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最新号・バックナンバー

立命館CLUB 【VOL.244】

立命館CLUB【VOL.244】

立命館CLUB会員の皆様、こんにちは。

5月も末となってきましたが、京都は例年になく寒暖の差が激しい天気が続いています。皆様お住まいの地域は如何でしょうか?季節の変わり目ですので、ご自愛をいただければと思います。

5月21日(日)、大阪・いばらきキャンパスにおいて「いばらき×立命館DAY2023~OIC EXPO~」が開催されました。当日の様子について、詳しくは次号でお伝えしますが、今年度はキャンパスを全面開放して実施しました。汗ばむくらいの陽気にも恵まれたOICには、約21000名の方にご来場いただきました。特に小さなお子さんを連れた方に多くご来場いただいていた印象でした。
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今号も学生や教職員の情報満載でお届けします。
読者プレゼントは、これからの季節にぴったりな”Futurize.ハンドタオル”です。
応募方法は最後にお知らせします。それではお楽しみください。

▼学園ニュース▼

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【1】<次世代研究大学への挑戦>びわこ・くさつキャンパス内に、文部科学省・経済産業省の事業採択を受けた2つのイノベーション創出拠点整備が決定

立命館大学は、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」(以下 文科省事業)および、経済産業省「地域の中核大学等のインキュベーション・産学融合拠点の整備」(以下 経産省事業)にそれぞれ採択されました。
文科省事業では、人間(個人・集団)が置かれる環境の変化を現実世界と仮想世界が融合した世界(インターバース)として再現する施設である「立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(仮称)」を整備し、空間・時間・意識・環境が交差する(クロスバース)研究フィールドを構築します。
経産省事業では、人や情報、資金を集積・循環させ、多様なステークホルダーによるオープンイノベーションを加速させる仕組みの構築や、地域に開かれたオープンラボやコワーキング・イベントスペースの機能を有したオープンイノベーション拠点「グラスルーツ・イノベーションセンター(仮称)」を、滋賀県・草津市等の自治体との連携のもと設置します。
立命館大学は、今回整備される二拠点をプラットフォームとし、研究成果を基にした社会課題解決や新産業創出に向けた取り組みのより一層の加速を目指します。

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【2】UBC教育学部学部長代行がご来学

5月11日(木)、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia:以下 UBC)のJan Hare教育学部学部長代行が来学、仲谷善雄学長と懇談されました。懇談には、Reginald D’Silva教育学部副学部長も同席されました。
立命館大学からは木田成也常務理事、庵逧由香国際部副部長、UBCとの留学プログラムのコーディネーターである羽谷沙織准教授も出席しました。
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【3】エジプト日本科学技術大学(E-JUST)との学生交換協定を新規締結

5月12日(金)、エジプト日本科学技術大学(Egypt-Japan University of Science and Technology:以下 E-JUST)との協定締結式を行いました。
2011年に締結した協力協定の更新と学生交換協定の新規締結に関するもので、E-JUSTのAmr Adly学長と立命館大学の仲谷善雄学長が協定書に署名しました。
立命館大学は2017年5月にJICAと業務実施契約を締結して以降、E-JUSTへの職員派遣や研修実施など、継続的な支援を実施しています。2019年7月からは仲谷学長がE-JUST理事会委員を務め、E-JUSTの大学運営を通して両大学間の連携を強固なものにしてきました。
今回の学生交換協定の締結により、E-JUSTは立命館大学にとって、エジプト国内における初の学生交換留学先となります。今後は、教職員のみならず学生交流も活性化することで、両大学間のパートナーシップをさらに発展させていきます。
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【4】学生の活躍をご紹介!

