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2015.03.08

アメリカ便り (21): Visitors#2

三月に入り、日本では暖かくなってきたでしょうか?
こちらでは、またもや大寒波が襲い、
木曜日と金曜日が休校となりました。
(火・木の授業は、計10回の授業で、4回目の休講です・・・
ただこちらの大学は休校の判断が早いので、
授業を受ける身からすると大変助かります。
ここらの判断の早さは、立命も見習うべきだと思います。)




今週は、前回に続いて、D.C. を訪問してくれた
Syuhei 先生の事を書きたいと思います。
今回、Syuhei 先生は、生命・薬・スポーツ健康科学部の
学生が参加しているカリフォルニア州立大学 Davis 校での
英語研修プログラムを視察後、D.C. に来て下さいました。

Syuhei 先生は、スポーツ健康科学部が2010年に開設した際に
外国語嘱託講師として、プロジェクト英語の授業を担当して下さり、
スポ健のプロジェクト英語の歴史を作り上げて下さった大恩人です。
現在は、生命科学部准教授として、プロジェクト発信型英語プログラムの
中心となってご活躍されています。
http://pep-rg.jp/



Syuhei 先生は、ご自身がミシガン州立大学 (Michigan State University) で
学んでおられたので、アメリカの大学事情に大変お詳しく、
今回も色々と話を聞かせてもらいました。
https://msu.edu/

Syuhei 先生のお話の中で、一番印象的だったのは、
"まっとうに苦労する" という言葉です。
昔と比べると、日本の大学生は本当に真面目に授業で出て、
レポートを書き、発表を行うなど、勉強するようになってきました。
ただアメリカの学生と比較すると、授業や就活のシステムの違いもあり、
まだまだ改善の余地があるのも事実です。
アメリカのトップ校の学生は、文字通り激烈に勉強しています!

意味もなく勉強させるのは論外ですが、
その科目について精通している先生が、学ぶべき内容、
大学生として達成すべき水準を達成させるために、
学生にかなりの課題を課し、学生は必死に食らいついていく。
(私も、授業で、小テストを必死に解いています (苦笑))
このことを、Syuhei 先生は「まっとうに苦労する」という表現で
表しておられるのだと思います。

世界がグローバル化した現在、日本も、アメリカで学位を取った
外国人と競争する社会となっていく可能性が高いと思います。
(日本では、グローバルと言えば、全て英語で授業したり、
或いは TOEIC のスコアが高い、というような事を言う人がいますが、
個人的には、そんなことがグローバルとは全く思いません。)

その際にベースと成るのは、大学で培った知識や学び方です。
その部分が、日本の大学は、諸外国と比べて、弱いのでは感じています。
この春に、スポ健に入学してくる学生も、今いる学生も、
さらに頑張って、世界で戦える人間になって欲しいものです。

それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#21>>
Syuhei 先生も、寒いミシガン州で学ばれていたこともあり、
暖かいカリフォルニア州で学ぶ友人と話されていた時、
"Cheat State" (ずるい州) と呼んでいたとのこと。
確かに寒い東海岸からすると、
暖かい西海岸は「ずるく」見えますね (苦笑)

2015.03.07

京都滋賀体育学会

学会発表は、いつになっても緊張しますが、今日、立命館大学衣笠キャンパスで、京都滋賀体育学会が開催されました。

地方学会は、若手研究者の登竜門のようになっており、30題以上の発表が行われましたが、その多くが学部生や大学院生の発表でした。しかもほぼ全てが自然科学系の研究発表でした。


スポーツ健康科学分野における社会科学系の大学院生は、どこの大学も少なくなっており、進学する人の多くは、留学生か社会人となり、大学院に進学する意味、また魅力づくり、さらには、若手研究者の養成は、高度職業人を養成する大学にとっても急務といえます。


