台場の産総研で日本トレーニング科学会がありました。本研究室からも5題発表しました。初めて学会を経験する学部4回生から、大学院院生、ポスドク、先生がたなど。

 そのうち、「身体重心の挙動からみた三段跳の跳躍タイプに対応する踏切技術」のタイトルで発表したF林先生の研究が、学会大会奨励賞を受賞しました。このデータは、修士1期生で、おそらく世界で初めて、実際の三段跳の動作解析を行ったK泉君のデータを再解析したものです。パフォーマンス向上につながる研究成果です。

https://www.ritsumei.ac.jp/shs/news/article.html/?id=107

【忠】

 

 


2014.11.30

アメリカ便り (7): Thanksgiving Day

明日からいよいよ師走ですが、
皆様いかがお過ごしですか。

アメリカでは、今週の27日の木曜日に
Thanksgiving Day (感謝祭) がありました。

感謝祭の起源については、諸説ありますが
一般的には、アメリカに到着した清教徒たちが
ネイティブアメリカンたちから教わった栽培技術を用いて
初めて収穫した作物に感謝するために始まったと言われています。
元々は様々な日に祝っていたと言われていますが、
リンカーン大統領が、11月の第四木曜日に定めました。
(ちなみに、カナダでは、10月の第二月曜日です)

Thanksgiving Day は、祝日になっていて、
学生たちも、自分の地元に帰って家族で集まって、
七面鳥を焼いたりして、お祝いをします。
またその翌日には、Black Friday といって、
日本の初売りのような大きいセールがあります。



写真の七面鳥 は、メリーランド州立大学 College Park 校で
一緒に学んでいる院生さんたちとお祝いしたときのものです。

こちらの大学では、Fall semester もそろそろ終わりで、
Final Exam が近づいてきています。
テストになれば、徹夜徹夜の連続ですので、
その前に鋭気を養うと意味でも、
感謝祭でホッと一息という感じなのでしょうね。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#7>>
日本では、20歳から飲酒可能ですが、
アメリカではほとんどの州が21歳からです。
また飲酒に対して、日本と比べて厳しく
レストランでお酒を頼んだり、スーパーでお酒を買おうとすると
"Your ID, please" と言われ、身分証明書を見せなければ
お酒を楽しむことが出来ません。
私はお酒を全く飲めないので言われませんが、
周りの院生は、必ず言われています。

2014.11.29

京都きっず…未来のオリンピックを担う子どもたち

3年前から京都府では、「京の子どもダイヤモンドプロジェクト」というタレント発掘・育成事業に取り組んでいます。この事業は、将来、我が国を代表するアスリートを発掘・育成し、国際大会でのメダル獲得や、その経験を生かし、確固たる考えと行動力を持ち備えた豊かで明るい社会の発展に貢献できる人材育成に手掛けようとするプログラムです。このタレント発掘・育成事業には、京都府を含め、全国で12地域が取り組んでいます。

京都府では、現在、フェンシングとバドミントンの2種目にプログラムを特化し、行政、競技団体、そして大学がスクラムを組み、日本オリンピック委員会(JOC)や国立スポーツ科学センター(JISS)のバックアップのもと、プログラムを実施しています。オーディションによって1学年、2競技で約8名程度に選抜された「京の子どもダイヤモンドプロジェクト」に参加する小学4~6年生の子どもたちのことを、「京都きっず」と呼び、その子どもたちに対して、技術向上を図る専門プログラムをはじめ、身体能力の開発や知的能力の開発、また国際感覚を身につけ、グローバルに活躍できるような国際経験を積ませるプログラム、さらには、子どもが育つ環境として重要な家庭や保護者に対する食習慣や栄養指導のプログラムが実施されています。

小学校教諭の免許を持ち、産業・組織心理学を専門とするippo先生と私が、知的能力の開発をめざす「インテレクチュアル・プログラム」を担当しています。「未来のオリンピックを担う…」というコンセプトでこのプロジェクトが進められているものの、2人の共通認識として、小学生がその年齢の発育発達段階に相応しい成長を遂げるために、子どもたちの成長を先回りするような早熟を加速させることはやらないという方針でプログラムを実施しています。子どもたちには、自分とスポーツのかかわり方について考える機会を提供し、自分を知ること、相手を知ること、スポーツを知ること、様々な土地やその土地の文化を知り、自分自身の世界観を広げることに意識しながら、自分と競技種目の結びつきを極度に強めすぎないようなスポーツキャリアの形成に資するプログラムを進めています。

今日は、小学4~6年生の1期生から3期生それぞれの子どもたちに対して、今年2回目のプログラムを実施しました。以下の写真は、プログラムの様子です。




4年生からスタートしたプログラムも3年経ち、1期生は6年生になり、もう数ヶ月もすれば、中学校へと進学します。6年生にもなれば、うれしいことばかりではなく、競技成績に差が出たり、ケガをする子どもも出てきたり、試合に負け、劣等感や悔しい思いを経験したりもします。今日は特に、1期生である6年生の表情が非常に暗いことが気になりました。敗北や失敗から学ぶことが多いことは、大人の我々は当然、成長とともに理解してきますが、小学生の子どもたちがスポーツの本質である「プレイ(遊びであり、自発的で、その行為そのものが喜びや楽しさにつながるもの)」の精神以上に、勝ち負け、優劣、順位…といったことによってバドミントンやフェンシングというスポーツの行為そのものから得られる楽しみや喜びが得られなくなっているのではないかと少し心配になりました。

「普通」や「らしさ」という言葉は、個性化社会において、そぐわない言葉なのかも知れませんが、大人の目線やスピードで、子どもたちの成長を早熟化させることは、非常に危険に感じます。それは、子どもたちとスポーツ、特に特定種目との関係性を強めすぎることは、子どもたちの「自分探し」を阻害することにもつながりかねません。我々大人は、子どもたちとスポーツとの「適度な距離」をしっかりと見定めなければならないと思います。

大きな夢、小さな一歩…

Jin