<日本学生陸上競技個人選手権大会で本学学生が活躍>
4月21日(金)~23日(日)、神奈川県平塚市のレモンガススタジアムにおいて、日本学生陸上競技個人選手権大会が開催されました。
今回の大会は、FISUワールドユニバーシティゲームズ(以下WUG)日本代表選手選考競技会に指定されており、日本のトップ選手が競い合うなか、本学からは榎本樹羅さん(スポーツ健康科学部3回生 女子走幅跳)・山本亜美さん(スポーツ健康科学部3回生 女子400m)・工藤芽衣さん(食マネジメント学部3回生 女子400m)・村松灯さん(経済学部3回生 女子5000m)・児島柚月さん(スポーツ健康科学部1回生 女子400m)の5名の学生が決勝に進出し、好成績をおさめました。児島柚月さんは初出場で初優勝を飾り、今後期待されている選手のひとりです。
また、今大会および第17回日本学生20km競歩選手権大会兼ワールドユニバーシティゲームズ日本代表選手選考競技大会の結果を受け、山本亜美さん・村松灯さん・柳井綾音さん(食マネジメント学部2回生)においては、7月28日(金)より中国・成都で開催されるWUGの日本代表選手に選出されました。
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<立命館大学能楽部 立命能in八坂神社を開催>
4月21日(金)、八坂神社にて、能楽部による立命能in八坂神社が開催されました。演目は仕舞「屋島」、舞囃子「船弁慶」、能「小鍛冶」を演じました。
能楽部OB・OGとも連携しながらつくりあげた舞台は、海外からの観光客を含む、多くの来場者の方にご観覧いただきました。最後は、太鼓入りの校歌もあり、会場は大きな拍手で包まれました。
秋には、立命館大学能楽部を代表する舞台である立命能が予定されており、年間活動の集大成の場に向けて稽古を積んでいきます。
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<課外自主活動団体3団体とボランティア学生3名 大船渡市碁石海岸観光まつりへ参加>
5月3日(水)・4日(木)、岩手県大船渡市で開催された碁石海岸観光まつりに17名の学生が派遣されました。
立命館大学と岩手県大船渡市は2012年4月から教育や文化、スポーツの交流を通じて復興促進や人材育成を図る包括連携協定を結んでいます。その一環として、大船渡市で開催される碁石海岸観光まつりに2013年から継続して学生団体や学生を派遣しています。
バトントワリング部とモダンジャズバレエ部、カラーガードサークルLUSTERがステージで演技披露を行い、まつりの盛り上がりに貢献しました。
また、3名のボランティアスタッフは、運営のお手伝いをしてイベントの進行を支えました。来場者の多くが足を止めてステージを最後まで見届け、ステージ後には学生たちに感謝や応援などのお言葉をいただきました。
大船渡市の雄大な自然や美味しい食べ物、地域の皆さまとの温かい交流など学生たちにとって貴重な体験となり、今回の活動や経験を通じて、自らの課外自主活動やボランティア活動の意義を再認識する機会となりました。
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▼EVENT(公開講座など)▼

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【1】[オンライン][無料][要事前申込]
立命館オンラインセミナー

「立命館オンラインセミナー」は、どこからでもアカデミックな講義を受講いただけます。
「未知の世界を知りたい」「専門家やプロフェッショナルの知識に触れたい」など、皆様の学びのニーズにお応えする講義を展開します。
※見逃し配信(期間中、いつでも何度でも視聴可能)に対応しています。

【SDGsを考える】
◆6月7日(水)19:00~20:30
ChatGPTが与える語学教育への破壊的インパクト 古い英語教育のおわりと新たな英語教育のはじまり
講師:山中 司(立命館大学生命科学部 教授)

お申し込みはコチラ≫

[受講料]無料
[定 員]1,000名 ※先着順です。お早めにお申込みください。
[開催方法]オンライン(Zoom) ※見逃し配信(ストリーミング配信)あり
<申込締切:6月5日(月)23:59>

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【2】[オンライン][無料][要事前申込]
土曜講座 6月度「今、改めて難民問題を考える」
[日時・テーマ・講師]
◆6月17日(土)10:00~11:30
「日本における移民・難民受け入れの政治と人々の賛否態度」
講師:村上 剛(立命館大学法学部 准教授)