京都滋賀体育学会では、若手研究奨励賞という制度を設けていますが、昨日、最優秀賞を含め、6題の優秀賞を受賞した研究発表のうち、3題がスポーツ健康科学部の学部生の発表でした。このような表彰制度が、次世代を担う若手研究者の“やる気”を促進するものとなり、地方学会が潤うことを期待したいと思います。


Jin




2015.03.06

障がいのある学生のサポート

今はどこの大学にもたいてい設置されている、障がいのある学生の支援室が立命館大学にもあります。主に、視覚、聴覚、身体に障がいのある学生のサポートが提供されています。発達障がいの学生へのサポートも大学では実施に行われているのですが、大学の支援室のサイトには掲載されていないのが残念です。
下記のサイトをご覧になってみてください。「障害学生支援室」のサイトです。このサイトと立命館大学のトップページあるいは各学部のサイトと比較してみてください。何が違うかお分かりになりますか?
https://www.ritsumei.ac.jp/drc/#

画面の一番上部にある、「文字サイズ」の左横の2つの枠が他のサイトにはないものです。「背景色を黒くする」「画像をテキストに」をクリックしてみてください。その文章通り、
「背景色を黒くする」では、背景が真っ黒になり、うすい青色の文字が鮮明な黄色に変わります。このことで、濃淡がはっきりとして文字が浮き上がります。視覚に障がいのある人の中には、この濃淡がつくことで文字が読みやすくなります。障がいがない人の中にもこちらが読みやすいという人も多いかもしれません。
「画像をテキストに」をポチっとすると、画像やロゴなどがすべて消え、文字だけの情報になります。このことで最小限の文字情報になり、視点が定まることになります。発達障がいの人の中には、画面の中にある情報が多すぎてどこからどのように読めばいいか分からなくなる人もいます。そのため、文字だけのシンプルな画面が読みやすいという場合があります。一度、皆さんも試してみてください。障がいのある人だけに限らず、これらの工夫が多くの人にとって、情報のインプットのしやすさにつながります。

また、図書館でも障がいのある学生への様々な支援を行っています。一部、衣笠でしか受けることのできないサービスがあるのは難点ですが…
https://www.ritsumei.ac.jp/library/shogaiservice/

現在のところ、障害学生支援室のサイトだけにこのような工夫がされています。できれば大学ホームページの全ページにこのような工夫をし、さらに多くの人たちにとって読みやすいページになることを期待したいと思います。

2015.03.05

卒業を控えた4回生

3月に入り、卒業式まで約2週間となりました。4回生の多くは一人暮らしをしていたアパートを解約し、実家に戻って4月からの新天地での生活の準備をしているようです(卒業の可否は明日発表となります)。1月末に後期の授業が終わり、4回生と顔を合わせる機会はめっきり減ったのですが、先日、4回生のゼミ生の一人とじっくりと話をすることができました。

フィギュアスケートを行っていた彼女は、練習拠点の岡山と滋賀を行き来するハードなスケジュールを過ごしていました。週末は岡山に戻り練習をして、月曜日にキャスターを引っ張りながら登校する様子をよく目にしたものです。毎週のように続く長距離の移動は大変だったと思いますが、その中でも競技と学業を両立していた頑張りを私は高く評価しています。就職活動では最後の最後まで頑張り抜き、当初から希望をしていた航空業界への就職が決まりました。学生に対してこの1年間繰り返して言い続けてきた「妥協せずに最後までやりきる」といういことを具現化してくれました。

普段、学生が研究室を訪問してくれても十分に時間を取ることのできないことも多いのですが(本当に申し訳ないです。。。)、幸い3月に入り少し落ち着いたこともあり、ゆっくり、じっくりと話をすることができました。スポ健での4年間の学び、ゼミ活動が始まってからの2年間で得たこと、就職活動での葛藤、そして、4月からの新たな一歩に対する期待と不安、、様々な話を聞くことができました。その中で「感謝しています」という言葉が何度も何度も出て来ました。特に、何かを意識したというわけでもなく、ごく自然にその言葉を発している姿が印象的でした。