◆6月24日(土)10:00~11:30
「ウクライナ危機と難民保護―国際協力の展望と課題」
講師:岡部 みどり(上智大学法学部 教授)

[受講料]無料
[定 員]400名 ※先着順です。お早めにお申込みください。
[開催方法]オンライン(Zoom)

詳細はコチラ≫

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その他の公開講座はコチラ≫
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▼EVENT(スポーツ/学芸)▼

【1】[@奈良県][有料][申込不要]
ホッケー部(男子)「高円宮牌2023ホッケー日本リーグ」
①天理大学ベアーズ戦
②福井工業大学戦
<お勧めポイント>
リーグ上位に留まるためには、重要な試合です。是非応援にお越しください!

[日 時]6月10日(土)11:30
[場 所]親里ホッケー場(〒632-0032 奈良県天理市杣之内町78)
[入場料](前売券)1,800円     
     (当日券)2,000円

[日 時]6月11日(日)11:30
[場 所]親里ホッケー場(〒632-0032 奈良県天理市杣之内町78)
[入場料](前売券)1,800円
     (当日券)2,000円
詳細はコチラ≫

【2】[@滋賀県][無料][申込不要]
ラグビー部「滋賀県ラグビー祭」
<お勧めポイント>
毎年開催される滋賀県ラグビー祭の招待試合、昨季リーグ戦で敗戦した関西学院大学に勝利し、秋の公式戦につなげたい。地元開催でもあり、皆さんの応援をお待ちしています。
[日 時]6月10日(土) 14:00
[場 所]皇子山陸上競技場( 〒520-0037 滋賀県大津市御陵町4-1)
[入場料]無料


【3】[@岐阜県] [無料]
男子陸上競技部・女子陸上競技部
「秩父宮賜杯第76回西日本学生陸上競技対校選手権大会」
<お勧めポイント>
東海・関西・中国四国・九州地区の選手が集まり競い合います。ベストを尽くしますので、応援よろしくお願いします。
[日 時]  6月16日(金)、17日(土)、18日(日)
[場 所] 岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜県岐阜市長良福光大野2675-28)
[入場料] 無料
詳細はコチラ≫

【4】[@岐阜県] [有料]
男子陸上競技部・女子陸上競技部
「第107回日本陸上競技選手権大会」・「第39回U20日本陸上競技選手権大会」


<お勧めポイント>
世界大会およびアジア大会の選考競技会になっている大会であり、日本トップレベルの選手が出場します。
[日 時]  6月1日(木)、2日(金)、3日(土)、4日(日)
[場 所] ヤンマースタジアム長居(大阪市東住吉区長居公園1-1)
[入場料] 有料・チケット情報≫
詳細はコチラ≫

【5】[@大阪府] [無料]
サッカー部(男子)「関西学生サッカーリーグ」
<お勧めポイント>
勝利に貢献できるよう頑張ります。
 [日 時]  5月28日(日)、6月3日(土)、10(土)
 [場 所]  万博記念公園 ほか
 [入場料] 無料
詳細はコチラ≫

▼輝く学生インタビュー▼

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  第210回 輝く学生インタビュー
    代替肉を身近に感じてもらえるための架け橋に
        WITH US コネクト 菅原龍佑さん
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このコーナーでは、立命館でいまを精一杯頑張り、輝いている学生や団体を紹介します。今回ご紹介するのは、WITH US コネクトの菅原龍佑さん(経営学部1回生・京都府出身)です。菅原さんは、代替肉メーカーと事業者をつなぐビジネスマッチングやイベント開催・出店をおこなうWITH US コネクトの代表を務めています。活動のきっかけや、今後取り組みたいことなどをお伺いしました。
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Q.WITH US コネクトの事業について教えてください。
代替肉のビジネスマッチングやイベント開催・出店、講演などをおこなっています。代替肉のビジネスマッチングでは、代替肉を作られているメーカーさんと、飲食店などを繋ぐために試食会を実施したり、飲食店への営業活動をしたりしています。
イベント開催・出店の直近の活動としては、5月1日(月)~7日(日)に京都の岡崎公園で開催された「京都餃子大作戦」に出店させていただき、代替肉を用いた餃子「EARTH餃子」を販売しました。
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Q.代替肉について教えてください。
代替肉には、大豆などの植物性タンパク質を原料とするものと、動物の細胞を培養して作られる培養肉の2種類が大きく分けて存在します。現在、日本を含め世界で広がり始めているのは、前者の植物性タンパク質を原料とするもので、私たちも大豆を原料とする代替肉を取り扱っています。
一口に代替肉と言っても、メーカーさん毎で製法が違っているため、大豆の風味の強さ弱さが異なったり、サイズ感が違っていたりと、同じものはあまりありません。また、近年の研究開発で、見た目、味、食感、肉汁まで再現されるようになり、代替肉は飛躍的に美味しくなってきています。大豆の風味を消し、極限まで肉に近づける技術が発展してきているため、言われなければわからないほどのクオリティまで進化しています。中には、「大豆ミート」と呼ばれるような大豆の風味が残っている商品もありますが、私たちは、限りなくそれらの風味が取り除かれた代替肉を厳選して集めています。本当に美味しいので、ぜひ一度食べていただきたいです。

Q.代替肉をビジネスにしようと思ったきっかけは何ですか?
世界のCO2排出量シェアのうち、約15%が畜産業とされています。また、世界で生産される穀物の多くが家畜の餌として使われています。そこで、普段の食事でお肉を食べる際の選択肢の1つとして代替肉が挙げられるようになれば、CO2の排出量が減り、穀物も食糧に困っている方々に届くようになり、地球や毎日の生活を守ることができると考えています。更に、大豆ミートは高タンパクかつ低カロリーで、健康にもよいと言われています。これらを知ったのが高校生の時で、ビジネスまでは考えておらず、慈善活動の一環として始めました。しかし、いくら環境に優しくても、実際にビジネスとして継続できなければそれは真に持続可能とは言えないことに気がつきました。ビジネスマッチングとして事業化することで、代替肉が一世のブームで終わるのではなく新たな食の選択肢として受け入れられるようにしたいです。

Q.WITH US コネクトの強みは何ですか?
一番は若さです。メンバー全員が活力に溢れていて、また何事にも臆せず挑戦したいという意気込みで事業を進めています。ゴールデンウィークに実施した「京都餃子大作戦」では2週間で2万個の餃子を作りました。この時のように、事業へがむしゃらに打ち込むことができることは強みだと感じています。
合わせて、自分たちの事業は現場に近いことも強みだと感じています。以前に試食会を実施した際には、参加された方へアンケートへの回答をお願いし、実際に消費する側の方々がどのような感想を抱いているかを聞き、メーカーさんへ伝えることができました。また飲食店の方々に対しても、複数のメーカーの代替肉を知っているため、それぞれのお店にあった代替肉メーカーを提案することができます。複数のメーカーと同時に繋がっていますが、独立した第三者組織なので、忖度なしに、本当に美味しい代替肉を紹介することができます。
メンバーがリサーチをしてくれたところ、現在、全国で約70社が本気で代替肉を作られています。それぞれの会社に連絡を取り、作られている代替肉をマッピングして、飲食店が取り扱うそれぞれの料理毎の相性などをみながら、より良い代替肉マッチングの機会を増やしていきたいと考えています。
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Q.事業を通して、つらかったことや、気づいたことはあります?
飲食店のオーナーさんは大変忙しいため、営業活動をした際にも、話を聞いていただけないことも何度もあり、難しさを感じました。試食会の実施を決め京都府内の約50店舗に電話をかけたところ、説明を聞いてくださりご参加いただけたのは15店舗でした。
しかし、この経験を通して、話を聞く時間もないほど飲食店さんが忙しいことを改めて知るとともに、そのような大変忙しい飲食店に対して、取る必要のあるアプローチを考えるきっかけになりました。
他にもこれまで何度も心が折れそうになったことはありますが、そのたびに事業を一緒に進めているメンバーに助けられています。今一緒に事業を進めているメンバーは、営業や会計、リサーチなど、自身の得意な分野を見出しながら、お互い助け合い、事業を進めています。