3月に入り、最近会う機会が少なくなった4回生のことをふと思う瞬間が増えています。4月からの就職に向け、研修などで忙しい生活を送っている学生も多いと聞きます。後期の授業が終了した1月末以降で、また成長していることと想像しています。皆とは3/21の卒業式で顔を合わせますが、最高の笑顔で送り出してあげたいと思います。

2015.03.04

素敵な先生方からの学び

おはようございます。ma34です。

いよいよ3月になってしまいました。
このブログを書くのも今日を含めてあと4回となってしまいました。
寂しいです。

さて、この時期には年度末のさまざまな大事なイベントがあります。
この前の土曜日には、午前中に子どもたちの保育園の発表会がありました。
その午後には、京都の英語科の先生方の研究会(同志社中学校を中心とした会)に
参加してきました。

午前も、午後も、感動の涙がとまらない一日になるとは、
予想もしておりませんでした。

午前中の子どもの発表会は、子どもの成長を見て確かに泣くだろうなあとは思って臨みましたが、
実は、一番涙を誘ったのは、
ナレーションをしながらも、子どもたちの姿を見ながら涙でうるうると目を潤ませていた担任の先生の姿を見たときでした。

ステージが終わってから、先生は子どもたちに
「いつも皆はとっても素敵だけれど、今日はとくに最高だったよ!」と涙目で言ってくれたそうです。
長女の心にもその言葉と表情がぐっと染み込んだらしく
帰り道に、その先生の言葉がとっても嬉しかったこと、
そして自分たちが成し遂げたことが素晴らしいものだったと自信を持てたようでした。
子どもたちを想う先生方の日々の取り組み、熱意に頭が下がり、心から尊敬します。

午後は、3名の先生方の実践報告を聞きました。
どの先生も大変お忙しいなか、生徒の一人一人の実態に応じて工夫をされ、
かつ、「自分の授業の質を下げたくないし、本物の英語に触れさせてあげたい」という思いを語られました。

わたしが感動の涙を流したのは、
ある、京都府下のいわゆる「困難校」に務める先生のお話でした。
英語にも、そもそも学習全般にもまったく興味を示さない生徒たち。
それでも、最後の授業で何かしたい、ということで
最初の授業ではよく行われる自己紹介や、自分のことについて書いてもらうプリントを、
最後の授業だけれど。。と言って用意されたそうです。

何気ないプリントのようでいて
「学校の場所で一番すきな場所は・・・」「学食で一番すきなメニューは・・・」
「私は来年、こういうことができるようになっていたい」
「今年、私はこれができるようになった」
と、子どもたちが学校という場に所属感を持って欲しいという思いや、
自己肯定感が高くない子どもたちでも、自分自身の成長を自分で気付いて欲しいというメッセージが込められていることを知りました。

当初、先生は、二つくらい書いてくれたらいいなあと思っていたとのことですが、
普段、ぜんぜん活動に参加しない生徒たちがとてもニコニコと、やる気になって
辞書まで引きながら、書いていったそうです。
たとえば、
学食の唐揚げが好きで、唐揚げって書きたいんだけど。。。と友達と相談していた子どもが、
「KFC」と書いたことに笑い、そこから「そっか、フライドチキンやんっ!どう書くん?」と
嬉しそうに書いていたそうです。

その様子を語る先生は、どんどん涙声になり、
それでもとても輝いた笑顔でお話されていました。

「一番勉強から程遠いと思っていた活動が、それでもいいと思っていれた活動が、
 彼らにとって 一番の学びになった授業だった」

という一言がとても印象に残りました。
わたしも、会場にいた参加者も、みんながもらい泣きをした時間でした。

私にとって、教育(保育も含めて)という領域が心から好きだなあと思った瞬間でした。

午前も午後も、共通していると感じたのは、

   子どもは(人は)、自己を表現することを欲しているということ、
   そして他者から認められ、自分でも自分を認められるとき、人はとても幸せに感じるということ、
   そして教師や大人はそうした学びを促す重要な役割を担っているということ、

この3点です。

3月。
忙しい時期ではありますが、今年はわたしも学生と一対一で話す時間をなるべく作ろうとしています。
勉強のこともそうですが、人生のことを何とはなしに話すこと、
その時間を大切にして、できれば彼らの学びを促していけるような語らいができるとよいと思っています。

ma34


2015.03.03

セミナー

Hassyです。

本学部の伊藤さつきさんが、モーグルのW杯で2位に表彰されました!
おめでとう!!

本日はResearch Institute of Sport Science, Semmelweis
University, Budapest, Hungary教授のZsolt Radak博士によるセミナーがありました。

Exercise and brain functionというタイトルです。

「活性酸素」は悪いイメージがあって、激しい運動をすると活性酸素が産生され、身体にダメージを与えるということが一般概念としてあるようですが、Radak先生は豊富な動物実験によるエビデンスをベースに、比較的ハードな運動であっても、生理的範囲の活性酸素は非常に好意的に脳や骨格筋に作用することを、分子レベルから個体の行動解析までの多岐の実験結果から示唆されました。

そして、すべてのprincipleとして、行き過ぎと少な過ぎは良くない、適正な範囲というものがあるということを強調されていました。
そして、運動というのは、そうした「適正」の範疇に入ることを述べておられました。
大変興味深いご講演でした。
ありがとうございました。

私も来月から、運動が脳機能に与える急性効果についてヒトを対象に研究するべく、半年間、コペンハーゲンの方に学外研究留学をさせて頂きます。
その概要や抱負について、本日話す機会を賜りました。

担当科目をはじめ、様々な校務に関して、教職員の方々の多くのサポート、カバーがあって赴任できるわけです。
その分、学部や大学の研究・教育に貢献できるよう、しっかりと研究留学の勤めを果たしたいと思います。

また、今年のヨーロッパスポーツ科学会議はスウェーデンのMalmoで開催されますが、コペンハーゲンから近いので、お立ち寄り下さい。

2015.03.02

アスリートパフォーマンス研究会 2015年研修会

昨日、下記の内容で研究会(研修会)を開催しました。25名の参加者がありました。

 

セッション1 10:00-12:00

     「コアトレーニングの理論と実習」

     講師:横井 星一 (立命館大学大学院スポーツ科学研究科、NSCA公認CSCS)

セッション2 13:00-15:00

     「アスレティック・リハビリテーションの理論と実習」

     講師:岡松 秀房 (立命館大学スポーツ健康科学部助手、NATA公認ATC)

セッション3 15:30-17:30

     「ストレングス&コンディショニングの理論と実習」

     講師:樋口 貴俊 (立命館大学総合科学技術研究機構研究員、NSCA公認CSCS)

参加対象:健康運動指導士及び健康運動実践指導者、JAFAインストラクター、

     他 両資格と同等の有資格者 今後、資格取得を目指す方

 


普段からエアロビクスのインストラクターとして指導されている方、自治体の職員として住民の健康指導に当たっておられる方、高校の先生などなど、幅広い層からお越し頂きました。

 講師は、スポーツ健康科学部の特任助教、ポスドク、大学院生の3名でした。ATC、CSCSの資格をお持ちで、実践面での指導経験もあり、講義と実習を交えた内容で、受講生から高い評価をもらっておりました。

 指導に熱が入り、実習もかなりハードなところまで教えていたようで、受講生のみならず、講師も少しばてている様子もありました。いずれにしても、自らの身体で実践しながら、実習者にとっては最新のリカレント教育になったと自負しています。

 今回参加できなかった方は次回ぜひお越しください。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

昨日は高校の卒業式であったところも多かったのでは。私も息子の卒業式に参列しました。卒業生、在校生、教職員、来賓、保護者が一堂に会し、厳粛な雰囲気の中で、生徒たちの成長が感じられる卒業式でした。3年間、情熱と愛情を注いで鍛えてくれた先生、保護者の方々が送り出す卒業生を、受け入れる大学側は、各人の可能性を伸ばす舞台として、そして社会の礎となる「社会人」へと磨きをかけるための学問研究を身につけさせる使命を担っていることを再認識させてくれました。学生は可能性を秘めた原石であり、学びあい、気づきあいを得て、自立・自律した社会人へと成長させる舞台である「スポーツ健康科学部」をしっかり整えて、新入生を待っています。