Q.今後取り組みたいことや、将来の目標はありますか?
大きな目標としては、代替肉を身近に感じていただけるような活動をしたいと考えています。まずは、京阪神地区の飲食店100店に、代替肉を使ったメニューを取り入れていただくことを目標としています。キッチンカーのような形で簡単に代替肉を使ったメニューに触れていただける機会も作りたいと考えています。きっかけ作りの一環としては、11月頃にイベントを企画したいと考えているので、是非ホームページやSNSからご確認いただき、ご参加をお願いできれば嬉しいです。
HPはコチラ≫

代替肉が一般的なものになれば、生産のコストも下がり、安価かつ健康的で、更に地球も守れる、悪いところがない食材になると確信しています。そのために、事業が進んだ先では、スーパーのお肉コーナーに代替肉のコーナーを作ったり、お惣菜コーナーに代替肉を使った商品が一般的に並べられることを目指しています。ヴィーガンの方やアスリートの方々には、代替肉は馴染みのあるもので、受け入れていただきやすいのですが、これからの活動としてはそれ以外の方々にも代替肉は美味しいということを知ってもらい、更に広げていきたいと思います。
 
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取材では、強みとされている”若さ”を終始感じました。また「毎日やりたいことが頭に浮かんでくる」という菅原さんの言葉からは、事業を楽しみながら取り組んでいる様子を感じるとともに、今後の更なる発展が容易に想像できました。是非、WITH US コネクトが厳選した代替肉を食べてみたいと思います!

▼研究者インタビュー▼

立命館大学は、食科学の深い知見を培うとともに、高度なマネジメント能力と実践的な行動力をそなえた食の人類的な課題解決に寄与できる人材育成を目指し、2018年に食マネジメント学部を開設しました。2021年には「食」を複合的に研究する日本で初めての大学院である食マネジメント研究科を開設し、食の全てを通しての学びが可能となる多様性を持った学びの場が実現しています。
今回は、その食マネジメント学部から、食をモチーフに実験心理学の方法論を駆使した研究を行い、人の心のメカニズムの解明とその知見に基づく応用技術の開発を目指しておられる和田有史教授へのインタビューをご紹介します。和田先生には、我々が大好きな、肉にまつわる様々な事柄について、その歴史から未来に至るまでのお話を伺いました。
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肉については興味があり、様々な研究会に顔を出しています。きっかけとしては、やはり、私もお肉を食べることが好きですし、皆さんも大好きでしょう、というところからスタートしています。私は心理学者なので人間の嗜好がお肉にあるのがおもしろかったんです。では、何故、さらに肉について深掘りすることになったかというと、畜産業が置かれている立場があります。畜産による温室効果ガス発生の観点、アニマルウェルフェアの観点で畜産業が難しい立場に置かれているように感じています。その反面、われわれ人類が生きていくためには、何かの生き物を食べ物として摂取しないといけないと言うのは、植物でも魚類でも同じです。畜産業や、おいしい肉食文化も維持・発展させていくことも大切なことだと思います。
大きな視点からは、環境問題はもちろんのこと、地球規模の人口爆発による食料不足、とくにタンパク質不足の問題が生じると言われています。そして、その解決の方策として、培養肉や植物性食品が候補にあげられています。温室効果ガス、アニマルウェルフェア、こういった問題を改善しながら、おいしくお肉を私たちが食べていく。また、代替タンパク質も食べていく。これが思い描かれている未来のタンパク質摂取の姿ですが、それが幸せな状態であることを願っています。そのために自分の研究分野である認知科学、心理学が貢献する道を探るため、様々な研究分野の知見を集積しています。