【忠】

 

 

 

2015.03.01

アメリカ便り (20): Visitors#1

今日から三月ですね。
いよいよスポーツ健康科学部の今年度の受験も
後期分割方式 (3/5) を残すのみとなりました。
受験生の皆さん、悔いの無いよう全力を出し切って下さいね。

今週は、日本から嬉しいお客様が二人も来て下さいました。
お二人とも、カリフォルニア州で用事を済ませた後に
わざわざ東海岸まで足を運んで下さいました。



(前列、左が Toshi 先生、後列が、Syuhei 先生です)
こちらに来るまでは、西海岸で昼間は T シャツで過ごされていたのが、
東海岸に来ると、雪が30cm 近く積もっていて、
分厚いコートという別世界に驚かれていました。
お二人とは、ワシントン D.C. で、ロブスターロールを食べながら、
色々と情報交換に花が咲きました。

スポ健の Toshi 先生からは、南カリフォルニア大学での
大学院について、話を聞かせてもらいました。
以前、この欄でも書かせて頂きましたが、
アメリカの大学・大学院では、同じ科目が週2回あるのが
基本となっています。そのため同じ15週と言っても、
30コマの授業があり、日本よりもかなり深く学ぶ事が特長です。

Toshi 先生は、南カリフォルニア大学で、
大学院の MRI に関する授業に参加されていた際、
週二回の授業を二人の先生が担当していて、
1回目の授業では、臨床担当の先生が、
2回目の授業では、理論担当の先生が
「同じ論文を、異なった視点から読み解いていく」
という授業についてお聞きしました。

論文というのは、英語の読解力はもちろんですが、
背景知識の有無、読む人の問題意識の在り方によって、
読まれ方がかなり異なってきます。
そのため別々の先生が同じ論文を読むことで、
「この論文にはこういう読み方もある」ということを示すことが
非常に学生にとっても、ためになり、
また教える側にとっても、色々気づきがあって興味深いと感じました。
(私が、Hassy 先生と一緒に行った学部の専門英語も
1つの授業でしたが、Hassy 先生の発想や視点が聞けて
非常に楽しかったのを覚えています)

学部で、週2回の授業を取り入れるのは、
システム上色々と難しい点があると思うのですが、
大学院なら、すぐにでも取り入れられるのではと思いました。
スポ健をさらに良くするためにも、
色々と情報を集めることが重要ですね。

Syuhei 先生からお聞きした話については
次回に書かせて頂きます。
それでは、また。失礼いたします。
良い休日を

<<街でよく見かける英語表現#19>>
今回、昼食を食べたお店は "China Town" にあります。
残念ながら D.C. には、"Japanese Town" はないのですが、
メリーランド州の北西部の Rockville に、日本人が沢山住んでいて、
"Japanese Village" と呼ばれる地域があります。
(私も、スポ健の F 本 先生に教えて頂いて、そこの近くに住んでいます)

2015.02.28

“おもてなし”という言葉…

お・も・て・な・し…
2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地を手繰り寄せた滝川クリステルさんが発したこの言葉と身振りは、流行語としてだけでなく、その後、日本の文化を象徴する言葉として多くの人々に再認識されました。

この「おもてなし」という言葉、その語源は、「持って成す(ものを持って成し遂げる)」「表裏なし(表裏のない心で接する)」ということにあると言われているようですが、何となく、サービスを提供する側がお客様の気持ちを察し、ニーズを捉えたサービスの提供や振る舞いをすることによって、満足してもらうために施す行為と解釈している人が多いのではないでしょうか?実は、私も以前は、そう思っていました(笑)