Q.人類、その中でもわれわれ日本人の肉食の歴史で、何か特徴的な事はありますでしょうか?
歴史学がご専門の、私と同じ食マネジメント学部の鎌谷かおる教授から伺ったところ、仏教が伝来してから、我々は肉を食べていなかったんじゃないかという歴史観が有るが、実はそうではなく、肉食の禁止の期間は4月から9月の農耕期間のみで、必ずしも年間を通して禁止していたわけでは無いという事なんです。そもそも、禁止令が出されるということは、その背景に『広く肉食が行われていた』ことだとも言えます。具体的には、鹿、イノシシ、もちろん鳥などを食べていたみたいです。有名なのは井伊家が、薬として、牛を味噌漬けにしたのを将軍家に献上していたりします。つまり、私たち日本人は肉を食べ続けていたわけですね。
明治時代に入ると、富国強兵に代表されるように、皆で体力をつけようという事で、明治5年1月24日に肉食を奨励するために、明治天皇が自ら牛肉を初めて試食されて以来、文明開化と共に肉食のムーブメントが起こったそうです。ただ、先ほどもお話した通りのことから、明治時代に肉食文化が一気に広まったという訳では無いのかもしれませんね。

Q.我々はなぜ肉を食べることに惹かれるのでしょうか?
我々人類は、やはり、タンパク質摂取をしなければいけないですよね、特に動物性タンパク質を取りたいというのは、生き物として「まず食べたい」というところが根源的なところでしょう。人類の黎明期には、我々は広大なサバンナをフラフラとしていたわけです。なかなか食べ物にありつけない状況なので、どうしても脂質とか、糖質を摂取したいという根源的な欲求がベースにあるんでしょう。現在はヴィーガンの方たちも多くいらっしゃいますが、やはり動物性の美味しさ的なものは食べたいという情熱はあるので、先ほども述べたように、私達の身体が求めていますし、さらに言うと、お肉を完全に食べない食習慣の地域というのは、私は知りません。食文化にも、私たちの身体が求める動物性タンパク質の摂取がしみ込んでいるのではないでしょうか。

Q.植物由来性食品、プラントベースの肉の再現度はどうでしょうか?
ハンバーガーのように、ソースでしっかりと味付けをした挽肉的なもの、またチキンナゲットなどは美味しくある程度、食べられます。しかし、本物の肉と同じ美味しさなのか、と言ったら、まだまだ及ばないのが現状です。特に、塊のお肉の再現は現時点では難しそうな印象があります。
実は、千日回峰行を満行された大阿闍梨様に、私が主催する肉肉カンファレンスに参加していただき、食に関わるお話しをいただきました。その時に、回峰行の期間、動物性食品はもちろん召し上がらないのですが、大豆ミートは口にしていたと仰っていました。植物性の代替タンパク質は千日回峰行という体力を必要とする行の渦中でサポートになったようです。植物性ミートはそのレベルにはあるということでしょう。
現在、不二製油のミラコア®は動物性のおいしさのベース(スープストックのような状態)を植物性で高いレベルで創出していると感じています。そのエビデンスを得ようと私は不二製油と一緒に研究しています。かなりのポテンシャルを感じましたので、並行して、私の大切な仲間であるスーパーシェフとともに、動物性では実現できない、新しいおいしさをミラコア®で創出する活動を行い、本学が研究連携している全日本・食学会というスーパーシェフ団体のイベント「植物性「超」動物感」で紹介しました。