もてなすということに欠かせないのが、“ごちそう”ですが、この「ご馳走」という言葉に用いられる漢字は、ともに「はしる」ということを意味します。つまり、駆けずり回って食材を調達し、そしてそれを客人に振る舞う…という言葉が示すように、てっきり、“おもてなし”は、上げ膳据え膳の延長線上にあるのかと思っていました。ところが、「おもてなしの源流-日本の伝統にサービスの本質を探る(英治出版)」という本を読んで、“おもてなし”の本当の意味というか、本質を知りました。




その本の冒頭で、「日本の“おもてなし”は、もてなす側だけでなく、もてなされる側にも相応のふるまいを求めるものだとわかってきた。日本伝統の“おもてなし”において、主人と客は“ともにその場をつくり、楽しむ”関係にある。一方的な関係ではなく、いわば双方的な、独特の関係性に彩られている」と書かれています。

よく考えてみれば、高級料亭にしても(行ったことはありませんが…)、東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンなどでも、一方的に何かをしてもらっているのではなく、サービスを提供する側とサービスを提供される顧客側とが心地のいい「場」をともに創り上げていることがわかります。つまり、コラボレーション(collaboration)やコクリエーション(co-creation)と言われる価値共創が、顧客満足度を高める重要な鍵を握っています。“communication”“community”“cooperation”のように、“co”概ね“co-”から始まる言葉は、「共に」という意味合いを持つ言葉が多いのですが、提供する側と提供される側というような主体と客体が完全に分離するのではなく、両者が一体化するところにこそ、価値の高いものが生まれるのだと思います。

おもてなし…
授業を“おもてなし”と呼ぶには、抵抗がありますが、主体と客体が一体となり、授業という最高の場を学生と教員がともに創り上げ、その場を楽しむ…
そんな日が来るのでしょうか…(笑)

Jin


2015.02.27

教師の育成

先日、現場の教師とスポーツクラブのマネージャーを務める友人数人とチャット&スカイプを通じて「教員養成」について話しました。論点は、自分で考えられない・考えようとしない指示待ち姿勢、思考から「人」が抜けている、指導案・教室案が書けない若い教師と指導者がまずます増えているという指摘でした。そこで、大学における教員養成のカリキュラムを調べて見えてくる課題を現場で補おうとしています。いろいろな話を2時間以上もし、多くのことを考えました。
教師という職業は、どんどんその責務が大きくなっています。かねてから、何かある度に問題が学校にあるように扱われる、教師の責務と家庭の責務の混同に対し違和感を覚えてきました。その一方、1日の多くを学校で過ごす児童生徒にとって、教師の存在、影響力が大きいということも事実です。前任校の入試では、教師になりたい受験生の多くが志望動機として、それまでに出会った教師の影響を挙げていました。

教師に求められることは何か。そのために大学で学ぶべきことは何か。もちろん、教壇に立って効果的な授業を展開し、学級経営できる、即戦力としてすぐに働ける教師の育成が大学のカリキュラムの中だけでできるものではなく、実践を通じ身に付けていくことの方が多いと思います。そうした時の大学の役割は、やはり思考する力、思考しようとする姿勢の育成ではないかと感じています。スポーツ健康科学部において、教師を目指そうとする学生に対するカリキュラムと教員養成大学や教育学部のカリキュラムは異なります。また、これらの大学では2年生の頃から教員採用試験に向けた自主勉強会や現場教師である卒業生が催す勉強会が開かれます。このような学生と採用試験で机を並べることになります。なかなか手ごわい。教員養成大学や教育学部にはない本学ならではの強みは何か。立命館大学の卒業生が現場で高い評価を得られるために何に重点を置かなければならないのか。そんなことを改めて考えました。本学の担当教員と非常勤の先生方からのご助言やご協力をいただきながら、内容を見直してきたスポーツ指導実習が4月から始まります。友人たちから指摘されたことも心に留めながら、現場のニーズを把握しながら、大学ですべきことを考え続けたいと思います。