Q将来的なたんぱく質確保についてのご意見、先生の目指すところをお願いします。
従来からの畜産は続いていきますが、アニマルウェルフェアや環境問題に配慮した形なので生産量は落ちるでしょう。しかし、肉食がたんぱく質摂取の主力であることに変わりはないと思います。人口が増えることでタンパク質が足りなくなるので、どうしても生産量と消費量の間のギャップがでてきます。その解決策として、植物性タンパク質がまずは主力になるはずです。その次として、培養肉を安価に提供できるようになったら、培養肉も一翼を担う存在になっていく。培養肉はつい先日東大で発表の場がありましたが、やはり非常に高価です。食用として培養肉が認可されるまでにはまだまだたくさんのハードルがあります。日本は新しいものの認可は後手後手に回りがちですね。海外では、シンガポールで既に食べられる状況になっているので、一度食べてこようかな、と考えています。
本物の肉については、どんどん高級食材化していくのでしょう。そこで植物性タンパク質ですが、日本人は豆腐を食べてきたんですよね。ですから、植物性タンパク質の摂取については伝統があるんですよね。日本人は個人の裁量の範囲で、肉と植物性タンパク質のバランスを作れば良いと思っています。
また、食文化のリーダーたちが満足できるような食に植物性食品が昇華していくことが私の理想です。今後のヴィーガンキュイジーヌは上記の「植物性「超」動物感」のような活動を皮切りに飛躍的に進化し、ファインダイニングでも通用するレベルにすぐに達することができそうです。金に糸目をつけなければ、ね。そうなると、ただ美味しいものを食べたいと思っているヴィーガンでないグルマンの方も、知ってか知らずか植物性タンパク質摂取をするようになる。すなわち、「羨望される食」としての植物性食品の創出。それを目指しています。
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和田有史教授
日本大学大学院 文学研究科博士後期課程修了。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員等を経て、2017年4月より立命館大学教授。2022年には東京大学上級客員研究員。専門は実験心理学。博士(心理学)。専門官能評価士。

研究室のホームページはコチラ≫

▼編集後記▼

今号より立命館CLUB担当事務局メンバーが変更となりました。キャンパスのいまが分かる話題を皆様にお伝えしていただく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、滋賀県の北部から京都まで通っているのですが、通勤をする道中に季節ごとの楽しみがあります。それは、四季折々の「花」です。たとえば桜、私の家の近所では咲き始めでも、BKCがある滋賀県南部では5分咲き、そして京都市内に入ると満開という風景の移ろいは飽きることが有りません。うとうとと船を短時間漕いで目覚めた後などは、「さっきまで咲いてなかった桜が満開だ!」と面食らうほどです。
この立命館CLUBメルマガでは、学園の大きなトピックは言うにおよばず、花のトピックのような小さな驚きではないですが、日常のキャンパスでの学生・生徒、教職員、そして社会で活躍されている校友の皆様の日常、息遣いを感じていただけるような内容構成を目指して参りたいと思います。
どうぞ、これからよろしくお願いいたします。

▼第244号読者プレゼント▼

今回は、「Futurize.ハンドタオル」を3名様にプレゼントします。
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プレゼントをご希望の方は、下記URLよりお申し込みください。
なお、プレゼントの抽選結果は次号でお知らせします。

 <応募締切:6/19(月)>

【パソコンの方はコチラ】

 ※上記フォームがご利用できない場合は、下記必要事項を明記のうえ、
  立命館CLUB事務局までメールにてご連絡ください。

 応募先:立命館CLUB事務局(rclub@st.ritsumei.ac.jp)
 応募必要事項
 (1)名前: (2)プレゼント送付先住所: 
 (3)電話: (4)今回のメルマガ内容に関する感想:
 (5)プレゼント発表時の氏名公開:可  否
  (否の場合はイニシャルで表記いたします。
   ご希望のペンネームがございましたらご連絡ください。)

▼第243号読プレ当選発表▼

多数のご応募ありがとうございました。243号の読者プレゼント(バイカラートートバック)の当選者発表です。
プレゼント到着まで今しばらくお待ちください。

・mnponさん(滋賀県)・とゆさん(愛知県)・こてちゃんさん(静岡県)

次回のご応募もお待ちしています。

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次回の配信は第4金曜日の6月23日(金)です。お楽しみに。
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